TS受けポケ使いが崩されるまで   作:ヤキブタアゴニスト

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第9話

 

チャンピオンカップ、ファイナルトーナメントの決勝戦。その相手は予想通りキバナさんだった。この地方でも有数の強者たるジムリーダーたちが激突するファイナルトーナメントにおいて、キバナさんはここ数年連続で勝ち続けている。生半可な相手ではない。

 

キバナさんは天候以外の搦手やギミックを使うことは殆どなく、殆どのバトルで相手のポケモンを正面から突破してきた。それが私の受けの戦術とどう噛み合うかは分からない。

 

「さてさて、ようやく思いっきり戦えるな。ジムチャレンジのときのオレさまと同じだとみくびるなよ。勝ち残ってダンデと戦うのはオレさまだ!!」

 

『チャンピオンカップ、ファイナルトーナメント決勝戦。試合開始!!』

 

 

キバナさんはハイパーボールに指をかけ、サイドスローで押し出してくる。対する私は、いつもの通り、ハピナスのボールを手元に投げる。

 

 

『さあ、最初のポケモンは?おおっと、キバナ選手はヌメルゴン、レジェーナ選手はハピナス。これはレジェーナ選手有利か?ヌメルゴンの特殊技でハピナスを倒すのは至難の技だ!!』

 

対面することになったのは、ヌメルゴンとハピナスだ。まず、最初の勝負には勝ったというべきだろう。

 

たとえ、ヌメルゴンが馬鹿力のような物理技を覚えていても一撃でハピナスを倒すのは難しい。そして、もしヌメルゴンが物理型ならば、ハピナスはむしろステルスロックが最大の仕事になるはずだ。

 

 

 

「ハピナス!!!”ステルスロック”!!!」

 

「来やがったな。いけっ、クリムガン!!」

 

キバナさんも当然この展開は予想していたもののうちだったのだろう。即座に交代を選択する。

 

ハピナスが岩を撒き散らすと共に現れたのはクリムガン。素早さはないが、攻撃力に優れたポケモンだ。ハピナスの弱点を付ける"馬鹿力"を覚えるなど、単タイプとはいえ攻撃性能は高い。もちろん、このままではハピナスが抗いようがないので、ヌオーに交代する。

 

「クリムガン!!"炎のパンチ"!!」

 

『クリムガンは炎のパンチを選択!!!そして、交代で出てきたのはヌオーだ!!!これはレジェーナ選手が上回ったか!!』

 

と、飛んできたのは幸いにして"炎のパンチ"。ヌオーは落ち着いて捌き切る。交代先をアーマーガアと読み切っての攻撃だろう。”馬鹿力”をちらつかせて、その攻撃力低下を無視してしまうヌオーを出しにくいと読んでの行動だろう。

一瞬焦るがここは落ち着いて受けていく。ゴツゴツメットでダメージも与えており、幸先がいい。

 

「荒れ狂えよ!!クリムガン、”逆鱗”!!」

 

「ヌオー、”自己再生”!!」

 

一回引くのかもと思ったが、キバナさんは攻撃力に自信があるのかドラゴンタイプ最高クラスの攻撃技、”逆鱗”で突っ込んでくる。

 

荒れ狂うクリムガンの攻撃に耐え忍びながら、ヌオーは”自己再生”で回復する。ゴツゴツメットにもお構いなしの決死の攻撃だ。

 

『クリムガン猛攻!!!ヌオー、これは耐えられるのか!!!』

 

 

クリムガンの攻撃は凄まじいが、むしろこれは好機だ。自身の全力を以て暴れるこの技は、器用に他の技に切り替えることは出来ない。であれば、

 

「お願い、アーマーガア!!」

 

一瞬の隙をついてヌオーを戻し、アーマーガアに交代する。案の定、ターゲットをアーマーガアに変えて攻撃が続行される。しかし、はがねタイプを持つアーマーガアにはさしもの攻撃も大したダメージを与えられない。

 

「今のうちに”鉄壁”!」

 

まだまだ攻撃してくるクリムガンにアーマーガアは”鉄壁”で応戦する。龍の鱗と鋼がぶつかり合い、凄まじい音が響く。

 

ようやく攻撃を止めたクリムガンは猛攻に疲れて混乱している。それを見たキバナは嬉しそうにクリムガンを手持ちに戻す。

 

「クリムガン、戻ってくれ!」

 

「今のうちに回復して!”はねやすめ”!!」

 

『アーマーガアは”逆鱗”で受けたダメージを回復していく!!さあ、キバナ選手はどうでるか!』

 

こちらは安全をとって”はねやすめ”。後続に備えることにする。防御の上がったアーマーガアが体力全快なら大抵のポケモンに打ち勝てる。

 

 

「暴れてこい、バクガメス!!!」

 

ステルスロックによって傷つきながらも出てきたのはバクガメス。ほのおタイプを持ち、どちらかといえば特殊攻撃を得意としている。アーマーガアにとって極めて相性の悪い相手だ。当然私は交代するしかない。

 

「アーマーガア、お疲れ。ドオー、行ってきて!!」

 

そして、交代先はハピナスではなく、あえて物理技の"ストーンエッジ"を使えるドオーを選択した。バクガメスの専用技のトラップシェルは物理技を受けてから攻撃する技、本来なら避けるべきだ。ただ、キバナさんが発動を狙ってくれば、却って私のほうに余裕が生まれる。

 

『さあ、レジェーナ選手は防御力の上がったアーマーガアを惜しげもなく交代させる!!繰り出したポケモンはドオーだ!!』

 

 

 

「バクガメス、”にほんばれ”だ!!」

 

こちらの交代のタイミングでキバナさんは”にほんばれ”。炎技の威力が増加することで、より一層アーマーガアを活躍させにくくなる。だが、ドオーはダメージを受けていない。ここは強気に突っ張ってもいいだろう。

 

「ドオー、”どくびし”!!」

 

「バクガメス、”トラップシェル”だ!!攻撃してきたところを仕留めてやれ!!」

 

そう、ドオーはバクガメスに効果抜群の岩技、”ストーンエッジ”を持っている。本来ならこれを撃ちたくなるところだが、あえての”どくびし”。着実に有利を取る動きが重要だ。

 

『おっと、これはドオーは攻撃せずに”どくびし”!!ここまで完全にレジェーナ選手のペースです!!しかし、キバナ選手のポケモンもほとんどダメージを受けていません。戦況は五分といったところでしょうか』

 

キバナさんは攻撃を誘おうと”火炎放射”や"ソーラービーム"を撃ち込んでくるが、こちらは”自己再生”で回復しつつ、フィールドに”どくびし”をばらまいていく。

 

「フライゴン、暴れまわれ!!!」

 

ドオーの突破を諦めたキバナさんが繰り出したのはフライゴン。”どくびし”がばら撒かれているものの、浮いているので毒状態にはならない。そして、ほぼ間違いなく"地震"によってドオーの弱点を突いてくる厄介な相手だ。

しかし、フライゴンの特性”浮遊”はこっちにも有利に働く。

 

素早くドオーを戻し、私の手から放たれたボールから飛び出したのはポリゴン2。そして、その特性はトレース。相手の特性と同じ特性になるという特性だ。

 

「フライゴン、”地震”!!!」

 

『フライゴンの攻撃はなんとポリゴン2に効いていない!!ポリゴン2、これはフライゴン同様浮き上がって躱している!!』

 

そのままフライゴンの地震をポリゴン2は”浮遊”によって躱す。フライゴンの最大の攻撃は恐らく地震。仮に”逆鱗”を持っていたとしてもしばらくは技を続ける以上、打ちにくいだろう。そして、ポリゴン2に向かい合ったフライゴンは”冷凍ビーム”を警戒して引くしかない。いくら、私のポリゴン2の”冷凍ビーム”の精度が高くないとはいえ、命中したら一撃で倒れるような状態で居座るのは勇気が必要だ。

 

「ポリゴン2、”冷凍ビーム”!!」

 

「ヌメルゴン!!受け止めろ!!」

 

交代で出てきたヌメルゴンは足元にまかれた”どくびし”によって動きが鈍り、そこを”冷凍ビーム”が貫く。ヌメルゴンの特防がいくら高いといっても、それなりのダメージにはなるだろう。

 

『ポリゴン2からは"冷凍ビーム"が放たれる!!しかし、キバナ選手、粘り強いヌメルゴンに交代。両者一歩も引かない戦いだ!!』

 

そして、天候は未だに晴れ。毒のダメージも考えたらキバナさんは雨乞いで雨にして、うるおいボディで治したいはずだ。それに、このままでは”ハイドロポンプ”の威力も上がらず、かみなりの命中は全くもって期待できない。

 

だからこそ、

 

「ヌメルゴン、雨乞い!!」

 

「ポリゴン2、戻って。ハピナス交代!!」

 

ここでハピナスに交代する。ハピナスの特防は半端ではない。ヌメルゴンは攻め手に欠くことになる。そうすれば、ヌメルゴンは引かざるを得ない。

 

そして、

 

「ハピナス、”ステルスロック”!!!」

 

「ヌメルゴン、戻れ。行ってこい!クリムガン!!」

 

交代先は予想通り最初と同じクリムガン。これでクリムガンは”どくびし”で猛毒状態になった上に、こちらは交代の隙にもう一度”ステルスロック”を展開できた。

 

『完全にレジェーナ選手のペースだが、キバナ選手はどう突破するのか!!』

 

 

「クリムガン、馬鹿力!!!」

 

さらに、私はこのタイミングでアーマーガアに交代。

 

ガシンッ!!!

 

クリムガンの”馬鹿力”も防御に優れたアーマーガアには通じない。その上、弱点の”炎のパンチ”もヌメルゴンが呼び込んだ雨によってダメージが抑えられる。

 

「アーマーガア!”鉄壁”!!!」

 

”鉄壁”で防御を上げれば、クリムガンによる突破は難しいだろう。当然、キバナさんもそれをやらせまいと交代してくる。

 

「ヌメルゴン!!”かみなり”!!」

 

「ハピナス、受け止めて!!」

 

 

雨が降り頻る中、”かみなり”がハピナスへと命中する。しかし、これも余裕で耐えきって回復していく。

 

よし、ここまでは順調だ。

 





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