今日も胸がいっぱい、や!   作:つヴぁるnet

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久しぶりに8000文字前後。
こういうのでいいんだよこういうので。




いっぱい!

 

 

「すぅぅ……すぅぅ……」

 

「むにゃ……むにゃ……」

 

「くぅぅ……くぅぅ……」

 

「すやぁ……すやぁ……」

 

 

目を覚ませば、柔らかいと、暖かいと、柔らかいと、そして溢れんばかりの柔らかいが俺の周りに集われ、それは文字通りの天使達が春の陽気を浴びてすやすやと眠っていた。

 

 

 

さて、ここは俺の生まれた里。

 

名はエンリカ。

 

 

20年前に天使を保護したフィサリス演劇団の手によって天使のための隠れ里として開拓された迷いの森の奥にある、小さな里だ。

 

 

いや、本当に小さな里か?

 

 

そりゃ開拓されたばかりの頃の20年前は天使が5名しかいなかったが、ある日を堺に俺が地上に堕ちた天使達を集めたことで最終的には80名近くが住んでいることになり、後はその他エルフのような森適性が高い種族とかも含めれば現在のエンリカには100名ほど。あと妖精がチラホラだがまあコレはプラスαとしよう。

 

そして冬越しのために一時的に帰還するフィサリス演劇団の40名を含めればエンリカの里には最大150名以上と、数字にすればそこそこな数の住人が隠れ里エンリカに集っている。

 

だから小さな隠れ里と言うには少し厳しいところであるな、しかしエンリカには外部から人があまり来ないため、見慣れた生活風景は変化無くいつだってそのまま、それほど拡張する事は無いためまだ小さな隠れ里って枠組みには治っている…はず。

 

 

あ、でも最近はまた住宅地が増えた。

 

だって…

 

 

 

「愛してるわ」

「僕もだよ」

 

 

「今日はどうする?貴方」

「ああ、今日はどうしようか?」

 

 

「しっかり食べて、精をつけてね」

「お、おう、そうだな…!」

 

 

 

なんか結婚ブームが起きてるから。

 

 

まあ、そりゃ…

 

フィサリス演劇団に所属する独身男性を天使達が逃すわけないよな。

 

かく言う独身男性達も、エンリカに住まう天使のように美しい…というか普通に天使なんだけど、そんな素晴らしき女性と親しくなろうと冬越しの季節を繰り返し、そして最近になって男性の一人が結婚を申し出ると流れるように次々とカップルが成立し、結果としてエンリカに愛の巣ゲフンゲフン失礼。夫婦達の住まいが次々と建造された。

 

なのでまた少し拡張されたと言うべきか。

 

まあ幸せが育まれるのはとても良い事だ。

 

こうなったら里の大きさとか関係ないです。

 

 

 

あ、天使達のお胸は大きいけどな!!

 

ひなたぼっこ中にロリ巨乳天使達に囲まれながらおっぱいでいっぱいしてる。

 

ふかふかで柔らかい。

 

あと天使達は普通に良い香りがする。

 

主に紅茶の香り。

 

理由としては、まずこの隠れ里はフィサリス演劇団を除けば基本的に外部との交流が無いに等しく、エンリカまで途中通ることになる迷いの森にも結界を張っているため辿り着く事はそう無い。そのためエンリカの関係者以外は天使に追い縋れるレベルの魔法に長けた者がいなけれ結界を超える事は基本的に不可能だ。

 

で、それほどに閉鎖的なエンリカの隠れ里なので道楽が少なく、その中でも読書やお茶をするくらいしか暇を潰すしかない。あとは仕事の一環として外に売るための工芸品を造ったりとそのくらいだろうか。なので紅茶は欠かせない心の材料。だから天使達から紅茶の様々な香りが良くするわけだ。

 

 

そんな良い香りに包まれながら右に寝返ればお顔におっぱい、ならばと左に寝返ってもお顔に新たなるおっぱいがあり、動かなくても何処かしらにおっぱいがあってもう胸でいっぱいや。

 

俺の周り、ロリ巨乳天使が多過ぎる。

あ、一部天使じゃない子もいるけどね?

 

 

 

「ご主人様、お目覚めですか?」

 

 

とあるメイド天使から声を掛けられる。

 

俺はその声を聞きながら、どっかのロマサガよろしく天使達にインペリアルクロスの陣形で囲われている状況に諦めながら視線だけ上に動かせば、サディスティックな黒い笑みが似合うメイド天使と視線が合った。

 

 

「おはよう、メイル。あと動けんな」

 

「相変わらずご主人様は人気ですね」

 

「特にちびっ子にはな」

 

「ふふっ、まるでご近所に住んでいる優しいお兄さんに甘えてくる子供達のようですね」

 

「何を言うか。君達天使の方が長く生きてるだろうに」

 

「この大地ではご主人様が先駆者ですよ。エリーカ・エコーズは私達よりも地上の生き物として先に産まれた人間。なら後から地上を謳歌することになった数歳の私たちにとってご主人様はお兄さんです。近所に住んでいる面白くて優しい素敵な素敵な素晴らしきお兄さん」

 

「褒めすぎだ」

 

「寧ろ足りないくらいです。沢山の天使達がご主人様を…いえ、エリーカ・エコーズに深く感謝しています。それは地上に迷えし私達を救うだけではなく、北の大陸で凍えていた天使すらも女神の不始末から救った英雄。貴方は言わば天使の恩人。私はメイドとして尽くしても尽くしきれないほどに胸がいっぱいであり、そんな素晴らしきご主人様にメイドとして仕えれる喜びで胸がいっぱいです」

 

「マジで褒めすぎだって…」

 

「ふふふっ、承知しました。でも私はご主人様のメイドであることを光栄に思いますよ」

 

 

と、いつも意味深に浮かべているはずのサディスティックな笑みはミリも無く、それは心の底から俺に支えれるメイドとして喜んでいるメイル。この喜び具合は一年前のヘルゴンド大陸を踏破するために下位天使を仲間として引き連れようと考え、その中でメイルを選んだが、いや誰よりも一番嬉しがっていたしか。

 

 

__ほ、本当にですか!?や、やった!ご主人様と一緒に冒険をっ…!あっいえ!失礼しました!こ、こほん。ではではご主人様?このメイルがご主人様様のためにどこまでも尽力することを約束しましょう。もちろん夜とお任せください⭐︎

 

 

いやー、可愛かった。

 

取り繕っても喜びの感情を隠しきれず羽がいつまでもピコピコしてたし。

 

まあ堕天してからは天使も感情が体に出やすくなったからね。主に羽とかが動く。

 

あと俺なら光の勇者として聖素の流れが見えるようになったので天使の感情がより読める。

 

 

 

「んぅぅ…えりーか…」

 

 

微睡の中、寝息と共に俺の名を紡ぐのはエンリカのマスコット大天使(アークエンジェル)ことワイティエルのティル。

 

俺の右腕を抱き枕代わりにギュゥと全身で抱きしめながら時折り右肩辺りに頬擦りしたりと幸せそうに眠っている。おかげで右腕はティルの胸でむにゅぅむにゅぅとした擬音が似合うレベルでいっぱいにされ、あとポカポカとして暖かい。もちろん柔らかい。とても柔らかい。解放後もしばらくはティルの柔らかな感触でいっぱいになるだろう。

 

ちなみにティルからはミルク入りのカモミールの香りがする。ほんのり甘い。

 

 

 

「……………」

 

 

対して左腕は寝息も寝言も立てず、元々無口なのも相まってzzzとした擬音だけを残してスヤスヤと眠っているのは深淵の住人トンベリ娘のトリンだ。

 

無音なのは彼女特有だとして、それ以外はティルと変わりなく左腕を抱きしめながら左肩辺りにおでこを引っ付けて眠っている。固定していると言った方が表現的に正しいか。時折りサメのような耳ヒレをピクピクと揺らしているがコレはとてもリラックスしてる証だ。で、もちろん胸で腕を挟まれている。ティルと比べてむにゅぅではなく、むぎゅぅぅ…って感じに、こちらは肉厚感がある。こう見えて格闘戦を主軸とした戦闘タイプだからな。ハリがある。

 

ちなみにトリンの格好は初期のブカブカのコートではなくエンリカで編んだ通気性の良いシャツだ。お陰で肌感がよく伝わる。とても肉厚ずっしり。あと黒豆茶の香りがほんのりとする。

 

 

 

「ですわぁ……ですわぁ……」

 

 

で、いま右脚辺りから聞こえたなんちゃってお嬢様な口調は自身をプリンセスとして語る筋トレ好きのスライムことリセスだ。

 

俺自身、季節が春だけあってエンリカで過ごす際は半袖半ズボンといった非常にラフなスタイルで肌を晒しているため、遠慮無しに抱きついてくるスライムボディーが余すことなく素肌に触れるためひんやりとしている。もちろん全体重を乗せるように絡みついてるためそう簡単に足は動かず、しかもリセスが呼吸する毎にスライムボディーがぐねぐねと動き、その度に素肌を愛撫するからくすぐったくて仕方ない。

 

あとリセス自身寝相がそう良くない脳筋お嬢様タイプなので過去にそのまま下半身全てを飲み込んで色々大変になった記憶がある。いやスライムに寝ながら性的に襲われてしまうとは思わなかったわ。なので今は指に聖素を纏わせてデコピンを喰らわせれば物理攻撃に強いはずのスライムボディにしっかり衝撃を与えて起こせるようにしている。今日は寝相が良いのでそのまま寝かせておくとしよう。なんかあったらメイルが助けてくれる。

 

あとレモンティーとオレンジペコの柑橘系の香りがする。たまに体が変色して黄色からオレンジ色になったりしている。今日はまだ黄色。

 

 

 

「うさうさ……にゅふふ…」

 

 

で、左脚には同じスライムとしてリセスと友人関係になるとそのまま新しくエンリカに住み着いているバニースライムことバニラだ。

 

桃色のスライムボディーはともかく何故かウサ耳が付いてるとかいう謎の要素がバニースライムとしての特徴で、寝ている時はへなりと力を抜いたウサ耳が寝息と共に揺れている。チャームポイントとして可愛らしい。そんな可愛らしさはちゃんと表に出ているのか、寝相の悪いリセスと比べてお上品に添い寝するような形で左脚に引っ付いて眠っている。でも横乳がずっしりと乗っかっているので少し脚を動かすに困難してるところ。もちっとしている。

 

あとピーチティーの香りがする。色合いが同じだから桃を好んでるとか。それはそれとしてニンジンも紅茶と一緒に食べるらしい。マジか。

 

 

 

「む、エリーカ。また日向ぼっこか」

 

「よぉぉルミエぇ。あとうごけぇぇーん」

 

「何を言うか。その気になれば強引に降り解けるだろうに」

 

「それはそうだけど力抜いてる時はあまりドタバタしたくないでござる。動きたくないでござる」

 

「やれやれ、昨年の勇ましいエリーカはどこに行ったのやら。メイル、あまりエリーカを甘やかし過ぎるなよ」

 

「あら、幾ら智天使様のお頼みでもそれはお聞きできませんわ。私はご主人様のメイドを全うするまで⭐︎」

 

 

ウインクして誤魔化すメイルに、この中で一番階級の高い智天使のホルミエルことルミエは軽くため息をつく。

 

ここにいる天使達は堕天し、エンリカに住まわるようになってからは天界にあった階級社会ではなく、近所付き合いが大事になる人間社会の一員として溶け込むようになってからはエンリカに階級など過去の縛り、今は下位天使ら中位天使、ましてや上位天使も関係なく皆が平頭な里人である。強いていうならこのエンリカで一番偉いのは村長のミカエラさん。

 

なので階級九位の下位天使メイルも、階級二位の上位天使たる智天使を相手にウインクして誤魔化したりするし、そんなルミエも対して気にしてなかったりとため息で済ませる。天界なら階級が絶対社会だから本来はこんなやり取りはないらしい。なので知らない天使からすればエンリカはかなり異質なんだろう。

 

まあでもそれを言ったら下位天使のメイドエンジェルことコルクが原初の天使のルシフィナ相手に料理で厳しいぞ。

 

普通ならルシフィナって名前だけでどの天使も霹靂してしまうんだけど、コルクの場合は料理が関わると熾天使が相手だろうと関係なく厳しくなるし、そんなルシフィナも躊躇いないコルクにとても喜んでいるご様子。

 

それはともかく肉は丸焦げにする。

 

一年経ってアレだとあと何年掛かるのやら。

 

素敵なステーキまだ先になるのは確か。

 

 

 

「それとエリーカ、エデン様から通信が届いている」

 

「え?なに?スノウヘブンなんかあったん?」

 

「そんなところだな。通信料が高いから詳細は来てくれたら話すとのこと」

 

「通信料ってなんだよ。お前らの電波は有料なんかよ」

 

「実のところ、念話は結構疲れる」

 

「金銭的な問題じゃなかったかー」

 

 

 

しゃあない、呼ばれてるなら行くか。

 

街づくりも簡単じゃない。

問題はまだまだあるんだ。

 

天使達の間で解消できるまでフィサリス演劇団に戻る日はまだ先になりそうだ。

 

父ハルトマンからは許可を貰っている。

 

むしろ息子が天使のために街を作ることは過去に隠れ里エンリカを開拓したフィサリス演劇団の意思を継いでるようで喜んでいた。だからこそ半端に熟すことを許さなかったので俺はフィサリス演劇団よりもスノウヘブンという天使の街を優先している。

 

ちなみに未だ天使達があの元天界を離れずにいるのは純粋にあそこが住まいだったから。あと自然化が進んでも聖素が溢れている唯一の大陸だから離れたくないとか。

 

彼女達も堕天自体は受け入れているが、やはり生まれ故郷だからわざわざ離れようとは思わないらしく、そのためなら神殿の中に住み続けるとも言っていた。

 

天使は上位種族で、丈夫な生き物だ。

 

でも、堕天したことを理解できるならばいずれ受け入れなければならない末路がある。

 

人間のようになる。

 

食事も、睡眠も、病気も、付き合う。

 

それに対抗するための手段が必要。

 

だから俺が人間の生き方を落とし込んだ。

 

エデンにも約束した。

 

俺が天使達に人間の生き方を教える、と。

 

それが今、現代進行形で果たされている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日も寒いですね」

 

「服着れば?」

 

 

さて、スノウヘブンの村長となったエデンと数日ぶりに会った。到着まで外で待ってくれていたのか冬明けの寒さに凍えていた。いやなんか羽織れよ。俺も全裸の彼女に対して目のやり場に困っている。この一年マジで何も着ようとしないやん。真面目なのによーわらかん人。

 

 

「で、どうしたん?」

 

「実は意見が欲しいのです。この街も人間社会のようにシステムを作り上げるなら、硬貨を使った取引を考えるべきかと」

 

「良いんじゃないか?」

 

 

と、俺は出された紅茶を飲む。

 

エンリカと同じように天使達の間で浸透してきた嗜好品だ。

 

 

「あっさりと言いますね…」

 

「エンリカでは天使にしかできない工芸とかあって、それを外部に持ち込んで売り物にする。天使で構成されたスノウヘブンでもエンリカと同じように祝福された工芸を天使達で手掛け、それを外部との取引物として扱う。それとこの大陸で試しに育てた野菜達は根本から祝福された良い野菜だ。特にここは寒冷地だから根菜類とかは甘く育って結構美味しい。野菜好きのミカエラさんも美味しいだとよ」

 

「ミカエラ姉さんが?ふふっ、そうなんですね」

 

「ああ。元天軍長のお墨付き。ならばスノウヘブンならではの生産性が取れる証明になる。となれば人間社会の中に売り込める取引物として硬貨によるやり取りは可能。なので硬貨って概念は早めに生活の中で浸透させた方が良いな」

 

「やはりそうですか」

 

「……働かざる者、食うべからず」

 

「?」

 

「つまり、何もしない奴が生きるための明日を拾える訳もない。これは人間の諺だ」

 

「こと、わざ…」

 

「ああ、そうだ。それにこれはスノウヘブンに住まう君達だって己らの意志を持ってこの大陸に居る意味にもなる。だから自分達で自給自足を成立させ、その過程で明日の一部を交換し合う隣人として社会を構成する。これはそのための硬貨だな」

 

「なるほど、わかりました。しかしそれをどの程度浸透させるべきか…」

 

「お、よく分かってるな。確かに硬貨だからといきなり生活にばら撒いても仕方ない。なので先ほどの諺に習わして天使達に教えれば良い。この堕天はそう悪くないと」

 

「悪くない…とは?」

 

「人間になろうとするルシフィナが毎日を素敵だと喜んでいる。俺はそれを皆にも教えたい」

 

「ルシフィナ姉さんが??」

 

 

大好きな姉の名前を出せばミカエラさんの名前の時よりも目を開いてエデンは食いつく。

 

俺は反応良しと考え、ある話をした。

 

それは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んふーー!!おいひぃぃい!!」

「ダメ、だめぇ、ぁぁあ、だめぇぇ」

「甘い、甘い、うまい、あまうまいッ!」

「食べれば食べるほど堕ちてしまう…」

「この甘さに堕天が加速するぅぅぅ…」

「人間はこれをいつも?ずるいわ本当に…」

 

 

寡黙なヴァルキリーすらもダメにしてくれる甘い食べ物、その名はスイーツ。

 

お陰でそこらの天使達が羽をパタパタと揺らして頬を落としている。

 

おら堕ちろォ!!…堕ちたな(確信)

 

いや、既に堕ちてたか。

 

 

 

「ルシフィナの場合は肉なんだけど、ここに居る天使達は最初に持ってきた差し入れがスイーツだったからな。もう堕天した舌が甘いモノを求めて仕方ないらしい」

 

「わかります。私も紅茶といただくスイーツが忘れられませんね」

 

「おお、それはいいセンスだ。寒さを隣り合わせにするスノウヘブンなら紅茶とかスープを心の栄養にした方が良い。しかしかと言って好き勝手に暴食し続ける訳にもいかん。スイーツも有限だ。ならば頑張った者のみに許される自分へのご褒美って事で硬貨を使わせる。言わばこれは明確な引換券だ」

 

「なるほど、そうやって馴染ませるのですね」

 

「人間社会でも珍しくないやり取りだ。スノウヘブンもそう言った貿易がゆくゆく必要になってくる。だから違和感なく落とし込むにはこういうところから始めると良い。あ、通貨種は四大国共通のものにするぞ。いわゆるゴールドってヤツだな。エンリカでも同じ」

 

 

二ヶ月もすれば硬貨も違和感なくスノウヘブンで扱われているだろう。

 

それからもエデンとスイーツ相手に堕天していく天使達を眺めながらスノウヘブンの町づくりの意見交換をし、総勢200名の天使達が人間社会に慣れ親しめるように計画する。

 

 

いや、しかし、結構大変だったな。

 

エンリカに住んでいる以上、日曜大工とかはスキルとして備わっていたから家造りとかはそこまで苦戦はしなかったし、フィサリス演劇団を通してコネは幾つか持っていたから建材などの仕入れにも困らなかったけど、堕天していく天使達の不安を取り除くのは結構苦労した。

 

そうやって不安が募ったせいもあって、スノウヘブンの計画なんかに付き合ってられないと言ってたし、中には人間如きに率いられれほど天使は落ちぶれてないなど、この場から離脱した天使達もいる。そういう天使はこの大陸の何処かで聖素食いながら生きてるようだ。

 

まあ強制ではないさ。

生き方はそれぞれ。

意思が強いなら、そこに任せる。

 

でも堕天後の不自由さは警告する。

俺はそれを見てきた側だから。

 

ルミエ、ティル、コルク、メイル、などなど。

あとルシフィナや、ジェサイアもそうだな。

 

堕天後の付き合い方に迷い、苦しんだ。

 

だから、俺は地上の付き合い方を教えた。

 

 

 

 

「ふふっ」

 

「どうした?エデン」

 

「いえ、あの時を思い出しまして」

 

「?…ああ、あの事か…思い出すと、ちょっと恥ずいな」

 

「何を言いますか。素晴らしい言葉でしたよ」

 

 

 

 

 

あの事とは__それはエデンが町を作る計画を天使達に告げた時に協力者である俺が崩れた煉瓦の山の上で演説した時のセリフだろう。

 

 

 

 

__ココは君たち天使の故郷だ。天から落ちようともこの大地は君たちの変わりない聖なる住まいだ。ならばこの寒さを乗り越えれる強かさを備えながら住まうための町を作ろう。今は明日の土いじりを知らない状態で不安だらけと思うが、しかし堕天しようとも天使として誇りを抱いて生きていけると俺が証明して見せる。だから恐れるな。大丈夫だから。天軍長ミカエラと共に生きて育ったエリーカ・エコーズが天使達は大丈夫だと言ってやる。だって天使はとても強い存在なんだ。俺はがそれをよく知っているからな!!

 

 

 

 

と、演劇団にいたお陰で声量は充分。

 

そこにいた天使達全てに想いを届けた。

 

それからは様々な理由を元にエデンから去る者もいたが…それでも残った者の方が圧倒的に多く、俺の言葉を信じてくれた天使達で溢れた。

 

これは、そんな一年前の記憶だ。

 

 

 

 

「いやなに。経験を頼りに一方的にだよ。あんなのは」

 

「それが指導者ですよエリーカ。お陰で凍りついた不安もあの瞬間のおかげで今日のように晴れました。もしかしたら貴方こそが天使の先導者なのかもしれませんね。それともエリーカが光の勇者だからこそでしょうか?」

 

天使(ルシフィナ)によって役割を背負わされた勇者がそう扱われるなら、ここに居るエリーカの背負う光の勇者とは多分そうなんだろう」

 

「であるなら、エリーカ・エコーズとこの大地に導かれし光の勇者。それが役割でしょう」

 

「重労働だなー、勇者って」

 

 

やや死んだ目になりながら苦笑いする。

 

まあ「天使に地上の付き合い方を教える」だなんて約束したの俺だからな。

 

それで去年起きた騒動___天界崩しを行った黒塗りのアリスを神として扱わず、ただの娘として扱うことでハインリヒと共にその魂を天に届けたことで解決し、それから数日だけ休養を取ると俺はまた天界に足を運び、残された天使達に町を作ろうと提案してからは町作りを開始し、それで目的の半分が達成された。

 

今のところ全員が雨風凌ぐための建物は造ってあるが、まだそれぞれが住まうための家とやらは完成していない。でも人間に変装した天使がヤマタイなど人間の街々に潜入し、そこで建造技術を学んでは持ち帰っている。商人として動いている天使もいるためインフラを整備するための資材や建材は手に入るようになる。

 

なら来年には家も建てられるだろう。

 

そうして町は、街に発展するはず。

 

天使の街、スノウヘブンとして。

 

 

 

 

「フィサリス演劇団もこんな気持ちだったのかな…」

 

 

 

スイーツを楽しんだ天使達を眺めながら俺の先駆者達を思い出し、そうして作られた天使の隠れ里エンリカを思い出し、そこに住まう天使達との日常を思い返す。

 

 

俺は立派だろうか?

 

天使のために明日を示せているか?

 

 

いや、関係ない。

 

ここにいる俺がやるしかない。

 

天使を知っている、エリーカが。

 

 

 

「ねぇねぇ、エリーカ!」

 

「?」

 

「はい、これ!いつもありがとう!」

 

「!……ああ、頂くよ。ありがとうな」

 

「えへへ、変なの。お礼は私達なのに」

 

「それでもだよ。俺は嬉しい」

 

 

 

一人のエンジェルからスイーツをもらう。

 

冷たい食べ物で、それは心の栄養。

 

でも受け取ったそれは冷たくなんかない。

 

暖かく満たされる、天使の気持ちだから。

 

 

 

 

つづく

 






唐突なエリーカのおっぱいレビュー。
やっと平和が訪れたんやな…って。




【バニラ】
同じスライム属性のプリンセススライムのリセスと仲良し。前まではリセスの誘いでお茶会に参加する程度の関係だったが、流れでそのままエンリカに住み着くようになったバニースライム。身体はスライムだけど肉つきはハリがあってポヨンポヨンとする。バランスボールを使ったエクササイズが得意であり、そのためか堕天したことで肉付きがよくなり始めた天使達がバニラからバランスボールを使ったダイエットを教わっているのが最近のエンリカ風景。名前はバニースイムからバニラ。

ありがとうバニラさん。貴方は天使だ。



じゃぁな!
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