雲龍に転生   作:DAIHONN_A

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 式典当日、参加する人員のうち提督等は多用途支援艦えんしゅうに乗艦し、艦娘達は艤装を装備してえんしゅうを護衛する形で横須賀へ向かった。その中には改装で新しい艤装を受領した雲龍も含まれていた。

「あれ、雲龍の正装ってどうなっているんだろうか。」

 高杉提督はえんしゅうの横を航行する雲龍を眺めてふと思った。雲龍は持っているように見えないし、提督自身も明石や誰かから受け取った覚えがなかったからである。もしかして、いや流石に忘れてる事はないだろう、と思考を巡らせているうちに横須賀に到着した。

 当の雲龍はというと、横須賀に到着し艤装を下ろした段階である事に気付き珍しく焦っていた。なんと、新しい艤装を受け取るついでに一緒に貰う予定だった正装を貰い忘れていたのだった。まぁ、なんとかなるかの精神で式典に赴くことにした。

「…雲龍、正装はどうしたんだい?」

「ごめんなさい、持ってくるのを忘れてしまったわ。」

「…そうか。まぁ、艦娘の服も正装だから…まぁ、いけるか?」

 提督はそう言って雲龍の服を目で確認していくとある一点で目が止まり、これだと青少年の何かが危ない!と思ったが、ここまで来てしまってはどうする事も出来ないため腹を括ることにした。そして第1、第2艦隊から来ている提督と長門と翔鶴の方を見ると、あちらは着物を着ているようだった。

 式典会場には既に各鎮守府の偉い人や防衛省職員が集まっており、会場の端等にテレビカメラが設置されていた。

「ねぇ、カメラは無いって話だったじゃない。」

「君だってちゃんとドレスアップしてくる予定だっただろう?」

「…。」

「ヒーローが必要なんだ。だからカメラにニッコリしたりして。まぁ、恥ずかしくなったら私の影に隠れてくれ。」

「ありがとう。」

 大島鎮守府一行の最後尾を歩く高杉提督と雲龍であったが、やはり提督の予想通りカメラの視線が雲龍にダイソンされていた。雲龍の方をチラッと確認してみると、気にした様子が無いというか気づいてない様子だった。そこで提督はカメラから雲龍の盾になる様に並んで歩く事にした。

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2952:雲龍

事前に言われたことと違って、会場にカメラがあるんですけど…

 

2953:名無しの転生者

いかん!!このままだと全国の青少年が危ない!!

 

2954:名無しの転生者

くっ!ちゃんと俺達が持ち物チェックしておけば…!

 

2955:雲龍

なんかカメラが私の方にたくさん向いてますね

にっこり微笑んでたからかしら

 

2956:名無しの転生者

いや、たぶん違うと思うぞ…

 

2957:名無しの転生者

提督よ!早く雲龍の盾になるんだ!間に合わなくなっても知らんぞ!

 

2958:名無しの転生者

お、提督が雲龍に寄ってきたな

 

2959:雲龍

…?提督も緊張しているの?

 

2960:名無しの転生者

違う違う、そうじゃ、そうじゃない

 

2961:名無しの転生者

なぜそこで手を繋ぐんだ…(困惑)

 

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 雲龍に突然手を繋がれてドキッとした場面はあったものの式典は滞りなく続き、いよいよ表彰を授与される場面になった。長い話等があったためか隣に座っている雲龍はなんだか眠そうな雰囲気を醸し出していたため、提督は肩をちょんちょんと叩いたりして眠らないようにしていた。

 俄に会場の隅の方が騒がしくなった。そして伝令が幕僚長に近づくと小声で何かを伝えた。

「幕僚長、敵機の襲来です。」

「なに?」

「尚、敵の発進基地はテニアンと思われます。」

 小声とはいえ、艦娘には聞こえていた。そして提督も官品スマートウォッチの通知で察知した。

「ふむ、艤装がいるわね。」

「こっちだ。」

 提督と雲龍はすぐにスイッチを切り替え、急ぎ会場をあとにした。

 日本の勢力圏に侵入した敵爆撃隊は八丈島に展開していた基地航空隊を爆撃したのを皮切りに、伊豆諸島に展開している基地を爆撃しつつ北上し本土に接近しようとしていた。途中、大島基地航空隊が迎撃に上がるも、敵爆撃機は高度を上げ迎撃機を寄せ付けなかった。

「迎撃に上がったのは?」

「三式戦です。」

「大島基地航空隊より、敵は以前確認された重爆ではないようです。」

「となると、あとはここにいる艦娘達と横須賀基地航空隊が頼みか。」

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2975:名無しの転生者

敵は超高高度を飛行しているのか…まさかB29的なやつか?

 

2976:名無しの転生者

こっちの艦載機で超高高度で満足に戦闘できるかなぁ…

 

2977:雲龍

やってみるしかないでしょう

 

2978:メカニック

こんなこともあろうかと、震電改に排気タービン過給器と二重反転プロペラを取り付けてパワーアップしておいたのさ!

 

2979:名無しの転生者

通りでこの震電改、エンジンの上に見慣れないファンが付いているわけだ

 

2980:メカニック

人も増えたおかげで、機首にレーダーも取り付ける事ができたぞ!

 

2981:名無しの転生者

機首が黒くなってるのそういうことか

 

2982:名無しの転生者

これなら行けるのでは

 

2983:雲龍

では、準備でき次第お願いします

 

2984:名無しの転生者

今度こそ本土侵入を阻止してやる!(元雷電乗り)

 

————————————————

 艦娘の服装そのままだった雲龍は横須賀基地を素早く出発し、迎撃の震電改16機と紫電改二16機と早期警戒機役の彩雲1機を発艦させていた。そして全機が凄まじい速度で上昇していき、特にエンジンがパワーアップした震電改の上昇力は凄まじく、あっという間に紫電改二と彩雲を置いてけぼりにし敵爆撃機よりも高い場所に昇っていった。尚、この迎撃で震電改は軽量化のためロケット弾は装備していない。

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2990:ウィッチウォッチ

敵爆撃隊発見、数は約40、迎撃点まで誘導する

 

2991:リボン付き

了解した

 

2992:名無しの転生者

いたぞ!!下方にいる!!

 

2993:名無しの転生者

デケェ…まるでクジラだ…俺達はイワシかよ

 

2994:リボン付き

情けない事を言うな、奴等がシロナガスなら俺達はシャチと思え!!

 

2995:名無しの転生者

了解!!

 

2996:リボン付き

いいか!奴等の一匹たりとも本土に入れるな!かかれ!

 

————————————————

 テニアンの超重爆飛行場姫から命令を受けて発進した超重爆30機は順調に飛行を続けていた。すると最後尾を飛んでいた超重爆が後方上空に何かを見つけた。

「ッ!?編隊長!後方上空ニ敵機!」

「寝ボケタ事ヲ言ウナ、俺達ハ今、妖精共ノ航空機ノ実用限界高度ヲ飛ンデイルンダゾ!」

「シカシ、編隊長!」

「シカシモヘチマモアルカ!俺達ヨリ高ク飛ベル航空機ガアル訳ガナイ!」

「ノーン!!妖精共ノ新型機ダ!!」

「ソンナ、バカナ…グワァ!!」

 逆落としに攻撃してきた震電改の30mm機関砲4門の最初の犠牲者は、爆撃隊にとっては不幸なことに編隊長機となった。そして続けざまに震電改が降下してきており、指揮が乱れた編隊に撃墜機が相次いだ。

「編隊長機墜落ノタメ、2番機ガ指揮ヲ継承スル!!」

「恐ロシク速イ奴ダ!!」

「助ケテクレ!!撃チ落トサレタクネェ!!」

「各機編隊ヲ緊密ニシロ!!繰リ返ス、編隊ヲ緊密ニシ…。」

「2番機ガヤラレタゾ!!」

 そして指揮を執っていた2番機もすぐに撃墜されてしまい、予想だにしなかった高速迎撃機の出現と暴れっぷりに超重爆編隊には最早指揮の継承をする余裕はなく各機ががむしゃらに弾幕を張ることしかできなくなっていた。

「撃チ落トセ!!」

 何機か冷静さを取り戻した機体は編隊を組んで弾幕を張るが、震電改は巧みな操縦で弾幕を掻い潜るとすかさず30mm機関砲4門が火を吹き敵機を仕留めていく。

 ここで紫電改二も迎撃に参加、震電改に編隊を崩されてしまった超重爆隊は次々と撃ち落とされてしまった。そして最後の1機になったところで、前方から紫電改二1機が迫って来た。この残った1機はテニアンから超重爆飛行場姫が直接操作している機体で一際対空弾幕が激しかった。真っすぐに突っ込んでくる紫電改二に対し確実に撃ち落とせるタイミングで機銃を発射した。が、紫電改二は突如機首をこちらへ向けたまま左へスライドし銃撃を浴びせてきた。堪らず回避行動を取ったが既に超重爆の真横に陣取られており、そのままやはり機首をこちらに向けたまま超重爆の周りを回りながら20mm機関砲の猛射を浴びせ続け、蜂の巣になった超重爆は爆発炎上しながら墜落していった。

 

「やってくれたか、雲龍。」

 双眼鏡で迎撃の成り行きを見守っていた提督は、そう呟き一安心した後に雲龍を出迎えに横須賀基地へ戻った。

 

 

 

 

 

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