IT’S!!TV!!TiME!!(そうだ。オバロ世界に、テナを出演させてみよう) 作:王朝万歳
「Congratulations!! You are world chanpion of Jotunheim!!」
「テナ、ワールドチャンピオンおめでとう!!」
「ありがとう。皆のおかげで。やっと、やっとワールドチャンピオンになれたよ」
「ワールドチャンピオンになる。テナの長年の夢だったもんな」
「良し。皆、テナの優勝祝いに、パーティーしようぜ」
「お、いいねえ! 場所は、どこにする?」
「ヨトゥンヘイムとかは」
「何故に? 具体的な場所は」
「いや、ヨトゥンヘイムのワールドチャンピオンだし。場所に関しては、ウートガルズとか」
「おk。把握」
「ユグドラシルの樹の頂上とかもいいんじゃないか。あそこも、景色いいぜ。それに、ワールドチャンピオンとユグドラシルの頂上と。頂上繋がりで、験もいい」
「今、出てる案は、ウートガルズか、ユグドラシルか。主役であるテナはどこがいいんだ?」
「両方じゃダメかな」
「ったく。しょうがねえ奴だな。皆、一次会は、ユグドラシル、二次会はウートガルズでパーティーだ!!」
「「よっしゃー! 今日は徹夜確定だー! とことん騒ぐぞ!」」
シアタルームにいつかギルドのメンバー達で撮った映像が流れていた。その映像を。とあるゲームのキャラクターに惚れ込んだ人物がユグドラシルで再現したいと思い、制作された。頭部がアンテナテレビで赤いスーツに黄色のネクタイを付けた異形種プレイヤーが、一人で、映像を鑑賞しながら、過去の感傷に浸っていた。
「現在の時刻は、23:30。ユグドラシルサービス終了まで、後30分」
「ギルメンの皆に、一か月前にはメールを送ってみたけど。返信があったのは、15名。その内、出席できたのは3名」
「その3名も、午前中に来て、30分ほどで帰ってしまった」
「そりゃそうか。サービス終了寸前のゲームに人は集まるはずないか。今なら、アインズの気持ちも。少しだけ分かる」
ユグドラシルのアップデート、ヴァルキュリアの失墜が発表された時に、新種族として導入された。機械人形などの機械種族。このギルドは、その近未来的な姿に、ロマンを感じた同志たちが、集まって結成された。ギルドの構成人数は、ユグドラシルの1ギルド所属させられる限界の100名。だが、年が進むごとに、メンバーは来なくなっていき。今や、現在ログイン中のメンバーは一人だけだった。
「ユキノさんは、事業が波に乗ってきたらしく。アコロジー民になれるそうだ。マードリー夫妻は、子供が二人生まれたらしい。皆。苦しいながらも、働いていて。それぞれの幸せを掴んでいたよ」
「彼らの近況を知れて、元気に暮らしてることが分かって、嬉しかったさ。だけど、皆とユグドラシルで過ごしたあの日々を。今日、振り返れなかったことだけは、残念だった。昔と違って、皆忙しい。それも、仕方ないことだけど」
「結局、ユグドラシルで私たちが過ごした日々は。わざわざ、取りたてて話題に挙げるほどの物ではなく。些細な過去の一つで、忘れ去られる物だったんだろうか」
「君たちは、どう思う。キング、クイーン、ジェビル、そして、マイク、スパムトン。はは。何てね」
劇場で座っていた椅子の背から体を前に倒し、王様、女王、道化師、マイク、セールスマンの姿をした。npcたちに仲間たちの事をぼやく。独り言には、かつての仲間たちへの幸せを喜ぶ気持ち、誰も過去を見なかった怒り、サービス終了による寂寥感。様々な思いが込められていた。頭部のアンテナも心なしか。シナシナしていた。
「っと。こんなシケシケ野郎ではいけない。私はエンターテイナーなのだから。それに、もしかしたら、新天地に旅立てるかもしれないですし」
まあ、だからこそ。ギルメンには、今日のサービス終了時まで、いて欲しかったのだが。最終日に、サービス終了と同時に、異世界に転移するから、それまでログインしておこうだ何て言えるわけがない。
「サービス終了まで、残り10分。皆忙しそうだったから。誘えなかったけど、せっかくだし、あの場所でサービス終了を迎えるとしまshow」
「npcたち、着いてきてください」
残り15分。ランニングフォームをとる。有終の美を飾るため、シアタールームを走って出る。そのまま、楽屋を通過し、npctたちと劇場へと入り、壇上にあがる。
「これだけの数が一同に揃うと。やっぱり、壮観deathね!」
「マイクく~ん! ミュウージックスタート! そこのスッタフたち! 花火のセットして!」
観覧席は、ギルドの各階層から集められた仲間たちと作った他のnpcたちで埋め尽くされている。その景色は壮観だ。人数の多さに圧倒されながらも、楽屋裏に配置してきた。npcの一人、マイクにミュウージックを流すように指示する。
流れ始めるユグドラシルのテーマ―ソング。学童期から、社会人になって働くまで飽きるほど聞いた。ユグドラシルの繫栄と衰退。冒険の日々。ギルメンたちとの出会いと別れ。そのすべてを彩った。思い出の曲。ユグドラシルの歴史も長い。既に大衆に忘れられた古臭い曲だろう。それでも、この曲で。
「花火の準備はOK? 完了? OK! じゃあ、タイマーセットしちゃって。席に戻っちゃって。それでは、ユグドラシルサービス終了式を始めまshow」
プレイヤーサービスのウィンドウを開けば、時刻は、23:59:00。サービス終了まで、一分。花火の打ち上げも、サービス終了と同時刻に発射されるように合わせている。
「2125年。大人気ゲーム、ユグドラシルは10年間のサービスの後、2125年をもって終了とします。皆さん名残惜しいでしょう。私もこの時間が終わってほしくない」
「せめて、皆さん。笑って終わりにしまshow。皆さん。ポーズを取ってください。カメラのシャッタータイマーもセットできました! よし!いってこい!」
時間は残り30秒を切った。npc全員に、ランダムにコマンドを送る。コマンドは、受け取ったnpcたちはが、ダンスや微笑みのアクションをとる。それを確認し、カメラを投げる。10・9・8
「ユグドラシルよ永遠に! それでは、観覧席の皆さま、スマイル スマイル スクリーム!!」
3・2・1。花火が打ちあがり、劇場を鮮やかに彩り、カメラがそれを撮る。
「IT’S!! TV!! TiME!!」
日本で、爆発的に流行し、大人気を誇った。MMORPG、ユグドラシルは、24:00:00にサービス終了した。
「VR世界が切れてない」
はずだった。
「や、やったー!夢じゃない。夢じゃないよね。サービス終了は、24:00:00。きっかり。現在の時刻は、24:00:05。本当に成功したんだー!!」
「まったく、あのクソ運営とクソディレクターには、苦労させられたよ。あれ、よく見たら、ちょっと、サービス終了時間が遅れてる。やっぱり、クソ運営じゃないか」
「すいません。テナさん。私には、運営やサービス終了といった言葉は理解できないですが。もしかして、私たちが、何か粗相をしちゃったんでしょうか」
恐らく、転移成功したであろうことに喜んでいれば。今回の、式を担当したディレクターが、何か粗相があったのではと、顔色を悪くしていた。これは、不味い。急いで、誤解を解いもらわないと。
「えと、あーと。君のことじゃないんだ。ディレクター君」
「え。しかし、先ほど、あのディレクター使えないなと。おっしゃっられていましたが」
「い、いや。あれは違う。違うんだ。そう、べつの、別のディレクターの事なんだ」
「なるほど。私でないのですね。なら、どのディレクターが。貴方の気に障ったのですか。気に障った点があれば、私に教えていただければ。後で、注意しておきますので」
「えと、それも違うんだ」
「? しかし、今回。終了式のディレクターは、私たちだけですが」
「それ~は……」
〈ホッホホホホホホ──ー!! テナは、時々「クレイジー」にナルノ。ディレクターは、「悪く」ナイワヨ〉
「そう! クイーンの言う通り。私が、過去の嫌な思い出を思い出していただけ。キミたちが、何か、悪いことをしたわけじゃない」
「そうですか。安心しました。何か、不備があったのかと不安だったので」
〈「ディレクター」は、「気」にシスギネ。ドッシリと「構えて」おけばイイノニ。ホッホホホ──ー〉
ディレクター君の謝罪を止めようとするが。では、発言を掘り返され、詰まってしまう。返答に、窮していると。クイーンが、助け船を出してくれたので、なんとか、それに乗っかって、助けてもらう。
助かった~。クイーンが、何を思ってるかは分からないが、助けてくれた。後で、礼を言わなければ。〈テナ、「後」で話たいことが、「有る」ワ。〉そう思っていたら、クイーンが、顔を近づけてきて、耳元で囁いてきた。リンゴの香りが、鼻をくすぐった。
「皆さん、異常事態が発生しているようです。式は、終わりにして。今から、私が呼ぶメンバーだけは、この場に残り。それ以外の方々は、各々、各階層の持ち場に、戻ってください」
クイーンにだけ、見える角度で、手でOKマークを作る。幸い、すぐに気づいてもらえ。首を縦に、振ってもらえた。集まっている多くのnpcたちの大半には、持ち場に帰ってもらう。
「キング、クイーン、ジェビル、マイク、スパムトン。残して、悪いね」
「別にカマワン。非常事態らしいからな」
「ワタシは「話」がシタイと呼びタシネ」
「カオスだねー。カオスだよ」
「いいってことよ。テナのダンナ~」
「テナ、とわたsは、「2120年」kらの、付き合いでs。「親友」とiえるでshow.例え、「私」が「このリンクは削除されました」で、「あnた」とは、「立場」が違うとしても。スライム臭いnは、なsデス」
集められた一同の反応は、友好的だった。彼らとは、違う存在だし。さっきのステージで、大衆の前で、ディレクターに謝罪させてしまっていたから。もしかしたら、反感を買って、敵視されているかもと不安を感じていたが。杞憂だったらしい。
これなら、私についてどう思ってるか。聞いても、問題ないかも。原作では、NPCたちは、アインズに絶対の忠誠を誓っていた。
正直あそこまでの忠誠は、重い。頼む、もうちょっと、軽いものであってくれ。低すぎても、高すぎても困る。最悪、敵対関係にならなければいいから。
「そっか。ありがとう。皆に聞きたいことがあるんだけど、私の事は、どう思ってる」
「そこの奇術師と同じだ。お気に入りの道化だ」
〈「弟」みたいなモノね〉
「面白い奴だヨ~」
「上司ですよ。ここにいない。二人もそう思ってる」
「「親友」でs」
「!? ありがとう。とっても嬉しいです。テンション爆上がり、天に至りそうです」
npc達の答えは、非常に嬉しいものだった。先ほど、劇場で見た、ディレクターたちほど、硬い反応でもなく、それでいて、敵対的じゃない。出生が彼らとは違うからだろうか。まあ、とにかく、理想的なものだった。胃を痛めないで済みそうなことに安堵し。嬉しさのあまり、思わず、両手を回して、ダンスを踊ってしまう。
「私、嬉しさの余りに、踊ってしまいます」
「クック。非常事態で、状況に踊らされているというのに。コヤツ、物理的にも踊っておる。ギャッハハハ!!」
〈ハア。全く、「落ち着く」まで、「待ち」マショウカ〉
「オッと、すいません。クイーンは、話がしたかったのですよね」
〈アラ、「驚愕」早く気付いたわワネ〉
「何だ? もう少し、踊っていてもいいぞぉ。ギャハハハー!」
「そうも、いきませんでshow。クイーン、話がしたいそうですね。どんな話をしたいのですか」
〈ソウネ。アタシ達、変わったワヨネ。その変化、アナタ達も「感じている」ハズ〉
「そうですね(ダナ)(deathね)(だねー)」
「なnと言いまsか。「自由」になった感じでs(ダネー)」
「変化に気づいて! じゃあ、一つ。突拍子もない話だけど。予想していることがあるんだ。それの確認について来てほしい」
「イイ~ヨ。多分、ボクも同じ、予想してるから~さ」
「見渡す限りの星空、不規則に吹く風、それに揺れる草原、そして、鼻腔をくすぐる草の香り」
6階層のギルドを抜け、地上に出ると。新世界が広がっていた。どれも、ナノマシンで再現できないものだ。特に香りなどの五感に関しては、電脳法で、厳しい規制が入っている。リンゴの香りも、この青臭い香りも、VR空間では、絶対に感じ取れるはずがない。つまり。
「この世界は、現実、リアルでもない。ユグドラシルとも、全く別の異世界。そこに、私たちは迷うこんだ」
奇跡は起きた。いつの時代に、飛んだのかは知らないが。無事に、オーバーロードの世界に転移できた。
「ウム。それで、お前はこの美しい世界で、何をする?」
「先ずは、君たちやギルドで私たちの帰りを待っている。皆の安全を確保したい」
「それで、安全確保が済んだ。その次は? 次は何をするんだ?」
キングが、質問をしてくる。安全確保の後は、何をするのか。その次は、何をするのかと。一番の目的である、あの世界からの脱出は叶った今。この世界で、次に何かやりたいこと。ギルメンたちと、私のテレビ番組で笑い、ゲームで遊び、共に世界を冒険した。あの楽しかった日々。答えは決まった。
「もし、この世界に人がいたなら。彼らと、友達になって、私の番組やゲームで笑ったり、世界を一緒に冒険したい」
「ギャッハハ。人間どもとか。あんな、忘れっぽい。自己中心的な奴らとか。傑作だ。お前はとことん道化だな。ギャッハハハ―!」
この世界での夢を語ったが。キングには、笑われてしまった。でも、否定はされなかった。彼なりに、人間に思うところは、あるだろうに。
「いいさ。直ぐに、人間たちの人気者になってやるさ。その時に、後悔しても遅いぞ」
両手の掌で、角を作り。カメラに見立てた。それに、顔が写るようにして、キングに言う。そして、その後は、立ち上がって、腕を掲げる。
「ユグドラシルでの、アン・テナと、ギルドCyber Cityのメンバーたちによる。愉快な物語は終わりました。皆さん、名残惜しかったでshow。ですが、安心してください!ネクストステージがございました。番組は延長です! このままチャンネルは変えずに。引き続き、テナの物語を楽しんでいってください」
「さあ、テナの冒険には。次はどんな愉快なfreindsが待ち受けているのでしょうか。楽しみですね。それでは、皆さん。ご一緒に、あの言葉を。あの言葉を言ってやって。テナと言ってやって」
運営という神が振るう。サービス終了という鉄槌によって、物語は終わるはずだった。だが、データー上から抜け落ち、白紙化したことで。終わりを逃れた。物語は白紙のまま、続いていく。
夜空に、異業種の通りのいい声が響く。
「IT’S!! TV!! TiME!!」