TS受けポケ使いが崩されるまで   作:ヤキブタアゴニスト

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ちょっと短いですが、キリの良いところまでで




第8話

 

 

グライオン相手にネギガナイトでは分が悪いと思ったのか、それとも毒のダメージを抑えようとしたのか、サイトウさんは迷わず交代を選んだ。

 

「タイレーツ!!頼みました!!」

 

ネギガナイトが戻って代わりに出てきたのはタイレーツ。リーダーのヘイチョーの合図に従って陣形を組んで戦うポケモンだ。

 

 

「行きます!!タイレーツ、”背水の陣”!!」

 

そして、得意技はこの”背水の陣”!!自分を追い込んで全ての能力を出し切る構えだ。

 

「交代!!ヌオー、お願い!」

 

だからこそ、この隙に有利なヌオーに交代する。グライオンでも問題ないが、”背水の陣”を使ったタイレーツは交代できない。ならば、ヌオーの出番だ。

 

「ヌオー、”あくび”!!!」

 

そう、相手の眠気を誘う”あくび”。これによって交代できないタイレーツはそのまま眠るしかない。

 

ヌオーがタイレーツによく見えるように”あくび”をする。タイレーツも技を放とうと迫っているのでヌオーを見ざるを得ない。あとは、攻撃を耐えればいいだけだ。ヌオーの耐久ならそれが十分に可能なはずだった。

 

「タイレーツ、”草分け”!!!」

 

「えっ!!!」

 

 

放たれた攻撃は”草分け”。威力の高くない、なんてことのない技だ。しかし、みず・じめんタイプのヌオーに対して効果は超抜群だ。一度で倒されるほどではないが、余裕をもって耐えられるわけではない。

 

「グライオン!!!!」

 

慌ててグライオンに交代、眠ったタイレーツに余裕をもって対処する。

 

『タイレーツ、戦闘不能』

 

数回の”地震”によって無事倒しきることができたが、やはり不意に弱点を突かれると受けは脆い。一度でもサイクルを崩されれば、最後まで一気に崩壊しかねない。

 

 

 

 

そこからは、再びサイクル戦の様相を呈した。

サイトウさんの残りはルチャブル、ネギガナイト、ゴロンダ。これをグライオンとヌオーで受けるのだが、やはりネギガナイトのリーフブレードが辛い。それに加えて、ゴロンダには”冷凍パンチ”、ルチャブルは”地震”が効かない上に”剣の舞”を使ってくるのでこちらはできればヌオーで相手したい。

 

しかし、仮にルチャブルの特性が”かたやぶり”だったら恐ろしいところだった。ルチャブルの”剣の舞”はヌオーの”てんねん”で無効にできるが、”かたやぶり”なポケモンの攻撃には無力なのだ。

 

そういうわけで、慎重に交代を重ねていく。焦る必要はない。ネギガナイトはすでに毒を受けているので、時間は私のほうに味方している。

 

 

それが分かっているので、サイトウさんはこちらに様々な揺さぶりを掛けてくる。ここは無理をしないことが最優先だ。

ゴロンダの”ともえなげ”によってヌオーが交代させられた時には驚いたが、技を受けながらもヌオーが放った”熱湯”によってゴロンダがやけど状態になったことで機能停止に追い込むことができた。

 

あとは、

 

「ルチャブル、”フライングプレス”!!」

 

「受け止めてから”自己再生”!!」

 

ヌオーのゴツゴツメットでルチャブルやゴロンダに圧力をかけ、

 

「”リーフブレード”!!」

 

「グライオン、交代!!」

 

ネギガナイトに毒が回るのを待つ。さっきまでの派手なバトルから急に地味なバトルになるが、これが私の本領だ。

 

そして、ついにその時が訪れる。

 

『ネギガナイト、戦闘不能!!』

 

私の勝ちだ!!!

 

 

 

 

 

 

 

「負けて悔いはありますが、清々しさも同時に感じます。ここまでの勝負をさせて下さり、ありがとうございました」

 

そのサイトウさんの言葉とともに手が差し出され、スタジアム中からの心地よい拍手が聞こえてくる。さっきまではバトルに集中しすぎて耳に入ってなかったが、その歓声は温かいものだった。

 

「こちらこそ、楽しいバトルをありがとうございます」

 

私も本心からその言葉を返し、手を握る。”鉄壁”で防御を上げたアーマーガアを倒されるとは想像だにしていなかったし、終盤まで気が抜けない戦いだった。

 

私は確かな満足感と共にスタジアムを去るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ファイナルトーナメントもいよいよ次が最後、ここを勝てばチャンピオンのダンデさんに挑戦できる。今の私でダンデさんに勝てるかどうかは分からない。

 

だけど、勝っても負けてもその先は?

 

ゲームには目的は必要ない。ただ面白いからやる。それで十分だ。

もちろん、ストーリーでは目的が与えられるし、ランクマッチではランクの上下でより上位を目指すのが目的と言えるかもしれない。

 

バトルハウスでの修行なんかは分かりやすい。自分もポケモンも成長していくし、パーティを組むのも試行錯誤だった。ガラルに戻ってきたのは、ある程度満足ができたものを試すため、そしてそれを次の段階に昇華するためのものだったはずだ。

 

パーティの欠点も弱点もこの2戦で分かってきたつもりだ。だが、それをどうするべきなのかは分からない。仮に、私がガラルでこの先もやっていくとすれば、当然ながらメタの対象になる。そうならば、相性というのがある以上、他のポケモンを入れて攪乱するのは必須だ。

 

実際、多くのジムリーダーもエース以外は相手によって入れ替える人が多い。私でいうならば、ドヒドイデ・ヘイラッシャ・ナットレイのような水や氷に強いポケモンが第一候補にはいるだろうか。クレベースやエアームドのような頑丈なポケモン、ブラッキーやラウドボーンも耐久に定評がある。

或いは、一体くらいならアタッカーを育てるのも効果的かもしれない。それが私に出来るかは分からないけど。

 

一般ポケモンの枠に収まっているこれらのポケモンなら、最低限の育成と訓練は可能だろう。ただ、その能力を十全に活かせるほど連携できるだろうか、そして今のパーティに新しいポケモンが入って平気だろうか。

 

時間を見つけてガラルに来てくれることになったラニュイ姉さんにも相談してみよう。なんだかんだ言って、この手の相談には真剣に考えてくれるのを私は知っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダイマックス、それはガラル地方特有の現象で、とあるエネルギーによってポケモンが巨大化するというものである。いまやローズ委員長によってそれを用いたバトルが興行として行われており、一流のトレーナーたちはこれを当たり前のように使いこなしている。

 

 

対して、私はここまでダイマックスを殆ど使っていない。ダイマックスは回復技を使えなくなるために私の戦術と相性が悪く、公式戦のような場では専ら相手のダイマックスを受け止めることだけを考えていた。

 

だけど……

 

「こっちから相手のサイクルを崩したり、強引に耐えて反撃するのには有効か……少し練習が必要かな」

 

 

ダイマックスを組み込むことも考えるべきかもしれない。

 






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