二人目の男子はIS学園No.1(最強とは言ってない)   作:塩ようかん

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 ついに、隊長を語る上では外せない。ヤツを出します


86話 二大襲撃者、IS学園に迫る

「ちょっ……! 早い! 大谷さんマジで早い!!」

 

「マトモに当たらせてくれない……ってか、当てられる気がしないんですけど!?」

 

「しかも回避中にも隙が殆ど無いって……ええいっ! 囲め! 囲め!」

 

「もうやってるよ! それでこれなの!」

 

 舞台ところ狭しとある時はセットを足場がわりに利用して跳び、ある時は舞うようにターンをしてマントを靡かせて視界を幻惑しながら裂け、ある時は三人同時の攻撃を両手と左足だけで受けきり残った右足で跳躍して回避し、慎吾は大量のシンデレラ達を撹乱し、困惑させる事でやり過ごしていた

 

「はぁ……はぁ……」

 

 が、いくら慎吾が普段から決して鍛練を欠かさない程、鍛えていると言ってもそんなパワー調整を一切しないような全力疾走にも似た無茶苦茶な動きをいつまでも続けられる筈がない。時間と共に慎吾の呼吸はあからさまに乱れはじめ、顔や背中からは汗が滲み始めた

 

「大丈夫、お兄ちゃん!?」

 

「くっ……もう少しで援護に向かう! それまで持ちこたえるんだおにーちゃん!」

 

 次第に限界点が見え始めてくる慎吾を気づかい、シャルロットとラウラがそう声をかける。が、フリーエントリーで参加してしたシンデレラの人数が余りにも多いために二人の姿はかき消えてしまい、聞こえるのは声だけであったが直後に聞こえた

 

「盾では攻撃出来ないから、思いっきり近づいても大丈夫……数分前の私はそう考えていました……ぐふっ……」

 

「ナイフなんて長物でリーチ取ってれば余裕!……とは、これだけ技術差があれば行かなかったかぁ……フフッ……」

 

「どうやら二人は、私が心配する必要が無い程度に大丈夫のようだな……」

 

 と、言う何故だか少し満足げな様子で崩れ落ちるフリーエントリー組のシンデレラ達の声を聞いて二人の無事を確認し、少しだけ安堵した様子でそう呟くと笑顔を浮かべる

 

「くうっ……少し相手が多すぎない!?」

 

「流石にこれだけの数が相手では……!!」

 

 どうやら、鈴と箒もまた余りにも手をやかされてるらしく、少しだけ苦しげに二人がうめいてる声もまた聞こえてきた

 

「しかし……声が聞こえなかったが、一夏は大丈夫なのだろうか……?」

 

 と、とりあえずは妹達の無事、それからすすり泣き達もまた無事である事を確認した慎吾は、ずっしりと疲労し始めた体に鞭を入れ、流れる汗を拭って視界を確保し、身を翻し続けて攻撃を回避して舞台の上を走り続けながら舞台のどこにかにいるはずの、はぐれてしまった一夏の姿を探す

 

「……あそこか!」

 

 そうして、しばらく走り回った所で慎吾はようやく慎吾は舞台の端あたりで一夏の姿を発見した。一夏の周囲には暴力的なシンデレラの数に押されてやはりはぐれてしまったらしく、シャルロット、ラウラ、鈴、箒、それにセシリアの四人のうちの誰もおらず、一夏は必死の表情で無数のシンデレラ達から逃げ回っていた

 

「今、行くぞ……!!」

 

 その姿を確認した瞬間、慎吾は一夏の方向へと走りだし

 

 

 その瞬間、一夏が舞台の下から伸びた何者かの手に足を捕まれ吸い込まれるようにセットの上から転げ落ちるのを目撃した

 

「……おいっ!! 待て!!」

 

 突如として起こった驚くべき光景に慎吾は一瞬、驚愕で目を見開いたが直ぐに怒鳴るような大声で叫ぶと邪魔になってしまいそうなマントを脱ぎ捨てると、たった今まで一夏がいた舞台の端へと向かって走り出す。一夏を連れ去った者は舞台に参加しようとしていたフリーエントリー組の生徒とは違う。と、言う事が慎吾には直感的に理解出来ていた

 

「(何か……何か嫌な予感がする……!!)」

 

 自身の胸によぎる不吉な予感がどうか的外れであってほしいと祈りながら慎吾は一夏を助けるべく、自身もまた舞台のセットの下へと飛び込んで行くのであった

 

 

「この方角は……もしや向かっているのは更衣室か……?」

 

 薄暗い道を僅かに聞こえてくる一夏の声を便りに進んでいた慎吾は、そこで大まかの道の行く先を知り、怪訝な表情を浮かべた

 

「人目の少ない所に連れていく……いよいよもって、本格的に怪しくなってきたな」

 

 自身が無意識に抱いていた嫌な予感が確信へと変わり始めた慎吾は、現在、密室状態になっているであろう更衣室へ一夏が連れていかれてしまう前に何とかしてそれを阻止せんと、歯を食い縛り一刻も早く追い付けるように更に足を早めんと一歩を踏み出し

 

 

「っ!?」

 

 

 その瞬間、一瞬で体内に侵入し体の芯まで零下へと落ちてしまいそうな程の猛烈な殺気を感じとり、慎吾は勢いのまま横へと転がるように飛び出した

 

 

 直後、先程まで慎吾はいた場所その真上から軽々と天井を大きく突き破りながら赤い閃光が現れ、閃光はそのまま床に着弾すると爆発を起こし、赤い火柱が周囲をくり貫くように粉々に吹き飛ばした

 

「はぁ……はぁ……うぐっ……はぁ……!」

 

 その恐ろしい一撃を横に飛び、さらにゾフィーを展開させる事でどうにか凌ぐ事が出来た慎吾は倒れたまま呻く。殺気を感じた瞬間から、それがただの攻撃では無く、『ISを展開させねば間違いなく死ぬ』ようなレベルの攻撃だと慎吾は予知していたのだ

 

「……チッ、直撃は避けたか。だがまぁ、問題は無いな」

 

 直後、自身が天井に開けた穴からISを展開させた襲撃者が小さなぼやきと共に姿を現す

 

 そのISは、まるで青色の翼を広げ、赤い体を持つ巨大な鳥に似ていた。防御を重視しているのかやたらに重厚そうな赤を主体としたボティの装甲の肩部分から伸びた一対の巨大な翼状の青いウィングは見ているだけで圧倒的威圧感を与えてくる。そして何より特徴的なのは茶色の右腕に握られた黄色の巨大なパイルバンカーだった

 

「かすりは、したからな……こいつの寿命が数分程延びたに過ぎないな……くくっ!」

 

「き、貴様は一体……!」

 

 地面に倒れ、先程の一撃がかすめた部分の装甲から白煙をあげるゾフィーを見てせせら笑う襲撃者に、慎吾はどうにか両腕を支えに立ち上がり仮面越しに睨み付けながら問いかける

 

「あん? これから死ぬ奴に誰が名乗るってんだ……って言う所だが……まぁいい、二人目の男子君には特別サービスだ、冥土の土産に教えてやるよ」

 

 睨みつける慎吾を軽く受け流して襲撃者の女性は軽く自身のISと同じく赤い髪をかきあげながら嘲笑う

 

 

「あたしは秘密結社、亡国機業(ファントム・タスク

)の一人! 名前はバード! そして、お前をぶち殺すこいつはバードン!! 分かったなら覚悟しな、大谷慎吾くんよぉ!!」

 

 バードと名乗った襲撃者はそう勢いよく慎吾に名乗るのと同時に瞬時加速を利用してゾフィーへと襲いかかってきた




 と、言うわけで強豪、バードン登場です。考えた結果、このように亡国企業側のオリジナルISにさせていただきました。

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