TS受けポケ使いが崩されるまで   作:ヤキブタアゴニスト

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いよいよダンデ戦です。




第11話

 

キバナさんに無事勝利を収めた私はファイナルトーナメントを優勝したことになる。これで、チャンピオンたるダンデさんとの闘いに挑むことができるのだ。

 

思えば、随分なところに来たように思える。キバナさんには励まされ、観客からは拍手を受け取る。ダイマックスの派手な戦いを見せたという点もそうだろうが、それ以上にバトル全体に対しての歓声も多かったと思う。

 

 

 

ゲームだとここで様々なトラブルが起こるわけだが、ローズさんからの話を聞いている限り今すぐ何かをしようという感じではなさそうだ。

ローズさんからはあれ以来直接の接触はないが、定期的に連絡を取っている。リーグ委員長の力で、練習場やバトルタワーの設備の便宜を図ってもらったり、珍しいアイテムの調達をお願いしたりしている。ジムリーダーたちの戦略に対抗できたのも、そうした訓練のお陰とも言えるだろう。

その度に思うのが、ローズさんの凄まじさだ。ガラルの将来のためといってここまでの支援をもらっているが、見返りを強制される事もない。これはガラルでポケモンバトルが興行として成功するはずだ。もしかすると私のバトルが受け入れられつつあるのも、ローズさんが評価してくれていることが一因なのかもしれない。

 

もし、ムゲンダイナが覚醒するときに主人公たちが居ないのならば、私が立ち向かってみるのも面白いかもしれない。少し自信のついた私はそんなことまで考えるようになっていた。何より、ムゲンダイナの能力は凄まじい。もし、あれを使役できれば今の私が感じるパーティの弱点を全て解決できるかもしれない。そんなポケモンだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは置いておいて、今は次に来るダンデさんとの戦いだ。そのために必要な準備について考えていると来客があった。スマホロトムのメッセージを見て知っていたので部屋の扉を開ける。

 

「あいかわらず、その恰好しとんのね〜」

 

そう言って現れたのは遥々カロスから来たラニュイ姉さんだ。そう言うラニュイ姉さんは、今日は髪を下ろし、黄色を基調とした大人しめのワンピース姿。華やかさの中に落ち着いた雰囲気をまとい、バトルシャトレーヌのきらびやかな姿とはまるで別人のようだ。花畑に佇めばそのまま絵になるに違いない。

 

「久しぶり、ラニュイ姉さん」

 

そう言うと、ラニュイ姉さんは微笑みながら私の頭を撫でる。

「レジェーナ、ジムリーダー相手に完勝とかすごか〜! おねーちゃん、ほんとびっくりしたばい!チャンピオンに挑むなら、見にこんわけにはいかんっちゃね!」

なんだかんだで、直接会うのは随分久しぶりだ。

カロスでの出来事も聞きたいし、私がガラルに戻ってからの話もスマホ越しでは限界がある。

 

だけど、その前にやるべきことがある。

 

 

ガラルの偉大なチャンピオン、ダンデ。

その強さは折り紙付きであり、ローズ委員長と共にガラルにおける「エンターテインメントとしてのポケモンバトル」を体現する存在だ。

派手なパフォーマンス、豪快な技、しかも最近は固定したパーティで速攻の攻め重視の編成をしている。いわば縛りプレイに近いはずだが、それでも勝ち続けるのがダンデさんの恐ろしいところだ。

 

だからこそ、私はそこに付け入る。

挑戦者としての権利であると同時に、私自身の戦略を変える転換点かもしれない。

そんな思いを抱きつつ、私はラニュイ姉さんにその分析を共有した。

 

「うーん……思ったより偏りがすごかとよ」

 

彼女は腕を組み、すぐに気づいたように言う。

そう、ラニュイ姉さんの言う通りだった。ダンデさんの手持ちは、一見するとタイプ相性の幅が広い。しかし技構成や戦術面では、搦手の対策が少なくかつ明らかに特殊攻撃に寄りすぎている。

何度も私と戦ってきたラニュイ姉さんだからこそ、その偏りを瞬時に見抜いたのだ。

 

 

もちろん、それは単なる弱点にはならない。

ダンデさんのポケモンは驚異的な練度を誇り、力任せの打ち合いでは到底勝ち目はない。過去の挑戦者たちが敗れたのも、まさにその「圧倒的な練度」の前だった。私も同じ轍を踏むつもりはない。

 

だが、事実としてダンデさんのパーティはこちらから付け入れられるほどに特殊偏重だ。

リザードンもドラパルトも、本来なら物理面でも強力なはずなのに、採用技は特殊に限られている。両刀のギルガルドでさえ、物理は”聖なる剣”のみ。

「つまり……事実上、ハピナスで対処できないのはギルガルドとドサイドンだけです」

私の言葉に、ラニュイ姉さんは目を細めて笑った。

「ほぉ〜……そいば倒せたら、ハピナスがぜーんぶ守ってくれるっちゃろ?」

 

もちろん、ドラパルトには有効打がない以上、ハピナスは倒されないというだけだ。ただ、物理特殊がバラバラであれば地力に劣る私のパーティでは瞬間的にサイクルが破壊されるリスクが付きまとう。それを除けるのならばそれは勝利に大きく近づく。

 

「――というわけで、特訓に付き合ってほしいんだけど?」

 

「よかよか! 任せとき〜!レジェーナのためなら全力で付き合うけん!」

 

頼もしい笑みと共に返ってきた答えに、胸の奥が熱くなる。勝利への道は険しい。だが、確かに見えてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シュートスタジアム。ガラル最大のスタジアムの中央で私は一人の男と向かい合っていた。

 

彼の名前はダンデ。間違いなくガラルで最強のトレーナーだ。彼のチャンピオン就任以来、その壁を打ち破ったものはいない。そんな相手に、私はこれから挑むのだ。

 

 

「コートに張りつめる緊張と、観客の熱狂……どっちも最高じゃないか!

そんなものをはねのけて――ポケモントレーナーとしての全てを、チームの全てを出し切って勝利をもぎとる! それがオレは好きで好きでたまらないんだ!!

キミがジムチャレンジを最速で勝ち抜いたときから、この瞬間をずっと待っていた。オレの最高のパートナーたちも、ボールの中でうずうずしてるぜ!

さあ、見せてみろ、レジェーナ!ガラル地方チャンピオン、ダンデとリザードンが積み重ねてきた経験と知識、それでキミたちの全てを打ち砕く!これが本当のチャンピオンタイムだ!!!!」

「ダンデさん、あなたの全力、私が受け止めてみせます!!」

 

 

 

 

後ろに下がってボールを構える。反対側にはマントを脱いでハイパーボールを構えたダンデさん。

 

スタジアム中の目が、ガラル中の目が、このフィールドに突き刺さる。

 

『試合開始!!!!!』

 

その合図とともに、手元からボールが放たれる。さあ、何が出てくるか。互いに固唾を飲んでそれを見守る。

 

「ゆけっ!ギルガルド!!」

 

「アーマーガア、よろしく!」

 

向かい合ったのはアーマーガアとギルガルド。ダンデさんは開戦劈頭の奇襲のリスクを下げるためか、防御力に優れるギルガルドを出してきた。熱くなってもこのあたりの判断力は冷静だ。

 

『さあ、レジェーナ選手のアーマーガアはどうする!!ゴーストタイプを持つギルガルドがやや有利か!?』

 

鋼タイプ同士とタイプ的にはやや不利かと言ったくらいだが、アーマーガアのボディプレスはギルガルドに効果がない。こちらには有効打がない以上、引くべきだろう。

 

「ドオー、お願い!!」

 

ここでこちらはドオーの出番だ。ギルガルドの物理攻撃技、”聖なる剣”は効果がいまひとつであり、シャドーボールも安定して受け止められる。

 

「ギルガルド、ラスターカノン!!」

 

と思ったが、ダンデの判断はラスターカノン。鋼タイプの技だ。ブレードフォルムに変化したギルガルドから放たれた光線がドオーに突き刺さる。ハピナスやポリゴン2で透かされたくはないが、接近して攻撃したくもないという判断だろう。

 

 

「ドオー、”どくびし”!!」

 

「ギルガルド、戻れ!!」

 

ここでギルガルドはダンデさんの手元に戻る。キングシールドによってシールドフォルムに戻る間にドオーに動かれるのを嫌ったのかもしれない。それに、攻撃を続けて私がドオーに”地震”を仕込んでいれば、大ダメージを受けることは避けられない。

 

 

『ドオーはギルガルドの攻撃を受け止めて”どくびし”をまき散らす!!さあ、ギルガルドに代わって出てくるのは~~~!!ドサイドンだ!!』

 

代わりに出てきたのは事前想定通りのドサイドン。特性”ハードロック”によるタフネスと攻撃力に優れる重戦車型のポケモンだ。ドオーに効果抜群の”地震”を放てることもあり、ドオーは相性上引くしかない。

 

そして、それをダンデさんも分かっているはず。

 

「頼んだ!!グライオン!!」

 

「ドサイドン、”ヒートスタンプ”!!」

 

案の定、飛んでくる”ヒートスタンプ”はおそらくアーマーガアへの交代を読んだ炎技だ。ドサイドンの巨体から放たれるそれは、グライオンが避ける間もなく命中する。

 

だが、攻撃を受けたグライオンは受け身を取りながら吹き飛ばされ、ドオーのばら撒いたどくびしの上に上手く着地する。これでグライオンは毒状態、ポイズンヒールを発動することができる。多少無理をしてでもドオーの直後に出した甲斐があった。

 

『グライオンは吹き飛んで、地面に叩き付けられた?!!ドサイドンは追撃できるか!?!』

 

 

ドサイドンは防御力が高いので地震で倒しきるのは難しいが、とりあえず受け止めることは出来そうだ。

 

「グライオン!!”守る”!!」

 

「ドサイドン、交代!バリコオル!!」

 

流石にダンデさんは判断が早い。ドサイドンに有効打がないと見るや、即座にバリコオルに交代する。

体勢を崩したところへの追撃を防ぐためにグライオンに”守る”を指示するも、結果としてはバリコオルに降臨を許すことになった。

 

『また交代だっ!!互いに探り合いながら慎重にバトルを進めている!!!』

 

氷タイプを持つバリコオルの相手をグライオンにさせたくない。

 

 

「ハピナス!!任せた!!」

 

ダンデさんのテンポの早さにこっちも対応してハピナスを繰り出す。出てきたバリコオルは”どくびし”で毒状態になり、ハピナスは受けるだけで有利になる。と思ったが、バリコオルにその様子はない。よく見ると、バリコオルは厚底ブーツで”どくびし”を無力化している。

 

 

「バリコオル、”高速スピン”!!」

 

さらに、バリコオルは”高速スピン”によって”どくびし”を弾き飛ばす。ハピナスへのダメージは小さいが、肝心なダメージソースを無力化してくる厄介な技だ。これではステルスロックを設置してもすぐに弾き飛ばされてしまう。

 

「ハピナス、”タマゴうみ”で回復!!」

 

「ギルガルド!!行ってこい!!」

 

ハピナスが一旦”タマゴうみ”で回復する隙に、今度はギルガルドの登場だ。格闘タイプの”聖なる剣”を受けるわけにはいかないハピナスを、またもやドオーに交代する。

 

『シャドーボールが突き刺さる!!しかし、ドオーは揺らがない!!』

 

飛んできたのはシャドーボール。完全に読まれているが、それでいい。

 

「ドオー。戻って!!」

 

「ギルガルド、戻れ!!」

 

すぐさまドオーを交代、ダンデさんもギルガルドを交代だ。

 

「行ってこい!ドサイドン!!」

 

「ポリゴン2、よろしく!!」

 

そして、お互いのポケモンはドサイドンとポリゴン2。さあ、勝負の時間だ。

 





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