技に注を入れてみました。読みやすいかは不明ですが。
オレンジアカデミーに突如現れた、アーマーガアとドオーを連れた少女。
制服姿はまだ幼く、私よりいくつか年下に見える。けれど、その佇まいには不思議な迫力があった。
そして何より目を引いたのは、彼女の隣に立つポケモンたちだ。
その羽ばたき、その構え、その呼吸。どれもが磨き上げられていて、ただの学生の手持ちとは到底思えない。
もしかすると、オモダカさんのポケモンたちとも互角に渡り合えるのではないか、そう思わせるほどの練度だった。
思わず喉が鳴る。
胸の奥に込み上げるのは、不安ではなく期待。
こんな相手と戦えるのかという高揚感に、心が熱を帯びていくのを感じた。
「勝負開始!!ルガルガン!!」
「ヌオー、お願い!」
繰り出されたのはヌオー。姿こそドオーと似ているが水タイプを持つ別のポケモンだ。そして、このヌオーもまたドオーと同じ強者の匂いがしている。
最初から全力で行かなければいけない相手、久々の胸沸き心踊るバトルに思わず指示を出す声も大きくなる。
「ルガルガン、”ステルスロック”!!」
こちらは落ち着いて”ステルスロック”。ルガルガンが地面を蹴り、鋭い岩を撒き散らす。
瞬く間に相手側のフィールドには無数の岩が浮かび上がり、鈍く光りながら宙に漂った。これで安易な交代はできなくなる。
さあ、どう出てくるかな。
「ヌオー、”熱湯”!!」
「ルガルガン、避けて!!」
ヌオーの口から勢いよく吐き出された”熱湯”がルガルガンへ迫る。
距離をとっていたこともあって素早いルガルガンはこれを難なく躱す。例え弱点を突く技でも当たらなければ怖くない。
「よし!!ルガルガン、そのまま”じゃれつく”!!」
“熱湯”を避けて飛び上がった姿勢から引かず、そのままルガルガンに強襲を指示する。身体能力に優れたルガルガンだからこその身のこなしだ。
「引き付けて、”どくどく”」
「あっ、ルガルガン!!」
接近したところに降り注いだのは”どくどく”。相手を猛毒にする技だ。そして、ヌオーのかぶっていたのはおそらくはゴツゴツメット。”じゃれつく”で攻撃したルガルガンは少し傷ついている。
そもそもヌオーに対してルガルガンはタイプ的にも有利とはいえないところ、そしてルガルガンはもう仕事をしてくれた。
「いけっ、アブリボン!!」
私の決断は交代。無理に攻めずに弱点をつけるポケモンに任せる。ポケモンバトルはチーム戦。だからこそ、倒せない相手に無理に戦う必要はない。
「ヌオー、”自己再生”!」
そして、まるでこちらの一瞬の油断を読んでいたかのように、ヌオーはすかさず”自己再生”を通してきた。
攻撃を受けながらでは難しいはずの技。それを狙い澄ました隙にねじ込んでくる。
これこそ一流のトレーナー……まさか、こんな相手と出会うなんて思ってもみなかった!
「アブリボン、”エナジーボール”*1!!」
「ヌオーお疲れ様、任せた!!ドオー!!」
そして躊躇のない交代。アブリボンも素早く”エナジーボール”を打ち込むが、ドオーは微動だにせず受け止めてみせた。
素早い決断だ。確かに、フェアリーを持つアブリボンに対して、どくタイプのドオーは有利に思える。だけど、私のアブリボンには切り札がある。
「アブリボン!!!左右に飛んで躱しながら…… ”サイコキネシス”!!!」
距離を離した今の状況ならのんびり屋のドオーに攻撃されても簡単に躱すことができる。そして、アブリボンにはエスパータイプの”サイコキネシス”を覚えさせている。
アブリボンが華麗に宙を舞い、全力の念力が放たれる。何も分かっていないような、とぼけた表情のまま、ドオーは真正面からそれを受け止めた。
「流石!!弱点でも耐えてくるね!!もう一度、”サイコキネシス”!!!」
「”自己再生”で回復!!」
アブリボンが再び”サイコキネシス”をドオーに叩きつける。確実に弱点を突くはずの技の中で、ドオーは揺れながらも体を回復させていく。
こちらの猛攻の最中に回復を通そうとする。普通なら間に合わない。ポケモンバトルはそこまで甘くはない。
「とどめの”サイコキネシス”!!!」
「ドオー、耐えて! ”自己再生”!」
無茶苦茶だ。私は心の底からそう思った。
三度目の”サイコキネシス”が炸裂し、フィールドが震える。
高威力の効果抜群の一撃。それでもなお、ドオーは倒れない。
横たわりながらも、のんきそうな顔でまるで痛みすら感じていないかのように。
あの念力の直撃を受けながら回復までしてみせる。常識では説明できない、異常としか言えないタフさだ。
「噓だよねっ!!アブリボン、もう一度!!全力で”サイコキネシス”!!!」
「ドオー、”どくびし”!!」
必死の”サイコキネシス”が連続で叩き込まれる。だが、ドオーは変わらず、ぼけーっとした顔のまま立っていた。
それどころか、”自己再生”によって回復しながら、こちらの足元へと容赦なく”どくびし”を撒き散らしていく。
「まだ耐えるの!?」
思わず声が裏返る。
さらに追い打ちをかけるように、鋭い岩塊が宙に浮かび、”ストーンエッジ”がアブリボンに襲いかかる。一度は辛うじて躱したが、”サイコキネシス”を使って疲れたアブリボンが何度も躱すのは難しい。
猛攻を仕掛けたはずが、いつの間にか逆に追い詰められている。そんな理不尽さに背筋が冷たくなる。
「アブリボン、お疲れ……!ルガルガン!!お願い!!」
ボールにアブリボンを戻し、代わりにルガルガンをフィールドへと送り出す。並外れたタフさの前には俊敏さと突破力に賭けるしかない。
「行ってきて!!アーマーガア!!」
だが相手も即座に応じる。ルガルガンの”ドリルライナー”*2を見越したように、アーマーガアが繰り出された。地面技はひこうタイプにはまるで通らない。
「アーマーガア、”鉄壁”!!」
「ルガルガン!!”アクセルロック”*3!!!」
ルガルガンは素早さを活かし、稲妻のような軌跡で何度も突撃を仕掛ける。狙いはアーマーガアの鉄壁を崩すことだが、鋼鉄の翼で軌道を逸らされ、まともにダメージを通すことができない。細やかな技術がアーマーガアの優位を蓄積していく。
「いくよ!!パーモット!!」
ルガルガンではもう攻めきれない。ここはでんきタイプの切り札で、一気に決めるしかない。アーマーガアはひこうタイプとはがねタイプ。どっちの技もパーモットにはいまひとつ。一方的に有利になれる。
「アーマーガア、もう一度"鉄壁"!!」
その間にも、アーマーガアは鋼鉄の翼を重ね合わせて防御をさらに高める。
だけど、拘りハチマキを巻いたパーモットの全力なら、どんな防御でも超えることができるはず。震える手でテラスタルオーブに触れ、天空へと突き上げた。
「テラスタルするなら今!!!! パーモット!!!」
オーブから溢れる光がパーモットを包み込み、全身にきらめく電気の結晶をまとわせる。
パーモットは両腕に稲妻を凝縮させ、全身を弾丸のように輝かせた。
「いくよ! とっておき、耐えられるかな!!!!!パーモット、"電光双撃"*4!!!!!」
爆ぜるような轟音と共に、パーモットが一直線に突撃する。稲妻が空を裂き、フィールド全体を白光で塗りつぶした。
爆ぜる閃光と轟音が収まったとき、そこに立っていたのは……
黒鉄の翼を大きく広げ、煙の中から姿を現したアーマーガアだった。
全身を焦がすような電撃をまともに受けながら、その眼光はまだ濁っていない。羽の先端が微かに震えてはいるが、膝を折ることはなかった。
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バトルの分かりやすさについて今後もいろいろ試す予定です。生暖かく見守っていただけると幸いです。
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