大魔王バーンは玉座にもたれながら、ぼそりとつぶやいた。
『なんかさぁ~…余、緑が欲しいかも~。』
言葉の先は、鬼岩城の会議室。
そこにいたミストバーンは、主の言葉を受け止める。
『いやほら、鬼岩城って文字通り岩だらけなもんだしさぁ? こっちのほうで色んな部屋みても、石造りで薄暗いし?似たような光景っていうかぁ?』
『ずっとこんな殺風景だと気が滅入るっていうか……癒しが欲しくなっちゃってさぁ~~……』
「……はっ……大魔王様のお言葉のままに…!!」
数時間後。
ミストバーンの招集により……
きりかぶおばけ、じんめんじゅ、おばけきのこ、サボテンボール、ダンスキャロット、ガップリン、オニオーン、いばらドラゴン……
そういった植物系モンスターたちが、バーンの元に集った!!
「いかがですか、バーン様。百獣魔団より招集させました。」
バーンは
「植物系の魔物はクロコダイン率いる百獣魔団に構成されておりますが……バーン様の要望次第では個別に増員も図る次第です。」
『………………う~~ん……』
大魔王バーンは顔をしかめて言った。
『なんか変!!!』
植物系モンスターたちはその一言に衝撃を受け、一同拍子抜け。
『だいたい魔物だし……植物だけどさ、見た目おっかないじゃん。怖いじゃん。なんていうかさぁ……もっとこう、綺麗な花が咲いてたりとか、癒される感じのいないの?』
「なれば………はなカワセミならおりますが……」
『ほぼ鳥じゃんそれぇ!』
「で……では、はなまどうはどうでしょうか……」
『それも見た目ほぼおじいちゃんでしょうが!』
バーンは大きくため息をつく。
『あーもうやめよう!やめやめ!解散!!解散!!』
大魔王の一声で帰路に就く魔物たち。
その背には「俺たち、何しに来たんだろう」という哀愁が漂っていた……
「………………」
ミストバーンは沈黙の最中、こう思ったのだった。
「(もしかして、ガーデニングのような意味合いだったか……?)」
__少し経ち。
『ん……あれ、なにこれ。』
会議室の円卓の上に、小さな鉢植えが置かれていたのだった。
小さくも可憐な花が一輪、健気に咲いている。
『ミストよ。それはなんだ?』
「はっ。魔界に咲くとされる花の一種です。偶然にも魔王軍に所属している魔物が持ち合わせていたので取り寄せてみましたが、地上の環境には合わず、数日しか持たないとのこと……」
バーンはその一輪の花を静かに見つめた。
『ほう……へぇ……あぁ、良いねこれ。』
「どうでしょうか。少しの間、気晴らしにはなるかと。」
『うん!良い、良い!あるないで全然違う!』
「(……これで良かったのか。)」
ホッ…と胸をなでおろすミストバーンであった。
~終~