曇らせ絶対に許さない系神官の英雄譚with周囲を絶対曇らせる系女勇者   作:さらみパスタ

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聖歴0099 4月17日

 

 

 

 諸々の準備が終ったあと、俺は政治ルートを通じてヤムルさんと面談する席を用意していた。

 

 時刻は夕方、赤く染まった街の中。

 場所は人類連合の貴賓室。

 お題目としてはーー魔族融和派と交戦派の中心人物同士の会議、の前にある程度話を通しておくための会談の場だ。

 

 基本的にうちうちの場であり、俺は一人で、ヤムルさんは副官と二人で立ち合っている。勇者パーティーの御者であり推定魔族疑惑のある女性だ。

 

 

「さて、わたしの暗殺を決行なさる前に少し話をしましょうか」

 

 

 ま、当然殺気とか諸々で読まれているんだろう。

 俺の暗殺計画は速攻でバレた。

 開口一番、ヤムルさんは落ち着いた態度でそう語りかけてきたのだ。不意を打てればベストだったんだけど……相手は魔族四天王、そう上手くはいくわけはないのだろう。

 

 

「あら、ヤムルさん、洗脳が効いていないことに驚かれないんですか?」

 

「いやいや、本当に慄いておりますよ? まさか洗脳が効いていないとは……今も確かにかかってるはずなのですがねぇ」

 

 

 俺もよくわかってないけど。

 ヤムルさんもよくわかってないらしい。

 やはり、魂絡みの関係なのかな?

 

 

「まあ、それはいいでしょう、わたしの目的としましては、魔族と人間の講和です」

 

 

 まあ、彼は歴戦の魔族でありーーわからないことをわからないままにしておけるタイプの男であった。

 

 

「わたしは人間のことが好きでして……この顔も亡き親友が死に際に託してくれたものなのですよ? 戦争が続くことは避けたいと思っております」

 

「ええ、それは素晴らしい考えですね」

 

 

 とはいえ、彼の態度には余裕があった。

 自負だろう。その気になれば俺を撃退するなんて容易くできると。

 政治的に言えば俺に攻撃されたから反撃したーーなんて言い訳もできるわけだしね。

 

 ま、そんな状態で強襲する意義はない。

 俺は腰を据えて彼と言葉を交わしていく。……本音で言えばホッとする気持ちはあった。顔見知りを不意打ちする前に、せめて言葉を交わしたい、俺はそう考えちゃう甘ちゃんだからね。

 

 

「そうおっしゃられることは理解していましたよ。だから打ち明けました。あなたは別に魔族のことそんなに嫌いではないでしょうからね」

 

 

 ヤムルさんは確信があるような口ぶりでそう告げる。

 

 なるほど、以前の彼の副官の魔族バレは俺の魔族への感情を探るためのものだったわけか。

 その時俺はかなり穏健的な態度を取っていたけど……。彼はそういう探りを長いことコソコソと行っていたのだ。人間側の協力者候補とでも見ていたのか、それとも他に何か理由があるのか。

 

 

「我々は仲良くできると考えています。

 二、三の国家は貰いますが、他の領土は全て返還する予定です、あれ以上は魔族では管理も維持もできませんからな」

 

「それは意外ですね……なら交戦派メンバーを説得する必要もなくなりましたよ」

 

 

 交戦派ーー俺が率いる派閥ということになっているグループには、故郷を奪われ未だ取り戻せていないパルチザン組織の多くが加入していた。

 

 彼らだって故郷を奪還できれば納得する。

 

 意外と話がわかるというか、ここだけ聞けば賛同しかない提案だった。そういうことなら協力するのも吝かではない。

 

 わざわざ敵対行動を取らず、再洗脳も試みず、こうして言葉を交わしていることは彼なりの誠意ってやつだろうしね。

 

 

「そのためには勇者レーヘンは邪魔になります。彼女は強すぎる」

 

 

 そう、ここだけ聞けば……。

 

 

「四天王を三人も失った今の魔王軍は、戦力を著しく低下しています、魔王さまも勇者がいる限り講和はできないと仰られています」

 

 

 ヤムルさんはプレゼンをするように大きく身を動かしている。嘘をついてるようには見られないけど、俺は推定スパイのベストールさんの言葉を思い出していた。

 

 

「あなたはまあ、信頼できますが……こちらに魔王への信頼はありませんよ?」

 

「ああ、ご安心を。わたしとレーヘンさまを除いた勇者パーティーの戦力を合わせれば、魔王様にも抗えます、抑止力にはなる。魔王妃さまも穏健派ですし……それに四天王の生き残りはわたしだけですから」

 

 

 まあ、その理屈は正しいのかな?

 四天王も彼以外全滅しているし。

 魔王といえど、唯一の軍幹部と勇者一行の力に妥協せざるを得ない。彼が何を思っていようとも意味などない。

 

 

「勇者レーヘンは……もう長くはないでしょう。より大いなる善のために、切り捨てるのはやむなし。……どうですかな?」

 

「流石にそれはできませんね」

 

 

 だとしても流石に仲間は売れない。

 俺はレーヘンを犠牲にするってことは絶対に受け入れられない。ま、それは他の仲間に関しても、だけどね?

 

 

「そうですか、残念です……」

 

 

 ぶちりと、嫌な音が身体の内側から響いた。

 俺の腕を斬り落とされた、俺はそう直感的に理解した。

 

 何度も何度も腕切り落とされてきたからね。反射的にどういう攻撃されたのかわかるくらいに。

 ……身内の手でね……。

 

 交渉はこれで終わりなのだ。

 開戦の号砲もないままに、シームレスに戦いの場に変化した戦場。俺はみすみす先手を許してしまったわけなのだが。

 

 ……彼の攻撃は見えなかった。

 

 最速の魔族、つまり、それは動きが早いというより攻撃速度が光の速さだって事なのかもしれない。

 

 洗脳の応用で、身体を騙してダメージを受けたと勘違いさせる的なあれだな。流石に通常攻撃が視認不可能なら勝ち目はないから諦める。想定すること自体が無駄だし。

 

 もしそうならヤムルさんが魔界最強と謳われていただろうし、もっと以前に直接的に攻撃してきたはずだ。

 

 そんな理屈を後付けで考えている間にも俺の身体は反射的に動いていた。リラックスしきっていた肉体は一気に筋肉を収縮させる。

 

 床を蹴り腰を捻り、肩を連動させ。

 居合の要領でメイスを持った時点で攻撃体制は整えられていた。

 

 腕を切り落とされても問題ない。

 人間は本来なら四肢を失えばろくに立って動けなくなる。重心の位置は大きく変化してしまうからだ。

 

 しかし俺は勇者さまと何度もそういう練習をしている。バランスを崩すこともなく、即座に戦闘行動に移れる。

 

ーーそれが敵にとって一つ目の想定外。

 

 彼はまず、俺の片腕をもいで機動力を奪ったうえで距離を取ろうとしたのだろう。やぶれかぶれの攻撃が当たらないくらいに間合いを保ち、そこから確実に仕留めようというのだ。

 

 実際、四天王級の強さを持つヤムルさんに間合いをあけられたらなすすべもなく殺される。

 

 だから勝負を決めるのはこの一瞬。

 

 俺はヤムルさんに迫撃しつつ彼を回復した。

 

 ヤムルさんの身体は多くの移植によってツギハギ状態だ、当然腕が生え変われば身体のバランスは崩れる、専門の訓練を受けていなければ重心の急速な変化に対応などできない。

 

ーーそれが敵にとっての二つ目の想定外。

 

 俺の攻撃範囲から抜け出ようとしていたヤムルさんの身体は不自然な動きで静止し。

 

 そして、足が止まったところをメイスで頭を叩き割る。狙うのは他の臓器ではなく、明確に彼の肉体が残っている頭部。

 

 俺は渾身の力で攻撃した。

 

 俺の腕力は高い。

 いわゆるリミッターを解除した状態での腕力というのは、人間の領域を少し超えている。流石に姫騎士クラスには届かないが。

 

 ま、そんな無茶をすれば肉体には反動が返ってくる。筋やら腱、骨や血流なんかにも相当の自傷ダメージが齎される。

 

 回復すれば治るとは言え、それまでの間は運動のパフォーマンスは大きく落ちる。だから実戦で使ったことはなかった。訓練の中でしか行ったことのなかった理論上の最大打点。

 

 けど、今の一瞬は勝機への分水嶺。

 後のことを考えるべきではない。

 

 俺は継戦のことを度外視した、筋やら関節を痛め、骨にヒビが入るほどの渾身の力で、この後のことを無視した最大腕力でメイスを振るった。

 

ーーそれが敵にとっての三つ目の想定外。

 

 ヤムルさんは動けなかった。 

 

 そうして直撃した頭部への打撃。

 それが致命傷だった。

 

 身体のほとんど全てを人間のそれで移植されているからこそ、彼の肉体は脆かった。彼の頭は大きく凹み、その身体から一切の力が抜け落ちた。

 

 

「……っ、ヤムルさま⁈」

 

 

 副官のレニヒさんは突如始まった戦闘に合わせ、座席から立ち上がり、何かをしようとしていた。しかし、一瞬の攻防は彼女の何かをする暇などなかった。

 

 頭部を深く潰されその勢いで床に転がり落ちたヤムルさんはぴくりとも動かず、その傍に斬り飛ばされた俺の腕がぼとりと転がり落ちていた。

 

 俺は残心を解かず、たった一撃で悲鳴を上げる全身を回復魔法で治していく。その間も床には血が広がっていくだけだった。

 

 ヤムルさんは死んだ。

 あっけない最期だった。

 

 まあ不意打ちが完全に決まったわけだけど。

 一応知り合いだけど……背中から刺したわけではなく、正々堂々、言葉を交わして、真正面から殺したので罪悪感の類もない。

 

 

「すみませんね、俺はレーヘンを幸せにすると決めているんですよ」

 

「神官長、大丈夫そうかな?」

 

 

 というわけで残心を終え。

 そんなことをキメ顔で口にしているまさにその現場に勇者レーヘンが転がり込んできた。

 

 さて、今回の勇者パーティーの作戦はどういうものかというと、勇者遠距離で屋敷ごと吹き飛ばす作戦というか、俺が気を引いてるうちにレーヘンが不意をつくという勇者丸投げ作戦であった。

 

 やっぱ俺たちで一番強いのは勇者さまだからね。

 俺の役割は囮。

 

 人類連合宿舎にこっそり近寄っていた勇者さまによる強襲こそが本命で、長々と会話していたのは……彼女が不意を打つためのチャンスを窺っていたにすぎない。

 

 いけそうだったから俺がヤったけどね。

 

 

「…………」

 

「あー、レニヒさん、それでどうします?」

 

「攻撃してこないからボクとしても別に追撃とかはしないけど?」

 

 

 四天王の一人はあっけなく殺された。

 そのことを理解したのか、その場でへたり込んでしまった推定魔族のスパイさん。真っ青な顔で俺たちのことを見上げる姿はなんていうか、兵士というより非戦闘員というか、武器を取り出すこともなくガクガク震えているのだ。

 

 敵意も感じない。攻撃の素振りもみせない。そのくせ逃げ出す素振りもない。

 

 敵は敵と思われるかもしれない。 

 俺もね、攻撃されたら容赦なく返り討ちにするけど、戦う意思がない相手に攻撃するのは抵抗がある。甘ちゃんと言われるかもしれないけど、そういうことはやっぱりできない。

 

 それは魔族を容赦なく惨殺してきた勇者さまとしても同じ感覚らしい。

 

 

「……はぁ……はぁ……」

 

「…………」

 

 

 俺も、レーヘンも困っていた。

 魔族って基本的に投降なんてしないから、向かってから魔族を片っ端から殺せば済むんだけど……こうしてブルブル震えているだけの敵を前にするのは初めてで。

 

 一応敵だから目線を外さないわけなんだけどね。なんかお見合いみたいな感じで少しの間、無言で見つめ合っていたのだが。

 

 その間も荒い呼吸を繰り返していたスパイさんはそのまま何もしないまま硬直し続けて……そのままばたりと気絶してしまったのだ。

 

 

「……ど、どうするの? その人」

 

「と、取り敢えず病室とかに連れていくべき……なのかな。とりあえず後回しにしようか」

 

 

 とりあえず細かなことは後で考えることにして。

 俺は意識を切り替えた。

 

 

「にしても四天王の割に意外とすんなり片付いたねー、これならもっと早く倒しても良かったんじゃない?」

 

「根回しが大事なんだよ、根回しが」

 

 

 俺たちの戦闘は一瞬で終わった。

 俺の斬り落とされた腕が床に落ちるまでで決着がついた一瞬の攻防。

 つまり戦闘音なども大したことがなく、部屋の外で何が起きたのかを知るものも少ない。

 

 ヤムルさんの亡骸も撲殺された人間って感じだしね……ここからは政治的根回しの時間だ。彼が魔族であること、内通や外患誘致の証拠を提出した上で暗殺やむなしと思わせる政治工作を行うのだ。

 

 いや、もうほとんど終わってるんだけどね。

 

 

「さて、こっからが大変だぞ、レーヘン。わかっているだろう?」

 

「……し、神官長に任せるからね? 責任取ってくれるって約束したんだから、ちゃんと面倒見てよね?」

 

 

 ヤムルさんが死んだことで、洗脳は解けた。

 にわかに騒ぎ出した人類連合職員の声は、会議室の中にも響いていてーー俺は思わず天を仰いだ。

 

 魔王四天王倒してたけどね、この問題はここからが大変であると言えた。敵を倒すってのはね、楽なんだよ。でもこれから始める戦後処理の方が遥かにキツくて大変なのだから。

 

 俺は改めて覚悟を固めるのだった。

 

 

 ーーーーーー

 

 

 

 というわけで俺は知り合いというか、前もって話を通していた方々の力を借りて、ヤムルさんは魔族四天王であったことを広く広める必要がある。

 

 戦地をめぐり集めた証拠、そして彼の死とともに突如戻ったレーヘンの記憶などもあれば、今回の暗殺劇は政治的対立による蛮行ではなく、勇者パーティーによる正義の鉄槌であると認識してもらえるのである。

 

 でもこれは時間との勝負だからね。

 変な噂が出回る前にそういう世論を醸造する必要がある。ここからは本当に忙しくなる……わけなんだけどね。

 

 しかし勇者パーティーメンバーへのフォローだって疎かにはできない。だって仲間だからね! 

 

 

 暗殺劇を終え、既に話を通していたこの一帯を支配するパルチザンリーダーとか、他の政治的な重鎮にいろいろな報告を済ませたうえで。

 

 俺は仲間達と面会していた。

 

 日が沈んで暗くなった街の中。

 街灯の灯りに照らされている街は異様な空気に包まれている。洗脳が解除されたことで……勇者レーヘンを忘れていた事実を思い出したのだろう。そりゃ動揺するのは当たり前なのだが。

 

 現レーヘン邸ーー旧勇者邸にて、集まった仲間達の顔はそれはもう……ひどいものだった。

 

 

「というわけで、四天王だったヤムルさんの暗躍でみんなの記憶が改変されていたってわけだね……で彼を暗殺したから無事解決したんだ」

 

「イェーイ、というわけで四天王全員倒しましたー、やったね、パチパチ」

 

 

 俺は事件のあらましを努めて明るく、なんの苦労もしてないんだぜ、感を滲ませながら説明したし。

 レーヘンも元気いっぱい相槌を打ってくれたんだけどね。

 

 

「ごめんなさい、レーヘン」

 

「いやいや、ボクは大丈夫だったからね? 何かしらの辛い目とかにはあってないんだしさー、ちょっとシリアスすぎない?」

 

 

 仲間達はどこまでも暗く澱んでいた。

 

 最愛の幼馴染のことをすっかり忘れ、自分が勇者であるなんて考えていたライフズくんはまだ事態を完全に飲み込めていないようだが。

 その表情は本当に翳っている。

 つい先日までの自信に溢れていた態度との落差は本当に酷い。見ているだけで俺の元気まで翳ってしまいそうなほどだった。

 

 

「……ヤムルが魔族四天王……わたくしは……レーヘン、ごめんなさい、わたくしは無能で愚かで……あなたの足を引っ張り続けました」

 

「そんなことないと思うよ? ほんと、ボク神官長の家にずっといたし、普通に出歩いてたし、そこまで気にしなくていいからね、姫さま!」

 

 

 姫騎士も絶望し切った表情をしていた。

 

 そう言えばヤムルさんと交際していた、みたいな話も出ていたからね……。わたくしが情報を流出させていた、みたいなこと考えているのだろうか?

 

 火のないところに煙は立たない。

 もしかしたらそれは事実かもしれない。

 

 でも姫さまは悪くない。

 あんなよくわからない不思議な技術で洗脳されて情報吸われるのをどうにかできると考える方が傲慢だ。姫騎士が悪かったのではなく敵がすごかった。それだけの話だ。

 

 

「……はは……助かったよ……」

 

「うん、そうだよ! 魔法使いさんのいう通り、こういう時は謝罪じゃなくて感謝してほしいよね、ま、全然苦労してないんだけどね、ボク!」

 

 

 まあ、魔法使いさんは比較的マシ……かな?

この中のメンツで言えばダントツでマシ。いや、それでも相当強いショックを受けているけどね。すっごい乾いた笑い方してるし。

 

 娘のような存在を忘れ果てていたことは、強烈な苦渋を齎している。なんなら顔面蒼白だし、手はキツく握り込んでいるし『ここで顔に出してはならない』と強く耐えたうえで、これだけはみ出しているのはヤバいんだけどね。

 

 

「……し、神官長〜」

 

 

 レーヘンは情けない声をあげながら俺をチラリと見ていた。

 

 仲間達の様子は端的に言えばヤバいのだ。自分の手には負えないと即座に人の手を借りようとするのは正しい判断なんだけどね。

 

 こっちに縋られてもどうしようもないんだ。

 

 

「みんな今回は敵が強大だった、それだけなんだ。四天王最後の男だけあって、魔界最強の男と同じで、恐ろしい能力を持っていたんだ、だから、ね?」

 

 

 俺としては彼らのメンタルケアをしたい、したいのだ。

 

 今回は敵が一枚上手だった。

 あれは洗脳がヤバすぎるだけである。

 

 魔界最強と謳われた魔族がとんでもないくらい強くて、勇者パーティーメンバーと言えども単独で渡り合うなんてできなかったように。

 ヤムルさんの洗脳はそういう、個人の努力や才覚ではない抗えぬ災厄のようなものであっただけにすぎない。

 

 絡め手特化型四天王は、それだけ恐ろしい存在なだけ。

 

 異常行動を平然と取らされていた彼らの姿を客観的に何度も目撃していた俺からすれば、仲間達になんの責任もないことはわかるんだが……。

 

 

「……はい……ごめんなさい、神官長……」

 

「わたくしが無能なせいで……あなたにも大変ご迷惑をかけて本当にごめんなさい……」

 

「……わかってる……わりぃゾニ坊」

 

 

 勇者パーティーの仲間達は責任感が強く、基本的に自責思考になりやすい。あいつが悪い、ではなく自分に責任があるとあれやこれも抱え込んでしまうのである。

 

 それは美徳なんだけどね?

 俺は思わず天を仰いだ。

 

 いや、実際に洗脳されてる人を見たらあれは仕方ないってなるんだけど……みんなはそれ見たことがないからね……。

 

 

「みんな、明るく行こう! 悪いやつはやっつけたんだから、ね! ボクパーティー開いてほしいなー、パーっと遊んで祝勝会したいなー、ね、ね!」

 

 

 あとレーヘンは一生懸命元気であることをアピールしていたんだけど……その明るく、馴れ馴れしくーー以前までとなんら変わらぬ信頼があるからこそ、罪悪感が強烈にのしかかっているのかもしれないなぁ。

 

 どうすればいいのか。

 俺はもう天を仰ぐしかなかった。

 

 薄々こうなることは察してたけどね、実際に仲間達の曇らせと直面したら、頭を抱えてしまうのである。

 

 

 

 

 

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