ようこそ!コネ入学者の教室へ! 作:四天王最弱
この作品は、親の権力と家族の愛によって守られ、何不自由なく安全に生きてきた凡人の主人公が、実力主義という弱肉強食の学校に放り込まれながらも、何とか頑張ってく話です。友人枠に高円寺と綾小路を据える予定です。ヒロインは未定、原作沿いですが原作の内容と一部変わることもあるかもです。
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俺の名前は宇良口小根斗。高校一年生になる15歳。
身長は平均より少し高いくらい。体重は⋯⋯まぁ、聞かないでくれ。
得意なことは昼寝。運動神経は……うん、まぁ、普通に生きていけるレベル。特に何かに秀でているわけでもない、本当にどこにでもいるごく普通の青年だ。
そんな俺が、今、人生最大のピンチを迎えている。
いや、ピンチなのか?よく分からないけど、なんかすごいことになりそうな予感がビンビンしてるんだ!
俺の家は、国内でも有名な大手企業「宇良口グループ」の経営者一族だ。
金持ちボンボンとか、御曹司とか、そういうやつ。
そして、うちは普通じゃない。いや、俺が普通で、周りが普通じゃないんだ。
まず、俺の兄貴。名前は海斗。
彼はマジで別次元の生き物だ。
俺も通っていた名門大学の附属小中では、常に学年トップ。
そして、「後継者育成の試練」とかいう、漫画みたいな理由で、あの超難関らしい高度育成高等学校に入学したらしい。
卒業後は東大の経済学部に進学して、今も頭脳明晰ぶりをいかんなく発揮している。
頭が良すぎて、もはや意味不明だろ?
ある日、兄貴が俺の部屋にやってきた。
「小根斗、今日の勉強は捗ったか?俺のスパルタ教育のおかげで、少しは頭がよくなっただろう?」
そう言いながら、俺の頭をわしゃわしゃと撫でてくる。
ちょっと暑苦しいんだけど、兄貴のこういうところ、嫌いじゃない。
いや、むしろ大好きだ。
「もう!兄貴、やめてよ!髪がぐちゃぐちゃになるじゃん!」
そう言いながらも、俺は嬉しそうに笑っていた。
兄貴は俺と弟のことをそれはもう溺愛してくれてる。
その深い愛情が、俺のぬるま湯生活の大きな要因の一つだ。
そして、弟の遥斗。
彼はもう、芸術の申し子としか言いようがない。
ウィーンの超名門音楽学校でピアノを弾いている。
指先から奏でられる音色は、マジで鳥肌モノだ。
しかも、頭も良くて、成績は常にトップレベル。
最近、弟からメールが来た。
『小根斗兄ちゃん、元気ですか?
学校の練習は大変だけど、小根斗兄ちゃんと海斗兄ちゃんのことを思い出して、いつも頑張っています。
小根斗兄ちゃん、能天気で明るい性格を尊敬しています。
これからも、その明るさで周りの人を笑顔にしてくださいね。
もし辛いことがあったら、いつでも僕の音を思い出して』
なんで俺みたいな能天気な兄を尊敬してくれるんだろう。
弟のメッセージを読みながら、俺は一人、照れくさそうに笑っていた。
そして、父さんと母さん。
父さんは大手企業「宇良口グループ」の社長。
元東大卒のエリートで、母さんとは恋愛結婚らしい。
そんなリア充エピソード、俺には眩しすぎる。
父さんは、なんの才能もない俺のことをそれはもう心配して色んな習い事をさせてくれたり、旅行や観劇、有名人の講演会に行かせてくれたりと、俺の為に様々なことを計画してくれる。
彼は、俺に才能があるって信じてくれているんだ。
いや、本当に申し訳ないんだけど才能なんてないんだよ。勉強も運動もダメダメで、芸術方面も明るくなく、こんなダメ息子の俺をそれでも信じてくれてありがとう。
そして、母さんは旧華族の血筋で、実家は代々政治家の家系。
今は女流作家として、ドロドロのサスペンスやキュンキュンの恋愛小説を書きまくってる。
それがまたベストセラー連発なんだから、才能って本当に怖い。
母さんも俺には甘々で、お願いしたら大抵のことはOKしてくれる。
そんな天才家族に囲まれた、凡人中の凡人である俺。
小学生の頃の受験では、案の定、兄貴と同じ名門小学校に落ちた。
でも、父さんの謎の力と、莫大な寄付のおかげで、まさかの補欠合格からの繰り上げ入学!
中学でも成績がヤバくなったけど、兄貴のスパルタ勉強会と、またしても父さんの力でなんとか進級!
周りの友達や先生にも恵まれて、楽しい中学校生活を送らせてもらった。
しかーし!親の心、子知らず。
来年はいよいよ高等部……って頃に、父さんが突然、真顔になったんだ。
まるで、今まで俺の知らない何かを抱えていたかのように。
「小根斗、このままでは、お前のためにならない!」
いやいや、突然どうしたの?!俺はこのままでも良いんだけど?!
父さんの突然の言葉に、俺は驚きを隠せない。
「父さん、どうしたの?俺、なんか悪いことした?」
そう尋ねると、父さんは優しく、でも真剣な眼差しで俺を見て言った。
「違うんだ、小根斗。お前は何も悪くない。ただ、このままでは、お前はいつまでもぬるま湯の中で生きていくことになる。それでは、お前が本当に幸せになれるとは思えないんだ」
そう言って、父さんが取り出したのは、一枚の書類だった。
そこに書かれていたのは「高度育成高等学校」の文字。
兄が中等部を卒業後進学した学校の名だった。
「知り合いの国立高校の理事長に頼み込んで、コネと権力を使ってお前をこの学校に入学させることにした。もちろん、今の学力では落第レベルだ。だから、国内外から優秀な家庭教師を呼び寄せて、お前に初めてまともな受験勉強をさせた」
父さんの言葉に、俺はただただ驚くばかりだった。
俺のために、そこまでしてくれていたなんて……
でも、父さん!俺、そこまでしなくても、幸せだったんだけどな。
その結果…まぁ、家庭教師の先生方の死ぬほどの頑張りと、父さんの圧倒的な権力(八割はこれだと思う)のおかげで、どうにかこうにか、俺は明日からあの超エリート校に通うことになったわけだ!
えっ……マジで大丈夫か、俺?
周りは頭脳明晰なエリートばかりなんだろうなぁ。
運動も勉強もパッとしない俺が、あんな場所にいていいんだろうか?
最後の晩餐は、家族全員(弟はリモート参加)で豪勢な料理を囲んだ。
「本当に、小根斗をあの学校に行かせても大丈夫なのかしら……もし、小根斗に何かあったら私は筆を折るわよ?」
「あ、あ、安心、しなさい……きっと、大丈夫だ。しっかりと、理事長には話を付けてあるから……だが、もし小根斗に何かあったら、その時には宇良口の力を使って徹底的に潰してやらねばな」
父さんと母さんは、俺のことが心配でたまらないという顔をしていた。
なんか物騒な言葉が聞こえたけど、多分空耳。そうじゃないと、学校に行けなくなってしまうからね。
『僕も少し心配だよ……小根斗兄ちゃんは、人が良すぎるから騙されないか不安だな』
弟よ!兄はそこまで愚かじゃないぞ!ただ、困っている人がいたらつい何かをしてあげたくなっちゃうだけなんだ!断じて騙されたりしてる訳じゃないからな!
心配する両親と弟の姿に、俺は若干呆れていると目の前に座る兄が俺に微笑みかけた。
「小根斗、大丈夫だ。あの学校は面白いぞ。お前のその素直さと優しさは、きっと誰にも負けない才能になる。胸を張って行ってこい」
兄貴の言葉に、俺は少しだけ勇気をもらった。
卒業まで外部との連絡ができないという、ちょっと寂しいルールがあるけど、家族の期待を裏切らないように……いや、プレッシャーかけすぎたら逆にダメになるタイプだから、ほどほどに頑張ってみるよ!
翌日、俺は真新しい制服に袖を通し、鏡の前でポーズをとる。
うん、なかなか様になってるんじゃないかな?父さん譲りの美貌もさることながら、俺かなりかっこいいんじゃない?
「いってきます!」
そう家族に言って、俺は一人、新たな旅路へと向かう為、玄関へと歩き出した。
明日からの俺の高校生活、一体どうなることやら!
乞うご期待!……できる範囲で!
さて、今日の登校は父さんの車だ!これで父さんと会うのも3年後。なんだか寂しくなるなぁ。