ダンジョンで引退したいのは間違っているだろうか? 作:風山・K・神威
~5日後~
「はぁ~~~、だるい、魔道具作りたい、書類仕事嫌だ」
「そんなこと言ってもしょうがないよクライ、君は団長なんだから」
クライとアークは書類仕事に明け暮れていた。
最強派閥とはいえ、ハデス・ファミリアは町の警備とダンジョン攻略を両立しているため、仕事が多い。また、ガネーシャ・ファミリアやアストレア・ファミリアとも協力関係であるため、ある程度の情報交換をする必要がある。ギルドではロイマンのことは信頼していないが、ウラノスにフェルズ、そして
「あぁぁぁぁぁ......ガークさんに報告すんの嫌なんだけど。あの人怖いよ。絶対人殺してる顔だよ。」
「・・・クライ、君もわかっているだろう。ガークさんがいるからこそ、今のギルドがまともなんだよ。そもそも、あのロイマンがへんな愚行を起こさないようになったのは、ガークさんのおかげだしね。」
そんな会話をしているとき、
「そうですよ、クライさん。泣き言言わないで、早く報告してきてください」
―――エヴァ・レンフィード 「
彼女の名前は、エヴァ・レンフィード。6年前、商業ギルドとして活動している
「それに、聞きましたよ。シトリーさんの借金、もう八桁行くそうじゃないですか。団長なら早くダンジョンに行って、直ぐにかえってこられるでしょ。」
「う~~~ん。そうなんだけど......」
「クライの場合は、折角の魔石もドロップアイテムも、全部魔道具にしてしまいからね。」
「仕方ないだろ!魔道具は正に男のロマンなんだよ!似たような能力の魔道具があったって、皆にも提供できるし、いっぱい使えた方が便利なんだよ!そして何より!それを自分で作れるというこのワクワクがたまんないんだよ~~~!」
「いいから、早く行ってきてください」「骨は拾うよ、クライ」
「はぁ~~~分かったよ。それじゃ、行ってくる」
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「この度は!連絡遅れて!!!大変申し訳ありませんでしたーーーーーー!!!!!」
クライは、ギルドの個別室にてギルド副長であるガークと、彼をサポートするギルド職員のカイナに今回の遠征の連絡をしていた。
「・・・おいクライ。別に遅れてないだろうが。」
―——ガーク・ヴェルター 「戦鬼」Lv.7 元ポセイドン・ファミリア副団長
彼は元ポセイドン・ファミリアの副団長でかつての三大クエスト「リヴァイアサン」の討伐に参加した一人である。元冒険者とはいえ、彼のその堂々たる肉体は、どんな冒険者でもビビり、ギルドで厄介事を起こそうもんなら、彼が外に吹っ飛ばすことから、ギルドでの荒事は厳禁となっている。彼はLv.7とはいえ、リヴァイアサン討伐後に
「別に報告しないとは言ってないよ!でもしょうがないじゃん!ダンジョンから戻ってきたばっかりで皆疲弊していているのにさ!アークやエヴァがその日の内に、まとめようとか言いだしたそれで丸一日時間が掛かっちゃたし!ダンジョン帰ったばっかなのに、ルークとリィズなんであんなに元気なんだし!ちょっとは休んで僕も身にもなってほしいよ!それに深層帰りの打ち上げでは、「豊穣の女主人」でシルの作った
「ガークさん、駄目ですよ。クライさんをいじめちゃ」
「なんで俺がいじめたみたいになっているんだ。あとクライ、最後の方は我欲だろ。」
こんなことが、いつもの通りのガークとの日常である。何せガークは、背がとても大きく、どう見ても何人か■している見た目であるため、クライはこちらが悪いと思うといつも、土下座している。
「クライ、お前は今じゃ現最強なんだ。そう簡単に頭を下げんな。こっちが見てられん。」
「うぅ~~~、わかったよ。」グスゥ
なんやかんやで、クライは今回の遠征のことを報告した。
「ああ、それとガークさん。なんでロキ・ファミリアが遠征するって事、報告してくんなかったの?帰り遭遇しちゃったじゃん。」
「うん?ああ、その件か。お前らなら何とかなるだろうと思っていたからな。」
「何のために、
「人前で使えるか。お前らからの情報をまとめんのは、俺とカイナ、ウラノスにフェルズだけなんだぞ。」
「仕方ないじゃん。あの豚になんて言えないし。」
「そう言ってやんな。ロイマンはロイマンでこの町のことを考えてんだ。なんだかんだ言って、この町を大切にしてんだよ。あいつはあいつなりにな。」
「・・・・・・・・・」
ハデス・ファミリアはフレイヤとロキと同等に、ロイマンのことを嫌っていた。なぜなら、ゼウスとヘラを追い出した、両ファミリアに協力した形でギルドは、民間人を避難させていたからだ。そのことを知ってハデスやメンバーは、抗争の許可をロイマンが許可したと理解したからだ。
「それにしても、また面倒なもんが出てきたな。
「さぁ?どうだろうね。」
「とぼけんな。どうせ
「分かってるよ。ガークさん。」
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~夕方~
「ふぁ~~~あ。もう暗いしどうしよかな?ミアのご飯食べていこうかな?でも、シルと会いたくないし・・・・・」
ダッダッダッダッダッ!
「!!!」
その瞬間、クライは目を見開いた。その通り過ぎる彼の姿を見て。その姿はまるで雪のように白い髪に、兎のような赤い目。泣くのを堪えて走り抜ける脚の速さ。嘗ての姉の一人とうり二つの顔。その姿を見て確信した、彼であると。しかし、声をかける間もなく、彼はバベルの方へと向かって行った。こんな遅い時間に一体どうしたのかと思い、クライはこっそりと後をつけた。
~ダンジョン 6階層~
「うあぁぁぁぁぁあああ!やるんだ!僕はやるんだ!強くなるんだ!」
その様子を見て、クライは唖然とした。彼はまだオラリオに来てひと月も経っていない。それなのにもう6階層にいる。しかも、初心者殺しと言われている上層のモンスター、「ウォーシャドウ」6体相手にひるまずに、倒している。
早すぎる。いくらなんでも早すぎる。
自分達、ハデス・ファミリアも、この15年であっという間に都市最強派閥になり、Lv.8である自分に加え、多くのLV.7や6がいるが、いくら何でもこの期間で6階層に来るのは早すと感じていた。そして、クライは彼の姿をある人物と重ねていた。二十にも満たない少女が、圧倒的な速さと強さで都市最強の派閥を支える人柱の一人であったことを、クライは思い出していた。
(ああ。やっぱり君はあの人の、姉さんの甥だよ。ベル・クラネル)
そして、クライは戦いに疲れ、倒れて寝てしまったベルを担いでダンジョンから地上に帰った。
「・・・う、あれ?僕は・・・一体・・・・・?」
「気が付いたかい?」
「え?」
ベルは、気が付くとクライの背中に背負われていることに気が付いた。
「あ、あれ!?僕確か、ダンジョンにいたんじゃ!?」
「ああ、あのままダンジョンの中で気絶されてたら、モンスターに殺されてたからね。それに君の戦い方、見ていたけれどあまりに無謀だよ。あれじゃあ、死にに行くようなもんだ。」
「っ!・・・・・・・。」
「ひとつ聴こう、君はどうしてオラリオに来たんだい?」
「・・・・・おかしいと思うかもしれませんが。僕は・・・『英雄になりたい。』」
「!!!!!」
「僕は英雄になって、困っている人ならどんな人でも、手の届く人を差し伸べて救う。物語のような英雄になりたい!」
『僕は姉さんたちを超えるような、どんな悪に立ち向かって、どんなモンスターにも勝てるよな最強の英雄になって、人類の可能性は無限大だと神々に教えてやる。そんな物語のような英雄になりたい!』
その時、クライは嘗ての夢を、希望を、願いを、約束を思い出した。彼女達との約束を。
(ああ、そうだ。なんで忘れていたんだろう。姉さんにあんな啖呵を切っておいて。)
「そうだな。」
「え?」
「僕もなりたいよ。英雄に。」
「ッツ!・・・・・強く・・・・・なりたいです。僕は、強く・・・・・なれますか?」
「なれるさ。お前ならなれる。ベル。」
その言葉を聞き、ベルは安心して眠りについた。
クライは事前に、ベルのことを調べていた。どこの
場所を知ったときは驚いた、まさかクライにとっても姉さん達にとっても大切な思い出の教会だったからだ。そこは、もう使い古されていて、屋根がほとんど壊れているが、まだ人が住むには使える場所であった。本来は自分達が買い占めた場所のはずなのに。ロイマンの奴が勝手にヘファイストスに売ったようだ。その経由でベルの神に行き渡ったようだ。
クライが教会に着くとそこには、ベルの主神らしき神はいた。
「う~ん。ベル君遅いな~。一体どこにいるんだろう。うん?・・・・・ベル君!?」
クライを見て、一瞬誰だか分かんなかったが、ベルを見て驚いて近づいてきた。
「べ、ベル君!どうしたんだい、その怪我は!?早く治療して・・・・・」
「・・・神様・・・・・。僕、強くなりたいです・・・・・・・。」ボソッ
「!」
ベルは神の声に、寝言のように自分の願いを告げた。そしてまた、眠りについてしまった。
「安心して。ハイポーションを何本かかけたから傷はもう治っておるし、見た目ほどひどくはないよ。」
「君は一体・・・・・。」
「う~~~ん。とりあえず、ストレンジと呼んでくれ。」
「・・・それ偽名だろ?」
「うん、まぁとりあえずはこんな名前で呼んでくれ。」
「・・・・・はぁ、分かったよ。それより、何があったんだい?」
「ダンジョンでモンスターに立ち向かっていたよ。それで、疲れ切れて倒れたところを僕が運んできたんだ。」
「ええ!?なんだってこんな時間に!?」
「叫んでいたよ。『強くなりたい』って。」
「!」
その言葉に彼女は、嘘がないことを見抜き、ベルを見た。
「・・・・・頑張ったね。」
「ああ、ベルは頑張った。」
「君は、ベル君とは・・・・・」
「ただ僕が一歩的に知っているだけですよ。神様」
「・・・そうかい。僕の名前はヘスティア。炉と竈を司る女神だよ。」
「!・・・・・そうか、貴方が。僕は、ハデス・ファミリアの眷属ですよ。」
「ハデス!?そうかい!君はハデスの所の子供だったのか。」
自分がハデスの眷属であることに彼女は警戒心を解き、嬉しそうに話した。
「ハーディのことは、天界で?」
「へ~、ハデスそんなあだ名をつけられたのか。そうだよ。天界では苦労話をする中でね、お互い面倒な連中(神々)の相手をしていたんだ。僕にとっては大切な友人の一人さ!」
ハデスにそんな過去があったとは知らなかったが、どうやらお互い仲の良いようで、クライは安心した。
「ヘスティア様。この教会大切にしてくださいね。」
「うん?ここは君にとって大切な場所なのかい?ヘファイストスからもらった場所だけど、なんとも言われなかったからさ。」
「ええ。僕にとって、大切な思い出の場所なんです。」
「・・・そうかい。大切に使わせてもらうよ。君の思い出の場所。それと、君から見てベル君はどうだい?」
「強くなりますよ、ベルは。」
「そうかい。」
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そう言って、ヘスティアと別れホームに帰ったクライは、ハデスと出くわした。
「おかえりなさい、クライ。遅かったわね。・・・あら?・・・・・フフフ、何かいいことでもあった?」
「うん?どうした突然?」
「いいえ、貴方の顔が昔の貴方に戻ったみたいだから。」
「・・・そうだね。・・・・・いい出会いがあったよ。・・・彼らの忘れ形見に。」
「!・・・そう。・・・ねぇクライ、また高みに行くの?」
「何言ってるのハーディ。僕はまだ、高みに行く途中さ。」
「フフフ、そうね。」
今回はこんな感じで、結構オリジナル要素を詰め込みました。気に入った人気に入らなかった人。どうか感想お待ちしています。
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