TS受けポケ使いが崩されるまで   作:ヤキブタアゴニスト

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第4話

ローズ委員長との会談?を終えた私は情報量の多さに頭を傾げながら自室へと戻っていた。伝説のポケモンだとかは一通り知っているつもりではあるものの、今現実の問題として向き合えるかというと答えはNoだ。

ローズ委員長には曖昧に断ったことで残念そうにされたが、もう少し考えてほしいといわれた。

 

ポケモンの世界に生れ落ちてからこれまで、バトルに夢中で原作についてはとことん無頓着だった。詳細な記憶がないので推定は難しいが、今はおそらく原作の少し前だろう。

主人公たちが無事に出てきてくれればそれでいいのだが、そうでない時は話をもしかしたら受けた方がいいのかもしれない。

 

 

そこまで考えて、これ以上は考えを止めることとした。それよりも数日後に迫ったファイナルトーナメントが今は大事だろう。ポケモンたちの最終調整に集中することにする。

 

もうルーチンになっているが、念入りに調子を確認していく。ゲームのようにダメージ量を把握できない以上、回復か交代か、削りをいれるのかの判断は当然難しい。しかしそれでも、普段からよく見ている自分のポケモンたちであれば、相手のポケモンの体力を把握するよりかは遥かに容易だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『さあ、チャンピオンカップ、ファイナルトーナメントがいよいよ開幕です!!!』

 

ファイナルトーナメントの会場、シュートスタジアムには当然のように満員の観客が押し寄せていた。試合が始まる前から熱気に充てられたファンが怒号のようなうねりを引き起こしている。

 

そんな中、開幕のアナウンスによって観客のボルテージは最大に高まっている。

 

 

『第一回戦、第一試合!!まずは、ここまで奇想天外な作戦でセミファイナルを勝ち上がってきたジムチャレンジャー、レジェーナ!!』

 

その声と同時にピンクの髪を後ろに結った幼い少女が姿を表す。

会場からは期待と興味を込められた視線が突き刺さるが、少女はそれを意に介さず目の前のフィールドを確認しながら入場していく。

 

『対する相手は!! いつまでも 燃える男!!ほのおタイプの使い手、カブ!!』

 

会場がどっと沸き、それに合わせて肩にタオルを掛けたナイスミドルが入場する。ベテランながら鍛錬を怠らないカブはそれ相応にファンも多く、そして熱い。カブのお膝元のエンジンシティからも多くが駆けつけている。

 

両者が中央に集まって向かい合い、スタジアムに一瞬の静寂が訪れる。二言三言両者が言葉を交わしてから距離を取る。

 

『第一試合開始!!!!』

 

バトル開始の合図だ。歓声と同時に両者の手からボールが放たれる。

 

「燃え上がるよ!!コータス!!」

 

「ハピナス、よろしく!!」

 

 

バトル場に現れたのはコータスとハピナス。

 

すぐさまコータスの特性、”ひでり”によって会場は灼熱と化し、観客の熱気を上回るほどの熱風が駆け巡る。これで炎技は強化される一方、ほのおタイプの弱点の水技の威力が減少する。おまけに、コータスも覚えることのできる”ソーラービーム”の発射にかかる時間も短くなるだろう。

 

「ハピナス、ステルスロック!!」

 

しかし、これはレジェーナにも想定内の動きであった。コータスはハピナスに有効な格闘タイプの大技、”気合玉”を覚えることができない。だからこそ、相手のカブがポケモンを交代してくると読んで、その隙にほのおタイプに有効な”ステルスロック”を発動し、カブの周辺にとがった岩を漂わせる。

 

しかし、それはレジェーナの完全な油断だった。コータスはひでり状態にしてすぐに交代する。そんなレジェーナの考えはあっさり覆される。

 

「コータス、いけ!!ボディプレス!!!!」

 

そう、カブのコータスはボディプレスを覚えているのだ。ハピナスは特殊には強いが物理攻撃にはそこまで強くない。カブは最初にハピナスが出てくると読んでこの一撃を決めていた。

 

 

『決まったーーー!!ハピナス大きく吹き飛ばされた!!』

 

生来の高い防御力を生かした抜群技、その直撃は流石のハピナスをして決して軽いダメージではない。セミファイナルですら一度も崩されなかったハピナスへの有効打に会場は大いに盛り上がる。

 

とはいえ、これほどの一撃でもハピナスは倒せない。

 

「グライオン!!受け止めて!!」

 

起き上がったハピナスを、レジェーナはすぐさまグライオンに交代してコータスを受け止めようとする。

 

「コータス、こちらも"ステルスロック"だ!!」

 

しかし、カブは冷静だった。ハピナスの追撃は不可能だと考えたカブは交代のアドバンテージを"ステルスロック"による交代抑止に選んだ。

 

『おおっと、両者"ステルスロック"で牽制だ!!』

 

 

「グライオン、自分に”どくどく”」

 

場に出てきたグライオンは自分で自分にどくどくを使って猛毒状態になる。一見意味不明な行動だが、これでポイズンヒールの条件は整った。グライオンはこれによって毒でダメージを受けるどころか、逆にジリジリ回復することができる。

 

 

「コータス、もう一度”ステルスロック”、広くバラまいて!」

 

しかし、カブもこの戦術を知っている。無理に攻撃せず、受けに入って悠長なグライオンの周りにさらなる岩を設置して、さらに動きにくくする。

 

視界が塞がれて指示が出しにくい中、レジェーナは”地震”による速戦を狙う。

 

「グライオン!!コータスの攻撃を受け止めて"地震”」

 

コータスには物理攻撃しかないと考えて、反撃で確実にダメージを与えようという考えだ。だが、それは不発に終わる。

 

「エンニュート、任せたぞ!!」

 

そうしてカブが繰り出したのはエンニュート、ほのお・どくタイプというグライオンに相性上不利なポケモンで、防御にしてもコータスより見劣りする。なんならグライオンの”地震”の一撃で倒されかねない。

 

「あれは!!風船!?」

 

しかし、出てきたエンニュートは背中につけた風船で空中に浮いており、グライオンの”地震”は当たらない。それどころか、"どくどく"と"地震"以外の攻撃手段のないグライオンはこれで完全に置物だ。ステルスロックで多少のダメージを受けたが、エンニュートは完全にその場を支配していた。

 

『なんと、エンニュート!!風船で浮いているのでグライオンの地震を躱している!!!』

 

カブのエースはマルヤクデ、物理攻撃が主体のこのポケモンを生かすために、カブは万全の対策をしてきていた。ファイナルトーナメントにおいてジムリーダーがここまで特定の相手を対策することはまずない。会場は急速に入れ替わる試合展開に戸惑いを隠せずにいた。

 

 

ともあれ、回復手段が乏しいであろうエンニュートは持久戦には不向きだろうと判断したレジェーナは、ここで一枚の手札を切ることにした。

 

「グライオン、お疲れ!!ドオー!!任せた!!」

 

繰り出されたのはガラルでは珍しい茶色いヌオー、いやパルデア地方に生息しているドオーであった。ジムチャレンジでは見せなかったこのポケモンを早い段階で出す羽目になったのはレジェーナにとって想定外だったが、カブもまた見慣れないポケモンに一瞬息を呑んでいた。

 

しかし、そこは熱い男、カブ。交代で生まれた隙を無償で見逃すようなことはしない。

 

「もっともっと燃え上がれ!!エンニュート、全力で”だいもんじ”だ!!」

 

「ドオー、躱して!!」

 

その威力を感じたレジェーナは思わずドオーに避けるように叫ぶ。しかし、周囲には尖った岩が大量に存在しており、ドオーにもはや身動きは取れなかった。

 

エンニュートの全力の"だいもんじ"が周囲のステルスロックを高熱の溶岩のようにしながら動けないドオーに襲い掛かる。狭い領域に熱がこもって威力の上がった"だいもんじ"。

 

 

 

 

 

しかし、ドオーはそれを余裕をもって受け止めていた。

 

 

 

「エンニュート、もう一度だ!!」

 

「ドオー、"自己再生"!!」

 

再び、エンニュートの"だいもんじ"がドオーに迫るがこれもドオーは涼しい顔で耐えきり、"自己再生"で体力を回復させる。

 

そこからは両者の粘りあいが始まった。

エンニュートは"だいもんじ”と"ヘドロウェーブ"でドオーを倒しに掛かる。それを受け止めたドオーは"自己再生"で回復しながら、"どくびし"と"ストーンエッジ"で反撃を試みる。

それに対し、カブはエンニュートに"ストーンエッジ"を躱しながら"どくびし"を取り除かせる。両者交代のタイミングを伺いつつも、なかなか場面が動かない。いつしか、エンニュートの特性、"腐食"によってドオーは毒状態になっていたが、それでもドオーは崩れなかった。

 

決着は一瞬だった。

 

『ああっと、ドオーの"ストーンエッジ"がついにエンニュートに命中だ!!!』

 

”急所にあたった!”

 

耐えてもおかしくなかったその一撃は、なんとエンニュートを一気に戦闘不能に追い込んでいた。

 






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技名、ゲーム準拠のひらがなだと文中で読みにくい。けれど、漢字の技名はそれはそれで違和感あるやつもあるので誤魔化し誤魔化しやっていきます...
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