TS受けポケ使いが崩されるまで   作:ヤキブタアゴニスト

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感想・誤字訂正等々ありがとうございます。

キバナ戦後半です。




第10話

 

技と交代の応酬が続く中で、私はほっと息を吐いていた。確かにキバナさんは強敵だ。

 

それぞれのポケモンから放たれる技の速度・精度はこれまでガラルで戦ってきたどんな相手よりも高い。各ポケモンの動きは素早く、戦闘勘も持ち合わせているので、技をクリーンヒットさせるのは難しいだろう。実際に、こちらからの攻撃で命中したのは交代際のヌメルゴンにポリゴン2が放った”冷凍ビーム”がせいぜいだ。

 

そう、正攻法でキバナさんを倒すのは極めて難しい。なぜなら、ダメージレースで勝てるわけがないのだから。

 

しかし、それは私にとっては問題にならない。元々相手の攻撃は当たるものとして動き、こちらの攻撃は当たらないことを前提にしている。それでいて、”どくびし”と”ステルスロック”については問題なく設置できている。キバナさんからすれば、私ほど戦いにくい相手はいないだろう。

 

だけど、キバナさんがこのままで終わるはずはない。

 

 

 

 

「さあ、ここから反撃だ!!カイリュー!!」

 

出てきたのはカイリュー。特性の”マルチスケイル”によって体力が満タンならばほぼ全ての攻撃を耐えることができる。しかし、”ステルスロック”のダメージが入り、カイリューの顔を歪ませる。

 

「カイリュー、”龍の舞”!!!」

 

『カイリューは龍の舞!!!攻撃力を上昇させていく!!さあ、レジェーナ選手はどうする!?』

 

しかし、そんなことではカイリューは止まらない。力強く”龍の舞”を行い、攻撃と素早さを上昇させる。

 

 

「ヌオー、よろしく!!」

 

対するはヌオー。カイリューが”龍の舞”で攻撃力をいくら上げても、特性”天然”を持つヌオーには効かない。ここでの最適任者だろう。

 

「ヌオー、”熱湯”!!!」

 

「カイリュー、躱しながらさらに”龍の舞”!!」

 

ヌオーが出てきても、カイリューは尚も”龍の舞”を続ける。ヌオーは果敢に”熱湯”を放つが、素早く動き回るカイリューには当たらない。

 

 

「もう一度、”熱湯”!!!」

 

『カイリューは尚も龍の舞。しかし、ヌオーには通じないぞ!!しかし、ヌオーの熱湯もカイリューには当たらない!!』

 

“あくび”でもいいが、物理アタッカーであろうカイリューを止めるには”火傷”状態にするのが1番良い。”熱湯”を繰り返すこちらに対し、キバナさんの指示は意外なものだった。

 

 

「カイリュー、”炎の渦”!!」

 

カイリューの起こした炎によってヌオーが”炎の渦”に囚われる。さらに、炎によるダメージがヌオーを襲う。しかし、それだけだ。返しの”熱湯”がカイリューに命中する。ダメージは期待できないが、交代できない以上これ以外にやる事はない。

 

「ヌオー、さらに続けて!!」

 

「カイリュー、もっともっと高めろ!!」

 

 

 

 

『カイリューはヌオーを炎の渦で攻撃、しかしヌオーには効果は薄い!!しかし、ヌオーの熱湯も効果はいまひとつだ!』

 

カイリューは”龍の舞”を、ヌオーはそれに目掛けて”熱湯”を放ち、”炎の渦”のダメージを”自己再生”で回復する。

 

そんな繰り返しの中で

 

「くっ」

 

数回目の”熱湯”の命中でついにカイリューが火傷する。”ステルスロック”に”熱湯”のダメージ、加えて”火傷”が徐々にカイリューの体力を奪う。確かに、”熱湯”はカイリューに対して今一つの効果しかない。しかし、”火傷”でのダメージと合わせればカイリューを追い詰めることができる。草技のないカイリューでヌオーを倒すのは難しいだろう。

 

しかし、そんな安易なことをキバナさんがするはずもない。キバナさんはこの技を隠し持っていた。

 

「カイリュー!!”ドラゴンテール”!!!」

 

「あっ!!」

 

 

私の目の前で、カイリューによってヌオーが吹き飛ばされる。カイリューは”ゴツゴツメット”でのダメージに顔を顰めつつ、ヌオーを交代させてきた。

 

 

代わりに飛び出てきたのはグライオン。物理耐久には自信があるが、攻撃力の上がったカイリューとやり合えるかといえば難しい。しかし、油断し切っていた私に適切な応手を出せるわけもない。

 

「カイリュー、”逆鱗”!!」

 

 

「えっと、とりあえずグライオン、”守る”!!」

 

 

ワンテンポ遅れた上に、出した指示は状況を整理するためにグライオンに”守る”で時間稼ぎをさせるというものだった。しかし、素早さも上昇したカイリューにいつものような後の先は通用しない。

 

「グライオン!!!!」

 

少し苦しそうにしながらも、カイリューはグライオンが守る前に”逆鱗”を敢行。なんとあのグライオンが一撃で倒される。不味い、完全に不味い。

 

ヌオーを出すという考えが頭の中からなくなっていた私は、後から考えると冷静さを欠いていたのかもしれない。"逆鱗"を止めるまでヌオーで押しとどめるのは十分に可能だっただろう。

 

 

「アーマーガア、耐えて!!!」

 

私が繰り出したのはアーマーガア。はがねタイプでドラゴンタイプの逆鱗は効きにくい。

 

「カイリュー、暴れ続けろ!!!」

 

「アーマーガア、"はねやすめ"!!」

 

しかし、怒りに任せて攻撃するカイリューは凄まじい。火傷によるダメージ軽減、タイプ相性を乗り越えて、アーマーガアに大きなダメージを与える。それは、"はねやすめ"で回復できる量を超えているように私には見えた。

 

思い切って最初に鉄壁を使っていればと嘆いてももう遅い。今からでは逆鱗で押し切られてしまう。なんとか回復しているが、いつまで持つかは分からない。

 

 

 

そう思った矢先だった。

 

 

「カイリュー!!!」

 

『なんと、カイリューがここで倒れたーーー!!!」

 

倒れたのはカイリューの方だった。思えばステルスロックに熱湯、火傷、それからおそらくは命の珠を使っていたのだろう。蓄積したダメージに耐えられず、ついにカイリューがダウンする。

 

悔しそうにカイリューを戻すキバナさん。しかし、すぐに次のボールを握りしめ、投げる。

 

「行ってこい!!ジュラルドン!!」

 

『おーっと、キバナ選手。ここでエースのジュラルドンを投入だーー!さあ、対するレジェーナ選手はどう迎え討つのか!?!』

 

現れたのは、ジュラルドン。ついにキバナさんは切り札を切ってきたことになる。それにしても、"ボディプレス"で弱点を突かれるアーマーガアの前に出してきたのは不自然と言うほかない。一旦、引いて様子見をするべきだろう。

 

 

「アーマーガア、お疲れ様。ポリゴン2、お願い!!」

 

「ジュラルドン、"かみなり"!!!」

 

案の定飛んできたのは特殊技かつアーマーガアの弱点を突ける"かみなり"。あのまま突っ込んでいたらアーマーガアは耐えられなかっただろう。ポリゴン2はそれを余裕で耐えている。

 

不意にできたこの局面だが、これを大きなチャンスだと私は直感した。

まず、ジュラルドンはキバナさんのエースであり、先ほど不慣れなはずの"かみなり"を余裕で命中させてきたように技の精度も極めて高い。そして、はがねタイプとの複合によってどくびしの影響を受けず、ステルスロックや"冷凍ビーム"にも耐性がある。キバナさん目線、ポリゴン2を倒すためにはジュラルドンが最適なはずだ。

 

だからこそ、エースを最後にしか出さないキバナさんがこのタイミングで出してきたのだ。そして、物理か特殊か分からない以上、私が出すのはポリゴン2にならざるを得ない。つまり、このジュラルドンにはポリゴン2を倒すための技が搭載されているはずだ。"メタルバースト"や"ミラーコート"などの反射技、それとも弱点になる格闘タイプの技かもしれない。単純にこちらの"冷凍ビーム"を躱す算段があるのかもしれない。

 

だけど、一番重要なのはここでジュラルドンに大ダメージを与えることが勝利へ直結することだ。

 

「ここが勝負の分かれ目!!いくよ、ポリゴン2。ダイマックス!!!!!」

 

しかし、ダイマックスならばこれに対処可能だ。巨大なボールを抱えるように投げ、私はポリゴン2をフィールドに解き放った。

 

 

「なに!!!!いや、ジュラルドン、”金属音”でポリゴン2を弱らせろ!!!」

 

「ポリゴン2、"ダイアイス"!!!」

 

『なっ、なんとレジェーナ選手。ここまで見せなかったダイマックスをこのタイミングで使ってきた!!!そして、ポリゴン2がダイアイスを放つーー!!』

 

驚く観客席と実況、ボルテージが一気に上がった会場の空気が私の背中を後押しする。

 

キバナさんは、しかしそのまま”金属音”を指示。こちらの特防を下げて撃破するという予定だったのだろう。確かに、特防が下がったままでの技の打ち合いでは命中精度に不安のあるこちらが少々不利だ。

 

だけど、ダイマックスして放たれるダイアイスを避けるのは困難だ。ジュラルドンに正面から"ダイアイス"が命中し、霰が舞い始める。ジュラルドンはそれを受け止めるも十分なダメージが入ったはずだ。

 

「ジュラルドン、こちらも必殺のキョダイマックスで対抗だ。スタジアムごと吹き飛ばせ!!」

 

一瞬の不意を突かれたキバナさんだが、すぐさまジュラルドンをキョダイマックスさせる。当然だろう。ここで交代してもヌメルゴンもバクガメスも"ダイアイス"に対抗するのは難しい。ならば、金属音を当てたポリゴン2を攻撃するのが得策だ。

 

「ポリゴン2、"ダイアイス"!!!」

 

「ジュラルドン、"キョダイゲンスイ"!!」

 

 

『キバナ選手もジュラルドンをキョダイマックスだ!!!ダイマックスポケモン同士の真っ向勝負!!』

 

こちらからは再びのダイアイス。そしてジュラルドンからはキョダイゲンスイが放たれる。

ダイマックスポケモン同士の派手なぶつかり合い。特防が下がったポリゴン2はしかし、ダイマックスによる耐久の上昇でキョダイゲンスイを受け止める。

 

 

「仕留めて!!ポリゴン2、"ダイアイス"!!!」

 

「ジュラルドン、覚悟を示せ!!"キョダイゲンスイ"!!」

 

 

再びの激突。

 

その軍配はポリゴン2に上がった。ポリゴン2は二度の"キョダイゲンスイ"を受けてなお堂々と君臨し、ジュラルドンは耐えきれずに巨体を横たえる。完全にダイマックスを使うタイミングの差による勝利だが、この影響は大きい。

 

ただ、こちらのポリゴン2は"キョダイゲンスイ"による疲労によって冷凍ビームを使うのは難しそうだ。私はダイマックスを終えたポリゴン2にお疲れ様と声をかけてから手元に戻すのだった。

 

 

 

キバナさんとのバトルは、はっきり言えばジュラルドンが倒れた時点で大勢は決していた。

ダイマックスという不意打ちが無ければ、こちらには常に安定な選択肢が存在することになる。"どくびし"や"ステルスロック"をはじめとした地味な削りによってダメージレースは単調な様相を呈する。

 

フライゴンの"サイコノイズ"による回復の妨害という不意打ちはあったものの、それはもはや逆転される要素ではなくなっていた。

 

 

 

 

最後まで耐えていたヌメルゴンにハピナスの"トライアタック"が突き刺さり、キバナさんのポケモンが全て倒れる。

 

ここに私はチャンピオンカップ、ファイナルトーナメントを制したのだった。

 





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