推しのため、ダンジョンへ赴く   作:ケケフカ

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エンプティさん、火焔猫さんお気に入り登録ありがとうございやす。
少しずつ、この作品がどういった作品が開示できたらなと思います。


3話 ギルドとダンジョン

 

 

 ギルドに辿り着いた。

 

 先程の武器工房とほとんどお隣さんみたいな感じであったため、まるで歩いていないけれど。

 

 ギルドは工房よりかは小さい。と言っても、大きさがモールからスーパーに変わった程度で、大きいという印象は変わらない。

 

 中もスタッフが忙しく動いているカウンターと飲み屋のようなテーブルが並んでいる。なんとなく、ここがファンタジーであることに安心感。

 

 工房よりも何事もなく、冒険者登録というのを済ませた。その後、手渡しで金属板を貰った

 

 そのまま、カウンターの女性から説明を受けることとなった。

 

「その金属板は“ ヴァルゼオン廃廟 ”入り口の鍵です」

 

「ヴァルゼオン?」

 

「この国のダンジョンの名前ですぞ。各ダンジョンはその国のギルドに所有権があり、許可がなければ入れないようになっているのですぞ」

 

 咄嗟に藤沢が横から補足を入れてくれた。

 

 ダンジョンに名前が付いてたのか。てっきり第一とか第二だと思っていたけど、違うらしい。

 

「ギルドは入り口としての役割がありますので、ダンジョンに入る場合は必ずギルドの内部ゲートから入る形になります」

 

 女性が示す方向に、電車の自動改札機の如く並んだ木のゲート。アレが内部ゲートと呼ばれるものらしい。

 

 その先、淡い青に発光する扉形状のものが見えた。

 

「ダンジョンでの死亡、怪我、犯罪などにギルドは中立の立場を取りますのでご了承下さい」

 

 つまりは何が起きても、一切の関与はしないということなのだろう。それほどまでにダンジョン内は危険なところなのだろう。

 

「他にご質問はございますでしょうか」

 

「物の換金は何処ですればいい?」

 

「隣の武器工房に持ち込むか、二階の換金所での取引になります」

 

 二種類の換金場所?

 

 ここは藤沢くんに詳しく聞いた方が良さそうかな。換金の額も違ってきそうな気がしなくもない。

 

「他にご質問がなければ、説明を終わりにさせていただきます」

 

 それから、休憩できそうなテーブル席に座り、改めて藤沢くんと情報整理することにした。

 

「ギルドはダンジョンの入り口を管理する場所。ゲームのようにクエストの統括もありませんし、そんなものは存在しませんぞ」

 

「だから、換金所が設けられてるってことか。換金アイテムはどんなもの?」

 

「主に魔源石ですな。小、中、大のサイズ分けで、15cm以上ものを小。1m以上のものを中。3m以上のものを大。値段も大きさによって、変動しますぞ」

 

 魔源石の話は以前にも聞いた。

 

 けれど、大した稼ぎにはならないとも聞いていたから、そこは了承済みだ。

 

「我々の稼ぎは魔源石以外のレアドロップ品ですぞ」

 

「魔物爪とか皮とかってこと?」

 

「いえ、魔物は死んだ時に消失しますぞ。ドロップ品は魔源石。しかし稀に武器やポーション類などを落とす事があるのですぞ」

 

「突然のファンタジー設定じゃんね」

 

 銃とかギルドとか、魔源石とか硬派なファンタジーですよ感出してるくせに、急に魔物のドロップ品がありますってどういうことなの……。

 

「その中でも、我々が秘匿にしてるドロップ品があるのですが……これは少しばかり特殊な故、ダンジョンに慣れた時に説明しますぞ」

 

「それが企業秘密ってやつ?」

 

「そうですな……ここで口外しようものなら、とんでもないことになりますぞ」

 

 本格的な稼ぎは、まだ様子見になりそう。ならば、それの繋ぎとしての換金に関して聞いておこう。

 

「なら、それは置いといて、換金場所が二つあるけど違いはある?」

 

「買取自体はどちらも可能。けれど、出来れば金属類は武器工房に持ち込むのが吉ですぞ」

 

「高く買い取ってくれるってこと?」

 

「高くというよりかは、今後の装備製造に色をつけてくれるという所ですな」

 

 つまりは、より高度なダンジョン攻略を進める上でのアドバンテージになるわけか。確かに武器の性能によって、詰みかねないこともあり得る。

 

「……何となく理解した」

 

「ではでは、早速ダンジョンに行きましょうか」

 

 立ち上がる藤沢。

 

 しかし、彼の手には何もない。

 それどころか昨日のような世紀末スタイルの服装ですらなく、布生地のラフな格好であった。

 

「あのさ、藤沢はそんな装備で大丈夫なの?」

 

「大丈夫だ。問題ない」

 

 問題ありそうな返答なんだけど、それ。

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 ゲートを潜り、ダンジョン内部に入る。

 

 入る瞬間はビリビリと静電気が全身に走るような感覚が襲ったが、耐えられないほどではなかった。

 

 ゲートから出た時は倒れ、直後の痛みに悶えていたけれど。

 

「これが……ダンジョン?」

 

 想像していたのは洞窟的なもの。近年のダンジョン作品はそんなものが多い印象であった。

 

 けれど、目の前に見えるのは、青々とした草原。周りが薄暗く、日陰にいるような印象を受ける。

 

 しかし、目の前には大きな白濁した巨大な山が見えるだけだった。

 

「上ですぞ」

 

 藤沢に言われる通りに顔を上げると、そこには────

 

 

 巨大な下半身が見えた。

 

 

 間近で東京スカイツリーを見た時を思い出す。おおよそ人が作ったとは思えないほどに高く、その頂点は雲で覆い隠されていた。

 

 ハッキリとしたカタチは地面からでは見えない。

 

 腰から上が雲で見え隠れし、しかし明らかに上半身は存在していることは容易に想像できる。

 

「ヴァルゼオン廃廟────ヴァルゼオン王国初代王“ ヴァルゼオン ”の遺骸。それが、このダンジョンですぞ」

 

「……ちんちん丸出し」

 

「初めてダビデ像を見た男子小学生みたいなコメントですぞ、それ」

 

「ハッ⁉︎」

 

 驚き過ぎて、思考が止まっていた。

 

 今までちゃんとしたファンタジーを見ていなかったから、この石像を見た時の衝撃がデカかった。

 

 でもさ、下半身しかない上に巨大なアレが見えてれば、誰だってこのコメントになると思うんだ。少なくとも、思考が止まっていたアタシはそうだった。

 

「早速、中へ入りましょうぞ」

 

「あ、うん」

 

 大きなバックを背負ったまま、親指と思われる場所へ歩いていく。

 

「ここがダンジョンへの扉。この先は個々のダンジョン……分かりやすく例えるなら、複数あるサーバーの内の一つに入ることになりますぞ。大体はメンバーと入るので、扉を閉まる瞬間までは同様のサーバーに入場出来ますぞ」

 

 重厚な赤い扉。

 ダンジョンに入るのだと自覚させられる。

 

 その手前で、買ってもらった装備を装着することにした。

 

 胴当てや膝当て等の軽鎧、弾薬を仕舞うホルダーなどを元々の服の上に被せる。服といってもラフな格好にパーカーを掛けているだけだから、少々貧乏臭い。

 

 それから武器────指照を取り出し、肩に掛けた。

 

「準備、出来たよ」

 

「それでは向かいましょう」

 

 壁に背中を預けていた藤沢。その姿は先程と変わらず、一切の装備を身につけていなかった。

 

 肝が据わり過ぎていて、普段のメイド喫茶での彼とは違った一面……ダンジョン冒険者としての彼を改めて感じた。

 

 扉に手を掛けて、強く前に押す。

 

 全体体重を乗せるように押さなければ、開くような感じが一切感じられない。それほどまでにこの先のダンジョンは凶悪な場所だと感じられる。

 

 ドアが開かれ、中に入っていくと少しばかり広い空間に出た。

 

 紐で吊るされた魔源石で明るく、見渡しがいい。壁や天井には壁画が描かれており、若干削れて何が描いてあるのか見えづらい。

 

 名前の通り、神殿を思わせる内装。

 

 後ろへ振り返ると、先程同様の扉と藤沢が見えた。彼が内部に入ると扉が自動的に閉まった。

 

「それでは、歩きながら戦闘についての話をしますぞ」

 

 先行して歩いていく藤沢について行く。

 

「ダンジョンでの戦闘の基本はツーマンセルが基本ですぞ」

 

「前衛と後衛に分けるってことだね」

 

「飲み込みが早いですな。基本的には盾持ちや近接武器持ちは前衛でヘイトを稼ぎ、後衛は魔法や銃火器による支援攻撃ですぞ」

 

「それだと、多人数でもいい気がするけど」

 

「多人数で戦うとヘイト管理や狭い空間での戦闘には適してはいないのですぞ」

 

 仲間の数多ければ、問題なしとは言えない。むしろ多いほど気にすることも多く、戦術に乱れが出てくるってことか。

 

「もし、大人数で組むならば、ツーマンセルを組んで、各個撃破での戦法がよろしいですぞ」

 

「なるほどね」

 

 大人数での攻略なんてダルいだけだし、やらないけど。ツーマンセルも基本戦術なだけだし、ソロでもそれなりに出来そう。

 

 まあ、今回は彼に従って戦ってみるか。

 

 歩いていると、前方に巨大なネズミ型魔物が見えた。本当にただネズミを大きくしただけの見た目の魔物だけれど、所々爛れている。

 

「『爛れのラット』。このダンジョンでのスライムですな。私は攻撃しませんので、隙を見て攻撃してくだされ」

 

「当たっても文句言わないでよ」

 

「冗談が上手いですなぁ」

 

 指照を肩から降ろし、両手で持つ。

 

 その時の微細な音に反応し、こちらに気づいたラット。

 

 藤沢は私の射線に被るように前に立ち、構えの姿勢をとる。左手を前下に構え、右手を顔手前に構えた。

 

 ラットの姿が見えない以上、無闇に撃つことはできない。けれど、それもあっちも同じだ。狙撃してくる私の姿は見えていない。

 

「後ろへステップ‼︎」

 

 藤沢の叫びに従い、軽く後ろへステップし、指照を構えた。照準は彼の両太腿の中央を捉えている。

 

 藤沢が横に身体を捻り、足を素早く動かす。彼が横に飛んだと同時、照準先にラットが飛び込んでくる。

 

 逃さず、引き金を引いた。

 

 けたましい轟音と感じたことのない反動が身体を駆け巡る。けれど、目標からは目線を離すことなく、出血を確認する。

 

「上手いものですな。私は一週間かけてようやく当てれるようになったのですが」

 

 倒れているラット。彼はその横で構えを解いて、ラットを見下ろしていた。

 

 ラットの背中辺りに黒い灰のようなもの広がっている。血の痕跡は見当たらない。

 

「これって何処に当たったの?」

 

「背中ですな。魔物は血を出さず、このように黒い魔力を放出するのですぞ」

 

 当たったところは背中……反動が抑えきれてなかった。もしかしたら、照準も若干ブレていたのかもしれない。

 

「次に行こう。まだ当て感が分からない」

 

「ならば、一層攻略を目標にしましょうか。幸い一層はラットしか出てこないので」

 

 指照のヒンジ下のボタンを押し、空薬莢を飛ばす。ホルダーから銃弾を取り出して、込める。

 

 この作業も慣れて、早く込めれるようにしていかないと。

 

 

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