二人目の男子はIS学園No.1(最強とは言ってない)   作:塩ようかん

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 戦闘回です、アレの出番はもう少しだけお待ちを……


8話 ブルー・ティアーズvs ゾフィー

「二度目の起動だがISは…ゾフィーは私に馴染む……まるで私の体そのもののようだ……」

 

 展開したゾフィーで風を切ってアリーナの空を飛びながら慎吾はふと思い返す。作りたてに近かったゾフィーを初めて動かして挑んだIS学園の実演試験。少ない時間の中、必死にゾフィーの特性を覚え予習していた参考書での知識を全投入し、慎吾なりに万全の体制で挑んだ。試験官の激しい攻撃にどれだけエネルギーを減らされゾフィーのエネルギー切れを知らせる装備である胸のカラータイマーがけたましく鳴り出してもなお慎吾は攻撃を止めようとはしなかった。が、結果はおよばず慎吾は試験に合格こそしたものの相手のシールドエネルギーを四割削り取った所でゾフィーのシールドエネルギーが空になり慎吾は敗北した。

 

「(今、考えてみればあの時の私には無意識ながらも専用機を入手した事への慢心、油断もあっただろうな……そうならないように鍛えてきたつもりだったが、私もまだまだと言うことか)」

 

 しかし、だからこそ慎吾は改めて誓う。

 

「(オルコットを見くびってる訳ではない、だが負けけるつもりは微塵も無い!)」

 

 そして、ゾフィーはアリーナのフィールド中央に到着し、先に来ていたセシリアに対面する形で制止した。

 

「待たせたな、オルコット」

 

「いえ、構いませんわ、大谷さん」

 

 そこで慎吾はおや、と声を漏らす。何の心境の変化があったのか一夏との戦いを終えて今現在、慎吾と対峙しているセシリアの態度や雰囲気は大きく変わって穏やかに落ち着いており、それは慎吾には真の淑女の雰囲気を思わせた。

 

「大谷さん、以前あなたにも失礼な態度をとってしまった事を今、ここで謝罪させていただきますわ。申し訳ございません」

 

 そう心底、申し訳なさそうに謝罪してくるセシリアに慎吾は苦笑する。

 

「(参ったな……オルコットの態度がもし、私と出会ったあの時と同じならば私から何か対策を取ろうと思っていたのだが……私が思っているよりも一夏は何かを持っているのかもな)」

 

「あの……大谷さん?」

                        

 不安げにたずねてくるセシリアを見ると慎吾は、気持ちを改め一瞬、セシリアから一瞬外していた視線を元に戻した。

 

「いや、オルコットがそう思って反省してくれるならば私は構わないさ。仲直りにがわりと言っては何だがお互いに悔いの無い試合をしようじゃないか」

 

 慎吾の言葉にセシリアは表情を一瞬、表情を明るくし、次の瞬間には引き締まった顔に戻っていた

 

「ええ……そうですわね大谷さん!」

 

「来い、オルコット!!」

 

 次の瞬間、セシリアのブルー・ティアーズの装備のライフル、『スターライトmkⅢ』から放たれたレーザーと、ゾフィーの重ねた両腕から発射された銛状の光弾、スラッシュ光線が同時に放たれると互いに正面から激突し、爆発を起こして相殺すると、その瞬間に試合は始まった。

 

「はぁっ!」

 

 スラッシュ光線を放ち、相殺を確認した後、即座に距離をつめに慎吾は勢い良く爆煙を突き抜けて正面のブルー・ティアーズへ向かって走る。が、セシリアは慎吾がそう動くのを読んでいたのか爆風を潜り抜けた直後、まさに雨のごとくゾフィー目掛けて降り注ぐ。

 

 そのビームの雨を慎吾はシュループを描くように動いて回避し、回避しきれないレーザーは移動しつつスラッシュ光線を放って相殺し、無傷でやり過ごしてさらにブルー・ティアーズに接近する。

 

「やりますわね大谷さん……でも!」

 

 ぐんぐんと距離をつめていくゾフィーに若干の驚きを見せながらもそう、セシリアが言った瞬間、ブルー・ティアーズから四つの自立起動兵器、『ブルー・ティアーズ』と機体と同じ名を持つBT兵器を出すと、セシリアのライフルに合わせるかのようにビットもまた移動しながらレーザーを発射して弾幕を作り出す。

 

「くうっ…弾が多すぎる……回避は困難だな」

 

 上下左右と多角に動き、なおかつスラッシュ光線を連打して相殺つつレーザーを回避していた慎吾だが、いかんせん襲い来る数が大きいぶんそれだけでは完全にはレーザーを防ぎきれず、数発の攻撃がゾフィーに食い込み、慎吾への衝撃と共にゾフィーのシールドエネルギーを削り取り、さらに衝撃でふらついたゾフィーに更なる追撃が襲い来る。

 

「この攻撃を防ぎきるには……全身をシールドで包み込むしか無い!」

 

 その瞬間、慎吾は回避を止めて空中に静止すると、近くまで迫ったレーザーをスラッシュ光線で相殺するとその場でゾフィーの腕をクロスさせその場で激しい勢いでゾフィーをグルグルと回転させる。その勢いが極限にまで達した瞬間、なんとゾフィーに迫っていたレーザーは回転するゾフィーに触れた瞬間、ゾフィーにはダメージは通らず鏡やガラス玉に当たったかのようにレーザーは反射されて出鱈目な方向へと飛んで行き、しまいにはライフルから放たれた一筋の閃光がゾフィーに反射されて自身のビットを撃ち落としてしまった。

 

「んなっ……!?」

 

「今だっ!!」

 

 あまりにと言えばあまりにも想定外の出来事にセシリアが驚愕のあまり、ほんの一瞬、弾幕が薄くなってしまった。その隙を見逃さず、慎吾はゾフィーの回転を止めて『瞬 時 加 速(イグニッション・ブースト)』を使い、凄まじい早さでビットに近寄るとチョップでビットを軽く破壊して撃墜した。 

 

「ぜやぁっ!」

 

 そのまま慎吾は止まらず、ブルー・ティアーズ本体に向けて進む。

 

「くっ……!」

 

 何とか冷静さを取り戻しゾフィーに向けて攻撃を再開するセシリア、しかし幾分か弾幕が薄くなってしまった今、ゾフィーにはほぼその攻撃は通らず、  軽々と回避またはスラッシュ光線での相殺、さらにあろうことか、エネルギーを貯めたゾフィーの腕でレーザーは叩き落とされた。

 

「弾幕が薄くなった分、動きが見えるし回避も出来る!これなら……」

 

 一気に距離をつめていく慎吾はそう確信し、再び隙を見て再び一機のビットを蹴りつけて破壊しビットが爆発した。

 

「かかり……ましたわ!」

 

 と、その瞬間セシリアは待っていましたとばかりに、にやりと笑うとビットの爆風で一瞬、視界が遮られた慎吾にレーザーでは無い二機のミサイルが飛んできた

 

「しまっ……!」

 

 セシリアの腹部から広がるスカート状アーマーが駆動しそこから放たれるミサイル、ブルー・ティアーズ最後の二機。それを慎吾は一夏との戦いを見ていた事で知っていた、知っていたのだが攻撃したタイミングを見られた今、もはや回避するのにも防御するのも慎吾には出来なかった。

 

「ぐわあぁぁぁぁっ!!」

 

 決死の覚悟で慎吾は回避を試みたものの、ミサイルは二機ともゾフィーに直撃しゾフィーのシールドエネルギーの低下を知らせる胸のカラータイマーが鳴り出すと、慎吾の悲鳴と共にゾフィーはきりもり飛行でアリーナの地面に向けて降下し始めた。

 

「これで閉幕ですわ!」

 

 そんな慎吾にとどめを刺すべく、セシリアは残り一機のビットとライフルでゾフィーに弾幕の雨を降らせる。落ちて行くゾフィーに容赦なく攻撃が命中しシールドエネルギーを削っていく、が、そこで慎吾の目がカッと見開くとゾフィーを反転させ、ブルー・ティアーズへと向き直る。

 

「(残りエネルギーは少ない今、『アレ』は使えない今、これで勝負するしかない。直撃しても勝てる見込みは低いが……)」

 

 慎吾はゾフィーの両腕を一瞬、高々に上げるとそのまま水平にした両腕をそえるように胸にそえる。

 

「(まだ勝負が付いていない今、絶対に最後まであきらめはしない!)」

 

 降りしきる攻撃の雨も、今だに止まらない落下ももろともせず、両腕を正面に突き出して慎吾は叫ぶ

 

「Z………光線!!」

 

 瞬間、稲妻状の青白い光線がゾフィーの両腕から放たれ、光線はブルー・ティアーズのレーザーを突き抜けビットを破壊し

 

「きゃぁぁぁぁぁっ!!」

 

「……くっ!!」

 

 回避しようとしていたセシリアに直撃して大幅にシールドエネルギーを削り取って大きく体制を崩し、同時にゾフィーが地面に激突しゾフィーが苦痛の声を上げる。その瞬間、決着を告げるブザーが鳴り響いた。

 

『試合終了。勝者ーセシリア・オルコット』

 

 瞬間、名勝負を祝福する歓声がアリーナから響き渡った。

 

 

 

 

「敗北……か」

 

 歓声を耳にしつつ、倒れた姿のまま慎吾は呟く。なんて事は無い、オルコットを見くびっていたそれだけの事だ。そう、考えた慎吾はゾフィーの通信回線ででセシリアに告げる。

 

「参ったよオルコット私も全力を出したが……君の勝ちだ、流石は代表候補生と言った所か」

 

「いえいえ、大谷さんも素晴らしい戦い方でしたわ。とても初心者とは思わない動きでしたもの!」

 

「はは……ありがとう」

 

 そう、非常に嬉しそうな声で返事を帰すセシリアに慎吾は苦笑しつつ今回の勝負に自身がが悔いを抱いて無い事を知った。

 

「(オルコット……次の勝負は負けんぞ)」

 

 最も、悔いこそ無いだけで胸の中には決して消えない闘志がしっかりと輝いていたのだが




 ゾフィーがスラッシュ光線使うのはありでしょうかね?あと、戦闘描写にもっと工夫をいれたいです

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