自由の旗の下に Under the banner of freedom   作:シューペア改革中

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日記

宇宙暦675年5月14日

 

今日、同盟議会にて正式な許可証を受け取った。

 

ウルヴァシー星系——辺境と呼ばれるその地が、我ら亡命者の新天地となる。

 

会議の後、同胞の中には「追放地」と揶揄する者もいたが、私は違うと思っている。

 

辺境は、誰の監視も届かぬ場所だ。自由を築くにはこれ以上ない。

 

 

宇宙暦686年11月2日

 

第一段階の港湾工事が進んでいる。

 

同盟から派遣された技師と、我らが連れてきた帝国の石工職人が並んで作業している姿は、奇妙だが悪くない。

 

我ら亡命者は、過去を棄てたわけではない。

 

しかし、それを新しい土壌に植え直す覚悟はある。

 

 

宇宙暦698年4月27日

 

ノイ・エルデ(新しい大地)と名付けた農地で、初の収穫があった。

 

土質は豊かで、帝国の故郷に似た小麦がよく育つ。

 

食料自給の目処が立てば、人口は必ず増える。

 

亡命者だけでなく、同盟市民の入植も始まった。文化が混ざり合う予感がする。

 

 

宇宙暦710年12月9日

 

人口が100万を突破した。

 

市場には帝国式の香辛料と、同盟の合成酒が並び、人々は互いの味を試している。

 

自治議会は、同盟法に基づきながらも帝国式の儀礼を残す特別制度を制定。

 

これにより、亡命貴族たちは面子を保ち、市民との摩擦も減った。

 

政治は妥協で成り立つのだと痛感する。

 

 

宇宙暦703年8月16日

 

星系間交易港が完成。鉱石・農産物の輸出が本格化した。

 

交易路に帝国国境近くの小規模ステーションを加えたことで、軍事的価値も上がっている。

 

同盟軍が補給港の使用を求めてきた。反発する者もいたが、私は承認に賛成した。

 

軍がいることは、抑止力になる。

 

 

宇宙暦717年5月5日

 

ここ数年で港町は膨張し、帝国式の尖塔と同盟風のアーチ橋が同じ通りに並ぶようになった。

 

若者たちは帝国訛りと同盟語を混ぜて話し、音楽も料理も混成だ。

 

これが文化の融合というものだろう。

 

亡命した当初、我らは「帝国人」であることにしがみついていたが、今では「ウルヴァシー人」と名乗る者も出てきた。

 

 

宇宙暦730年10月30日

 

帝国との国境情勢が緊迫している。

 

同盟軍が駐屯艦隊を増強し、防衛網を拡張した。

 

街の一角に軍人向けの区画ができ、酒場は兵士で賑わう。

 

経済は潤うが、戦の気配も漂う。

 

我らは前線に立つ覚悟を迫られている。

 

 

宇宙暦736年6月12日

 

孫のフリードリヒが同盟士官学校に入学した。

 

彼はウルヴァシーで生まれ、帝国を知らない。

 

それでも血の中に何かが流れているのか、軍人を志した。

 

私はこの地が、彼の代まで生き残ることを願う。

 

 

宇宙暦765年1月1日

 

新年を迎えた。

 

街は光で飾られ、港には異国の商船が並び、兵士たちは正装でパレードした。

 

60年前、荒野に降り立ったとき、こんな景色は想像できなかった。

 

ウルヴァシーは、亡命者の避難所から、同盟の要衝、そして一つの文化圏へと変貌したのだ。

 

これが我らの築いた「新しい故郷」だ。

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