魔法とは
時空管理局管理下の世界の殆どで観測される魔力素をエネルギー源として物理的、非物理的な何らかの効果を発生させるこの世界特有の技術体系。リンカーコアを通して魔導士が行使するものから機械的な装置を用いて発生させるもの、古の儀式によって発現するもの等多岐にわたり、時空管理局発祥の地であるミッドチルダで体系化された魔法を「ミッドチルダ式魔法」と呼ぶ。ミッド式、等と言えば大体この技術体系の事を指している。管理世界内で最も浸透しているのがミッド式であり、その他にもベルカ式など違う方式も存在する。
現在魔法を行使する方法は明文化体系化されており、プログラムとして準備された内容を使用者の身体やデバイス等魔法の発動体にセットして事前に準備しておき、使用者の詠唱や集中、発声をトリガーにして発動させるスタイルが主流になっている。
一般的に戦闘用の魔法を往来で行使することは余程特殊な事例を除いて許可されていない。だが屋内競技場や非居住地等魔法の行使が禁止されていない領域内でなら、法律に違反しない範囲で行使することが許可されている。
さまざまな技術体系
長い歴史と研鑽を下敷きとするミッド式は洗練されており、汎用性や技術応用への幅広さ、習得のしやすさから現状の主流としての地位を確立している。
ミッド式の他にも魔法体系は存在しており、管理下の世界においても古来より伝わる技法によって発現する体系化されていない魔法の行使方法を伝承する者達は存在する。余程危険なものでもない限りそれらは基本的に保護され、伝承は推奨されている。
ミッド式の他の体系として最も有名なものに「ベルカ式」の魔法体系が存在する。既に滅びた古代ベルカの文化を祖とするベルカ式魔法は戦乱の中で成立した魔法体系である事から戦闘用の魔法が特に充実している。加えて古代ベルカ人のリンカーコアはミッドチルダの住人のものと比べ平均的には小さかったことから射撃や砲撃など魔力量を力とする魔法に向いておらず、アームドデバイスを用いた近接戦闘用の魔法やその補助に用いる魔法が数多く編み出された。
純粋なベルカ式魔法は現在殆ど存在せず、今の時代ベルカ式として知られる魔法はミッド式の術式を用いてベルカ式の魔法を再現した「近代ベルカ式」が一般的であり、純粋なベルカ式魔法は「古代ベルカ式」と呼ばれる。
リンカーコア
魔法を行使する力を持った者が例外なく体内に持つ魔力器官。魔法体系によって呼称が異なる事もあるが、基本的には同じものを指す。
主な機能は二つであり、一つは大気中の魔力素を体内に取り込み蓄積する能力。リンカーコアを持つ生物は常人が呼吸によって酸素を体内に取り込むのと同じように、魔力素のある空間では自然に魔力素を体内に取り込み蓄積することが出来る。この体内に蓄積できる総量が大きいほど大規模な魔力を行使できる。
二つ目は、蓄積した魔力素を魔法として放出し、何らかの効果を発生させる能力。蓄積できる量とは別に放出する能力にも個人差があり、一気に大量の魔力素を放出できる魔導士もいれば少量の魔力素を長時間にわたって放出するのが得意な魔導士もいる。また放出する形や適性も様々であり、炎や熱を伴う炎熱変換、電気を帯びた電気変換、熱を奪う冷気変換等の属性を伴うものもあれば、集束魔法、身体強化魔法、結界魔法等への極端な適正等、非常に多岐にわたる。
消費した魔力は魔法を行使しない急速によって徐々に回復していくが、これを早める魔法なども存在する。
魔導師の命であるリンカーコアだが、その生成について今だ謎の多い器官でもある。
先天資質であり後天的に生じることはごく稀であること、遺伝によって資質が受け継がれる確率が高いこと、遺伝子にリンカーコアの所在が刻まれていない種に突然変異で生じるものは強力・あるいは特殊なものが多いことなど、データの蓄積による統計は存在するがその生成プロセスには不可思議な部分も多く、各地で研究はいまだに続けられている。
デバイス
魔法自体は魔導士単体でも行使可能だが、その運用を助けるための器具をデバイスと呼ぶ。形状や機能は様々だが、主に魔法使用のための演算補助やプログラムの記憶、呼び魔力の確保、暴発防止のための安全装置等の機能を備えている。
ミッドチルダ式デバイス
ミッド式のデバイスは主に演算補助、プログラムの記憶をメインの機能として備えた「ストレージデバイス」として使用される物が多い。管理局正式採用の標準型は杖型のストレージデバイスである。
これに加え自立思考可能なAIを搭載したデバイスを「インテリジェントデバイス」と呼ぶ。使用者をデバイス自体が自律的に支援することが可能であり、索敵や状況判断、戦術の提案等を行う極めて高等なものも存在し、完璧に連携を取れるのならばストレージデバイス以上に高い能力を発揮することも出来るが、より多くの記憶容量や高度な情報処理機能を備えた機体が必要となるため高価であり、連携が上手く行かなければ魔法の使用に関しても不都合が生じることがある等扱いやすいとは言えず、ストレージ型に比べれば使用者はかなり少ない。
高性能なデバイスとなれば状況に合わせた変形機構をストレージ内に保管記憶しておくことで、状況に合わせ専門的に特化した複数の形状、性能を使い分けることが出来る。
ベルカ式デバイス
古代式近代式を問わず、ベルカ式では武器や防具の形を模した「アームドデバイス」を使用する者が多い。このアームドデバイスを用いた戦闘方法を前提に、魔法による補助や威力強化、魔力エフェクトを延伸しての中距離攻撃等の性能を付与するのが、ベルカ式の特徴である。その為戦い方は基本的に武器形状ごとに固定となるが、その弱点を補うために複数の形態を持つ変形型のデバイスを持つことが多いとされる。
またベルカ式アームドデバイスの特徴として「カートリッジシステム」があげられる。これは本来魔力量に劣るベルカ人がこの特徴を補うために編み出した機構であり、圧縮した魔力を弾丸状のケースに内包し、デバイス内で炸裂させることで使用できる魔力量を本人のリンカーコアの出力を超える値にまで瞬間的に引き上げることが出来る。デバイス自体に大きな負荷をかける為頑強なフレームが必要である事、炸裂時のバックファイアの処理の為使用者に大きな負担がかかる事等の問題から使用者は少なく、特に時空管理局職員以外の未成年での使用は推奨されない。DSAAでも未成年以下の試合では使用を規制されている。
古代ベルカでは演算補助などの機能は最低限であることが殆どであったが、現在はミッド式の物と遜色ないサポート機能を有しており、インテリジェント型として使用する者もいる。
戦闘空間の限られた魔法戦技の試合では近接戦闘に強いアームドデバイスの使用者は多く、一般的な杖型と使用率を二分している。
融合型デバイス
ユニゾンデバイスとも俗称される。ベルカにおいて開発されたデバイスの形式で、ミッドチルダ式インテリジェントデバイスの設計思想をさらに極端化したもの。
自らの意志を持つデバイスに完全な人の姿と意志を与え、状況に応じて術者と「融合」することで魔法管制と補助を行う。
この形式では、他形式のデバイスを遥かに超える感応速度や扱うことのできる魔力量を得ることができるが、融合適性を持つ術者の少なさ、さらに各術者の性質に合わせた微調整や適合検査の必要といった手間が生じる。
さらに、本来は融合時の術者の意識喪失などのための緊急措置として設定されていた「デバイスが主の意志とは無関係に、単独で術者の体を使用・魔力行使を行える」という性質が、時に「デバイスが術者の体を乗っ取り、自律行動をとってしまう」という「融合事故」を起こす事件を誘発し、実際の製品化には至ることのなかった方式である。
融合型デバイスの特徴の一つとして「術者の姿の変化」があげられる。正しく使用している場合でも、髪・瞳の変色などは特に顕著に現れるが、融合後の姿が術者とデバイス、どちらの外観に近いかが、術者が融合型デバイスを使いこなせているか否かの判断材料となる。
なお、術者がデバイスを使いこなすことができず、制御不能の状態の場合、完全にデバイス側の外観となってしまうこともある。
ミッドチルダ
本シリーズに登場する多次元世界の一つで、全ての次元世界の基点として第1世界と称されている。
空には複数の月のような衛星が浮かぶ幻想的な世界だが、首都は近未来的な大都市のクラナガンで、他にもベルカ自治領、エルセア、アルトセイムといった地方がある。
リンカーコアを持つ魔力保持者および魔導師が数多く存在する世界であり、ミッドチルダ式魔法もここで開発され、様々なデバイスや各系統の魔法の研究と開発も盛んに行われている。
時空管理局の本拠地でもあり、技術力、科学力、そして軍事力などあらゆる面において他の次元世界を圧倒し、現在では事実上管理下に置いた次元世界の統治者のように振舞っている。
ベルカ
本シリーズに登場する多次元世界の一つで、劇中では既に滅亡している。ベルカ式魔法もここで確立された。
ガレアやシュトゥラといった複数の国家が存在し、それぞれの王族達が統治する「諸王時代」と呼ばれる時代もあった。しかし、後期には国家間での覇権を巡る戦乱に明け暮れるようになり、最終的には聖王によって統一されたとされる。
現在はイングヴァルト家やダールグリュン家といった古代ベルカの王の子孫の一部はミッドチルダに流れ、その地で生活している。
その激しい戦乱の歴史のためか、闇の書、聖王のゆりかご、エクリプスなど特に危険なロストロギアの多くがベルカを震源地としている。
時空管理局
ミッドチルダが中心となって設立した数多に存在する次元世界を管理・維持するための機関。通称「管理局」。所属する者からは単純に「局」ともよばれる。ほかにも文化管理や災害の防止・救助を主な任務としている。実行部隊として次元航行艦船や武装隊などの強力な戦力を有しており、階級は自衛隊式。
なお、管理局局員は必ずしも全員が魔導師というわけではなく、魔導師ではない普通の局員や魔法を用いない部署も数多く存在している。管理局の魔導師は求められる技能レベルが高いため万年人手不足で、優秀な人物は積極的に採用している。たとえ重大事件の加害者側の人物でも、その後の更生が認められれば局員の道を開くなどして人員の強化に努め、実際にそれで多くの人材を補強している
DSAA
DSAA。「Dimension Sports Activity Association」の略で、日本語表記では「公式魔法戦競技会」となる。簡単に言えば、実戦形式でモラルに反しないあらゆる攻撃が許可された戦闘競技である。その最も大規模かつ有名な大会がインターミドル・チャンピオンシップ。魔法で身体を強化して戦うのが基本であるため男女間の身体能力差を考慮する必要はないが、当然身体的接触は避けられないため男子部と女子部に分かれている。
各管理世界で地方予選が行われ(ミッドチルダ中央部の場合は地区選考会、体力測定、健康チェック、軽いスパーリング等の実技を経て地区予選の組み合わせが決まる。普通はノービスクラス、成績優秀者はスーパーノービスやエリートクラスからのスタートとなり、より上位になるに従い予選突破までの試合数が減る。形式はトーナメントによる勝ち抜き戦。最終的にミッド中央部17区から20人が都市本戦へ進むこととなる)、更に世界単位での本戦(ミッドチルダの場合は予選を勝ち上がった20人によるトーナメント戦が行われる)、続いて各管理世界の代表が戦う世界代表選、その優勝者は実質的な管理世界最強の10代となる。
危険行為やモラルに反した攻撃等(金的や目突き、言葉やジェスチャーによる過度の徴発や罵倒)に関してはルールによって禁止されているが、専用の強固な防御魔法である「クラッシュエミュレート」によって選手は守られている事から基本的にあらゆる攻撃(打撃関節投げ等の近接攻撃から実体の刃物を用いた斬撃打撃、魔法を用いた射撃拘束まで実戦とほぼ変わらない内容)が許可され、クラッシュエミュレートによって実際の身体的なダメージを抑えつつ受けるはずのダメージを体感できる(打撲火傷切り傷等から、骨折に至るまで)事から、実戦さながらの臨場感で本気の戦いが展開される。
ダメージはポイント化され、持ち点をすべて削られれば敗北となる。数多の試合を通じて採点基準は最適化されており、ほぼ正確にダメージを数値化している。公式戦では一定以上のグレードを持つインテリジェントデバイスの使用が条件とされており、これと競技施設のシステムを同期させ高い精度でクラッシュエミュレートを展開することで、激しい試合でも競技者の身体的負荷を大きく抑えている。しかしあまりに強力な攻撃はしばしばクラッシュエミュレートを突破して実際に身体にダメージを与えることがあり、トップ選手同士の戦いでは互いの意地と本気がぶつかり合った事で凄惨な結果となったことも少なくはない。
次元世界の中心地たるミッドチルダにおける予選が最も激戦区であるとされ、この予選を突破した選手がそのまま世界代表戦を勝ち上がり覇者となる事も多い。
クラッシュエミュレートが展開可能な設備を持つ施設かデバイスがあればDSAAルールでの試合は可能であり、魔法使用が可能な場所を利用し、ストリートファイトに興じる若者も多い(無論周囲に被害を出す射撃魔法は屋外では論外であるため、殆どの場合格闘戦に限定される)。年に一度の公式戦以外にも小さな大会はそこかしこで開催されており、魔法戦技の腕を競い合っている。魔法戦技の腕を磨くため、あるいは腕試しのために競技大会に参加する選手達は多いが、一部の競技者には莫大な賞金や名誉のためだけに参加する者もいる。
クラッシュエミュレート
公式戦での安全と競技者同士の実力比べを両立させるために開発された魔法。競技者の身体をあらゆる攻撃から保護すると共に、相手の攻撃によって自身が受けたダメージと同等の身体的損傷や痛みを再現することで、安全性を担保したまま全力の魔法戦を行うことを可能とした。
競技者本人が発動する魔法ではなく、試合会場に設置された機械と競技者のデバイスを連動させることで、競技者のリンカーコアを使用することなく展開される(一応競技者自身とデバイスの連携によって発動することも出来るが、その場合はリンカーコアに少なくない負荷をかけるため、大体の場合は審判役の第三者が戦闘を行う二人に対して使用している場合が多い)。その為大会参加者は大会規定にのっとった機能を有するデバイスの仕様が義務付けられている。
DSAA公式戦の舞台で発動されるクラッシュエミュレートはかなり強度が高く、相当なダメージに対しても競技者を怪我から守るが、他団体で開催される大会などではそこまでの強度を確保できていない場合も多く、その場合は怪我のリスクが上がる。
大体の選手にとっては信頼できる防御魔法となっているが、トップ争いをするほどに自身の戦闘スタイルを極めた者同士の対決となるとしばしばクラッシュエミュレートを貫通する程の強力な攻撃が行われる事があり、その場合は凄惨な結果となってしまう事も少なくはない。無論そのリスクは皆承知のうえであり、大会に参加するにあたり大会中負った怪我等について対戦相手や大会運営への抗議を行わない事に関する同意書へのサインが義務づけられている
ミッドチルダ中央区立第五高等学校
ミッドチルダ中央区立第五高等学校、通称ミッド第五高は多数の学科を備えた中央部でもそれなりに大型の高等学校である。大まかに進学系の学科、工学系の学科、経済系の学科に別れそれぞれが別々の教室棟に収まっている。それらに囲まれるようにして専門的な教室や職員室等の集まった棟があり、広大な面積の運動場と体育館がその後ろに広がる。その脇に多数のコンテナハウスが連結された部室棟が並んでおり、エイルの通う魔法戦技部の部室もそこにあった。生徒数が多く校舎が広いこともあり、学年問わず親しく交流する事も多い。
魔法戦技部
DSAAルールによって運営される魔法戦技の大会を目標に、魔法戦技の腕を磨く部活動。それなりに長い伝統と実績を持っており、本戦出場者も少なくない名門の一角として知られる。所属部員の能力はかなり個人差が大きく、また全体の方針として特定の戦術に特化するよりは部員一人一人の長所を生かす方向性であるため、あまり纏まりはない。現在の顧問はあまり魔法戦技に詳しくないため毎年外部講師を雇い入れることが通例となっており、今のコーチも今年雇い入れた人間である。
魔法戦技部の部室は二部屋で構成されている。入り口のある手前側にはフォームチェック用の鏡張りの一角と大画面のモニターが設置された一角が大きなスペースを占有しており、モニター前には簡易な折り畳み机とパイプ椅子が並べられている。そしてその奥にある一回り小さい部屋にはウェイトトレーニング用の器具が所狭しと並んでおり、その壁際には沢山の参考資料が収められた本棚が敷き詰められている。
区立中央公園体育館
ミッド第五高の体育館も人数に応じた大きさだが、区営の体育館であるここはそれに比べても一回り大きい。そして一般的なスポーツを行う場所とは区切られた空間に、魔法戦技を行うためのスペースが用意されている。クラッシュエミュレートを使用するための機材に加え壁や床に高出力の魔力防壁を発生させられる仕組みとなっており、全力の魔法戦を行っても建物を破損させる心配がない。室内ではあるが、部屋の大きさはDSAA公式戦で使用される広さに近い。魔法戦技部で模擬戦を行う際は大体この場所を借りており、彼らにとってはなじみが深い。偶に大きなジムが非公式の大会を開く際会場にされる事もある、信頼性の高い競技場である。
大体こんな感じの設定を基にしているようです。