二人目の男子はIS学園No.1(最強とは言ってない)   作:塩ようかん

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 ギリギリです……つい書いてたら夢中になってしまって……


52話 慎吾と子猫の協奏曲 鮮やかな終結

「大混雑……か、流石に幾分か疲れたな……はぁ……」

 

 金髪の貴公子の美少年執事、銀髪で冷たくあしらってくれる小さなメイド、そして白服で落ち着いた大人の雰囲気漂う執事が働いてると言う情報はあっという間にネットの海を通じて広がってゆき、通常時の七割増しだと言う客達を相手に懸命に慣れない仕事ながら足手まといになるまいと店長からの的確なサポートも借りて人の2倍程は奮闘していた慎吾ではあったのだが、時間と共にしだいにその呼吸は乱れ額にはうっすらと汗が滲み初めていた

 

「しかし、この程度でヒカリや一緒に働いてる妹二人に笑われてしまうだろうな……。よし、もう少し心力を尽くして見るとしよう!」

 

 そんな言葉で感じ初めていた自身の疲労を気合いで吹き飛ばし、慎吾が決意を決めて再び動き始めた瞬間

 

「てめえら全員、動くんじゃねぇ!」

 

 突如ドアを蹴破るような勢いで5人の男達が店内に入って来た

 

 

 

 

「(他にも誰かが予備を持っている可能性も大きいが銃を持ってるのは三人、リーダー格がハンドガンにその取り巻きらしき二人がそれぞれショットガンとサブマシンガン。残る二人は……あれはサーベルとメイスか? 何か纏まりが無いな……)」

 

 幸いにも男達が侵入して来たときに厨房の近くにおり、なおかつ、いち早くその存在に気が付いた事で男達に気付かぬ内に身を隠す事に成功した慎吾は、息を潜めてジャケットにジーパン、そして顔には覆面(何故か、サーベルとメイスを持ってる強盗が付けているものだけが何故か覆面では無く顔の上半分を隠すような仮面ではあったが)と言った姿に、ここを襲撃する前に銀行強盗をしたのだろうと容易に想像出切る紙幣が溢れる背中のバッグに身を包んだ強盗達の様子を近すぎず遠すぎず、と言った距離を保って観察していた。

 

「(既に警察機関も駆け付けたようだが、こちらに人質がいてはまともに動けまい。さて、どう動いたも……!?)」

 

 犯人の立ち位置と人質が集められている場所を確認するように店内を見渡しながらこれから先の行動に付いて改めて慎吾が思考を纏めようとしていた、その瞬間、信じがたい物を目撃して慎吾は思わず声を出しそうになったのを慌てて堪えた

 

「なぁなぁ、ちょっと見なって、この子ちょ~マブくない?」

 

「おぉ確かに……あんた良い趣味してるな!」

 

 そこにいたのは強盗達が侵入して来ても、警察機関の威嚇射撃をしてもなお物怖じせずに、強盗達を除いてただ一人たっていた人物

 

「(ラ、ラウラッ!?)」

 

 ラウラ・ボーデヴィッヒその人が、サーベルを持った強盗とショットガンを持った強盗に絡まれ、ラウラは冷ややかな目で絡んで来る二人の強盗を睨んでいた。

 

「おい、お前ら何をやってる!」

 

 と、そこでリーダー格のハンドガンを持った男が呑気な仲間達を見かねて、咎めるように睨み付けながら怒鳴る

 

「まぁまぁ、落ち着けよ。こっちには人質がいるし、考える時間はたっぷりあるんだ。ここは一息付いてこうぜ?」

 

「そうッス! こいつの言う通りッスよ! この子に接客してもらって一休みしましょうよ!!」

 

 そんなリーダーを宥めるように少し馴れ馴れしさが過ぎるような口調でメイスを持った男がそう言い、サブマシンガンの男はラウラを前に鼻の下を伸ばしながらメイスの男に全力で賛同を示した

 

「……一理ある。良いだろうメニューを持ってこい」

 

 そんな手下達を眺めて一回、舌打ちしながらもリーダーはそれを飲み込むとラウラにそう命じ、近くのソファーに腰を下ろした

 

「…………」

 

 ラウラはうなづくでも無く、5人を一瞥するとカウンターの中へと歩いていき

 

 キッチンの近くに隠れていた慎吾とバッチリと目があった

 

「(ラウラ、無茶はよせ!!)」

 

 視線が合わさった瞬間、目でそうラウラに語る慎吾に

 

「(大丈夫、私を信じてタイミングを見逃すな、おにーちゃん)」

 

 ラウラは決して声には出さず唇だけを動かして、ほう慎吾に告げるとトレーに氷水が満載されたコップを乗せると速やかにそのままトレーを持って厨房から立ち去ると、ゆっくりと強盗達の元へと戻っていった。

 

「(ラウラ、一体何を……いや、まさか……)」

 

 息を潜めてラウラの背中を見守りながら慎吾がそう想った瞬間、氷水だけを持ってきたラウラを怪訝に想い、5人全員の注意がラウラに反れた瞬間

 

 ラウラは勢い良くトレーをひっくり返し、流れるような動作で空中に浮かんだ氷を掴みとると、突然の行動に反応出来ない5人の眉間、喉、瞼、そして油断してトリガーから離れていた人差し指に冗談のような命中率の氷の指弾を叩き込み、オマケとばかりに一番近くにいたサブマシンガンを持っていた男に膝蹴りを叩き込んだ

 

「……っきしょー! かわいい顔して、俺達をなめやがって!」

 

「卑怯も何もねぇ、5対1でぶちのめしてやる!」

 

 痛みから一早く復帰したリーダーに続いて、サーベルとメイスの男が二人が互いに獲物を構えて、リーダーから放たれるハンドガンの弾丸を回避し続けているラウラに向かって同時に駆け出した

 

「ならば……私は、そうさせる訳には行かないな」

 

 その瞬間、ラウラが作った隙を利用して悠々と二人の背後へと回っていた慎吾が二人が振り向くより早く、その首に強烈なラリアットを叩き込んだ

 

「ぎゃあっ!」

 

「ぐえっ! ……て、てめぇっ……!」

 

 ラリアットが直撃し、メイスの男はバランスを崩して顔から床へと叩きつけられたが、サーベルの男はギリギリの所でバランスを保つと、首の痛みを堪えながら慎吾に向かってサーベルでの突きを放つ

 

「はぁっ!」

 

 それを慎吾は白い執事服をはためかせながら、あらかじめ読んでいたかのように軽々回避すると、そのままの勢いでサーベルの男の顔面に右手刀を叩き込んだ

 

「…………!!」

 

「くっ、そおおおぉぉっ!!」

 

 手刀の破壊力で仮面が割れ、声にも出せない悲鳴で悶絶しながらサーベル男が倒れると、雄叫びを上げながらメイスの男は、先端に刺突きの鉄球が突いた自身の獲物を振り回しながら慎吾に襲いかかる。

 

「ふんっ!」

 

「なっ……」

 

 が、振り回すメイスを恐れず、冷静に軌道を見切って慎吾はメイスの刺のない中央部を蹴り飛ばして男の手からメイスを奪い取り、床に叩き付けると、男に詰め寄り顔面目掛けてハイキックを放った

 

「おっと! へへっ……隙あ……」

 

 が、メイスを持っていた男は咄嗟に屈む事でそれを回避し、蹴りを回避された事によって必然的に生まれた慎吾の隙に男が慎吾に反撃の一撃を放とうと

 

「りぃ"っ!?」

 

 した途端、ハイキックを回避された瞬間すかさず振り上げた脚をそのまま踵落としへと変えた慎吾の踵が男の背中に直撃し、男は奇妙な悲鳴を上げながら倒れた意識を失った

 

「調子に乗る……なぁっ!?」

 

 そして最後に慎吾は、立ち上がりかけながら慎吾に刃を打ち込もうとしていたサーベルの男の胸に蹴りを叩き込み、意識を奪い取る。時間にして十秒程の時間で慎吾は二人の強盗を撃退したのであった

 

「向こうも終わったか……」

 

 呼吸を整えるのと同時にラウラとシャルロットが爆弾を持って抵抗しようをしたリーダーを含む三人の意識を奪ったのを確認すると、駆け付けてくる警官隊を目にして三人で無言で頷きあうと、公になる前に速やかに三人揃って騒がしく鳴り出した店内を後にした。

 

「す、すごい……あの蹴り、あの速さ……俺もあの人みたいに……」

 

 そしてこの時、最も近くで慎吾の戦いを見ていた少年の一人が鮮やかに強盗を撃退した慎吾に強い憧れを抱き、将来の憧れとするのも

 

 どこからか出回った『強盗を撃退した白服執事』の画像をナターシャが手に入れ、休日を利用して慎吾の元へと訪れ、彼女の前で再び白の執事服姿を披露する事になるのも慎吾にはまるで予想が出来なかった




 慎吾が戦った仮面の強盗二人は……もちろん獅子の王子と戦ったあいつらがイメージです

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