雲龍に転生   作:DAIHONN_A

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 敵機接近の報を受けて、高杉提督と雲龍が式典中にいの一番に飛び出したかと思えば所用の手続きをすっ飛ばして出撃した事は、自衛隊関係者ならば誰もが知るところとなっていた。敵爆撃機を全て撃墜し横須賀基地へ帰還した提督と雲龍は、迎撃に成功したことは讃えられたが手続きをすっ飛ばした事は、組織という事もあり形式的な注意を貰ったのだった。そして一部メディアのカメラはずっと雲龍を映しており、そこには当然提督とのやりとりも録画されていた。敵爆撃機の襲来と洋上で全機撃墜したと発表があった際は、この2人がやったのだと各メディアは考えた。そして後日、改めて行われた式典では高杉提督と雲龍はメディアからの質問責めに遭い、全てが終わった頃には疲労困憊といった様子で会場をあとにした。

 大島鎮守府に戻る前に提督と雲龍は横須賀基地の敷地内を歩き回っていた。龍鳳に会うためなのだが、当初雲龍は提督に先に戻っててほしいと伝えたのだが、どうしてもと押し切られてしまい現在一緒に歩き回っている。

「雲龍さ〜ん!!お待たせしましたぁ〜!!」

 声の方に振り返るのと龍鳳が飛び付いてくるタイミングが揃い、雲龍は龍鳳を抱きとめ勢いに合わせてその場で回転してから龍鳳を降ろした。

「雲龍さんが探し回っていると聞いて、すみません遅れてしまって。」

「いいえ、こうして龍鳳に会えたんだもの。探し回った甲斐があったわ。」

「雲龍さん雲龍さん!!大島鎮守府はどんなところなんですか?仲のいい友達はできましたか?」

「そうね、何から言えばいいかしら。あ、あそこにいるのが私の艦隊の提督よ。」

「どうも、大島鎮守府第三艦隊提督の高杉だ。よろしく頼む。」

「ど、どうも龍鳳と申します。その、雲龍さんが日頃からお世話になっています。」

「じゃ、雲龍。ちょっとお手洗いに行ってくるよ。」

「ええ。」

 提督がその場を離れるのを龍鳳はお辞儀して見送った。

「雲龍さん雲龍さん!!…」

 龍鳳とまた会う約束をしてから暫く歩いていると提督がベンチに座っていた。

「あら、提督。随分長いお手洗いだったのね。」

「まあ、道が混んでてね。久し振りに会えてどうだった?」

「龍鳳も艦隊で頑張っててくれて、何より今日まで無事で居てくれてとても嬉しかったわ。今日は時間を作ってくれてありがとう提督。」

「ふむ、ただお手洗いに行っていただけなんだがな。」

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3028:名無しの転生者

いや〜龍鳳も元気そうで良かったな

 

3029:名無しの転生者

雲龍に会えてぴょんぴょんしてる龍鳳見てると元気出てくるな

 

3030:雲龍

ホントに元気そうで良かった

 

3031:名無しの転生者

まぁ、やっぱりなかなか離れてくれなかったけどね

 

3032:名無しの転生者

前にもこの光景見た気がするな

 

3033:名無しの転生者

微笑ましいね

 

3034:雲龍

じゃあ、そこに座ってる提督と鎮守府に帰りますか

 

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 本土空襲があってから自衛隊は防衛戦略の転換を決定した。これまでは日本近海の制海権を確保した後にシーレーン上の深海棲艦を撃破するという戦略であったが、今回の空襲を受けて太平洋上の敵主要拠点の制圧を優先することになった。しかし、横須賀の海上自衛隊の戦力では遠征能力に欠けているため、呉の第1輸送隊の残存艦である輸送艦しもきたを外洋に進出できるように最低でも四国沖を解放する必要があった。

 四国沖を解放するために横須賀基地と呉基地に所属する各鎮守府の連携と準備に時間を取られる間、大島鎮守府第3艦隊は定期的に襲来する敵の超重爆撃機の迎撃に追われていた。流石に雲龍1人では手が回らなくなる可能性があったため、大増員することができたメカニック妖精が基地航空隊の装備更新によって出た余剰分の一式陸攻を迎撃機に改造していた。また、伊豆諸島各地に対空レーダー基地を設置することで迎撃能力の向上も図っていた。

 両基地間の連携と作戦準備も大詰めとなった頃に、過去最多の敵超重爆撃機の侵攻が始まった。当初各空母の航空隊が迎撃に上がったが、高高度性能の関係から各空母少数配備の震電改と雲龍航空隊のみしか満足のいく迎撃を行えなかった。そして空母航空隊の迎撃をすり抜けた敵超重爆撃機18機は伊豆諸島を北上し、真っ直ぐ本土へと接近しつつあった。ここで第3艦隊提督は事前に雲龍から頼まれていた航空部隊の発進を命令した。その航空部隊の名は「嵐龍隊」といい、いつの間にか作ったのか、廃棄予定だった一式陸攻を再利用した迎撃専門の機体を運用する部隊であった。

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3124:雲龍

ごめんなさい、遂に突破されてしまいました

 

3125:名無しの転生者

あとはこっちで食い止めるから安心してくれ

 

3126:メカニック

こういう時のために、特別な迎撃機を作っておいたからな!

 

3127:名無しの転生者

ところであの迎撃機はどういう装備してるんだ?

防護機銃が無くなっただけに見えるけど…

 

3128:メカニック

では改めて説明しよう!

エンジンを排気タービン過給機付きのものに換装して、武装を斜銃のみにした対爆撃機専門の迎撃機だ!

ちなみにパイロットは元月光乗りや元屠龍乗り

 

3129:名無しの転生者

はぇ~、でも斜銃だけで超重爆撃機って落とせるのか?

 

3130:メカニック

特殊な斜銃でね、これを作るのが1番苦労したんだ

 

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 敵超重爆撃機が伊豆大島上空に差し掛かろうとしたとき、編隊長機他全機は自分達に近づく20機の双発機の編隊を見つけた。

「編隊長、敵迎撃機ト思ワレル機体ニ囲マレテイマス!撃チ落シマスカ?」

「シカシ双発機デ、シカモ爆撃機ダゾ。一応射撃準備ダケハシテオケ。」

「連中イッタイ何ヲスル気ナンダ?」

 嵐龍隊の隊長は敵超重爆が混乱していることに満足すると編隊を敵を上下に挟む形に変更させた。これを見て超重爆撃機は更に困惑し、また自分達よりも高い高度を速度差なく飛行する機体に驚愕した。すると、一式陸攻の上下に新しく設けられた2列に並んだ8個の小窓が開き斜銃の発射準備を整えた。機首にいる射撃手が機体をオーバーライドして敵超重爆を照準に収めると隊長の攻撃開始の号令とともに射撃手が撃発ボタンを押した。すると凄まじい轟音とともに小窓から敵超重爆へ向けて大量の20mm弾が滝のように吐き出されていく。この嵐龍に搭載されている20mm斜銃は3銃身ガトリング砲で発射速度は毎分1500発を誇るが、その分薬莢が機内に大量に溜まるため機銃付近にいる妖精はスコップで大量の薬莢を掻き出す必要があった。嵐龍隊は敵超重爆を上下からこの斜銃で、まるでミシン縫いのように攻撃し粉砕していった。

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3145:名無しの転生者

よし!!敵超重爆を全機撃墜!!

 

3146:名無しの転生者

やったぜ!

 

3147:雲龍

ありがとうございます、お疲れ様でした

 

3148:メカニック

ちゃんと斜銃が機能してくれてよかったぜ

 

3149:名無しの転生者

まさかバルカン砲を斜銃として積むとは、このリハクの目をもってしても…

 

3150:メカニック

まぁ、これは3銃身のガトリング砲なんだけどね

6銃身のやつも作ったんだけど、嵐龍に積むには反動も重量もデカ過ぎて…

 

3151:名無しの転生者

マジのバルカン砲も作ってたのか…

 

3152:名無しの転生者

あっ、そうだ

このバルカン砲を震電改に積もうぜ!

 

3153:名無しの転生者

えぇ…

 

3154:名無しの転生者

30mmのガトリング砲積んでくれ!!

 

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 滑走路に次々と着陸してくる嵐龍隊を眺めつつ、提督は工廠で明石と話をしていた。

「やっぱり雲龍の妖精達が装備を魔改造しています。しかも廃材を原材料にして。」

「ふむ、本当にそんなことが可能なのか?廃材って、開発失敗時に出てきたやつだろう?」

「ええ、私も気になって様子をみてたんですが、妖精達はどうやら雲龍の艤装内部で加工しているようで。」

「ん?艤装に入る大きさだったか?」

「なんか、押し込んで勝手に小さくなってましたね。」

「えぇ…。」

「そこでですね。私の妖精に頼んでその妖精達について行ってもらったんですけど、とある扉より向こう側に進めなかったみたいで。」

「…ところで明石君、雲龍に許可は取ったのかね?」

「…後で取ります。」

「はぁ、私も一緒に行くよ。」

「す、すみません。それでですね、その扉がこれなんです。」

 そう言って明石は妖精が撮ったであろう写真を見せてきた。そこには“限られた”という看板がつけられた扉が写っていた。

 

 

 

 

 

 

 

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