今日も胸がいっぱい、や!   作:つヴぁるnet

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天使ィ!

 

 

 

最初は天使の輪っかや、天使の羽を隠すべきかと思っていたが、しかし現在の人間社会では魔物が紛れてることも珍しくない時代、なので輪っかや羽が付いた程度で別に珍しがられることもない。だから天使程度では驚きもされないようだ。それはそれでなんか納得いかないような気するが、面倒事が無いに越した事ない。

 

 

 

「そしてアリス9世は叫んで言った…!!

 なんで私だけが仕事をしているんだ!?

 私の完全週休2日は何処に行った!?

 そもそも労働基準法はどうなっている!?

 教えはどうなっているんだ!教えは!!」

 

 

 「「「「あはははは…!」」」」

 

 

 

ここはナタリアポート。

 

この街の名物であるノアパンを片手に持ってきる観客に対してトークショーを行なっているのはフィサリス演劇団に所属しているエリーカ。

 

次の公演開始までの隙間時間を活かして観客を暇させないようにトークだけで笑わせていた。

 

しかしさすが演劇団所属、談話の中にも色濃い演技が入っているからか見ていて面白い。

 

しかもエリーカの手元にはノアパンがマイク代わりに握られており、それを時折齧りながら味や硬さを楽しんでいたりと、これもまたナタリアポートの名物を引き立てるようなやり方で上手い。もう皆がエリーカに夢中だ。

 

 

 

「しかし皆もご存じのこと。

 後にアリス9世は素敵な人間と出会った。

 好きあった二人は結婚し、夫婦となった。

 それはそれで休みない日々が続いたが。

 充実した幸せを余すことなく訪れた。

 娘に魔王を引き継がせると晩年を過ごす。

 こうして彼女は休みなき魔王とし語られた。

 

 このノアパンのように、永遠に愛されて…

 

 では、マイク代わりをゴクンと飲み込み。

 この名物に味付けを完了と致す。

 以上!これにて語り部は閉幕であろう!!

 視聴をありがとうございました!!

 私し、エリーカ・エコーズでした!!」

 

 「「「「わあああああ!!」」」」

 「「「「パチパチパチ!!」」」」

 

 

マイク代わりにしていたノアパンを食べ終えるのと同時にトークを終えれば、湧き起こる拍手の中でエリーカは演劇団仕込みの綺麗なお辞儀を行なって、舞台から去る。

 

 

やり切った、横顔。

 

余すことなく与えられた楽しい時間。

 

堂々と舞台から去る。

 

正直、その姿はかっこよく映る。

 

 

 

「……はっ!いかんいかん…!智天使たる者が惚けてる場合では無いぞ…!」

 

 

ぶんぶんと顔を振るい、私は正気になる。

 

喋り疲れただろうエリーカを労わろうと思った私は少し早足で裏方に回り、その姿をキョロキョロと探していると…

 

 

「あの、お水をどうぞ」

 

「お、さんきゅー、ティル」

 

 

ティルから水を受け取っていた。

 

むむ……先に労わろうと思っていたのに。

 

ティルの奴め、中々に抜めない。

 

隙あらば布団に潜り込んで行くようなあざとさはここでも健在か。ぐぬぬ…

 

 

「ふー、ノアパン齧りながらのトークショーだから口の中パサパサだ。水がうめぇ」

 

「開始前はあんなに水を飲んでたのに終わったらパサパサなんですね…」

 

「20分間ずっと喋っていたからな。あと港町だから塩で乾く。少し大変だったな」

 

「でもお見事でした。天界暮らしだった故に地上の内容には些か追いつけませんでしたが、しかし雰囲気はとても楽しげで、流石エリーカです」

 

 

と、パタパタと普段よりもご機嫌に羽ばたかせながらエリーカを褒めるティル。

 

あ、あざとい…!!

 

これがワイティエルのマスコット効果か!

 

 

 

「あ、ルミエ!すまない!この箱に軽量化の魔法をかけれないか?少し重たくてな」

 

「ぅえ!?……あ、ああ。構わないぞ」

 

 

角越しにエリーカとティルを眺めているとフィサリス演劇団の団員に声をかけられて私は少し驚いてしまうが、すぐに取り繕っていつも通りの智天使らしくキリッと表情を作る。

 

フィサリス演劇団にはミカエラ様を通して迷えし天使のために隠れ里エンリカを用意してくれた多大なる恩がある。

 

彼らの頼みを無下になど絶対にできない。

 

なので私は杖を持ち直し、軽量化して欲しい舞台道具を教えてもらうと軽量化の魔法を掛けて問題を解消する。

 

それから団員からお礼を言われ、私は改めて建物の角から顔を半分だけ出してエリーカとティルの様子を見る。そこには…

 

 

 

「おー、よしよしよしよしティルよしよし」

 

「あ、あまり頭を撫ですぎないで、ください…」

 

「撫でるにはちょうど頭の良い位置だからな……ダメか?」

 

「ダメでは無いです……でも撫でるならもう少し優しく、丁寧に…」

 

 

 

目を離した隙にティルはエリーカから頭をなでなでされていた。

 

エンリカに居ればティルに限らずそれなりに見られる光景だが、遠征先でもエリーカは私達天使を可愛がるようでティルもまんざらでもなく撫でられる。ぐぬぬ…

 

 

と、僅かに湧き上がる嫉妬心の後ろから。

 

 

「ルミエさん、少しお願いがあるの」

 

「ぅぇ?!…こ、こほん。何か用か?」

 

 

また頼み事だ。

 

別に頼られる事態は嬉しく思うし、彼らのために出来ることなら私は日々の恩を返すべくやり遂げよう。

 

ここには人間や天使など関係無いのだから。

 

 

それから頼み事を手早く済ませて私は元の位置に戻り、また建物の角から顔を半分ほど覗かせてエリーカとティルを眺める。と、いうより何故、私はコソコソとしているのだ?

 

 

「ティルは柔らかくて、ほんのりの甘い香りがするなぁ…」

 

「あまりギュッとし過ぎないで、ください…」

 

「お膝に乗せるにちょうど良いサイズだからな……ダメか?」

 

「ダメでは無いです……でもギュッとするならもう少し、優しく……あ、でも強く」

 

 

 

また目を離した隙に二人のコミニュケーションが発展していた。

 

次はエリーカの膝にティルが乗っている。

 

これもエンリカならティルに限らずよく見られる光景だが、しかしここでは私とティルの二人しか同行してないため、ティルの独占率が高めに設定されている。

 

そのためエリーカの膝に早くもダイナミックエントリーだ。ぐぬぬ…!

 

 

 

「ルミエ、少し良いか?力を貸して欲しい」

 

「ぬぅ!?…こ、こほん…あー、なんだ?」

 

 

またまた頼み事だ。フィサリス演劇団と同行中は極力助けになるようにエリーカにも言われているため、演劇団の頼みは率先して聞くようにしている。しかし何というか、もっと魔法に長けた団員はいないのだろうか?ここにいる者達は皆、それなりに世界を冒険をしてきた経験者ばかりだと聞くが……いや、そうじゃ無いな。

 

エリーカが突発しているんだ。あとその父君であるハルトマン。魔法タイプではないが戦士タイプとしては上澄の人間。それも魔の大陸と言われるヘルゴンド大陸で渡り合うほどの力を持っている者達。血筋というのはちゃんと表に現れているらしい。お陰でエリーカもあれほどの力だ。ミカエル様の指導の賜物でもあるがな。

 

そんなこと考えているとフィサリス演劇団は次の公演を開始した。そのため騒がしかった裏方は静かになり、代わりに表舞台にいる観客の拍手と声援によってナタリアポートの一角を染め上げる。裏方は一息付ける状況だ。私も頼み事を終えてまた定位置に戻り、角から顔を覗かせてエリーカとティルを眺めると…

 

 

「ほーれ!たかいたかーい!」

 

「わ、わ、わわわ!」

 

「おー!太陽に天使の羽が照らされてキラキラと綺麗だな!木漏れ日の多いエンリカだとあまり見られないから中々に良き良き」

 

「エリーカ、子供扱いは……その、別に嫌ではないですが、でも少しだけ恥ずかしいです…」

 

 

なんか更にコミニケーションが発展して高い高いと子供をあやすようにティルはエリーカに遊ばれている。それも百年単位の天使が十数年程度しか生きてない人間に両脇抱えられている光景だ。しかしそんなティルも満更ではなさそうにエリーカとのコミニケーションを楽しんでいるんだから収まりが効かない。

 

それにしてもティル…!

あ、あざとい…!

あまりにもあざといぞ!!

 

わ、私なんて元智天使としてのプライドを忘れない故、あんな風にエリーカとコミニケーションを取ることは事なんて一度も……ぐぬぬぬ。

 

……う、羨まし………はっ!じゃなくて!

 

違う違う!

何を考えているのだ!

しっかりしろ!ルミエ!

 

今回は地に落ちた天界へ目指すためエンリカにいる天使の中で(ミカエラ様やルシフィナ様を除いて)私が一番強いから、その大戦力を頼りにエリーカと共に旅に出たんだ。

 

だから断じてエリーカと距離を縮めれるチャンスだなんて考えは…!

 

 

 

「何やってんだ、ルミエ?」

 

「ぅぇ!?エ、エリーカ…!?」

 

「すぅ……すぅ…」

 

 

エリーカの登場に驚きながら腕の中で寝ているティルが視界に入る。

 

まるで遊び疲れた子供のようだ。

 

シチュエーション的には近所に住んでいるお兄さんと遊んで、それで疲れ果てたので抱っこされてお近くの家まで送り届けられているような姿。

 

エンリカでもだがエリーカのその姿は様になっている。

 

今のティルと同じようにトンベリ娘のトリンもよくエリーカにおぶられては幸せそうに寝ているし、もちろん今のティルも常習犯レベルでエリーカの腕に抱かれてそのまま椅子でゆらりゆらりと揺られて眠っていることが度々ある。冬はそうして二人で暖かそうにしていた姿を何度か見ていたな。そしてここでも躊躇いなしか、この合法マスコットは。

 

 

「さて、今日で公演日は2日目。そろそろ聞きつけて現れても良い筈なんだけどな」

 

「そういえばナタリアポートで探している者がいると言ってたな。それが現れるということはこの演劇団の存在が引き金となるのか?」

 

「ああ。てか普通に見にくると思う。大々的にも広告打ってるし、あとアイツら俺たちフィサリス演劇団のファンだし。陸にしかない道楽に飢えてんだよね」

 

「なるほど…」

 

 

そう言ってエリーカは海の方を向ける。

 

腕の中で眠っているティルの背中をポンポンと優しく叩きながら海を見渡し、目視で探そうとする。

 

天気は晴天。

 

冬の目覚めから喜んだ春の陽気と潮風がナタリアポートを歓迎し、エンリカとはまた違う住み心地の良さを教えてくれる。

 

 

「ま、演劇団はあと5日は滞在するんだ。現れるまではここで演劇団の公演に参加しながら気長に待とう。ルミエもそのつもりで頼むな?」

 

「裏方しかできない身だが、構わぬ」

 

「すぅ……すぅ…」

 

 

知見を広める意味でもしばらくはこの場で人間社会を味わうのも悪くない。そう思い表舞台で拍手湧き起こる音に耳を傾けながら私は海を眺めていた。ティルの寝息も添えて。

 

 

 

 

 

 

 

そして、それは翌日にお目当が現れた。

 

 

 

「久しぶりだな、エリーカ」

 

アシェル、会いたかったぞ」

 

「おいおい、随分と熱烈歓迎だな。もしや海賊団に参加希望か?」

 

「まあそんなところだ」

 

「……え?マジか?」

 

「半分はな。とある目的のために巻き込みたいと思ってたところだ」

 

「?」

 

 

赤と黒のバンダナを被っている鮫肌のマーメイドは首を傾げる。聞いたところ海賊のようだ。

 

もしやエリーカは賊堕ちする気か!?

 

 

「が、外海!?それは本気か…?」

 

「ああ。とある大陸を目指したいために船が必要だ。そこで君たちに頼みたくナタリアポートまで待っていたんだ」

 

「なるほど…外海ねぇ。そりゃ良い。おさかな海賊団の知名度を上げるチャンスでもあるからな」

 

「ちなみに俺の伝手で大海の覇者から一人助っ人を頼んでいる。なので航路は比較的安全だ」

 

「大海の覇者?おいおい待て、それって…」

 

「マンタ娘の方だな。力関係なら示してある」

 

「おいおいマジかよ…!?人間があんなのと戦って勝ったというのかい??エリーカには悪いがにわかに信じ難い話だねぇ」

 

「わかる。でも本当の話」

 

「……そうだねぇ。仮にそれが本当の話だとしても現在のおさかな海賊団は外海へ乗り出すにはちょいとリスクがあるな。外の憧れはあるが少しばかし時期が悪いな」

 

「時期?」

 

「ああ。現在お嬢を育成中でねぇ。少なくともそのお嬢が船長としての資格があることを乗組員に分かってもらわないと外海に乗り出す以前に発言力が共わねぇ。つまり副団長のあたし一人で決めれる内容じゃねぇってこった」

 

「なるほど。ちなみにその資格ってのは?」

 

「宝探しだねぇ。実はナタリアポート海域にあたしが宝を隠してんだ。お嬢には簡単な地図を渡している。それ読み解いて、見つけてもらわねぇとお嬢が船長を名乗る資格はねぇな」

 

「そっか」

 

 

どうやらすぐに決められる話でも無いようだ。

 

エリーカはしばらく考える。

 

 

「それ、俺たちが手伝うのどうだ?」

 

「なに?」

 

「これでもヘルゴンド大陸とか過酷な地域まで足を運んだことある。俺自身は冒険家としての能力が高いんだ。まあ実際に職業は冒険家で熟練度も最大まで上げれたし、地図の読み方とか冒険の付き合い方とか経験はある方だ。それで俺がアシェルの育成中の船長を補佐してそのお嬢とやらに経験を落とし込む。そうすれば成長の手助けにもなるだろう。どうだ?」

 

「へぇ?そういう交渉か。しかしなるほど…確かにエリーカの経験がお嬢に対して良い刺激になるなら悪くねぇ。エリーカを通してフィサリス演劇団とのコネも出来る。それに…」

 

 

 

アシェルという人魚はエリーカの顔を見ながらニヤリとする。

 

……ま、まさか餌食にするつもりか!?

 

 

「旅する演劇団なら、地上で住み慣れているってことになる。なら家事や在庫管理が出来るって考えになっても自然だよな?」

 

「基本なんでも出来るぞ。料理も掃除も、洗濯も裁縫も、戦闘も修繕も、地上の技術が船上でもそのままフィードバックできるなら」

 

「よし!その話乗った!頼むぜ、エリーカ」

 

「おっす!姉御!」

 

 

なんと船に乗ることが決まった。

 

しかも海賊の手伝いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ア、アシェル…」

 

「お嬢、彼はエリーカですよ」

 

「う、うむ……よ、宜しく頼む、ぞ」

 

 

桃色のヒレと、綺麗な金髪を靡かせるは俺より二回りほど小さなマーメイド…と、いうよりエンリカにいるロリ天使達とそう代わりないサイズだ。なのでいつもの調子で俺はそのマーメイドと目線を合わせるように片膝を着きながら屈んで挨拶する。

 

 

「君は未来の団長さん?なら俺も未来の団長になるんだ。そしたら俺と君は同じ(おさ)だ。ならば仲良くしよう。共に皆を率いることにならん先駆者(リーダー)としてな」

 

「!、!!!」

 

 

そうして小さなマーメイドの頭を撫でる。

 

髪とヒレを、あと既にたわわに実っている胸も揺らして、眼を見開き…

 

 

 

「ボ、ボニーじゃ!今回はよろしく頼むぞ!エリーカ!」

 

「ああ、よろしくな、ボニー」

 

 

 

さて、ここはおさかな海賊団の海賊船。

 

前日のアシェル副団長との邂逅から話しが決まったので、ナタリアポートから少し離れた場所に停船している海賊船に案内された。

 

そうして海賊船に乗り込み、多くの海賊マーメイド達が姿を見せる。唐突な人間の登場に驚きながらもアシェルが説明し、そしてボニーという見習い海賊マーメイドも遅れて現れた。

 

 

しかしどいつもコイツも低身長で胸がでかいとかいうロリ巨乳の集まり。

 

エンリカでも見慣れた光景だ。

 

 

 

「船長を務めるにあたって必要なモノ、それは何か?とある海賊王は言った。度胸と空元気!」

 

「度胸と、空元気?」

 

「ああ。知識は後から付ければ良い。今は何をやってみせるかを示す。ボニーは何をしたい?」

 

「こ、ココの船のお頭になりたいぞ!」

 

「意気込みよし。では知識を付けよう。この地図に書かれている宝の位置。それはどのように割り出すか。このナタリアポート海域で目印になりやすい地形と土地はどこか?」

 

「む、むむむ…ええと……これ、か?」

 

「ナメクジタワーだな。では方角は?」

 

「太陽がこっちで……そう、こっちじゃ!それとお宝の方向と同じだな!」

 

「つまり船はこの方角。現在の時刻にある太陽の位置を記憶しながら向かう船を定めるれば、あとは簡単だろ?」

 

「うむ!大丈夫じゃ!場所は……む?よく見たらここってメダル王女のお城では?」

 

「その付近にあるらしいな。じゃあお宝を探すぞボニー」

 

「よし来た!」

 

 

素直さんだから話が早い。理解しようと努力してくれる。ならあとは経験量だな。地上の旅も同じ。知識は重要だがそこに行き着くための度胸と空元気は必要だ。臆病が先行するならそもそも冒険なんぞに挑むな。死ぬぞ??

 

 

 

「エリーカ、私は何かお手伝いしますか?」

 

「特に無いな。まあ強いていうならティルとルミエは船に慣れておけ。外海は長旅になりそうだ」

 

「酔いなど魔法でどうとでもなるが…まあ、慣れておくに越したことないな。わかった」

 

 

フィサリス演劇団とナタリアポートで留まらずに着いてきたティルとルミエ。

 

しばらくボニーに付きっきりになるので二人には船に慣れるように伝えておいた。

 

同じ天使のコルクはダメだったからな。

 

 

 

それから半刻が経過。

 

ボニーは仲間と共に望遠鏡を覗きながらメダル王女のお城の近くにある孤島を除き、時折俺から地図の位置を相互確認しながらアシェルが隠したお宝を探す。

 

そして…

 

 

「あったぞ!あったぞ!!」

 

 

わかりやすく岩の上にお宝が置いてあった。

 

お魚の骨のマークも一緒に。

 

 

「アシェル!これで私は団長だな!」

 

「エリーカの助けは多かったですが、しかしそれもお頭としての能力でしょう。なので合格ですね。今日からお嬢がおさかな団の団長を名乗って良いことにしますよ」

 

「やったのだ!やったのだ!エリーカ!!」

 

「うおっ!ととと…」

 

 

喜びのあまり飛びついてきた。まだまだ体が小さめなマーメイドだけど普通に大人ほどの重量あって受け止めるに苦労…いや、トリンの弾丸ライナー飛びつきに比べたらボニーは軽いな。

 

しかし綺麗な金色の髪だな。胴体の桃色のヒレも美しいし。どこかの血筋かな?

 

 

 

「随分と懐かれているな、エリーカ」

 

「小さな子供に好かれる体質なんだよ」

 

「みたいだな。ならこのままおさかな海賊団に入るか?この海賊団にも子供っぽいマーメイドが多くてな、エリーカならすぐ馴染むだろう。今なら高待遇にしとくぜ?」

 

「悪いが俺はフィサリス演劇団だよ。今は天使捜索のため定期的に団を出入りしてる身だが、役割を終えたら本格的に演劇団を営むと決めているんだ。お誘いはすごく嬉しいけど」

 

「そりゃ残念だな。でも地上の端から端を渡り歩くフィサリス演劇団とコネを持てるならプラスだな。なので今回を機に恩はとことん売らせてもらうぜ?そんな訳で船旅は任せな。外海の荒波だろうと運んでやる。あ、でも戦闘は…」

 

「そこは任せろ。マンタ娘の用心棒も頼もしいだけど、智天使だったルミエがとんでもなく強い奴なんだぜ?驚くぞ、アイツの強さ」

 

「へー、そりゃ楽しみだな。ちなみにその天使はエリーカの何倍の強さだ?」

 

「強さ…?そうだな。数字上で語るなら……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  俺の120倍は強いんじゃないのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「破ァ…!!!吹き飛べ!!!」

 

「「「ぎょぉえええええ!!!!」」」

 

 

聖属性の拳を正面に突き出す。

 

それだけで分厚い光の衝撃波が放たれ、襲いかかってきた海賊マーメイド達はことごとく蹴散らされ、しかも上位種タイプのハイマーメイドすらも簡単に蹴散らしてくれた。

 

さすが智天使(ケルビム)として天界最高水準の戦闘タイプとして誇っていた上位天使だ。堕天しようともその強さは地上ならば何ら問題ないとされる程に強い。俺の切り札が天軍の剱とすると、ルミエは聖属性を拳に込めた普通の正拳突きでその威力と攻撃範囲を上回ってくれる。

 

その上【永劫魔導士】としての能力もミカエラさんを上回るクラスなので、実は魔法にも長けてるとかいうとんでもない化け物。これに原初の天使たるミカエラさんやルシフィナを除いたらトンベリ娘のトリンよりも強いと思われる。

 

もう普通に地上最強を名乗れるのでは?となれば俺はルミエより強い生き物を知らない。

 

だが、それでも…

 

 

 

「黒塗りのアリスかぁ…」

 

 

ハインリヒの娘、その名は娘アリス。

 

母の胎内に孕られたまま死を迎えた何もなき魂に混沌の神が色付け、白き天界をその身一つで破壊した。その対象として黒塗りを意識し、俺はこの元凶を【黒塗りのアリス】と呼ぶ。

 

娘アリス改め、黒塗りのアリスは混沌の神によって肉付けされ、そしてハインリヒの天使に対する殺戮意識を原動力にその身一つで天界を崩してしまい、しかも当時そこにいた全盛期のルミエやその他の智天使や熾天使をついでのように叩き落とした。

 

そして女神イリアスを失踪させた。

 

女神が死んだかどうかは分からない。

 

ただルシフィナ曰くイリアスはなかなかしぶとい奴なので何処かで生きてる可能性はあるみたいなことを、他人事のように言ってた。まあ俺はイリアス教徒でも何でもないからイリアスの行方とか特段どうでも良いし、どちらかえ言えばミカエラさんを(師匠として)信仰してるのでイリアスはまあ三の次くらい。

 

しかしそれでもイリアスという存在がまごうことなき女神ならば、そのような上位存在を凌駕した黒塗りアリスとやらはとんでもない存在なんだろう。なら人間程度が割り込んで良い領域じゃないのは確かである。

 

まぁ俺はあくまでハインリヒの声を届かせる橋渡しとして大陸と化した天界に乗り込むだけの目的。血筋がそれを可能とするから。故に戦いで何とかするなんて考えてない。そんなのはゲームや漫画の世界だけの展開にしてほしい。

 

そんなわけで戦闘面はルミエやティルといった戦闘能力の高い天使を頼りにしている。

 

そりゃ俺自身、最上級職の光の勇者になった身だけど、しかしこれはあくまで目的地にたどり着くまでの道中で、もんむすにワンパンされないくらいの虚栄を手に入れるためであり、エリーカが単独で敵をバッサバッサ薙ぎ倒して進むような勇者物語は存在しない。てかすんな。

 

前よりは強くなったけど俺自身は人間如きであることを忘れてはならない。

 

先月のヘルゴンド大陸に関してもコルクやメイルのようなサポートに特化した天使のバックアップがあって何とかなったんだ。あと筋トレスライムのリセスも元気いっぱいで頼もしかった。不慣れな旅でも尽力してくてたあの3人には本当に感謝している。間違いなく俺一人では到底無理な旅路だったから

 

マンタ娘には一度勝てた。しかしそれをあと20回やりましょうとか言われたら無理。

 

俺たちは冒険をしている。

故に、何度も障害を乗り越える必要がある旅。

 

なら強敵を一度倒せる程度で外海とかいう魔の環境を越えれると思うなかれ、俺の限度は既に決まっている。だからルミエやティルのように強力な味方が必要不可欠なんだこの旅は。

 

 

 

「エリーカ、大丈夫ですか?」

 

「光の勇者だからなんとかなってる。これがもし冒険家の職業のままだったら天軍の剱を4回使って、後は出番無しだな。複雑だけどルシフィナには感謝してる」

 

「あの…いつも思うのですが、あの方を呼び捨てなど恐れ多いですよ、エリーカ…」

 

「それは本当にそうだぞ、エリーカ。あのルシフィナ様を呼び捨てにするなどミカエラ様を除けばお前だけだ…」

 

「いやでも…ルシフィナだぜ?アイツ」

 

「「……はぁぁ……本当に命知らずだ…」」

 

 

なんか呆れられてる。

 

そんなに怖いか?あの天使。

 

力はそりゃすごいけど、でも現状はまともに料理や掃除できなようなポンコツ娘やぞ?なんかやると壊してしまう。なんでさ。

 

でもあの娘はああ見えて何気に繊細で傷つくときは素直に傷ついてしまうし、咎めたりしたら少しだけ不満げにしながらショゲたりするが、しかしそれは素直さんなところがあるからこその仕草であって、表情の変化が乏しい彼女だが素性が分かってくると結構理解できるもんだ。

 

そんなルシフィナも人付き合いは好きなのか、俺の母リーリエとお茶する時はとても楽しそうにするし、そこら辺を考えればとことん妹気質なんだろう。

 

 

うん。そう考えれば。

 

 

「結構可愛いもんやぞ?アイツも」

 

「そ、それはエリーカだから、です…!」

 

「本当だぞ!エリーカはルシフィナ様の活躍をよく知らないからそう言えるんだ!」

 

「いや、そう言われてもなんら知らないし……てか、コルクは大丈夫かな?ちゃんとルシフィナに料理教えれてるか?俺の母さんは全然普通に料理とか教えてたけど、同じ天使だと階級意識して難しいから…うーん。コルクには少し酷なことしちまったか?」

 

「「……」」

 

 

 

でもコルクってああ見えて料理には厳しく立ち会う天使だから、ルシフィナが相手でも毅然としてくれてそうだな。そうならば助かる。素敵なステーキは何かと俺は楽しみにしてるし。

 

 

 

「ねぇルミエ、エコーズ家って変ですね…」

 

「元より素性知れぬ天使のために隠れ里エンリカを開拓するようなエコーズの家系だ。それ故にミカエラ様はその息子のエリーカにも底知れぬ【凄み】があるんだと言っていた。ルシフィナ様に躊躇いないアレが何よりも証拠。かく言う私も智天使だ。まあ天界に対して世間知らずと言ってしまえばそうなのだろうが、それでもエリーカが突発して異常なんだろう。終いにはトンベリ娘に懐かれてることも含めてエリーカの異常性は語りきれん」

 

「そうですね………まぁ、けれど…」

 

「?」

 

「エリーカはとても良い人間です。私はあんな風に分け隔て無く、天使にも、スライムにも、トンベリにも、今回はマーメイドにも同じように接してくれる彼の変わりなさに、とても感謝してます」

 

「まあ…そうだな。彼の良いところだ。別に嫌悪感など持ってはおらん。最初は人間の分際でと思ったりもしたが、しかしそれは地上に生きる先駆者であると迷えし天使達に示さんとする姿を知ったからエリーカ・エコーズを私は気に入っている。今となっては天使達から寵愛されるべき人間として映り、ならば私は永久までに彼を祝福しよう」

 

「はい。私もエリーカを祝福し続けます」

 

 

 

 

「おーいマルタ。少し休憩するか?」

 

「エリーカか。いや気にするな。この程度の航海距離はなんてことない。それよりも海流が強まっている。後数刻で荒れるぞ」

 

「マジで?…アシェル、聞いた?」

 

「ああ、聞いてるぜ。既に帆を半分畳むように指示してある。いつでも嵐に備えれるぞ」

 

「分かった。ルミエ、ティル!荒れに備えるために戦術は遠距離主体で頼むぞ。ここからは甲板に張り付いて対応する形でいこう」

 

「うむ、わかった」

「はい、了解しました。エリーカ」

 

 

ヒソヒソ話中の二人に指示を出しながら俺はボニーから親愛の証として貰ったお魚マークのバンダナを結び直して、そして腰からとある投擲物を握りしめる。紅くて綺麗な刃だ。

 

 

 

「せっかくレミナで強化できたんだ、久しぶりに使うぞー!」

 

 

これまでミカエラさんに課せられた修行として道中は剣ばかり使っていたが、しかし必要とあらばこれまで就いてきた職業柄いつでも使用可能であるもう一つの武器種を引っ張り出し、久しぶりに握る投擲物を手に馴染ませるようにクルクルと回してグッと握りしめる。するとタイミング良くおさかな海賊団の船甲板に乗り込もうと、もんむすが飛び込んできた。

 

 

「演劇団仕込みの投擲技術だ!外さねぇ!」

 

 

秒で狙いを定め、着地点に放つ。

 

もちろん聖属性込みでの攻撃。

 

放り投げた投擲武器。

 

ブーメランが襲いかかる。

 

 

「光の矢!ホーリーアロー!」

「私も合わせます!光よっ!」

 

 

聖属性入りのブーメラン攻撃にて聖痕状態になった侵入者に向けて更にルミエとティルが聖属性魔法攻撃を行い、聖痕による追加ダメージで侵入者は爆発と共に遠くに弾き飛ばされた。素晴らしい連携。

 

それにしても聖痕による重ね掛け強いな。これがあるから今回は聖属性に長けた二人を連れてきたんだよな。充分に効果を発揮している。

 

 

「おいおい、エリーカ。即対応はありがたいがあまり船を傷つけないでくれよ?」

 

「ルミエの攻撃に対して、ティルがカバーする形で船に届くはずのダメージを相殺している。船のダメージは心配ないさ」

 

「そうなのか?随分と器用だねぇ」

 

「マーメイドで言えば水が得意みたいなもんだならな天使の聖属性は。だから天使に任せておけば良い」

 

「そう言うことか。あとエリーカは剣だけじゃなくてブーメランも使えるんだな?器用だねぇ」

 

「上級職は冒険家だったからな。現在の勇者系もブーメランに長けてるし、使えないことがないんだわ。あとフィサリス演劇団に所属する以上は投擲技術はマスターしとかないとな。父親に笑われちまう」

 

 

手元に戻ってきた武器【灼熱のブーメラン】をクルクルと回して説明する。

 

前まで竜炎のブーメランだったけど、レミナの鍛冶屋にかなり腕の良い職人が居たから改良してもらった。さすが生半可な者には辿り着けないとされる魔の大陸にある街だ。なにもかも質が高い。

 

ちなみに素材に関しては、前にルシフィナと初めて出会った時に潜った洞窟内にあったのでそのままブーメランの強化に使った。

 

お陰で火属性と光属性の両刀なので範囲広く通用するのでありがたいな。しかしこうして使うと複合属性武器って本当に便利だな。

 

あのチャーハン好きのパイパイとかいう胸がとんでもなくでかい天使も「複合属性は便利だからもっと使うアルよ!」と推してたくらいだし。

 

 

いや〜、用意しておいて良かったぜ___

 

 

 

 

トロ もいるよぉぉおお!!

 

 

 

「「「ぎぃぃあああ!!出たァァァ!!!?」

 

 

 

 

うおっ、でッッッっか!!?

なんやあの、もんむす!!?

す、すっげぇぇぇッッッ!!?

サイズはイッカク娘と同等以上か!?

 

 

お陰でおさかな海賊団のマーメイドたちは大パニックだし、アシェルとボニーも実物を初めて見たのかあんぐりとしている。俺もしてる。

 

マンタ娘のマルタは存在自体は知っているみたいだが「マジか…」って顔をしている。

 

しかしすげーな、外海。

いろんなモノが見つかるな。

てか腹筋すげーなあのクジラ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これあげるよー!!」

 

 

「うおおお!?」

「き、金銀財宝!?」

「す、すっげぇ!!?」

「お陰でしばらくオヤツ抜きだぁー!」

「やったあー!お宝だぁー!わーい!」

 

 

マルタから聞いたが、このもんむすは『モンストロ』と言う生物らしく、外海ではイッカク娘と同じように巨大な生き物らしい。

 

しかしこれでもまだ小さい方で、成体はもっと大きくなるとか。

 

マジかよ。すげーなクジラ。

 

ちなみにモンストロは訳あって宝石を集める習性があるようで、その中でも海賊船には宝石や財宝が積まれていると考えているので、海賊船を中心に襲うらしい。こえーよ。

 

しかしこの子はこの船にお宝がないことを知ったのか、むしろ海底に眠っていたお宝を持ってきてこの船に積ませた。どうやら今度は財宝が積まれた船ってことにして襲うらしい。こえーよ。

 

で、そんなモンストロは外海にいるだけではなく港町に現れるみたいで、その時に街総出で歓迎してあげると非常に喜ばれらしく、逆に無視すると暴れてしまうと聞いた。こえーよ。

 

前者はともかく後者の話が本当なら、被害発生を抑えるためにもナタリアポートで大量買いしといたノアパンをご機嫌取りとしてモンストロに与えたら、それが大層気に入ったらしく、あとは雑に味付けを考えていちごジャムもお口の中に放り込んでやり、とりあえず満足してくれた。しかし余裕で5日分平らげやがったわ。こえーよ。

 

まあそう言うこともあって満足させてみらたらモンストロからお礼として海底からお宝を引っ張りあげてくらて、この船に財宝を乗せてくれた感じだ。でも後で財宝が乗せされた船ってことで襲われるらしいけど。なんでやねん。こえーよ。

 

 

いやしかし、すごい量の財宝だな。

 

お陰で今回、外海に乗り出すと聞きつけて乗り込んで来た行商人マーメイドのミンクって子が鑑定してくれているんだが、もうヒレをビタンビタンと揺らす勢いで興奮している。

 

もしかしたら大海賊時代の希少なお宝も埋もれているだろうとモンストロそっちのけで鑑定している。商人魂ですなぁ。

 

ちなみに朝ごはん兼おやつ代わりのノアパンといちごジャムが無くなったのでおさかな海賊団の乗組員からしばらくおやつ無しってことで悲鳴が上がったけど、しかしそれを上回る金銀財宝が手に入ったので大喜びである。ちょろい。

 

これだけお宝があれば、先ほど無くなったノアパンを200倍以上は買うことができる筈だろう。そんなには買わんと思うがとりあえず元は取れる勢いだ。外海ってすげーな。

 

 

 

「あとお兄さんのお話とても面白かったからコレも特別にあげるよー!」

 

 

 

すると更に追加で何かを渡してくれた。

 

それは、氷付けにされたナニカだ。

 

いや、待て、ナニコレ…は??

 

 

「待て待て。これまさか……天使か?」

「見たところヴァルキリーだな」

「でも見たことない天使兵タイプです…」

 

 

なんか氷付けにされた、全身タイツのお姉さん天使をモンストロから渡された。

 

エンリカにもヴァルキリーが居るので天使兵タイプなのはわかるが、でもなんか少し違うな。

 

 

「待て、いや、待て、これ、まさか…」

 

 

そう考えているとルミエが何かに気付いたのか少しずつ焦り出す。

 

何かを思い出したようだ。

 

知っている天使か?

 

とりあえず氷付けにされた全身タイツのお姉さん天使の正体を確かめるために、ルミエは杖を取り出してカチカチに固まった氷に解除魔法を掛けて少しずつ溶かし始めた。

 

なんかとんでもない拾い物をしたのかもな。

 

もしかしたらとんでもない天使だったりして。

 

 

てか、生きてんの??

 

だとしたら天使の生命力半端ねぇな。

 

 

 

「トロはもう行くねー!」

 

「お、おう、お宝ありがとうな!」

 

「次は襲うねー!だからまたねー!」

 

「それは勘弁してほしいかなぁ…」

 

 

 

やや脳みそが足りなさそうなクジラのもんむすだけど、条件さえ整えば襲われない選択はあるようなので、急に力や縄張りを示してくるイッカク娘よりはまだマシだろう。

 

まあそうなっても海中にはマンタ娘、船には元智天使だったルミエとかいるから大怪獣バトルはなんとかなりそう。船が持つかは知らんが。

 

 

「やれやれ、おっかない相手だったぜ…」

 

「アシェル、食料どうだ?足りるか?」

 

「無くなったのはノアパンといちごジャムだけでその他はたんもり積んでるからな。まだ10日は持つな。代わりに栄養面で考え直さないとダメだな。いちごジャムって長期間保持可能な上に貴重な糖分摂取分だからよ、この消費はなかなか痛いぜ」

 

「まあその時は戻って仕切り直そうや」

 

「うぅー、エリーカ、あのクジラとても怖かったのじゃ…」

 

 

っと、ピトリとひっついてくるボニー。

 

なんかトリン思い出すな。

 

あの子も隙あらば足元に引っ付いては甘えてくるし。そのままナデナデも要求するし。

 

戦力増強を考えればトリンを旅に連れてくる手もあったけど、海賊団と接触する予定だったから集団に苦手意識を持つトリンには酷だ。

 

なのでエンリカに置いてきた。

連れてこれたら大戦力なんだけどね。

 

マンタ娘以上、智天使(ルミエ)以下。

充分すぎるな。むしろ過剰だわ。

 

 

 

「ずるいです。ティルも撫でてください」

 

「エリーカ、私も怖くなくなるまで頭を撫でるのだぞ。これは団長命令だ」

 

「へーいへい。お頭」

 

 

甘えん坊が二人になった。

 

さて、そろそろ海が荒れる頃だな。

 

備え直すか。

 

 

 

 

 

 

 

「むむむ、むぅ………」

 

 

 

 

エリーカ……

 

私だって_____少しは、甘えたいぞ。

 

 

 

 

 

 

 

 

その声は潮風に消えて。

 

まだしばし、船旅は続く。

 

 

 

 

つづく






やっぱりマーメイドの…おさかな海賊団の…最高やな!



【アリス9世】
原作では過労死した悲惨な魔王様だが、この世界では素敵な人と巡り会えて結婚指輪まで貰えてめちゃくちゃ喜んで姉に「わたくし結婚しましたぁざまぁwww乙でぇぇえすwwww」と煽ってやろうか考えていたけど女神に裁かれて死んだのでそれすらも叶わず、むしろ姉の眠る墓の前で「姉さんのことは嫌いだったけど、報告できなくて残念よ…」と溢しながらその後は姉の分も長生きした。お陰で魔王の誕生はこの時点でゆっくりになったのでエリーカの世代ではまだ14世が現役で魔王をしている流れである。

【ボニー】
原作とは違ってまだまだ新人海賊であるため精神面は幼く未熟で、そのため最初はエリーカのことを、近所にいる知らないお兄さん的な感覚で警戒していたが『お互いに仲間を率いる団長さんになる同士』であること知って距離が一気に縮まった。アシェルとは違うタイプの先駆者であり、また同じ目線で悩みを共有してくれた優しい人間のお兄さんと知ってからはすっかり懐いてしまった。だが同時に冒険者として備わった頼もしき後ろ姿はボニーとって良き目印らしい。つまり脳は焼いたってこと。焼きマーメイドや。

【アシェル】
過去に何度かエリーカをおさかな海賊団に誘ったことがあり、コネも兼ねて彼と接触していたが、今回は等々おさかな海賊団の船に乗ってくれて内心とても嬉しがっているのは秘密。お嬢ことボニーにも良い刺激を与えてくれたりとエリーカには感謝してるのと同時に、外海の覇者たるマンタ娘をサシで勝った事実にやや恐れ慄いたりもしている。まあそのくらいの人間と接点を持てたことはおさかな海賊団にとって大きなプラスなので万々歳として考えるのは彼女らしい。

【モンストロ】
基本的に外海で活動しているため、内海にあるナタリアポート名物のノアパンを食べたことなかったモンストロは今回初めてノアパンを食して大変気に入ったようだ。ちなみに食べてある間もエリーカとお話ししたりと海賊団による細やかな歓迎にも満足気、お宝をたんもりと渡して奥底に帰って行った。ちなみに戦闘になったらイッカク娘相応の強さなのでマルタは全力、ルミエが5割くらい本気を出さざるを得ない敵でもある。いやこえーよ。



じゃぁな!

アリスフィーズ9世に指輪は?

  • 本命で渡した
  • 周回で渡した
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