世界を変えるまで...そして変えてから... 作:ペンギンって可愛いですよね
◆シーン:「公安の静かなざわめき」
場所:警視庁・公安局 第零課 非公開フロア
風見がモニターを見つめていた。その手にある資料には、英字ニュースの見出しが躍る。
“Two Japanese Children Accepted into Harvard as Special Researchers”
“Names: Conan Edogawa, Ai Haibara”
風見:「……この名前……まさか、江戸川コナンと、灰原哀……?」
その声に応えるように、部屋のドアが音もなく開いた。
⸻
降谷零(安室透):「間違いない。あの二人だ」
風見:「でも……彼らはまだ小学生のはず……」
降谷:「表向きは、ね」
(スマホで映像ニュースをスッと操作しながら)
「灰原哀……宮野志保。そして、江戸川コナン……工藤新一」
風見:「つまり……例の薬の影響を受けた二人が、“堂々と”世界に出たと……」
降谷:「ハーバードは彼らの“頭脳”だけを見た。だがそれ以上に、この動き――誰かが背後で動いてる」
(声を潜めて)
「組織の残党か、それとも……“黒の遺志”か」
⸻
(数時間後・喫茶ポアロ)
安室透はエプロン姿で新聞を眺めながら、ふっと笑った。
「さすがだね、君は……コナンくん」
「僕の予想を、いつも一歩上を行く」
(優しい笑みの裏に、かすかな警戒の色)
「だが――今、アメリカに行くということは、“新たな危険”に足を踏み入れるってことだ。わかってるよね?」
(独り言のように、静かに呟く)
⸻
FBI側・赤井秀一(スナイパーの余白で)
(車の中、FBI支部から出たばかりのニュース映像を眺め)
赤井:「……らしいな、ボウヤ」
(車内のコーヒーをすすりながら)
「だが……灰原と一緒に、か」
「アメリカは、君たちの知性を歓迎する。だが同時に、“あの日の研究”の亡霊が、まだ眠っていることも――知っておけ」
(サイレンサー付きの銃を整えながら、彼は静かに動き出す)
⸻
(通信記録・公安×FBI 非公式ライン)
降谷零 → 赤井秀一
降谷:「……どうやら、共通の知人がまた“動いた”ようだな」
赤井:「まさかハーバードで再会とはな。君は彼らをどう見る?」
降谷:「手出しはしない。だが、目は離さない。それが“日本側”の判断だ」
赤井:「了解。こちらも“護衛”を兼ねて動く」
⸻
降谷(独白)
「君は知ってるのか、コナンくん。“知識”とは同時に“武器”であり、“標的”になるということを」
「君がその世界に踏み込むなら――僕たちは、覚悟をもって見届けるしかない」
(そして、心の中で続ける)
君を、信じているからこそ。
◆シーン:大阪・服部家の居間
テレビのニュースが流れていた。関西ローカルの朝のワイドショーで取り上げられたのは、米・ハーバード大学が異例の特別招待生として受け入れた「日本の小学生ふたり」――
「江戸川コナンくんと灰原哀さんが、ハーバード大学より特別研究プログラムへの招待を受けました」
「IQ200を超えるとも言われるこのふたり、国内外の研究機関からも注目され……」
服部:「はぁ!? なんやてぇぇぇ!?」
がたん!とちゃぶ台が鳴った。
⸻
服部平次:「あいつ、ホンマにガキのまんま行きやがったんか……!」
服部:「コナンやなくて……工藤やろ!? いや、わかってるけど……あいつ、どこまで行く気やねん……!」
(スマホを取り出してコナンに即電話をかけるも「圏外」)
服部:「うわ、ホンマにアメリカ行っとるわ!」
(青ざめながら)
服部:「待て待て、灰原の姐さんまで一緒て……おい工藤、お前また厄介ごと背負うつもりちゃうやろな……!」
⸻
遠山和葉の登場
和葉:「なに騒いでんの? 朝っぱらから。……あれ? テレビにコナンくん?」
服部:「コナンやのうて……工藤や!!」
和葉:「……え? え? えええぇ!?!? 工藤くんが……ハーバード!?」
服部:「せや。しかも、小さい姉ちゃんと一緒にや。……これ、絶対裏があるやつや」
和葉:「いや、それよりなんで平次は行かへんの? あんたも行けばええやん!」
服部:「あほか! ワシは探偵や。現場命や。……ていうか、なんやろ……ちょっと悔しいわ……」
(本音が漏れる)
⸻
服部平次(心の声)
――またあいつは、黙って先を行きやがる。
警察より先に事件を解いて、FBIとまで絡んで、今度はハーバードか。
けどな、工藤。
お前が世界のどこにおっても、ワイは――
「いつでも、ライバルでおるさかいな」
関空 → ボストン行き機内(服部の独白)
服部(心の声):
「まさか……ワシがこんな形で初めての海外旅行とはなぁ……」
「コナン、いや……工藤……お前、一言も相談なしで行きよってからに……」
「あんなニュース、関西の探偵が黙って見過ごせるかいな」
隣の席で寝ていた欧米人男性が寝返りを打つたび、妙に肘が当たってくる。
服部:「ああもう、窮屈やなぁ……!」
⸻
ハーバード大学・構内(灰原視点)
教授陣に囲まれ、英語で矢継ぎ早に質問される灰原。
その中でふと、彼女は遠くに見慣れた人物を見つけて目を細めた。
灰原:「……来たのね、関西の探偵さん」
⸻
ハーバード・ラボ裏の中庭にて(再会)
木陰のベンチで一息ついていたコナン。
そこへ、遠慮のない足音とともに現れたのは――
服部:「工藤ォ!!!」
コナン:「うわ、マジで来たのかよ!!」
服部:「当たり前やろがい! あんなニュース見せられて黙ってられるか!
お前、裏で何か起こっとるやろ?」
コナン:「いや……今んとこは静かだけど……たぶん、それが不気味なんだよな」
⸻
三人で密談(灰原も合流)
灰原:「あなたが来たということは、事件になる前兆ね。ほんと、フラグ建て職人」
服部:「……人を疫病神みたいに言うなや」
コナン:「でも確かに……昨日、研究室の近くで誰かに尾けられてた気がする。
ここに来てから、何かがおかしい」
⸻
事件の予感
その夜、大学構内で発生する不審火。
重要データが保管された研究室が狙われ、事件は国際的な陰謀の匂いを帯び始める。
ニュース速報:
「ハーバード大学の研究室で火災。
機密扱いのデータが一部消失し、FBIが捜査に乗り出す予定――」
⸻
再び動き出す名探偵たち
コナン:「服部――一緒にやるか?」
服部:「あったり前やろ! お前がこっち来るなら、ワシも手土産くらい残さなあかんわ!」
灰原:「はあ……天才小学生が二人も騒ぎ出したら、こっちの学者たち、発狂するわね」
コナン:「よし、始めようぜ。
ハーバードでも――“名探偵”は、止まらない」
「焦げた研究室の謎」
翌朝、コナンたちは火災のあった研究室を訪れる。
警察の規制線が張られ、白衣姿の教授や学生たちが不安げに見守っていた。
服部:「派手にやられたな……。こりゃ放火っちゅうより、“証拠隠滅”やな」
コナン:「ああ。狙いは火じゃない。燃えた“中身”だ」
現場に残されたのは、焼け焦げたサーバーラックと、床に散らばる謎の破片。
コナンはそれを手に取り、眉をひそめる。
コナン:「これ……普通の研究データじゃねぇぞ」
灰原:「間違いないわ。これは軍事転用も可能な、量子暗号通信のプロトタイプ……」
服部:「つまり、国際的なスパイ絡みっちゅうわけか」
そのとき、現場に現れたFBIのジョディが、彼らに近づく。
ジョディ:「おや、君たち……また面倒な事件に首を突っ込もうとしてない?」
コナン:「面倒なのは嫌いじゃないんでね」
ジョディはため息をつきながらも、意味ありげに言う。
ジョディ:「……この火災、ただのハッカー集団の仕業じゃないわ。裏に“組織”がいる」
コナンの瞳が鋭く光る。
服部は思わず口笛を吹いた。
服部:「やっぱりな。そいつら、ウチらの敵でもあるんやろ?」
コナン:「ああ――“あの組織”が、まだ完全に消えちゃいなかったってことだ」
国際会議の影で
同じ頃、ハーバードの別棟では国際会議が開かれようとしていた。
世界中の科学者たちが集まり、最先端技術の発表が予定されている。
しかし、その裏で暗躍する謎の人物がいた。
黒いスーツにサングラス、まるで組織の残党を思わせる男。
男:「データは計画通り破壊した。次は――“例の人物”を排除する」
電話の相手が低く応じる。
『……失敗は許されん。我々はまだ終わっていない』
名探偵たちの推理開始
夜のカフェ。
コナン、服部、灰原、そして阿笠博士が集まり、ホワイトボードに事件の相関図を書き込んでいく。
コナン:「放火の目的は機密データの抹消。そして次の狙いは――研究者本人だ」
灰原:「でも、どうやって? 研究者は皆、セキュリティで守られているはずよ」
服部:「せやけど、あの火事、内部の者がおらな無理やったはずや」
コナンは指で図をなぞりながら、不敵に笑う。
コナン:「つまり――この中に“スパイ”がいるってことだ」
灰原:「また厄介なことになりそうね」
服部:「よっしゃ、ワシらの出番や!」
コナン:「決まりだな。――ハーバードでも、真実は暴かれる」
数時間後。
コナンたちは火災現場の監視カメラ映像を解析し、ある人物の不審な動きを発見した。
コナン:「この教授、消火活動の前に“何か”を持ち出してる……」
服部:「なるほどな。わざとデータを焼いて、持ち出した分だけ独占するつもりやったんか!」
教授は国際会議の裏で、機密データを闇市場に売り渡そうとしていたのだ。
コナン:「証拠はそろった。――終わりだ、教授!」
教授は逃げ出そうとするが、待ち伏せしていたジョディとFBIに取り押さえられる。
教授:「な、なぜだ……完璧な計画だったはず……!」
コナン:「あんたの計画は、自分の欲だけで動いてた。だからほころびが出たんだよ」
事件の終幕
翌日、ニュースは教授の逮捕を報じた。
消えたはずのデータも無事回収され、国際的な危機は回避された。
灰原:「まさかこんな短時間で決着がつくなんてね」
服部:「せやけど、スッキリしたやろ?」
コナンは窓の外を見つめ、わずかに笑った。
コナン:「ああ。でも――これで終わりじゃない。
“あの組織”の影がまだ残ってる。次は……必ず叩く」
灰原:「全く、あなたって本当に落ち着かない人ね」
服部:「そら名探偵やもんな!」
コナン:「――ハーバードでも、俺たちは止まらない」