DSAA男子部!(仮   作:tbrh

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どうも日常会話みたいなのが苦手。青春を苦しみと共に過ごした人間故、イメージが湧かないらしい。
会話がどうしても少なくなるのは許してほしい所……。
設定を増やす回。


第二話 燻る想い

 

 

ミッドチルダ中央区、第五地区。都心から少し離れた住宅街であり、首都のベッドタウンと言った趣の地区である。

早朝の住宅街はまだ薄暗く、少々肌寒い。

綺麗に区画整備された街並みの中、一軒のドアが不意に開き、長身の青年が顔を出した。魔法戦技部で用意されたジャージに身を包んだエイル・テスラは毎日のルーティーンになっているロードワークに出発しようとしていた。

「行ってきます」

静かに声をかけた視線の先、開かれたドアの向こうには彼と同じ短い黒髪の、壮年の男が小さく笑みを浮かべていた。

「ああ。行ってこい」

彼の父であり、永遠の目標でもある元DSAA選手、フェルノ・テスラである。その腕前は今の仕事にも生かされており、本局の武装局員として現役で活躍している。

軽く頷き、エイルはまだ温まり切らない空気の中を駆け出していく。

息を切らさない程度のペースで歩道の横を駆け抜け、目当てにしている公園を目指す。

(今年で俺も17……アンダー20のインターミドルに出場できる回数は後二回。段々と順位自体は上がってきているが……目標には遠いな)

ロードワーク中は瞑想を兼ねて無心であれと彼は教わったのだが、どうしても胸に去来するものはあった。

(あの時見た父さんの戦い。あれが都市本戦のレベルだとすれば、今のままではやはり足りない。前回の敗因は手札の少なさ以上に俺の動き自体が対策された事だ。俺が同時に起動できる魔法は二つまで。新しい動きを入れるか、今のままを貫き磨くか)

眉間に皺を寄せながらの走りは、無意識にペースを上げていく。

(後輩たちもどんどん力をつけている。俺より上に行った奴らも多い。父さんも本戦に出たのは俺より早かった。才能ってのは、やっぱり意識してしまうな……)

無心で走る処か段々とネガティブな感情が湧き上がってきてしまう。

このままでは反省会の二の舞だと頭を振って嫌な気配を払おうとすると、後ろから声が聞こえた。

「おー……イル……!」

気のせいかと思ったが声の主は段々と近づいているらしく、自分の名が呼ばれたことにようやく彼は気づいた。同時にロードワークのペース配分ではないと気づき、速度を緩める。肩越しに後ろを振り返ると、息を切らせながら茶色の髪を揺らしながら駆けてくる自分と同じくらいの少年の姿があった。

「やっと追いついたぜ! お前やっぱ走るの速いよな!」

「オルカ……悪い。考え事してた」

オルカ・ニース。双子の妹共々隣の家に住む幼馴染である。少し表情を緩め、軽く謝りながらエイルはオルカの隣に並んだ。オルカの身長が低い訳ではないが、エイルが高身長な為並ぶと大人と子供のようにも見える。所属する部活は違うが彼も運動部(テニス部であるが、その様相は第97管理外世界の常識とは異なる。第97管理外世界から昔持ち込まれたスポーツが母体となってはいるが、選手は多種多様な魔法の使用が許可されている事もあり、プロの試合は魔導砲撃戦と何ら変わりない迫力となる)であり、早朝のロードワークを共にすることも多い。

「ロードワーク中は余計な事を考えるな! って言われてなかったか?」

「……在学中のチャンスはあと一回。卒業後にあと一回の計二回しか残ってないと思うと……な」

「まぁ気持ちはわかるけどな。ルーティーンってのはその手のモヤモヤを晴らすためのもんでもあるんだから、とりあえず今は走ろうぜ」

「ああ……そうだな」

並んで走る彼らは目当ての公園に到着し、公園の散歩道に入っていった。地区の住人からは中央公園と呼ばれる場所であり、付近では最も大きい公園である。綺麗に整備された芝生が高低差に富んだ丘に沿って敷き詰められており、中にはそこそこ大きな溜池や大型の遊具、テニスコート、体育館なども併設されている。

公園を一周するように敷かれた歩道を二人は前後に並び、無言で走る。

相変わらずネガティブな考えは湧き上がってくるが、それでも後ろをついてくるオルカの存在があるだけで随分違う。やれることをやるだけだと強引に思考を区切り、エイルは走りに集中することにした。

一方後ろをついていくオルカはというと、こちらも無心という訳にはいかない。

(やれやれ、難儀な奴だよなぁ)

顔が見えないのを良い事に苦笑を浮かべつつ、先日偶々目にした動画に載っていたエイルの評判を思い出す。エイルの、というより対戦相手であった選手の試合を集めていた動画についたコメントには、彼の対戦相手であったエイルの事も書かれていた。『速度がある上に戦法が徹底してるから、結構真面目に難儀しているように見える』『ラウンド際の地雷は結構やばかったな』『ここでダメージ出せないとこのまま負けるまであるぞ』『なんていうか、まさにいぶし銀だったな』等々、決して実力的な評価は低くない。

(どっちかって言うと、問題はエイルの親父さんの事なんだよな)

エイルの父親であるフェルノ・テスラは次元代表戦には届かなかったものの、都市本戦の常連として名を馳せた優秀な選手であった。そのスタイルはエイルと同じ射撃戦を軸としたものだが、内容は大きく異なる。多彩な射撃魔法と砲撃魔法を駆使するDSAA公式戦の選手としては珍しい程の純粋魔導士型であり、その華麗な戦いぶりは過去の試合を見たエイルを魔法戦技の世界に誘うには十分すぎるものだった。フェルノこそがエイルの理想であり、今のエイルの戦い方はその理想とはかけ離れたものである。勿論エイルとて自分の適性を無視してまでその戦いを真似たいわけではないが、しかしどうしても父とは違うやり方で父ほどの戦績が得られないことで自分の戦いに自信が持てずにいるのだ。

(ま、俺がとやかく言う事でもないだろ。何だかんだ実力は伴ってきてるんだ。その内何か掴めるさ)

心の中でエールを送りつつ、オルカはエイルの後ろを駆け続けた。

 

 

日が昇り始めた頃合いで二人はロードワークを切り上げ帰宅の途に就いた。

エイルの悩みは晴れないが、身体を動かし調子が出てくれば自ずと気分は上がってくる。家の前でオルカと別れ玄関を潜ると、既に出勤したフェルノに代わり母であるターナ・テスラが笑顔で迎え入れた。エイル、フェルノの二人はかなりの長身であるが、彼女の身長は女性の平均を越えない程度だった。鮮やかな栗色の長髪と明るい笑顔が印象的な、美しい女性である。

「お帰りなさい! 朝ごはんの準備しとくから、その間にシャワー行って着替えてきなさい」

「……ありがとう」

短い感謝で応え、エイルは浴室に向かった。

ぬるめのシャワーで汗を洗い流し、ジャージから濃紺色のブレザータイプのミッド第五高の制服に着替える。

その間に準備された朝食は焼き目のついたトーストとスクランブルエッグ、サラダ、それにコップ一杯の牛乳。朝のロードワークを終えた体には、これくらいが丁度いい。

(もう予選から一月か……。流石にそろそろ引き摺ってるわけにはいかないよな)

そんなことを考えつつも、やはり浮かんでくるのはインターミドルと部活の事である。

(本戦はもう終わった。あと残ってるのは次元代表戦。ウチの部活から本戦に出た奴らはどうだったかな……後輩なんだが。後輩、なんだよな……)

溜息をつきながらの食事は少々遅く、段々と時間が過ぎていく。

ふと、インターホンが音を立てた。「はーい」と声を上げながらターナが玄関に向かうと、少しの話声の後

「オルカ君来てるわよー!」

と、大声が返ってきた。時計を見ると、彼が思っていたより時間が過ぎている。

(しまった。余計な事を考えすぎたな……)

頭を振って思考を払い、残りの朝食を腹に詰め込み、教材の入ったカバンを持って玄関に走る。

「行ってきます」

「ええ。行ってらっしゃい!」

部屋に戻っていくターナとすれ違いながら声を交わし、家を出る。

玄関前では三十分程前まで一緒に走っていたオルカに加えもう一人、オルカと同じ茶色の髪をポニーテールにした、ミッド第五高の制服を纏った小柄な少女が彼を待っていた。

「エイル、おはよー!」

「ああ、おはよう。アルカ」

片手を挙げて元気に挨拶してきたこの少女の名はアルカ・ニース。オルカの双子の妹であり、エイルのもう一人の幼馴染でもある。

「どっかの誰かがのんびりしすぎた所為で遅くなっちまったからな。少し急ごうぜ」

「……悪かった」

「遅くなったって程時間たってないでしょ。気にしなくていいからね!」

二人の言葉に小さく笑い、彼らの後に続いてエイルも歩き始めた。

ロードワークに出た時間と違い、今の時間は通学や出勤の為に人通りも多い。宿題の事や今日の授業の事を語り合いながら、彼らは規則正しく並ぶ並木の間を歩いていく。

「あ、エイル。そういえば今日の部活なんだけどさ、久しぶりに試合形式でやるんだって。本戦も全行程終了したから丁度いいだろってさ」

エイルの前を後ろ向きに歩きながら、アルカはかなり高所にあるエイルの顔を見上げながら言った。彼女は魔法戦技部のマネージャーを務めており、部の予定について詳しいのである。

「反省会込みって事か。俺の相手は……嫌がられないと良いんだが」

「本戦常連を苦しめた注目選手がなーに言ってんだ。皆望むところだろ」

一々ネガティブになるエイルの背中をバシバシ叩きながら、オルカは笑った。

そうこうしている内に、彼らの目にミッド第五高の建物が見えてきた。

ミッドチルダ中央区立第五高等学校、通称ミッド第五高は多数の学科を備えた中央部でもそれなりに大型の高等学校である。大まかに進学系の学科、工学系の学科、経済系の学科に別れそれぞれが別々の教室棟に収まっている。それらに囲まれるようにして専門的な教室や職員室等の集まった棟があり、広大な面積の運動場と体育館がその後ろに広がる。その脇に多数のコンテナハウスが連結された部室棟が並んでおり、エイルの通う魔法戦技部の部室もそこにあった。生徒数が多く校舎が広いこともあり、学年問わず親しく交流する事も多い。三人の属する学科はそれぞれ違うが、同じ時間に始業が始まるため登校の時間もほぼ変わらず、必然的に一緒に登校することが習慣になっていた。

「それじゃ、また後でね!」

「ああ」

「おう!」

工学科に通うアルカはここで分かれ、普通科に通うエイルとオルカは共に同じ棟へと向かう。教室の前でオルカと別れ、彼もまた自身の教室へと入っていった。

席に着き、教科書を机に仕舞いながら今日の予定を頭に思い浮かべる。授業も大事だが、やはり彼の一番の関心事は部活のことであった。

(今から部活の時間が待ち遠しいが……今日は午前中で学校が終わるのか。いつもより練習時間が長いと良いんだけどな)

そんなことを考えていると、チャイムと共に担任が教室に入ってきた。挨拶の後は授業の話に移り、午前中が終わるまでの間はそれなりに忙しく過ごすこととなった。

 




とりあえず、早く戦闘が書きたいかもしれない。



相変わらずキャラクターや設定は募集し続けています。
下敷きにしてる設定のメモなんかもどこかに載せておいた方が良いのだろうか。
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