曇らせ絶対に許さない系神官の英雄譚with周囲を絶対曇らせる系女勇者   作:さらみパスタ

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聖歴0100 7月18日

 

 

 

 皇国地下にて魔王軍の残党と思われる勢力が何かしらのテロを起こそうとしていた。

 そんな報告を耳にして、俺とレーヘンが周囲の反対を押し切って、皇国跡地に正式訪問していた。

 

 時刻は夕方、赤く染まった都市の中は幸いなことに戦闘の痕跡はほとんど残っていなかった。

 テロは未然に防がれて。

 悲惨な被害などは出なかったそうだ。

 

 この地に住まう市民達も何が起きたのか、最悪な形で知ることはなく。

 時間解決の翌日あたりから噂という形で耳にする程度で済んでおり、市場の混乱というものも最小限で済んでいた。

 

 皇国に向かう道の中でそんな報告を耳にして俺たちはほっと胸を撫で下ろしたわけなんだが。

 

 そうして訪れた皇国。

 再建途中の皇城の敷地の中に用意された、簡易的な庁舎の中で。

 

 俺たちを歓待したのは、明らかに疲れと疲労を滲ませる姫騎士ワイスだった。

 

 

「ワイス、それでその、何があったの?」

 

「……ライフズが魔族に与していました」

 

 

 彼女はひどく憔悴していた。

 

 未遂とはいえ魔族による攻撃が起きかけた。

 こんな状況でライフズ君が俺たちの前に出てこないわけがない。なのに彼が姿を現さない理由。

 

 噂は真実だったようだ。

 姫さまは淀んだ声でそう報告してきた。

 

 

「……わたくしの耳に報告が入ったのは夕刻のことでした……」

 

 

 姫さまが語ることによれば。

 

 ライフズくんが地下に向かった直後、異常な物音を聞いたという報告があったそうだ。

 それで姫騎士と兵達はあわてて地下に向かったそうだ。ライフズ君は皇国の重鎮であったから、敵対勢力に狙われたと判断したそうだ。

 

 そして地下では案の定、魔族の集団と戦闘になったらしい。

 

 

 ーーそれで、魔族の集団と戦いになりました。わたくしは先行し、奥に向かいました」

 

 

 これは俺にとって想定外の知らせだった。

 てっきりベストールさんと二人でいるところ見咎められたとばかりに思っていたから。俺は彼女に告げるはずだった、魔族と思わしき行商人についての説明をしなかった。

 

 

「そこでライフズと魔族の女を見かけ……攻撃をしようとしたところ、ライフズに剣を向けられたのです」

 

「そっか、辛かったよね」

 

 

 そして勇者パーティーの錬成士はベストールさんと共にどこかに消え失せた。戦いの最中に一瞬で消えたそうだ。

 ワープとか転移。

 彼女はそういう技術を有していた。

 そして倒したはずの敵兵も消え失せていた、と。

 

 ときどき言葉を詰まらせながら報告しきった姫騎士。

 ここまで憔悴した彼女に必要なのは気持ちを落ち着ける時間なのだろう。この国のリーダーとして事件の後処理に取り組む彼女には心を休ませる時間などなかったから。

 

 俺はレーヘンと目を合わせ。

 

 

「では俺はまず負傷者の治療をしてきます。レーヘン、姫さまのことを頼むよ」

 

「任せといて、ワイス、だから後のことはこの人に任せてお喋りしよっか」

 

 

 俺はまずは怪我人の治療に向かうのだった。

 

 

ーーーーーー

 

 

 人は嘘を吐こうとしなくとも、間違った事実を口にすることはある。

 姫騎士一人の言葉を鵜呑みにするべきではない。というわけで俺は治療の傍、地下に向かった兵達から話を聞いていた。

 

 もちろん怪我の治療が最優先だけどね。

 魔族の集団と戦闘に及んだ部隊は、怪我人はそれなりに多くいたが重症者はそこまでいなかったし。

 ヒーラーの手である程度治療も済まされている。

 

 

「君はリバースくんだよね? 姫さまの従者の。少し話を聞きたいんだけどいいかな?」

 

「は、はい、神官長さま!」

 

 

 というわけで治療を終えた俺は、一人の男の子に話を伺っていた。

 姫騎士の元に真っ先に報告を行った張本人。

 ワイス姫の従者リバース君とは、それなりに見知った仲だった。

 

 

「それで、ライフズさまと戦いになりました」

 

 

 彼の報告も姫騎士ワイスが口にしたものとほぼ同じだった。 

 

 地下で騒がしい音が聞こえたこと。戦闘かと思いワイスに報告し、慌てて地下に向かったこと。

 そこから先はまったく同じ内容だ。

 

 

「……他にも何かいうことがあるんじゃないかい? 事件が起きる前の話で」

 

「……っ……」

 

 

 ま、幾つか言ってないことはあるんだけどね。ただ彼がそれを隠したのはーーライフズ君を庇いたいからなのだろう。

 

 その女魔族と以前から密会していたこと。

 その調査のために尾行していたこと。

 

 そんなことを報告すればライフズくんの不利になってしまうのでは? だから誤魔化し隠していたのだ。

 

 彼の顔に浮かぶのは罪悪感だった。

 自分が余計な報告をしたから、こんな大事になってしまったのでは? そんな苦渋が態度の節々から滲んでいる。

 

 彼が、ライフズくんと姫騎士の間に誤解が生じるように暗躍したとか、そういうわけではなさそうだな。

 

 この子割と姫騎士には恋愛感情あるっぽいからね。

 だがそんな俺の考えはただの下衆の勘繰りだった。

 

 

「ライフズさまは、皇国復興に大変ご尽力なされた方です、なにか事情があったのではないかと思います。彼が裏切るつもりならここまで皇国のために力を尽くさないと思います!」

 

 

 そう強く主張する少年の瞳には確かな好意と信頼の色がある。

 ライフズくんが培った信頼は、こんなことで揺らぐほどに柔くはない。きっと何か事情があるはずだ。そんな感情は多くの人たち共通して胸に抱くものなのだろう。

 

 ま、俺も同じ気持ちなんだけどね。

 

 まず大前提だが、俺はライフズくんを信じている。彼はわけもなく味方を裏切るような男ではない。

 

 あとベストールさんも魔王討伐にかなり貢献した情報提供者だしね。ここで実は反人間的思考を抱いているなんてことはない。

 

 そんな二人が今回のような行動に出た以上は、何かしらの理由があるわけで。

 

 というかこれ曇らせでしょ?

 みんなのために名誉を捨てて、人助けに勤しんでいるとかなんだろう。

 俺はこういう話に詳しいのだ。

 

 そして、そういう仲間の自己犠牲を知らず非難し敵対し、攻撃して、後々真実を知り苦悩することになるってこともね。

 

 というわけで俺はそういう前提で誤解を解いていきたいと考えている。

 

 しかし、姫騎士ワイスはこういう時に感情論を用いて説得できるタイプではない。

 知性に優れた姫騎士は論理的な理屈がなければ納得などしないのは過去の経験からして明らかだ。

 

 具体的にいうと勇者さまの代償問題ね。

 

 となると、まずは明確な理屈を用意する必要があった。そのためには調査が必要となるのだ。

 

 

ーーーーーー

 

 

「ワイス最近、全然寝れてなかったんだって」

 

「そっか、まあそうだよなぁ……」

 

 

 ワイス姫は精神的疲労から、勇者レーヘンに慰められるうちに眠ってしまったらしい。すぅすぅと寝息を立てるあどけない姫さまを起こさぬように寝床に寝かせるのに苦労した、なんて話を普段のレーヘンなら自慢げに行うものなんだが。

 

 こんな情勢でふざける気持ちにはならないようだ。

 姫騎士ワイスは以前会った時とは正反対の重苦しい苦悩に苛まれているのは確実だった。

 

 

「ライフズくんはなんであんなことしたんだろうね?」

 

「それは調べてみなければわからない。というわけで許可取ったから地下道見てくるぞ」

 

 

 というわけで俺達は皇国地下の探索を行なうことにしていた。一応何人かの兵士が案内役を買って出てくれたのだが、今回は地図だけ借りて俺とレーヘンの二人での捜査である。

 

 

 古代から続く皇国の首都。

 それを支える地下水道は複雑に入り組んだ迷路のような形状をしている。ちなみに何人もの避難民が魔王軍の手から逃れるために用いた避難経路でもあるらしい。

 

 近隣の河川に接合された地下水道はかつては犯罪組織やらが根城にしていたこともあったとか、なかったとか。

 ちなみにその犯罪組織の中枢も、もちろん魔王軍との戦いで市民を守る盾となり全員死んだそうだ。

 

 冷たい空気が充満した地下道に魔族の姿は見えなかった。

 敵は全員撤収したと思われている。

 全員を倒し切ったわけではなく逃げられた。

 倒した敵の亡骸一つ残されなかった。

 まるで日差しに照らされた残雪のように消えていたのだ。もしかしたらこの地下水道を使って逃げた可能性もあるし。

 

 

「それで神官長、なんか見つかった?」

 

「いいやまったく」

 

 

 戦闘の痕跡が僅かに残る壁。

 目新しい刀傷に、幾つかの血痕を調査していく。

 

 この地下水道に未だに敵が隠れている可能性はゼロではない。雪のように消えたということは、突如現れる可能性もある。

 そもそも敵は撤収せずこの地下水道のどこかに隠れている可能性も。

 

 というわけで、何かあった時のためにいざという時に蘇れる俺とレーヘンだけで捜査していた。

 ま、そんな可能性は低いと踏んでいるけどね。

 

 俺はライフズくんのことを信頼している。本当にこの地に脅威が残っているならば、彼は警告の一つ口にしたはずだ。

 

 

「そういえば、さっきも聞いたけど神官長はどう思ってるの?」

 

「ライフズくんは姫さまと敵対したのは確実だけど、何かしらの事情があったと思ってる」

 

 

 壁に残された痕跡の確認をする俺、の小脇にて。

 捜査は完全に俺に任せ、周囲の警戒にあたっていた勇者さまはそう尋ねてきた。誰にも聞かれぬ場所で俺の本音を聞き出そうというのだろう。

 

 

「俺が考えてることはだーー

 

 

 というわけで。

 俺は素直に考えを述べた。

 

 俺の中では新たな敵の存在に気がついていた。

 おそらく魔王軍が二分している。

 

 穏健派と主戦派だ。

 で、穏健派には魔王妃とかベストールさんが所属しており、人間に攻撃をしようとする主戦派の魔族と戦おうとしていた。

 

 今の情勢的に、敗北を認められない残党の犯行はそのまま魔族への嫌悪につながるから、内々だけで対処しようとこっそり活動してるのだ。

 

 で、多分ライフズくんはひょんなことからそれを知って協力することになっていた。

 

 多分ベストールさん側は少人数なんだろう。

 敵の数と味方の数の差がありすぎる。

 

 そして、だからライフズくんは力を貸した。

 

 というわけで過激派VS穏健派VS皇国軍って感じで乱闘が起きて。

 敵のボスとの戦いが終わった直後にベストールさんが姫騎士に攻撃されたから庇ったのだろう。

 

 ライフズくんにとって行商人さんは相当親しい存在だ。

 交際相手がそんな存在を攻撃したら、そりゃ止めようとするし。

 

 ワイスは元穏健派だったけど、ヤムルさんに騙されたりとかしてるからね。咄嗟にトラウマ刺激されて、かなり強硬な態度を取ってしまったと思われる。

 

 で、説得を諦め逃亡し現在に至る。

 

 

ーーって感じだな」

 

「それ、ワイスに言わない方がいいと思うな」

 

「それっていうと、どのあたり?」

 

 

 ただそんな考察を聞いたレーヘンは開口一番にそう漏らした。

 俺としては予想外だった。

 てっきり『なら、ライフズくんそんなに悪くないね!』とか言われるかなぁと思っていたのに。

 

 

「少人数だから力を貸してあげたくなったのくだりと、説得を諦め逃亡した、あたりは絶対に言わないほうがいいと思う」

 

「その心は?」

 

 

 とは言え、彼女もライフズくんが裏切ったとまでは思っていないことは、明らかだった。魔族への敵意も少ないし、何か事情があったんだろうと考えているのは俺と同じだ。

 

 だから俺はレーヘンに尋ねた。

 軽い気持ちだった。

 否定されたからなんでって、深く考えない直感的な発言だったのだが。

 

 

「ボクだったら、それ、恋人である自分じゃなくて見知らぬ女優先したって感じで不快感凄いもん。嫉妬でちゃんとした判断できなくなるよ?」

 

「……そういうもんなのか?」

 

「うん。だってそうでしょ? 困ってるからってワイスだって困ってるのにさ、置き去りにするとか言語道断だよ。間違ってることを間違ってるっていうのはいいけどさ、隣で説得するべきでしょ? そういうのは優先順位があるんだよ、恋人は最優先、だって付き合ってるんだよ?」

 

 

 レーヘンは珍しく長文でお気持ち表明した。

 その圧は凄まじかった。

 

 

「でも相手が怪我とかしてたら?」

 

「なら言えばいいじゃん、怪我してるよってさ。交際相手が見知らぬ女を庇って黙っていなくなるなんて、ボクなら絶対に許せないから」

 

「そ、そっか……」

 

 

 俺は一切の反論を許されなかったのである。

 正式に婚約してから知ったのだが、勇者レーヘンは、俺が思うに少し嫉妬深いところがあるようで、姫騎士との会話でそういう気持ちが強まってしまったらしい。

 彼女の瞳は異様な輝きを放っている。

 

 

「お前そんなこと考えるタイプだったんだなぁ……もっと色々とふんわりしてると思ってた」

 

「うん。知らなかったでしょ。神官長はなんだかんだでさ、いつもボクを最優先にしてくれるからね」

 

 

 俺とレーヘンの地下水道調査はそうして進んでいくのであった。

 

 

「じゃあ前からベストールさんと知り合い、みたいな話もやめといたほうがいいかな? 俺が信頼してるみたいな話とかも含めてさ」

 

「うん、ワイスが意固地になると思う、ボクだったら嫉妬でおかしくなるよ? ボクじゃなくてあの女の言うこと信じるのっ、てなるし、そんな女と一緒に逃げたとかありえないよ。まだ知らない他人の方が百倍マシ」

 

 

 ま、勇者さまが言うならそうなんだろう。

 というわけで俺は女心を知り尽くした女の子に姫騎士の説得内容を添削してもらうのだった。

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 

「申し訳ございません、わたくし、すやすやと寝てしまって」

 

「姫さま、身体を休めることも貴人の大事な仕事ですよ?」

 

「……そんな話は聞いたことがありませんわね」

 

 

 姫騎士ワイスが起床したのは翌日のことだった。

 ぐっすりすやすや眠っていたのだろう。

 明らかに気力を充実させた姫騎士には、昨日の重苦しい雰囲気は幾分かマシになっていた。

 

 久しぶりの睡眠である程度回復したようだった。或いはレーヘンが隣で支えたからかな? 二人は実の姉妹のように仲がよく、深い絆を育んできている。

 

 隣で寄り添い、言葉を交わす。

 それだけで苦しみは軽くなるものだ。

 

 ま、姫さまを苛む苦悩が氷解したわけではない。

 だからこそ。

 

 

「というわけで、俺が思うにその魔族の女性は協力者かなんかだったと思うんですよね。で、咄嗟に庇ってしまった」

 

「……確かに神官長の仰られる通りですわね」

 

 

 俺は『ワイス達が地下に向かう前から音がしていた=ワイスを攻撃してきた勢力とライフズくんは敵対していた』ということを伝えていた。

 

 ちなみに勇者さまのアドバイスには従って。

 ベストールさんは信頼できる、ではなくライフズくんに何か理由があったのでは? という説得の仕方に変更している。

 

 他にも怪我人の配置と負傷からして、後ろから攻撃されてはいないのに、壁の刀疵が逆向きなものが幾つか見つかっている、とか。

 

 姫騎士の一団が訪れるより前に戦闘が起きた形跡が残っている、と。

 あれこれ理屈を述べて、姫さまの胸に浮かんだ疑念を解消することに成功するのであった。

 

 

「確かに、裏切られたなんてあまりに短慮でした。感謝いたします神官長さま」

 

 

 ワイス姫の瞳に僅かに光が宿っている。

 どうやら今回は説得に成功したらしい。

 勇者パーティーの絆はこんなことで揺るがない。

 

 というか本来の姫騎士ならこんなことすぐに推測できるのだが。最愛の男性に剣を向けられた事実に、そんなことも考えられないくらいに動揺したのだ。

 

 

「そうですわよね、だって愛しているのです。わたくしが彼を信じなくてどうするのかという話ですわよね? 何か理由があるのですから」

 

「その割にはボクの代償の件は全く信じてくれなかったけどね、ワイス」

 

「あなたへの評価が高かったですから、プラス方面に勘違いしてしまったのですの、おほほ」

 

 

 だからレーヘンもそんな軽口を口にしたのだろう。

 二人の小気味いいやり取りに俺はほっと安堵した。

 これでこの件は解決したに等しかった。

 

 あとはライフズくんと顔を合わせ、言葉を交わせば解決する。

 ……俺とレーヘンだと少し問題あるからね。BSSとか、色々とね?

 そこら辺は交際中の姫さまを頼るのがベストだった。

 

 

「ですが魔王軍の動きがあるというのは少し厄介ですわね……もう魔族なんて手当たり次第殺していくしかないのでは? ……失礼、言葉がすぎましたわね」

 

 

 ただ今回の件でちょっとだけ、そう、ちょっとだけ、姫さまの中の魔族への敵対感情が強まったのは間違いなかった。冗談めかした言動だが、胸の中に抱いた本音がうっすら顔を出したようなものなのだから。

 

 

「……おそらく地下で見つけた魔法陣が魔族過激派の目的だと思われますが……姫さまは何かご存知ですか?」

 

「ふふ、自慢ですけどわたくし魔法なんてさっぱりですの。そういたことはライフズに任せておりますので」

 

 

 とは言え魔王軍残党への対処はしなければならない。

 敵を追っていけば、いずれはライフズくんとも合流することになる。

 

 特に地下水道には明らかに異様な魔法陣らしいものが刻まれていた部屋があった。魔族がどういうテロを企てようとしていたのか、その真相を知るものはいない。

 

 

「……ねぇ、神官長、なんでボクには聞かないの?」

 

「そりゃお前がそんなことわからないってことは、よく知ってるからな。聞くまでもないだろ?」

 

「もーもー、理解ある夫アピールはやめてよねぇ〜、えへへ」

 

 

 だからこそ調査は必要だ。

 しかし、俺にも姫さまにも、レーヘンにも魔法系の知識なんてない。

 魔法陣を見せられても、それがどういう効果を齎すのかなんてまるでこれっぽっちもわからないのである。

 

 

「ということはバックルさんの元に向かうおつもりで?」

 

「ええ、餅は餅屋。彼ならこの魔法陣がどういうものなのか解析できるでしょう。姫さまにはこの地に残り、ライフズくんからの連絡に備えてください」

 

「ええ、わかりましたわ!」

 

 

 というわけで。

 俺とレーヘンは魔法使いさんを頼ることにしたのだ。

 

 

 

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