個性『マイクラ』   作:巨匠

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MOD要素は基本的にありません。
バニラのみです。


第1話 死を超えて

 転生、それは死を迎えた生物の新たな命に生まれ変わるという概念。

 そして俺はソレを経験した存在、つまりは転生者だ。

 前世はゲームと漫画が好きなオタクであったが、ある日トラックに追突されて死んでしまった。

 

 それはいいとして(よくない)転生後の世界は前世の人気漫画『僕のヒーローアカデミア』に酷似している。

 世界の総人口の約8割が『個性』という何らかの異能を持って生まれ、治安維持を生業とする『ヒーロー』と凶悪な犯罪者『ヴィラン』がいる世界だ。

 

 もちろん俺にも個性が備わっている。

 その個性は前世で非常に見覚えがあった。

 

「マイクラかぁ……」

 

 俺の個性は『マイクラ』、Minecraftっぽいことなら何でも出来る個性だ。

 素手で原木を破壊することも出来るし、様々なアイテムをクラフトすることも可能だ。

 ちなみに名前は舞倉スティーブで、見た目もゲームと同様にカクカクしている。

 

 ぶっちゃけ最強個性……というわけではない。

 マイクラの世界では自由に木や石を採取できるが、法治国家である日本では違う。

 勝手に木を切れば器物損壊罪だし石を回収すれば窃盗罪である。

 つまりクラフトをする為の素材がないのだ。

 

 一応、お小遣いで色々な素材を購入しているがショボいアイテムしか作れない。

 正直、個性を持て余しているよね。

 だから俺は考えに考えて1つの結論に至った。

 

 それは雄英高校サポート科への入学だ。

 サポート科はプロヒーローに提供するアイテムやコスチュームの開発を行う。

 要するに鉄などの資材が豊富なはずだ。

 

 他の理由としては、原作知識が正しければ日本の治安はAFOによって破壊されるはずだ。

 ならば初めから安全な雄英に引き篭もった方が良い。

 

 当たり前だがヒーロー科に行く選択肢はない。

 鉄の斧と鉄装備を入手すれば仮想ヴィランくらいなら余裕で倒せるだろうが、そんな重装備を持ち込めるわけがない。

 そして俺は丸腰だと雑魚だ。

 素材を現地調達しようにも会場となる市街地に木は生えてないので作業台を作ることは不可能。

 まあ合格は無理だよね。

 本当はヒーロー科に進学したいけど仕方ない。

 

 話を戻すとして、俺はサポート科に入学する為に勉強を頑張ることにした。

 なにせ雄英の偏差値は79という意味が分からんくらいの超エリート校である。

 前世の貯金があるからと油断はできないだろう。

 

 さあ、頑張るぞ!

 

 こうして朝はクラフト、昼間は学校で勉強、夕方は素材入手、夜は就寝というサイクルをただ毎日繰り返す。

 定期的に学校で行われる模試ではいつものように高得点を取り、学力が落ちていない事を確認する。

 もちろん雄英高校サポート科の成績評価は常にA判定だった。

 これには教師もニッコリ。

 

 それはともかくとして、そんな味気ない日々は変わる。

 

「ここが多古場海浜公園か」

 

 俺は粗大ゴミが大量にある近所の海岸に来ている。

 ここは緑谷がオールマイトの監督で粗大ごみを掃除する場所だ。

 そして今は中学3年の春かつヘドロ事件の後なので確実に彼らがいるはず。

 

「ヘイヘイヘイヘイ、なんて座り心地の良い冷蔵庫だよ!」

 

 ビンゴだ!

 緑谷が冷蔵庫とソレに乗るオールマイトを引っ張っている。

 地味に彼ってばパワーあるな。

 

「オールマイト?」

 

「おや? こんな場所に来客なんてね! HAHAHA!」

 

「あの……その……僕はオールマイトとは関係ないというか」

 

 緑谷は必死にオールマイトと無関係を装う。

 まあモロバレなんだけどね。

 

「見た所、公園の粗大ゴミを掃除している様子。なら運んだゴミの一部を俺が再利用していいですか?」

 

 俺は彼らに提案を行う。

 マイクラは鉄製のアイテムを精錬すると鉄塊が出来る。

 つまり冷蔵庫などの鉄製のアイテム(粗大ゴミ)を精錬すれば鉄塊が大量に入手し放題。

 そして鉄塊は鉄インゴットにクラフトすることで様々なアイテムに加工できる。

 入学前から大量の素材をゲットだ。

 更には精錬したことで経験値も溜まった。

 

「HAHAHA! それなら大歓迎さ! 遠慮なく持っていってくれ!」

 

 というわけで俺は緑谷が運んだ粗大ゴミから大量に鉄インゴットを生成することに成功する。

 これはデカいぞ。

 そして緑谷と合流したことによる収穫はそれだけじゃない。

 

「動きが甘い!」

 

「ぶべっ!」

 

 今は緑谷とスパーリングをしている。

 精錬している間は暇だからオールマイトに頼み込んで実戦形式で試合を行っている。

 まあ緑谷も強くなるだろうしwinwinだろう。

 

 ぶっちゃけサポート科に入学するだけなら戦闘訓練は必要ないのだが、その先を見据えると多少は戦闘できた方が良いはずだ。

 なぜなら俺の個性は『マイクラ』だからな。

 

 そしてXデー、雄英入学当日となった。

 ちなみに混雑を避けるためにサポート科はヒーロー科の前日に受験を行う。

 それでも若干渋滞気味になっていたけど。

 やはり雄英は規格外の学校である。

 これほどの人数を捌かないといけない雄英の教師陣はさぞ大変だろう。

 

 流石に、この日ばかりは緊張で手が震えたね。

 とはいえ苦戦することも無かった。

 前世からの貯金もあるが、今世の頭脳が優秀だったのも大きい。

 もちろん結果は合格である。

 さあ、ここからが本番だ。

 


 

 季節は春、今日から俺は雄英高校に向かう。

 雄英高校サポート科に合格した人は、俺しかいないので友達は作り直しだ。

 まあヒーロー科には緑谷という友達がいるんだけどね。

 

 そして両親に見送られながら通学路を歩き、電車で30分ほど揺られてから目的地へと到着する。

 郵送された書類によると自分のクラスはH組らしい。

 なので指定の教室へと向かい、席に着く。

 周りのクラスメイトは緊張しているらしく誰も言葉を発することは……

 

「初めまして、隣の人! 私は発目明と言います! あなたと席が隣になったのも何かの縁。クラスメイトとして、これからよろしくお願いしますね!」

 

 ……あったようだ。

 どうやら俺は発目と同じクラスになったらしい。

 彼女は顔と顔がくっ付きそうな距離で挨拶をしてくる。

 なんというか凄いな。

 

「俺の名前は舞倉スティーブだ。今後ともよろしく」

 

「そうですか! 良い名前ですね! それはそうと、この入学式が終わったらちょっと付いて来てくれませんか? あなたに手伝ってもらいたい事があるんです!」

 

「別にいいけど」

 

「ありがとうございます!」

 

 絶対、碌でもないトラブルに巻き込まれる気がするが、ここで断ったらクラスメイトからの評判が落ちそうなので仕方なく頷いた。

 おそらく彼女はそれを織り込み済みで頼んだのかもな。

 そんなやり取りもありつつ教室に担任の先生が入ってくる。

 

 俺達の担任はパワーローダーというプロヒーローだ。

 曰くコスチューム開発のライセンスを持ち、アイテム開発も自分でこなすらしい。

 まさにサポート科にとって必要不可欠な先生だ。

 

 そして俺達は入学式に出席するべく講堂へと向かった。

 もちろん、そこにA組はいない。

 緑谷は大丈夫かなぁ?

 下手に干渉したせいでバタフライエフェクトが発生したら最悪だな。

 まあ流石にないか。

 なんだかんだで相澤先生は優しいし。

 

 こうして長きに渡る入学式がようやく終わって担任からのガイダンスも済んで放課後となった。

 俺と発目は学校の工房にいた。

 なんでも使用許可は彼女が既に取っているらしく、完全下校時刻までは好きに使っても良いとの事だ。

 本当に凄い行動力だな。

 

「それで何をするんだ?」

 

「良くぞ聞いてくれました! 今回あなたをここへ呼んだのは私のベイビー開発を手伝って欲しいからです! 私1人でもベイビー開発は出来ますが、それを手伝ってくれる人がいれば、その分開発も捗って助かりますからね。あなたを選んだのはたまたま席が隣だったからで、特に深い理由はありません! なのであなたの事、たっぷり利用させてください!」

 

 だろうと思ったよ。

 とはいえ発目の助手になったら成長できそうだし利が無い訳でもない。

 なにせ彼女は天才にして天災だからな。

 

「いいぜ! どんとこい!」

 

「では、そうと決まれば早速ベイビー開発に取り掛かりましょう!」

 

 こうしてパワーローダー先生の監督下でアイテム開発が始まった。

 ちなみに先生は初日から開発を行う、やる気のある2人の生徒を見て満面の笑みだ。

 まあ、その笑みも直ぐ消えるんですけどね。

 

「「ぬわあああッ!」」

 

 案の定、開発中にアイテムが爆発した。

 もちろん俺達は派手に吹き飛ばされる。

 これにはパワーローダー先生も苦笑い。

 まあ、その笑みも直ぐ消えるんですけどね(2回目)。

 

 2日目、また爆発した。

 3日目、また爆発したが何とかアイテムを開発する。

 それと昼休みにマスコミが校内に侵入した。

 

「いい加減にしろよ、2人とも」

 

 なぜか俺まで怒られたんだが。

 どう考えても責任は発目にあると思う。

 ……流石に無理があるか。

 

「確かに爆発が続くようでは命が幾つあっても足りませんね!」

 

「俺に良い考えがある。爆発が起きても大丈夫にするんだ」

 

「なるほど、発想の転換ですね!」

 

「まず爆発を起こすなよ!」

 

 まず爆発で壊れたら困る存在は2つ。

 人間と部屋だ。

 

 部屋については爆発耐性のあるブロックで作ればいい。

 マイクラにおいて爆破耐性が高いブロックは岩盤と黒曜石だ。

 もちろん俺はサバイバルモードなので岩盤は確保できない。

 そして『この世界の』黒曜石はガラスのように脆い。

 ぶっちゃけ、どうしようもないから環境が整うまで諦めるとしよう。

 それに壊れたら直せばいい。

 

 次に人間だが、これは簡単だ。

 爆破耐性のエンチャント防具をクラフトして着用すればいい。

 それには『ラピスラズリ』『経験値』『エンチャントテーブル』の3つが必要だ。

 

 ラピスラズリはアマ〇ンによると100グラム750円で買える。

 経験値は鉄塊の精錬で死ぬほど溜まっている。

 問題はエンチャントテーブルだな。

 

 エンチャントテーブルのクラフトには黒曜石と本とダイヤモンドが必要。

 前者2つはともかくダイヤについては高価なので雄英の予算で入手したいところだ。

 

「パワーローダー先生! ダイヤモンドを開発に使用したいです!」

 

「人工ダイヤモンドなら少しくらい融通できるぞ」

 

「ありがとうございます!」

 

 人工ダイヤモンドは切削道具や半導体として使われているからな。

 とはいえ個人が手を出すにはそれなりに躊躇する。

 だからこそ簡単に入手できる雄英は最高だ。

 

「具体的な使用法についての書類を提出しな」

 

 そう言って先生は書類を印刷し俺に渡した。

 横領とかがあるかもしれないし開発資源については厳格に管理されているな。

 もちろん、する気はないけどね。

 というわけで今日の所は書類を提出して帰ることにした。

 

 そして数日後、遂に素材一式が届いた。

 なので作業台でエンチャントテーブルをクラフトする。

 そして本棚(ついでにクラフトした)で囲んだテーブルで鉄装備に爆破耐性のエンチャントを付与した。

 本当はダイヤモンドやネザライトにエンチャントしたかったけど、ダイヤは高すぎるしネザライトはヒロアカ世界に存在しないから仕方ないね。

 

「これで心置きなく爆発できますね!」

 

「ふざけんな!」

 

 発目の発言にパワーローダー先生が憤慨する。

 ちなみに彼女は非力なので鉄防具よりも軽い皮防具を選択した。

 俺はスティーブなので防具で機動性は変わらないが、他者に装備させると重さが出てくるんだな。

 実に興味深いな。

 

「……ん? 舞倉、発目。ここで待機していろ」

 

 端末を見たパワーローダー先生は真面目な口調で俺達に語り掛ける。

 ……これはUSJ襲撃が起きたな。

 そして先生は開発室から出ていった。

 

 確か緑谷はこの事件で怪我を負うんだよな。

 友達として回復アイテムでも差し入れでもするべきかな?

 でも金リンゴはコストが高すぎるし、ポーションはまだ作れないしなぁ……。

 

 この後、ヴィランが襲撃したことにより雄英は臨時休校になった。

 当たり前だが、時間は有限なので休校期間でもクラフトは止めない。

 

「おらおらおらおらおらァッ!!」

 

 俺は庭の地面に向けてひたすら卵(近くのスーパーで購入した)を投げつける。

 

「コケェ!」

 

 すると割れた卵からニワトリが生まれる。

 もちろん普通のニワトリではなく、マイクラ世界の角ばったニワトリだ。

 卵を投げたらニワトリが生まれるのは常識だからな。

 それが無精卵か有精卵かは関係ない。

 

 そして俺は生まれたニワトリ達をホッパーの上に載せて周りをガラスブロックで囲む。

 マイクラのニワトリは餌をやる必要が無く普通のニワトリ以上のスピードで卵を産んでくれる。

 その卵を使いニワトリを生み出して屠殺すれば鶏肉と経験値が手に入るわけだ。

 粗大ゴミの精錬は終わってしまったので新たに経験値の入手先が欲しかったんだよね。

 

 ここから加速していくぞ!

 さらに向こうへ!

 さらなる深みへ!




 粗大ゴミの再利用って何かしらの法律に抵触しそう。
 まあヒロアカ世界と今の日本ではルールが違うってことで。

※小ネタ
 主人公は自らの個性を『マイクラ』だと認識しているが、公的な書類では別の個性名で報告している。
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