雲龍に転生   作:DAIHONN_A

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5.

「雲龍さん。ちょっと相談したいことがあるんです。」

 龍鳳と一緒に艦載機の飛行訓練をしているとき、龍鳳は航空機のオーバーライド訓練を必死に頑張っている。雲龍はというと、自分の艦載機を的に見立てた対空戦闘の練習をしている。

「ん?何か困りごと?」

「空の戦いで技量や数で上回ってる相手にアッと言わせたい場合、雲龍さんならどうしますか?」

 雲龍はほんの少しの間ウーンと考える仕草をしてから、小手先の技術で補うかなと答えた。

「小手先の技術、ですか。」

「そう。私達の空戦は基本有視界戦闘、目で見て戦うから相手からどう見えるか、どう誤魔化すかを考えて戦うかな。」

 例えば、航空機を縦一直線に並ばせて正面から見える機数をごまかすとか。

(艦隊はまだ見えてないのにどうして零戦が?まさか攻撃隊からはぐれたとか…いえ、まだ偵察機の接触は受けてないし…)

 

 飛鷹はオーバーライドしている攻撃隊長機の視界に映る、向かって来ている零戦を見て思考を巡らせていた。が、向かって来ていることは事実なので護衛機に迎撃を命じた。

 

(何でここに零戦が飛んでいたのか終わったら聞いてみましょう)

 

 すぐに撃墜できるだろうと考えていると、迎撃に向かった護衛機がヘッドオンで撃ち落とされた。と同時に零戦の影から7機の零戦が現れ、一瞬のことで反応が遅れた攻撃隊に襲い掛かり始めた。

 

(まさか見え具合を逆手に取るとは、なかなかやるじゃない)

 

 そう思いつつ次の指示を出そうとしたところで機体に連続した衝撃が走り視界がブラックアウトした。

 

(まさか奇襲を受けてるというの!?艦隊すら見えないところで)

 

 雲の狭間から雲龍の零戦隊16機が逆落としに襲って来た。すれ違いざまにバースト射撃で次々と攻撃隊を撃墜していき、運良く(飛鷹からすれば運悪く)隊長機を初撃で撃墜することができた。完全なる奇襲であった。その後も2機ずつの編隊を組んで縦横無尽に暴れ回ったが、殆どの零戦は数の多い護衛機との戦闘に忙殺されてしまった。

 とある雲龍の零戦は護衛機に追われているという状況で射線をかわし続け、隙あらば攻撃隊を撃墜している。そして遂に捉えたと護衛機が射撃をする瞬間、追われていた零戦は突如機首を上にして失速したためオーバーシュートしてしまった。どうなってるんだと思ったのも束の間、機体に激しい衝撃が走りみるみる高度が下がっていく。その時チラッと見えたのは青いリボンのようなマークをつけた零戦が攻撃隊に向かって行くところだった。

 

(たしかに新人にしては練度は高いわ…けれどこっちだってそれなりの練度はあるし、何より戦いは数なのよ)

 

 雲龍と龍鳳の各零戦隊の活躍もあって攻撃隊は脱落機が続出しているが、敵の方が数が多いため次第に弾切れの零戦が増えており、今では残存機のほとんどが7.7mm機銃で戦闘している状態となっている。残弾もあと少しというところで迎撃隊の増援の零戦16機が到着し、弾切れ寸前の零戦隊と交代するように戦闘に参加した。が、エース級のパイロット複数がいるとはいえ全機を迎撃することは難しく、攻撃隊40機余りが遂に艦隊防空網の最遠部に到達しようとしていた。

 

「敵の攻撃隊を視界内に確認。」

「あれでも半分に減らしたって言うんでしょう?それでも多いじゃない。」

 遠くの空に見える攻撃隊を見て雲龍と龍鳳を除く艦娘達が恐怖を感じる。敵編隊がキルゾーンに入った瞬間を確認した雲龍が指示を出す。

「日向、主砲三式弾!攻撃始め!」

 日向の砲塔が敵の編隊に指向され、装備する5基の主砲から三式弾が発射される。放たれた砲弾は一定時間飛翔した後に、編隊の中央直前で炸裂し前方一面に破片と焼夷ゴムの散弾を振り撒いた。この砲撃で一度に8機が撃墜され、周囲の何機かは損傷を受け煙を吹くなどしている。

「筑摩、主砲三式弾!攻撃始め!」

 続いて筑摩の4基の主砲からも三式弾が発射され、5機を撃墜し同様に周囲の機体にも損傷を与えた。

「各人自由射撃、対空戦闘始め!」

 高角砲の射程に入った瞬間、激しい阻止弾幕と凄まじい撃墜する為の弾幕が打ち上げられ始めた。艦隊の中で特に凄まじいのは雲龍と秋月で、対空弾幕で確実に艦攻と艦爆を撃ち落としている。

 当初、雲龍と龍鳳を集中攻撃しようとしていた攻撃隊だが、激しい対空弾幕と弾幕をものともせずに突っ込んできた一部の迎撃の零戦隊によって攻撃位置に辿り着けたのは艦攻8機と艦爆7機であった。雲龍に艦攻6機と艦爆4機が向かい、龍鳳に残りの攻撃機が向かった。

 雲龍を爆撃しようとした艦爆隊は降下直後に高角砲による激しい弾幕を浴びせられ2機が一瞬にして撃墜され残りは攻撃を断念、艦攻隊も同様で高角砲と機銃の激しい弾幕によって4機が撃墜され残った機も狙いをつけずに投弾したため雲龍に被害はなかった。

 龍鳳については、秋月による援護射撃もあって艦攻は射点に辿り着く前に全滅し、艦爆隊は1機撃ち落とされるも2機は投弾に成功したが至近弾2発を得るだけだった。

 全体として機銃や小型爆弾の被弾等で龍鳳と筑摩が損傷を受け磯風が小破したに留まった。

 損傷を受け撤退する敵編隊を眺めつつ次の指示を出す。

「龍鳳、戦闘機を収容して補給が完了次第攻撃隊を発進させましょう。」

「参ったわね。まさか80機の攻撃を凌ぎきってしまうとは。」

「次は私達の艦隊が攻撃を受ける番なんでしょう?あぁ…」

「大丈夫だ山城。僕がいる限り艦隊の防空は任せてくれ。」

「そうだよ。僕達だってやれるんだ。」

「僕も皆も戦う力は十分にあるんだ。」

「私達のことももっと頼ってほしいっぽい。」

「そうだったわね。ごめんなさい4人とも、情けないところを見せちゃって。」

「ううん、そんなことないよ。皆で一緒に乗り切ろう!山城!」

「ええ!」

 

——————————————

513:名無しの転生者

よし、なんとか凌ぎきったな

 

514:名無しの転生者

結構な数撃ち落としたけど、こっちも何機かやられてるなぁ

 

515:名無しの転生者

数的劣勢だったからね、仕方ないね

ワイは立ち回りミスって撃墜されました

 

516:名無しの転生者

オレもそーなの

 

517:雲龍

今から収容補給して攻撃隊に組み込んでも大丈夫ですか?

 

518:名無しの転生者

いいよ!来いよ!

 

519:名無しの転生者

早う出陣しとう御座いまする

 

520:名無しの転生者

俺は攻撃を行う!

 

521:名無しの転生者

皆絶好調だな(困惑)

 

522:雲龍

ありがとうございます

それでは発艦お願いします

 

534:索敵機

水偵の情報だとこの辺りにいるはず…いた!

2時方向直掩機と思しき編隊確認、機数は16機

 

535:攻撃隊長

こちら攻撃隊長、了解

編隊は事前の取り決め通りに攻撃を開始

攻撃目標は空母飛鷹及び瑞鳳

 

536:攻撃隊長

雲龍隊は飛鷹を、龍鳳隊は瑞鳳を攻撃

 

537:名無しの転生者

敵の迎撃来ます!

 

538:索敵機

周辺空域に直掩機の他に機影は確認できない

 

539:名無しの転生者

護衛機隊進出する

 

540:名無しの転生者

うおっ!?三式弾か

…こうして見ると花火みたいだな

 

541:名無しの転生者

総天然色の弾幕はいつ見ても圧巻だな

 

542:名無しの転生者

初月の打ち上げる弾幕ヤバいな

 

543:名無しの転生者

クソ!被弾した!

 

———————————————

 

 雲龍からアドバイスを貰った初月は、秋月と同様早速実践に移すことにした。すると、時雨や夕立よりも格段に敵機に近いところに弾幕を集中させることができ、早速1機撃墜している。更に対空射撃を続けて1機2機と撃墜数を増やしていると、徐ろに攻撃隊の一部が初月に向けて突撃して来た。

 

———————————————

 

549:名無しの転生者

クソ!初月の弾幕が苛烈過ぎる!

 

550:攻撃隊長

護衛機隊と一部の艦爆で初月に飽和攻撃を仕掛ける

 

551:名無しの転生者

了解、護衛機隊は初月に目標を変更する

 

552:名無しの転生者

こちら艦爆隊突入準備よし

 

553:攻撃隊長

タイミングを合わせて突入する

 

554:攻撃隊長

今だ!凸れ!

 

———————————————

 

 零戦と九九艦爆が三方から一斉に初月を強襲する。初月も迎撃を試みるが、長10cmの処理能力を超える攻撃を前に零戦の小型爆弾3発と艦爆の中型爆弾1発を被弾し中破してしまった。

 防空弾幕に空いた隙から攻撃隊が侵入し、雲龍隊と龍鳳隊はそれぞれの目標への攻撃針路をとった。先行して艦攻が雷撃を開始、飛鷹と瑞鳳はこれを回避したが直後に艦爆が急降下、飛鷹が被弾し大破したが瑞鳳は回避に成功した。この時雲龍隊の艦爆は縦一列に編隊を組み、順番に急降下爆撃し、次々と命中弾を与えていた。このあと艦攻による再攻撃によって瑞鳳が1発被雷し大破、山城が小破した。

 

 これにて航空戦は終了。両艦隊は砲雷撃戦に移行する。

 

 

 

 

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