雲龍が大島鎮守府に着任してから1年が過ぎた頃、輸送艦しもきたと揚陸艦ニューオーリンズを洋上拠点とした日米連合の艦娘部隊はボルネオ島までの制海権を奪還し、またグアム島の解放によってオーストラリアまでの海域を奪還する事ができていた。これによって日本のエネルギーと食料問題は解決へと一歩前進したが、これを受けて各国政府が日本の艦娘の援助を要請してきており、日本政府と自衛隊はこちらの対応に忙しくなっていた。
その頃大島鎮守府では高杉提督が執務室で唸っていた。というのも急遽溜まっていた代休や年次休暇の消化を兼ねた休暇を渡されてしまい使い道に困っていたのだった。唸っているうちに執務室に雲龍が入室、机上に流れるように湯呑みと軽食を取りやすい位置に置いていた。
「そんなに唸ってどうしたの?」
「あぁ、急に渡された休暇をどう過ごそうかと悩んでいてね。」
「てっきりこの前の表彰式での呼ばれ方を引きずっていたのかと。」
「いや、まぁ、多少は気になったけどね。」
グアムを解放してオーストラリアまでの制海権を確保した功労を評して、雲龍と提督は東京で日米両国から表彰を受けたのだが、この時一部の将官から高杉提督は「英雄」「名将」と呼ばれていたのだった。危険に晒されながらも最前線で指揮を執り続け、損傷した輸送機から降りて来たことから呼ばれているらしかった。
「ただ、私は自衛官としてやるべき事をやっただけだよ。最初は気恥ずかしかったけど、それだけ助ける事ができた人がいるんだ、て考えると嬉しく思えるんだ。…やっぱり今も気恥ずかしいな。」
「それに、今もあの時も雲龍の隣が世界で1番安全な場所だと思っているしね。」
そう言うと提督は恥ずかしくなったのかわざとらしく咳払いをし、雲龍に別の話題を振った。
「ところで雲龍は貰った休暇はどう過ごすんだい?友達と遊びに行ったりとかするのかい?」
「うーん、とりあえず実家で過ごしたりしようかなって考えてるかな。」
「久々に帰るからね、両親に元気な姿を見せて喜ばせてあげないとね。」
そこまで言って提督は一呼吸置いて、何かを決心したような顔つきになった。
「雲龍、もし良ければだけど、休暇のどこかで一緒にディナーに行かないかい?」
「いいけど、ご飯なら最近は食堂で一緒に食べてるじゃない。」
「まぁ、そうだけど。一緒に外食したいなって思ってね。」
「ふ~ん、だったら私の家に来る?お母さんの手料理凄く美味しいんだよ。」
「えっ。」
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4856:雲龍
という流れで提督を食事に誘いました
いつも誘われてるし、たまには誘ってみようかなと
4857:名無しの転生者
…お、そうだな(白目)
4858:名無しの転生者
提督…心の準備ヤバそう
4859:名無しの転生者
自衛官なんだから物心両面の準備できてるでしょ、たぶん
4860:名無しの転生者
その提督、とんでもない威力の奇襲攻撃受けてるんですが
4861:雲龍
ちょっとダメだったかな…提督に謝ってくるね
4862:名無しの転生者
いや!!全然雲龍は悪くないぞ!!
4863:名無しの転生者
そうそう!!このまま提督を食事に誘っていこう!!
4864:名無しの転生者
絶対提督も喜んでるから、大丈夫!!
4865:雲龍
なら良かった
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休暇に入り数日が過ぎた頃、提督は横須賀の下宿先でソワソワしていた。雲龍の実家に食事に行く日が翌日に迫っていたのだった。勇気を出してディナーに誘った提督だったが、まさか雲龍から、しかも実家に誘われるとは想定していなかったため気づいた時には実家に伺う日付を決めていた状態であった。雲龍の事だから天然でやっているんだろうな、と思いつつもそこまで自分を受け入れてくれているのかと嬉しくも思った。そして翌日、待ち合わせ場所の駅で雲龍と合流した提督は既に心臓がバクバクであった。提督は失礼に当たらない様な且つ堅苦しく見えない様なスーツ系統の冬服で、雲龍はニットにコートという冬服であった。お互いスタイルと顔が良いため駅でそこそこ注目を集めていたが、雲龍は気にした様子もなく遠くで目が合うと手を振って提督に駆け寄った。生暖かい視線を周囲から感じる提督だったが、雲龍の私服姿と実家への訪問にドキドキし過ぎて視線を気にする余裕がなかった。
「こんにちは高杉さん。」
「久しぶり雲龍。…ところでなんで急に名字呼びなの?」
「街なかで提督呼びは少し変かなって、駄目だったかしら?」
「いや!全然おかしくないよ、うん!」
「そう、ならよかった。それじゃあ行きましょう。」
提督呼びではなく唐突に「高杉さん」で呼ばれドキリとした提督であったが、こちらも同じようにした方がいいかと一瞬思ったがそれは無いなと判断した。
海域攻略によってエネルギー資源と食料にある程度余裕が出てきた為か徐々に活気が戻りつつある横須賀の中心街を雲龍が真横につくかたちで暫く歩いていると、遂に雲龍の実家の前まで辿り着いた。至って普通の家の玄関の奥から穏やかだが鋭い気配を感じていると雲龍がインターホンを押した。
「お母さんお父さん、今帰ったよ。」
雲龍がインターホンにそう言うと同時に玄関ドアがガチャリと開き、中から穏やかそうな男性が顔を出した。
「お父さんただいま。」
「おかえり。ところで横にいるのが話していた人かな?」
「ええ、こちらが高杉さんよ。」
「はじめまして、高杉と申します。」
「よくお越しくださいました。外は寒いでしょうし、中へどうぞ。」
リビングへと通された提督は次に台所に立っている、こちらも穏やかそうな女性と挨拶をしていた。
「こんにちは。あなたが娘が言っていた高杉さんね。娘がいつもお世話になっております。」
「こんにちは高杉と申します。こちらこそ娘さんに助けていただいてばかりで、感謝しかありません。」
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5063:WW2対空砲員
あの〜砲架から噴進砲が全て消えてるんですけど…
5064:砲雷長
対空レーダーも高射装置も全部外されてるぞ
5065:名無しの転生者
まさか誤破棄…
5066:名無しの転生者
ウッ…頭が…
5067:メカニック
新しい対空兵装に換装してるだけだから安心してくれ
5068:名無しの転生者
メカニック!最近見かけなかったメカニックじゃないか!
5069:名無しの転生者
今度はどんなびっくりドッキリメカを作ったんだ
5070:名無しの転生者
もう何が出ても驚かないぞ
5071:名無しの転生者
新しい対空兵装って、あのロボットの上半身みたいなやつ?
5072:WW2対空砲員
この長くなった噴進砲、座席が無いんだが…
弾数も減ってそうだし…
5073:砲雷長
…
5074:名無しの転生者
この四角形の格子状アンテナが新しいレーダー?前のよりも格子の間隔がみっちみちだね
5075:名無しの転生者
どこかで見たことあるやつばかりだな
5076:名無しの転生者
たまげたなぁ…
5077:名無しの転生者
やっぱり驚いてるじゃないか
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「娘は不思議な子だけど、しっかりしててね。それはもういい子で…」
「ええ、はい、いつも助かってます。毎日軽食を作ってくれて感謝しかないです。」
「なに?手料理を振る舞っているのか。」
「は、はい。凄く美味しくて何度でもおかわりしたい程です。」
「そうだろうそうだろう。娘は料理も上手でね、小さい頃は…」
「娘が招集された時は心配で仕方なかったけどね、定期的に手紙で近況を伝えてくれるし、向こうで良い人達と出会えたみたいで本当に安心だよ。」
「ところで高杉さん。この間テレビで娘と手を繋いでいた所が映っていたんだけど、君はもしかして娘と付き合っているのかな?」
「い、いいえ。まだ付き合ってないです。」
「まだ?なるほど、お母さんショットガンをくれ。」
「いえ!今のは、その…!」
「お父さん、バカなことやってないでお皿並べるの手伝って。」
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