曇らせ絶対に許さない系神官の英雄譚with周囲を絶対曇らせる系女勇者   作:さらみパスタ

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今回も掲示板回ではありません


聖歴 0100 8月14日

 

 

 

 聖剣守の一族であるライフズくんは、その勤めを果たすことができなかった。聖剣を受け継ぎ、自己犠牲の果てに魔王を討滅するーーそんな役割は幼馴染が代行することになった。

 

 だからこそ、彼は最愛の幼馴染レーヘンに長らく告白することができず、そんな心理的な拘束からようやく解放されたまさにその瞬間に、その幼馴染は他の男に求婚していた。

 

 年頃の男の子の脳はボロボロだった。

 顔を歪め苦悶の表情を浮かべたライフズくん。

 

 大好きな女の子だから、彼女の結婚式で計画された魔族のテロをなんとか阻止しようと、間男である俺に接触したわけだけど。

 大好きな女の子だから『僕が先に好きだったのに』という苦痛に苛まれてしまうのだ。

 

 しかし今はテロ事件への対策を話し合う必要がある。

 しかし、脳を壊されながらでは流石に無理。

 

 ということで俺は話題を前後させることにした。

 

 

「せめて姫さまに連絡したらどうなの? 恋人なんだから手紙くらいは書けると思うけど? なんなら俺から伝えるぞ」

 

「…………」

 

 

 しかし俺は知っていた。

 彼には恋人がいる。

 寝取られの傷を癒すのは純愛だ。

 

 というわけで、ライフズくんの恋人ーーワイス姫について話題に出したのだ。彼女は今も隣の屋敷で彼のことを待っている。

 せめて声の一つでもかけたら?

 

 

「最初は気まずかったからでした。喧嘩したし顔を合わせ辛くて……ずるずる後回しにしてしまって……」

 

「でも今は違うんだ?」

 

「はい。魔王軍の残党は各地に生き残っています。北の果ての山岳地帯や南の無人群島。東の山林に、西の荒野にも」

 

 

 俺の提案を耳にして。

 そして彼は語り始めた。

 

 大大陸はその全土を人間が開拓できたわけではない。未だ人類が開発しきれぬ山奥とかの辺境に魔族の残党はバラバラに逃げ込んでいるらしい。

 

 

「しかも彼らの多くは人間へ危害を加えるでしょう。飢えた山賊のように村を襲い、都市を襲い、痛手を被れば未開の地に逃げ込む。そんな敵が生まれるのは目に見えています」

 

「それは厄介だね」

 

「はい、その上、その中には人間への敵意を持つ層もいますから。テロを起こす連中も多い。でもそんな連中をちまちま倒していたら相当の時間がかかると思うんです。今までの戦いは開発された人間の生活圏内での戦いでしたしね」

 

 

 ま、やろうと思えばなんとかできる。

 ただかなりのリソースは費やされる。

 時間もかなりかかるだろう。

 

 攻めてくる敵を返り討ちにするのと。

 逃げる敵を追い打つのは、全く違う。

 

 

「だから僕は思いついたんです。僕が魔王になればいいって」

 

 

 そして、彼はそう言い切った。

 

 

「魔王は魔族で一番強い男がなれます。僕が魔王になって号令をかけて、世界に散らばった魔王軍残党を一箇所に集めて……見張ればいい。人間を攻撃しようとしたら、行動を起こす前に暴力で屈服させれば問題は起こりませんからね」

 

「……夢物語じゃないかな?」

 

「ですが前例はあります。聖剣守のご先祖はそうして魔族を監視していたこともあるんです。僕の伯父がそうでした。ま、早くして亡くなられてしまったそうなんですけど……魔族に与しつつ彼らを誘導して平和を齎したからこそ戦後の平和が生まれたんです」

 

 

 さも名案であるかのように口にしたライフズくんであるのだが……そこにはあからさまな私情が混じってる。

 

 一つは勇者レーヘン。

 パン屋の娘として産まれながら、才能があるという理由で戦いに駆り出された少女に穏やかな余生を与えたいという愛。

 そしてもう一つは……。

 

 

「それだけじゃないんだろう?」

 

「……はい、絆されました。僕はもう魔族を敵に思えないんです。悪い人っていうより思慮が足りない愚かな人って感じで、助けてあげたいって思ってます」

 

 

 それこそがライフズくんの目的だった。

 魔族の保護と共存。

 そのために彼は人類の裏切り者となろうとしていた。

 

 

「ワイスは悲しむと思うよ?」

 

「……振られますかね、僕……」

 

「皇国の姫が魔王と結婚は流石に無理だからね。国民が納得しない。今聞いた話を表沙汰にしたとしても、流石にね」

 

 

 まあともかく。

 それこそがワイス姫に連絡できない理由だった。

 ライフズくんは人類の裏切り者になる。

 

 皇国は魔族の被害が甚大な土地だ。

 魔族への嫌悪感は根強く残っていて。

 そんな連中の王となった男と、お姫さまが結ばれるなんて許されない。

 

 だから合わせる顔がないのだ。

 恋人を裏切ったに等しいーーライフズくんはそう思っていた。

 

 

「……まあ……ですよね……」

 

「バックルさんも裏切られたと思うかもしれないね? それでもそんな計画を実行するの?」

 

「……はい……」

 

 

 全ての真実を明かしたところで、魔族に与した事実は変えられない。彼の社会的立場は失われてしまう。

 俺としては流石に肯定的には思えない。

 

 

「俺だって可愛い弟分が人類の敵扱いされるのを黙って静観しないといけないんだよ?」

 

「ごめんなさい神官長。でも決めたんです」

 

 

 ライフズ君は深く頭を下げている。

 でも、彼の意思は固いようだった。

 

 

「それで最初に言った話に戻ります、神官長に力を貸し欲しいことがあるんです」

 

 

 その上で、彼は本当に申し訳なさそうに眉をハ字にしている。

 自分一人ではどうにもならない。

 だからお願いしたいと。

 

 

「なにをして欲しいんだい?」

 

「僕が失敗した時のことをお願いしたいと思ってます。魔王軍残党を一つにまとめるわけじゃないですか。僕に何かあったりして抑え切れなくなった時に……」

 

「ああ、わかった。責任をもって処理するよ」

 

 

 魔族残党を討伐して欲しいという話だった。

 実際、魔族領でまとまっているなら聖剣抜きでの会戦で簡単に滅ぼすことはできる。

 烏合の衆がバラけてるから厄介なだけ。

 

 

「でもそんなお願いでいいの? 魔族を助けてあげたいんじゃないの?」

 

「沢山の人を犠牲にしてまでじゃないですよ。テロとかゲリラが繰り返されるのを止めたいってのも本音です。やることは以前と変わりませんよ、ただ魔族の玉座に座るだけです」

 

 

 それが今、ライフズくんが仲間達に会いに行かない理由なんだろうけど。そんなことを聞かされればますます会いに行けと言わざるを得ない。

 

 

 

 

「俺が協力するには条件がある。その事をワイスには伝えるべきだよ、魔法使いさんにもだ」

 

「……絶対に拗れませんか? あの二人は魔族排除して僕を解放するとか言い出すと思います」

 

「それでもだ、よ。どっちにしても恨まれるんだ、大した違いじゃないよ」

 

 

 確かに彼の言葉は事実だと思う。

 なんでライフズがそこまで魔族に尽くす必要があるのかってみんな思うだろう。そしてそんな感情はのうのうと庇われ、守られる魔族への嫌悪と化す。

 

 でも俺は強くライフズくんを説得した。

 勘違いで対立するのは良くない。

 どうせあの二人の敵意は魔族に向いているのだ、だから真実を告げても何も変わらない。

 

 

「わかりました、でももう少しだけ時間をくれませんか?」

 

「必ず報告するんだよ? しなかったら俺がバラすからね?」

 

 

 

ーーーーーー

 

 

 そうして、ライフズくんとの秘密会談は終わりを告げていた。

 で、今度は窓から帰って行った少年の背を見送って。

 飲み物を取りに広間に向かったところ、いつの間にかに屋敷に帰っていた勇者さまと鉢合わせて心底びっくりしたわけなんだけどね。

 

 まあともかく。

 俺は勇者レーヘンに相談していた。

 流石にこんな問題を一人で抱えるのは重すぎる。

 

 

「こんなことがあったんだよー、レーヘン。俺はどうするべきなんだろう……」

 

「まー、いいんじゃない? 本人が望むように任せればさ」

 

 

 なのに、勇者さまはそう断言するのだ。

 すっごい軽い口調だった。

 まるで日常会話の延長線上のような相槌だ。

 

 いや、もう少しあるじゃん?

 これ割と人生の岐路だからね?

 

 

「でもボクだって、例えみんなに神官長と結婚を反対されたとして、自分の意思を変えるつもりはないからね。本心からやりたいことは応援したいんだ、親友だからね!」

 

「そのみんなにはもしかして俺も含まれてる?」

 

「え、うん、もちろん」

 

 

 いや、レーヘンが薄情とまでは考えてないんだけどね?

 兄貴分である俺は、悪く言えば庇護する存在としてみており。

 親友であるレーヘンは対等な存在として見ている。

 単なる視点の違いってだけなんだけどね?

 

 

「それに世界が敵に回るって、大したことじゃないじゃん? 意外と庶民は周囲の人なんて見てないんだしさ、お忍びで街くらいぶらつけるわけじゃん?」

 

「……まあお前がいうならそうなんだろうけど……」

 

 

 ま、まあ確かに勇者さまはかつて世界が敵に回った過去があるし、その間もそんなに苦労してなかった実体験がある。

 

 だからこう、魔王になって人類社会が敵になることへの抵抗感がないというか。意外と何とかなるし、とか考えちゃうのだ。

 

 

「なんかあったら神官長が匿えるしね!」

 

「そうかな、そうかも……」

 

 

 まー、確かにいざとなれば戸籍用意して別人ってことにして何とかなるか。

 

 身体の一部をもらった上で回復魔法を行使して肉の器を構築した上で。それがライフズくんの死体ってことにすれば魔王が死んだことにもできるしね。

 

 連合王国は行政機能は統一されておらず。

 その中のソルト王国は魔族の被害がない土地だ。

 憎悪も薄ければ敵意も乏しい。

 

 魔王に似てるからって何か問題が起きるわけでもないし。

 もしもバレたとしてもそんな騒ぎにはならない。

 穏やかな余生を過ごすこともできる。

 

 いざとなれば俺とレーヘンが潜入して何とかなる。

 と考えると確かにそこまで深刻ではないのか?

 

 ……たしかに、何事も経験なのかもしれない。

 男の子が覚悟を持ってやるというのだ。

 最悪の事態にはならぬように手を貸しつつ、やりたいようにやらせるのが本人のためなんだろう。

 

 

「もしダメなら聖剣で一網打尽にすればいいし、神官長は深く考えすぎなんだよー、どうにでもできるんだから、気安く行かなきゃね?」

 

「敵を倒せば解決する問題じゃないから空回ってたかもなぁ……でも確かになんとでもなるか」

 

 

 本当にレーヘンに相談してよかった。

 俺は晴れやかな気持ちになるのだった。

 

 

「助かったよレーヘン。相談してよかった」

 

「うん、夫婦っていうのは支え合いだからね。あなたのことはちゃんと支えるから、任せといてね!」

 

 

 レーヘンは見惚れるような笑顔で。

 元気いっぱいにこう告げるのだった。

 

 

「そういえば、大大陸で行う3回目の結婚式を敵を呼び寄せる囮にしようと思ってるんだが、どう思う?」

 

「いや流石にこういうのは専門外なんだけどなぁ……神官長、もう少し他のことで頼ってほしいんだけど、ボク別に頭は良くないし、政治も得意じゃないからね⁇」

 

 

 というわけで俺たちの結婚式は、レーヘンとの話し合いの結果。

 

 身内だけで行う本命の1回目。

 王族としてソルトで行う2回目。

 そして魔族を釣り出すための3回目。

 

 という感じで行うことになったのだった。

 

 

 

ーー聖歴 0100 8月16日ーーーー

 

 

 俺にとって勇者レーヘンは最優先の存在だ。

 彼女のやりたいことならば、他のみんなを曇らせることだろうと実行してきた。

 

 では他の仲間はどうなのかという話だが。

 付き合いの長いライフズくんが2番手になるのだろう。

 

 基本的には同列なんだけどね?

 魔法使いさんの仕事を手伝ったり、ワイス姫の仕事を手助けする人員を斡旋したりと手を尽くしてきているわけなんだが。

 

 そんな仲間達のやりたいことが対立したらどうなるかといえばね? 

 

 

 姫騎士ワイスが俺の屋敷を訪れたのは、ライフズくんの襲来からわずか2日後のことだった。人類連合の議員が実は魔族のハーフだった問題への対応のためにあれこれ政治工作していたある日のこと。

 

 隣の屋敷からまるで何かを思いっきり叩いたような強烈な音が響き。

 その直後、事前のアポもなく、姫騎士が突如屋敷にやってきたのだ。

 

 彼女は苦渋に塗れた顔をしていて。

 その時点で俺は全てを察した。

 

 ライフズくんは俺との約束を守ったのだ。

 ……でも2日後はちょっと早すぎない?

 いや、いいんだけどね? 

 早く伝えようと言ったのは俺だし。

 それくらい素直に俺の言うことを聞いてくれたのは本当に嬉しいんだけどね? まだ最初にお願いされた政治工作の真っ最中なんだよね……。

 

 

「どうしましょう、ライフズが魔王になるって……」

 

「……そっか、辛いよね、よしよし」

 

 

 だからこそ、姫さまのフォローをしようと動いたのが勇者さまだった。苦悩に苛まれる女性に寄り添おうと、普段の態度とは程遠い労りと慈しみに満ちた態度で寄り添うわけなんだけど。

 

 俺はやばいと思ったのだ。

 勇者レーヘンはライフズくんが魔王になることを……なんていうか、まるでバイトか何かのように軽く考えている。

 恋人が人類を裏切ったことにショックを受けてる女性に『何事も経験だよ、ワイスー」とか言ったら薄情に思われるのは当然だ。

 

 もちろん俺はそれは親友としての確かな信頼があるからだってわかってるけど。

 一般的には、悪く思われてしまう。

 まして余裕がなくなり判断力が落ちた相手から尚更だ。

 

 

「……レーヘン、まさかあなたは知っていたのですか? ライフズがこんなことをするだなんて!」

 

「うん、神官長に相談されてね……この人にも一昨日言いにきたんだって。それで結構悩んでたみたいで」

 

「そうでしたか……いえ、すみません。当たるような態度だったかもしれません」

 

 

 しかし、勇者さまは本当に言葉を選んでいた。

 しれっと俺が知っていたことを、フォロー入れつつ明かして。

 悪印象持たれないように手を尽くしてるし。

 

 

「取り敢えず客間で待ってて? 飲み物入れて持ってくから」

 

 

 そうして、ワイスを客間に案内した少女は。

 

 

「神官長、ここは僕に任せてね? 余計なことは言わなくていいから。変に薄情だと思われても、逆に優しくしすぎても困るんだし」

 

「ああ、任せた」

 

 

 頼り甲斐しかない姿でそんなことを仰られるのだ。

 というわけで俺は取り敢えずのフォローを勇者レーヘンに任せ。

 目下の課題に取り組むのだった。

 

 

ーーーーーー

 

 

 

「ワイスにその……報告をしてきたことと。あと、魔族の動きについての連絡に来ました。一応資料を作ってきたので、これをご覧ください」

 

「その前に、怪我は大丈夫なの、ライフズくん」

 

「すみません、骨折れてて、治療をお願いしてもいいですか?」

 

 

 その日の晩のことだった。

 ライフズくんはまたしれっと顔を出していたのだ。

 俺としては、一月は空くかなと思ってたんだが……。

 まさかの数日後である。

 

 ただ激昂した姫さまに叩かれたのか、彼の腕は変な方向に曲がっている。というわけで俺は即座に彼の怪我を治療した。

 

 

「怪我した時は連絡してくれればすぐ治療するよ?」

 

「いや、ベストールっていうかみんなにも内緒にしてますし」

 

「でもそれじゃ大怪我した時に困らない?」

 

「……神官長が魔王と密会してるなんてスキャンダルでしょう? もう少し自分を大切にしてください。こうして頼ってる時点で申し訳ないんですから」

 

 

 というわけで怪我したらいつでも来ていいよと口にしたわけなのだが……ワープで即座に飛んでくればいいと思っていたんだけど。

 ライフズくんは俺のことを相当気遣っているのだ。

 

 

「別に社会的地位とライフズくんなら、後者の方が優先されるに決まってるんだけどなぁ」

 

「……ありがとうございます……」

 

 

 でも俺としてみるとそれは流石に遠慮しすぎ。

 というわけで言葉を尽くして見るんだけど……残念ながら彼の意思は変わらなかった。

 

 そして、どこまでもライフズくんを受け入れる俺の言動に僅かに歪んだその表情。俺への感謝は、恋人に受け入れられなかったが故にますます強まっている。

 

 

「まあ、姫さまは立場があるからね。ソルト王国と違って魔族との怨恨も根深いからさ?」

 

「ワイスの態度は当然ですよ。神官長が特別だってわかってます。変に恨んだりしてませんから安心してください」

 

 

 最愛の恋人と喧嘩別れしたに等しい。

 しかし、ライフズくんの表情には確かな憂いの色がある。

 

 ……魔王になるなら、姫さまと付き合うことはできない。

 そしてもちろん勇者レーヘンと結ばれることも。

 

 

「まあなんだ、女なんて星の数ほどいるからさ、元気だしなよ」

 

「いやまぁ、一方的に振ったのは僕の方ですけどね」

 

 

 そして純愛というBSSへの治療薬は失われている。

 名誉を失い、恋人を失った。

 そんな可愛い弟分のために俺が何をできるだろうと考えた時にーーふと思いついたのだ。理想の女の子を作ればいいじゃんって。

 

 影に日向に支えてくれる、ライフズくんの性癖に合致したヒロインを用意すればいい。それは俺の叶えられなかった夢を託すことに繋がる。

 

 大事なことは彼の周囲の女性関係についてだ。

 俺は平静を保ちながら口を開いた。

 

 

「そういえば、ベストールさんと仲良いの?」

 

「……いやただの協力者です。……やっぱワイスが変な勘違いとかしてますよね。別に色恋で道を違えたわけじゃないですよ。あの人魔法使いさんのことが好きっぽいですし」

 

「えっ、そうなの⁉︎ ……すごく複雑な人間関係だ」

 

 

 魔法使いさんはベストールさんを恨んでるっぽいのに。

 向こうからは恋愛感情抱かれている⁈

 俺はビックリしたような顔を上げた。

 

 もちろんわざとだ。

 こうして以前までとなんら変わらぬ態度を貫くことで、たとえ魔王になったとしても俺との関係は変わらないことを強く示す。

 

 可愛い弟分なのだ。

 たとえ立場が変わってもそれは変わらない。

 

 

「そうなんですよ、聞いてくださいよ、僕どうすればいいのか本当に困ってるんですよ! 恨むのはわかるけど見当違いなんですよ?」

 

 

 そんな俺の、以前と何ら変わらぬ態度に。

 ライフズくんの態度もどんどんかつての姿に戻っていく。

 そうして俺と彼の絆はあっという間に紡ぎ直されるのだった。

 

 

 

 

 

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