二人目の男子はIS学園No.1(最強とは言ってない)   作:塩ようかん

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 今回の展開は少々、冒険かもしれません


56話 超ダブルマッチ! 異次元人&超獣vs地球人&ウルトラマン!

「ここだ、この場所で私は気絶している慎吾を見つけたのだ」

 

 あれから程なくして幸いな事にエネルギーコンバータが無くとも十二分にエネルギーが残された自身の専用IS、ゾフィーを展開させた慎吾と、本来の姿でありやはり慎吾のゾフィーと似た姿をした、銀と赤の巨人の姿に戻った『ゾフィー』

 

 二人は『別世界から慎吾を、こちらに引っ張って来るような力を持つ異次元への入り口がそうそう消えるとは思えない。仮に消えたとしても何からかの重要な手がかりが残っている筈だ』と、言う『ゾフィー』の言葉を信じて、共に慎吾が通ってきた異次元への入り口を探すべく、最初に慎吾が発見された小惑星地帯を訪れていた

 

「今のところは、僅かなガスと恒星からの弱い光、そして大小無数の小惑星以外に何も無い場所に見えますね……」

 

 そんな場所をゾフィーの小回りが効く機動力を生かして無数の小惑星の間をすり抜けながら、高感度センサーを主に利用して周囲を探索しながら慎吾はそう呟いた

 

「油断はするな慎吾、先程、説明したが相手は空間を操る力を持っているんだ。今は私にも異常は無いように見えるが……いつ、仕掛けてくるか分からんぞ」

 

 常に慎吾の位置を把握しつつ、自身も決して怠る事が無いように注意深く周囲の様子を観察しながら『ゾフィー』は慎吾にそう警告した

 

「勿論です『ゾフィー』……しかし、宇宙空間故に仕方の無い事ですがここは広い。何か異次元空間の入り口を効率良く探す為の手がかりがあれば良いのですが……」 

 

 そう、慎吾は控えめに考えても自身から数キロ以上に渡って繰り広げられる小惑星帯を眺めながら軽く溜め息をついた

 

「うん? 手がかり……ひょっとしたら……」

 

 と、そこで慎吾はふとある可能性に気が付き、動きを一瞬止め、ゾフィーに記録されたデータを探り始めた

 

「よし……残っていた……! あの光の珠に関するデータが! これを使って……」

 

 IS機体が事故に巻き込めれて世界を越える。と、恐らくヒカリを含めたM―78社の研究スタッフ、いやひょっとしたら開発者たる篠ノ之博士をも含む誰もが予想出来ないような出来事に、蓄積されたデータに不備が生じて無いか不安に感じていた慎吾は自身の考えが杞憂に終わった事で内心で大きく安堵の溜め息を吐いた。

 

 そうして少し気持ちを落ち着かせると慎吾は早速、アリーナで自身が一夏と共に目撃した正体不明の謎の光珠に関するデータ。相手が余りにも未知の物質だった為か数秒に過ぎない僅か、だが確かに残されている珠から放たれていた未知の波長のデータをセンサーに入力し、その波長がこの小惑星が溢れる地帯の何処からか放たれていないかを、僅かな波長の波も逃さぬようより範囲を広げてスキャンし始めた

 

「…………見つけた! 来てください『ゾフィー』!」

 

 数分後、やはり光珠のデータを組み込んだ事が正解だったのか慎吾は見事、小惑星地帯の中でも一際大きい惑星の表面に、ゾフィーに記録された光珠から放たれていた波長と全く同じ波を持つ波長が放たれているを発見し、その場所から注意を反らさぬようにしながら、『ゾフィー』を呼んだ

 

「……うむ、確かにここだ。ここに異次元空間の入り口がある」

 

 その声に『ゾフィー』は直ぐ様反応し、慎吾以上に滑らかな動きで惑星郡をすり抜けて慎吾の元に駆け付けると、そう言って直ぐに慎吾の言葉を肯定した

 

「異次元空間は危険だ。私が、突入するから慎吾はこの場所で……!」

 

 『待機してくれ』

 

 恐らくは『ゾフィー』はそう言おうとしたのだろう。しかし、その瞬間ゾフィーが激しく音と共に慎吾に向けて何かが攻撃を放った事を警告し、『ゾフィー』もまた背後から殺気の込められた気配を感じて咄嗟に振り向いた

 

「ミサイル……っ!?」

 

「くっ……!! このミサイルは……」

 

 惑星の前に立つ二人に迫っていたのは二つのミサイル。慎吾はそれを出力を上げたスラッシュ光線の集中放火で余裕を持って破壊し、ゾフィーは力強くミサイルを手ではね除け、ミサイルが飛来してきた方向を睨んだ

 

「『ゾフィー』あれは……生物なのですか!? 巨大すぎる……」

 

 『ゾフィー』に続いてミサイルを発射した相手を見つけた慎吾は、ここよりもいくらか巨大な小惑星の上に降り立つ襲撃者のその姿に目を見開いた

 

 

 ゴツゴツとした黒い皮膚に全身から生えた赤い珊瑚のような突起。そして、それを支える太い脚と鋭いツメが生えた腕。その目は真っ赤に充血しており、まるで血に飢えていかのように二人に向かって鋭い視線を向ける。そして、その生き物は慎吾が見たどの生物よりも遥かに巨大な体を持っていた

 

「ただの生物……とは違う。あれはヤプール人が作り出した合成生物……名前は『ミサイル超獣ベロクロン』!」

 

 生物、ベロクロンを睨み付けて構えながらゾフィーはそう落ち着いた様子で慎吾に伝えた

 

「超獣……ベロクロン……!」

 

 ベロクロンが次に何をしてくるかと、慎吾がそう名前を呟いたその瞬間

 

『クックッくっ……やはり現れたかゾフィーよ』

 

 寒気を感じるような不気味な声が何処からか聞こえて来たかと思うと突如、一部の空間が窓ガラスに石を投げ込んだのように亀裂が入って砕け、亀裂の向こう側から不気味な光に満ちた謎の空間が姿を表し、その向こうにはピエロにも似た姿をし、片手には三日月篠鎌に似た腕を持つ奇妙な姿の生物がこちらを覗いていた

 

「……これは!?」

 

「おでましか……ヤプールよ!!」

 

 その信じがたい光景に慎吾が驚愕する中、ゾフィーは開いた空間に向かってそう叫ぶ

 

『異次元空間から一気に大量の超獣を送り込んで光の国を制圧する計画が、誤って地球人をこんな場所に送ってしまうのは予想外だったが……問題は無い!ここでゾフィー貴様を倒してウルトラ兄弟を誘き寄せて一人づつ倒せば問題はない!』

 

「…………!」

 

 その言葉を聞いてゾフィーは一瞬、ヤプールとベロクロンを交互に見て思い悩むかのように動きを止めた

 

 『勿論ヤプールはこの場で倒さなくてならない。しかし、それでは既にこちらに気付いて攻撃を仕掛けてきたベロクロンを放置してしまう事になる』

 

 そんな両立しない想いがゾフィーを悩ませ、その脚を止めさせてしまったのだ

 

「『ゾフィー』! ここは私に任せて、あなたは奴を倒しに……!!」

 

 その事に直ぐ様、気付いた慎吾は瞬時加速を要いてベロクロンの前に立ち塞がるように出ると『ゾフィー』にそう告げる

 

「しかし君に……!」

 

「私はあなたと同じはず……私を信じてください『ゾフィー』!」

 

 『ゾフィー』はそんな無謀とも言える行為に走った慎吾を止めようとしたが、慎吾はそれを力強くそう言って遮る

 

「……分かった……だが無茶はするな……!」

 

 その、慎吾の熱意に負け、『ゾフィー』はそれだけを告げるとヤプールが待ち受ける異次元空間の中に飛び込んでいった

 

「さて……相手をしてもらうぞベロクロン!」

 

 それと同時に、慎吾はベロクロンを正面に立ち迎え撃つような形でそう叫んだ




 色々と悩んだ結果、ベロクロンさんに慎吾の相手をしてもらう事にしました。対決は次回で

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