個性『マイクラ』   作:巨匠

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第2話 さらなる深みへ

「えー、色々とあったわけだが2週間後に雄英体育祭が始まる」

 

 休校が明けた日のHRの時間、パワーローダー先生が開口一番に宣言する。

 雄英体育祭、今や日本のビッグイベントの1つであり全国のトップヒーローもスカウト目的で見物するそうだ。

 ここで活躍して注目を浴びればプロヒーローから多数の使命が入りトップヒーローへの道が大幅に広がる。

 そのため、毎年この体育祭に並々ならぬ思いを掛ける生徒は多い。

 

 当然、体育祭は全ての科が出場するのだが基本的にはヒーロー科の独壇場だ。

 だが他の科も活躍すればヒーロー科への編入もあるかもしれない。

 もちろん俺もソレを狙っている。

 理想はパワーローダー先生みたいに戦闘も開発もできる万能ヒーローだ。

 

「もちろんサポート科にも勝ち目がある。ヒーロー科は普段から実戦訓練を受けている。だからこそ公平を期す為に自分の開発したアイテムとコスチュームに限り装備するのがオッケーだ」

 

 そう、丸腰ではクソ雑魚な俺でも装備ありなら勝ち目がある。

 何とかして良い結果を残したいな。

 一方で隣の席の発目は退屈そうに先生の話を聞いている。

 

「なにより……己の発想と技術を企業にアピールできる場だ!」

 

「おお!」

 

 発目はソレを聞くと声をあげる。

 どうやら本気になったようだ。

 

「……発目、今日から俺達はライバル同士だ。だから共同開発は中断だな」

 

「のぞむところです!」

 

 もちろん俺も優勝するために準備をしたい。

 なので発目の助手は辞めることにする。

 

 そして時間は過ぎていき放課後になった。

 俺は1‐Aの教室にいる。

 そこでは大量の生徒達でごった返していた。

 おそらく敵情視察なのだろう。

 

「久しぶりだな、緑谷!」

 

「舞倉くん!」

 

「ヴィランに襲撃されたんだってな。大変だったな!」

 

「ああ、うん。だけど全員無事だったよ」

 

「そりゃ良かった。ところで八百万っていう子を呼んでくれないか?」

 

「別にいいけど」

 

 俺は緑谷の仲介もあり八百万と面会することに成功する。

 彼女の個性『創造』は俺の個性とシナジーがあるからな。

 なんとしてでも会いたかった。

 

「八百万さん、あなたに頼みがある!」

 

「なんですの?」

 

「大量の黒曜石を創造してくれないか!」

 

 とある目的の為に俺は大量の黒曜石が必要だ。

 サポート科からの入手は私的利用になるし、そもそも量が量なので却下されてしまった。

 なので大量にソレを確保する為には彼女を頼るしかないのだ。

 

「別にいいですけど。私の個性は大量のカロリーが必要ですわ。大きなものは簡単には……」

 

「それは問題ない。640個の焼き鳥を用意してきた。これを食べてくれ」

 

 休校期間に大量の食糧を確保してある。

 なのでカロリー問題は何も問題ない。

 

「分かりましたわ。協力いたしましょう!」

 

 こうして俺は黒曜石ブロックを10個ほど手に入れた。

 

「それは何に使うの?」

 

「強くなる為さ」

 

 そう言い残して俺は教室を去る。

 ちなみに余った焼き鳥は近くで涎を垂らしていた麗日にお裾分けしておいた。

 彼女は貧乏だから苦労しているのだろうな。

 

「さあ、これが上手くいくかは賭けだな」

 

 庭に黒曜石を縦3の横2ブロックのゲート状に並べながら独り言を漏らす。

 この世界の黒曜石はマイクラの黒曜石とは性質が違うし上手くいかない可能性もある。

 だけど、やってみる価値はあるはずだ。

 

「さあ、開け!」

 

 ゲートに火打ち石で着火することでソレから紫色のポータルが出現する。

 つまりネザーゲートが開通したということだ。

 ……これって色々とヤバくね?

 まあ、それについて考えるのは後にしよう。

 

「……行くか」

 

 ネザーは危険な世界なので死んでしまう可能性もある。

 しかし、この世界でしか入手できない戦利品は大きい。

 なので俺はエンチャントした鉄装備と大量の食糧とブロックを持ってゲートへと入った。

 

「ここがネザーか」

 

 かなり熱い、呼吸するだけで肺が焦げてしまいそうだ。

 早速、俺はゲートの周りを丸石で囲んだ。

 これでガストにゲートを壊されて現世に帰還できなくなる心配は無くなった。

 

「バイオームは歪んだ森と」

 

 なにせ歪んだ森にはエンダーマンしかスポーンしない。

 そして彼らは目を合わすか攻撃しない限りは敵対的にならない。

 つまり神立地だ。

 

「……早速、作業を開始するか」

 

 なので俺はネザーの大地でブランチマイニングを行い金鉱石を手に入れるのが最優先だ。

 そして金の防具を装備して大人のピグリンを中立化させることで、ネザー内を安全に探索できるようにする。

 

「絶対に体育祭で勝つぞ!」

 

 俺は原作知識によって体育祭の種目を知っている。

 第1種目は障害物競争、第2種目は騎馬戦、第3種目はトーナメントだ。

 そしてアレがあれば勝てる可能性はグッと高くなる。

 

 その為にはネザー要塞を攻略する必要がある。

 あそこには必要な物資が大量に眠っているからな。

 

「……さてと、こんだけあれば金のブーツくらいはクラフトできるな」

 

 こうして俺は金のブーツを装備してネザーを8日に渡って探索する。

 しかし運が悪いことにネザー要塞は見つからなかった。

 これでは攻略以前の問題である。

 そもそもマグマの海に落ちないように安全に移動しているから移動速度も速くないんだよね。

 なにせ死んだら終わりだからな。

 俺はリアルでハードコアモードをやっている。

 まあ死んだことないからベッドで復活する可能性もあるんだけど、それを試すのはリスキーだ。

 

 こんな時にエリトラがあれば便利なんだけどなぁ。

 だけどヒロアカ世界にはエンドポータルなんて存在しないので、エリトラが存在するジ・エンドには行けない。

 こればっかりは仕方ないな。

 

「……作戦変更だな」

 

 なんやかんやで雄英体育祭まで残り6日なので、ネザー要塞を攻略する時間はないだろう。

 もちろんアレをクラフトすることも夢のまた夢。

 こうなったら作戦を変更して今の時点で入手できるアイテムで戦うしかない。

 

 というわけで俺はボートをクラフトした。

 そして歪んだ森に生息するエンダーマンをボートに乗せてからタコ殴りにする。

 こうして俺は大量のエンダーパールを手に入れた。

 正直、これだけで勝ち抜けるか怪しいが頑張るとしよう。

 

「雄英体育祭!! ヒーローの卵たちが我こそはとシノギを削る年に一度の大バトル!!  どうせお前らあれだろ、こいつらだろ!? ヴィランの襲撃を受けたにも拘わらず、鋼の精神で乗り越えた奇跡の新星!! ヒーロー科1年A組だろぉ!?」

 

 プレゼントマイクの声が会場全体に響き、観客達はそれに応えて大きな歓声を上げる。

 ……確かにヴィランの襲撃を退けたのは凄いし注目が集まるのは当然だけど、雄英側がそんな事を言っても大丈夫なのか?

 幸いにして死者は出なかったらしいが、それでも襲撃を許す失態を犯しておいて、その事を棚上げして美談であるかのように語るのはコンプラ的にどうよ。

 

「B組に続いて普通科C・D・E組……! サポート科F・G・H組もきたぞー! そして経営科……」

 

 A組の大々的な紹介と比べると雑過ぎるにも程があるクラス紹介に、A組以外の生徒達が眉を顰める。

 特にB組と普通科の生徒にその傾向が強い。

 自分達だって選手としてここにいるのに、観客の注目を全部A組に奪われて見向きもされていないことに不満を持っているのだろう。

 心なしか空気も殺伐としていた。

 

 それに比べてサポート科と経営科は平和だ。

 まあ最初から体育祭に対する熱意が無いからね。

 

「選手宣誓!」

 

 壇上に18禁ヒーロー、ミッドナイトが現れた。

 今年の主審は彼女が務める事になっている。

 そして爆豪が選手宣誓で全選手を挑発するなどもありつつ第1種目が始まる。

 

 第1種目は障害物競争、全クラス総当たりで行うレースで、4kmのコースを回って順位を競い合う。そして、コースの外に出さえしなければ何をしても構わないというルールだ。

 

「さあさあ位置につきまくりなさい……」

 

 俺は右手にあるアイテムを握り締める。

 これさえあれば障害物競争は無双できるはずだ。

 

「スタート!!」

 

 入口のゲートは非常に狭いので生徒達でごった返している。

 だが彼らの頭上は例外だ。

 というわけでエンダーパールを投げてワープする。

 

『さぁ、いきなり障害物だ! まずは手始め……第1関門、ロボ・インフェルノ!』

 

 もちろんワープできる俺には関係ない。

 奴らの頭上にパールを投げて突破する。

 

『おっとぉ! 1-Hの舞倉! 謎のワープで攻略したぁ! あれはアイテムなのか、それとも個性なのかぁ!?』

 

 こうして俺は第2関門ザ・フォールと最終関門怒りのアフガンもエンダーパールで無視した。

 一方の爆豪と轟は障害物によって速度が落ちている。

 つまり俺がゴールへと1番乗りを決めれるのは当然だろう。

 

 ネザーを開通したおかげでやれることが広がったな。

 全ては八百万のおかげである。

 

『まさかの大番狂わせ! ヒーロー科ではなくサポート科が1位という非常事態! 今1番にスタジアムへ帰還した男の名は……舞倉スティーブだぁ!』

 

 会場から大歓声が上がる。

 全ての種目で1位を取れば確実にヒーロー科に編入できるだろう。

 なので俺は常に勝ち続ける。

 まあ次の種目でトップに成れるか分からないけどね。

 

 そうこうしている内に続々とゴールする者が集い始め、予選通過者が揃ったところで次の競技の説明が始まった。

 

「予選通過者は上位42名! 残念ながら落ちちゃった人も安心しなさい! まだ見せ場は用意されているわ! そしていよいよ本選よ! ここからは取材陣も白熱してくるよ! 気張りなさい!!」

 

「僕だけヒーロー科で唯一通過出来てない……☆」

 

「どんまいね、青山ちゃん」

 

「さーて第2種目よ! それはコレよ!」

 

 モニターによると次の協議は騎馬戦とのこと。

 参加者は2人以上4人以下で自由にチームを組んで騎馬を作り、通常の騎馬戦と同様に鉢巻を取り合う。

 だが通常の騎馬戦との相違点として、先程の予選の結果に基づいて各自にポイントが振り当てられる。

 そして騎馬戦でそのポイントが記載された鉢巻を取り合う仕組みだ。

 

 当たり前だがエンダーパールは1人用なので全く活かせない。

 これは難しい戦いになりそうだ。

 

「与えられるポイントは下から5ずつ! 42位が5ポイント、41位が10ポイント……といった具合よ。そして1位に与えられるポイントは……

 1000万!

 

 昭和のテレビ番組かな?

 まあ裏を返せば自らの鉢巻さえ守り切れば確定で決勝に行けるわけだ。

 簡単な話だな。

 

 そして第2種目の説明が終わり、チーム決めの時間に入った。

 15分以内にチームを組んで作戦まで練っておかなければならないわけだが、1000万という馬鹿みたいなポイントを持つ未知数の存在と組もうとする物好きは少ない。

 

「スティーブ、これも同じクラスの縁です! 組みましょう!」

 

「本心は?」

 

「注目度を利用させて下さい!」

 

「いいぜ!」

 

 これで何とか騎馬を組むことが出来た。

 予選の1位通過者がチームを組めずに失格とかシャレにならないからな。

 完全な放送事故だ。

 とても地上波で流して良いものではない。

 

「しかしどうします? 出来る事ならもう少し人手が欲しかったんですが、殆どの人がチームを組み終えていますし」

 

「俺に心当たりがある」

 

 そう言って俺は彼に近づいた。

 

「ヤッホ―、緑谷!」

 

「舞倉くん!」

 

 緑谷は個性の制御が上手くいってないのでA組からハブにされている。

 そこで俺が彼をスカウトするわけだ。

 

「俺と組まないか?」

 

「いいの!?」

 

「というか、お前以外に組んでくれそうな人がいない」

 

「僕も組んでくれる人がいないから嬉しいよ!」

 

 こうして緑谷が仲間に加わった。

 後は、もう1人くらい欲しいな。

 すると1人の少女が俺達に近づいてきた。

 

「デクくん! 組もう!」

 

「麗日さん!」

 

「いいのか? たぶん1000万ポイントだから死ぬほど狙われるぞ」

 

「ガン逃げしたら勝つじゃん。それに仲良い人とやった方が良い!」

 

 それを聞いた緑谷は不細工な顔になる。

 曰く、直視できないくらい麗らかとのことだ。

 

「じゃあ発目、装備を用意してくれ」

 

「いいですとも!」

 

 そう言って発目は大量のサポートアイテムを取り出した。

 彼女は俺なんかとは比較にならないほどアイテムを開発しまくっている。

 流石は天才、頼りになるぜ。

 これで準備は万端……後は勝つのみよ。




※ネザーについて
 新たな金鉱脈、永久に燃え続けるブロック、未知の素材に生物、移動の効率化。
 明らかに世界のバランスを崩す存在ですね。
 これは公安案件不可避。

※サブタイについて
 マイクラの進捗が元ネタですね。
 今回のサブタイはネザーに入った時のやつ。
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