時の流れ速すぎ。
時は、ヨハネス暦1428年 __!!
この瞬間、この魔王城にて!
一人の勇者と!
そして一人の魔王が相見えていた!!
「ほっほっほ!待っていたぞ!勇者エリーカ・エコーズ!我こそはアリスフィーズ14世!現代の魔王である!人の身でここまで来れた力を褒めてやろう!だが!しかし!その活躍もここまで!何故ならお主はこの戦いで我に負けてしまい情けなく白濁ぴゅっぴゅっして蛇さん大好き負癖よわよわ勇者としてこれから白旗を上げることに__!!」
「はよ金返せや、無銭飲食魔王。
おめーの娘さんに言いふらすぞ」
「それはやめてー!勘弁してぇー!
すぐに用意するから何卒ぉぉー!」
「やれやれ…」
こうして勇者の活躍によって魔王は討たれたのだった!!
ー 勝った! ー
ー 第三部 完 ! ー
んな訳ェ。
「ええと、幾らだっけ?」
「400ゴールドだな。卵焼き二つ分」
口調も含め、珍しく魔王らしいことをしていたアリスフィーズ14世、もといイヨちゃん。
しかしそれも一瞬の内に崩れる。
まあ本人は魔王ムーブする気が全然無く、むしろ楽しそうにマラカスをシャカシャカしながら玉座に腰掛けていたので威圧感のイの字も無かったが。このエンジョイ勢魔王がよぉ。
「てか無銭飲食じゃないもーん!エリーカが奢ってくれたもーん!」
「建て替えたつーんだよ。魔王ほどの存在が無銭飲食するの、なんか見ていてすごく嫌だったからな」
「それはそう!私もこの世の終わりを感じた!」
「卵焼き代ひとつで終わる魔王とかもう勇者いなくても良いんじゃね?」
「えー、勇者か誰か遊びに来てくれないとつまらないよー」
「マジで勇者システムって表面だけなんやなぁ…」
一応この魔王城、勇者のためにダンジョン風に建てられるため、それなりに入り組んでいる。
なので嫌でも探索することになったんだが、その際に城内の一室や牢屋からは人間の呻き声などが溢れており、間違いなくこの城まで踏み込んでやられた勇者とか冒険者だった。
必要なら助けようとか考えていたが、まあ殆どの勇者がもんむすとのイチャラブセックス中だったので特段助ける必要もなく、命を奪うようなパターンが無かったため大体放置して進むことにした。
まあそんな感じに、人間からすれば命懸けで乗り込んできた状況なんだけど、上位種となるもんむす達からすれば頑張って遊びにきてくれた可愛い人間くぅん扱いなので、まあ後は決まってとくさん扱いですね。皆様のオモチャです。
「じゃあ勇者 対 魔王も済んだのであとは皆んなでお茶会しよ!」
「勇者ってなんだろう……魔王ってなんだろう……」
「どれも蛇足じゃない?」
「ハッキリ言いやがったぞ、コイツ」
「ちなみに私もまんまの意味で蛇足だよ〜!ほらほら蛇さんの足だよ〜、くねくね〜、ニョロニョロ〜」
「もうお前魔王辞めちまえよ」
それからイヨちゃんに立て替えてやった卵焼き代を受け取り、そのまま勇者が来たんだからお茶会をしよう!って事になった。紅茶は好きなのでイヨちゃんの部屋に招かれることにした。
あと控え室にいる仲間も呼んだ。
「エリーカ!筋トレして待ってましたわー!」
「ご主人様、お話し合いは終わりましたか?」
「それよりちゃんとお金は返ってきたのか?」
上から順番にリセス、メイル、コルク。
このメンバーを見ると2年前のヘルゴンド大陸まで乗り込んだ日を思い出す。
あの時はミカエラさんから最後の修行を建前にヘルゴンド大陸まで天使が残っていないかを調査を頼まれて乗り込んだのが2年前の冒険録。
しかしその後、大罪人の牢獄にてハインリヒとの邂逅し、黒塗りのアリスの話を聞いて外海へと乗り出す流れになった。懐かしいな。
そして今回、イヨちゃんに立て替えてやった分のお金を返してもらうことを建前に、とある報告を行うため魔王城を目指すことになった。
その報告というのは、数日前にレミナの街の北側にて突如召喚された白黒の塔を攻略したその事後報告のためである。
一応この大陸は魔王達の管理下であり、そこに突如召喚された白黒の塔は魔王達からすればそこそこ悩みの種。しかも魔王城の喉元なるレミナの街近くに調査不能な異物が居座っている状況は魔王達にとってあまり穏やかではない。
更に加えてその白黒の塔は混沌の勇者のみ入ることが許される!とかいう、限定ダンジョン扱いだったため魔王サイドはお手上げ。
そんな縛りプレイもあり、四天王のたまもは手出しできないと判断すると唯一入れるエリーカに託された。
で、その塔の攻略が完了したので、改めてこの大陸の管理者へ報告に参った今日である。
「おお、エリーカ。来ておったか」
「お邪魔してるぞ、たまも。とりあえずレミナ北にあった塔について色々報告しとこうかなって思ってさ。まあ無事に終わったぞー、って話」
「うむ、そうか。わざわざすまんのぉ」
「良いさ。リセスも魔王城に里帰りもしたがってたし、色々とついでだよ」
「お茶会楽しみですわー!」
それから俺はイヨちゃんに客間まで招かれるとお茶会が始まる。
もちろん旅に同行してくれたリセスとメイルとコルクも参加。
そこに事後報告を聞こうとたまももお茶会に加えて6人…いや、気づいたら7人だった。
「は、母上…私もこのような高貴な場に招かれて大丈夫なのでしょうか…」
「大丈夫だよ〜、エリーカは良い人間だから。あとエリーカは高貴とは無関係だから気にしないで大丈夫だからね」
「(一応、エコーズ家とかいう元貴族の家系なんだけどなぁ…)」
7人目の参加者。
それはリセスくらいの身長の妖魔。
ああその筈、イヨちゃんの『娘さん』だ。
つまり___
「まぁ!可愛い娘さんですわ〜!あ、私プリンセススライムのリセスでございますわ!これからよろしくお願い致しますわ!」
「あ、えと…はい。初めまして、アリスです…」
そんなリセスは魔王の娘だとか関係なく可愛いらしい妖魔とお近づきになろうとし、そんな娘さんは困惑気味になり、その母であるイヨちゃんは愛娘に新しいお友達が出来たことに喜んでいる、そんなお母さんの眼になっている。
こうしてみると子持ちの母だよな。
ちょっと印象変わったわ。
「次の魔王候補ってところか?」
「そうだね。まだまだ先の話だけど、立派になったら魔王になってもらうかな」
「!!…は、母上! わたしは立派になって母上のような魔王になります!」
「うんうん。知ってるよ。期待してるよ」
「は、はい!」
「あら!そうなのですね!とても立派ですわ!それにしても次期魔王……むむ、でしたら…!私も決めましたわ!もしアリスちゃんが魔王になったら私も四天王の一人になって魔王様をお支えしますわ!」
「……はい?」
「おおー!それは良いねぇ!もしそうなったら娘の良き友人であり、心の許せる側近として支えてくれると大助かりだね!」
「は、母上…!?」
おいおいマジかよ。
これ魔王本人が推薦したら普通に四天王なるのでは?
たまもに、そこら辺どうなんだ?と視線を送ると口元に扇子をパタパタとしながら…
「ふむ、そのためには現在の四天王と同じくらいの力が必要じゃな。あとは何か一つ他の者にはない自分にしかない強みとやらもあれば四天王になれるぞ」
「おおー!!それは分かりやすくてとても良いですわー!ふふん!そうと決まればさっさとカフェインを体にぶち込んで筋トレですわー!」
「おいおい、マジかよ。一応勇者認定されてる俺の旅仲間でもあるんだけど、魔王サイド的にええんかコレ?」
「問題無いぞ。もんむすであり、そして魔王に仕える心に偽りが無ければそこら辺は気にならないぞ。それに現在の四天王にはスライム族もおるからの。世代交代って意味なら実力を示せてれれば明日にでも構わんぞ」
「なるほど、結局のところ実力か…」
なんかリセスの未来が決まりよる。
そんな簡単に四天王とやらになれるとは思わないけど本人はやる気満々だ。
「ええと…ご主人様、よろしいのですか?」
「え?…あー、うんまぁ、リセスは天使達と違って別に地上で彷徨っているとかそんなパターンじゃないからな。フィサリス演劇団が気になって着いて来ただけだし。だから彼女の意思次第ではエンリカの外で何か成すために隠れ里を出ても問題無い。去る姿を追いはしないよ」
「リセスはエリーカエンジョイ勢だからな。天使達のエリーカガチ勢とは違って。ライトユーザーってやつだ」
「たしかにそうですわね」
「いやその前にエリーカに対するガチ勢とかエンジョイ勢があんのかよ。初めて聞いたぞ」
まあリセスの事だ。仮に四天王になったとしても休暇申請したらエンリカまで遊びに戻ってくるだろう。たまもだってヤマタイ村に家を構えてるし、魔王城が全てでも無い。
「しかしそれにしてもエリーカ。お主は天使達を仲間として率いていおるが、一体どういう経緯があってそうなっておるんじゃ?なんなら混沌の勇者として健在ならばこの世で恐らく最強の勇者ぞ、お主は」
「本当だねー。エリーカ君って面白いからあまり気にしなかったけど、でも改めて考えればシレッと光と闇を操っている人間だよね。混沌勇者って職業は知らなかったけど、でもたまもの話によれば封印される程の職業パワーなんだってね。エリーカ君ってヘルゴンド大陸に来るまでに何かやってたの?」
「うーん、まぁぁ…色々とだな。うん色々だよ」
「えー、教えてよー、気になるよー」
「人の身で混沌勇者ってだけでも気になるのにそこにルシフィナという天使の教育係とか言い出すと流石に儂も気になるぞ。あとトンベリ娘に好かれていると来た。本当にお主は何者なんじゃ?」
「聞くと恐らくたまもの苦労が増えるぞ?それでいいのなら」
「ふむ……じゃあ、聞かんのじゃ!」
「ええー!?」
「何が『ええー!?』じゃ!まったく。大体の悩みは魔王様関連じゃぞ。勝手に抜け出した先でいつの間にか子供を育むとか、もうお主の奇行に色々とな。正直これ以上苦労は背負いたくないわい」
「は、母上…」
「あー!娘の近くでそんなこと言わないの!」
「やれやれじゃ…」
イヨちゃん、本当に魔王らしくないからな。
その力は本物だけど。
「まあ俺のことは天使のためだけに勇者たらしめることになった人間とでも思ってくれ。そういった意味では世間一般的に知られてる勇者として本懐は果たす気はないし、並列して魔王サイドにあまり関心は持たないから」
「えー、なんかソレすごく寂しいなー」
「やめい。エリーカが本気で勇者すれば負ける確率が高いのは我らぞ。此奴の人脈を考えれば全身の毛が逆立つメンツだというのに。トンベリ娘やジェネシックヴァルキリー、あとそこにいる2名の大天使も中々の手練れじゃ。この調子なら他にもおるぞ」
「身内に智天使が一人いるな。まあケルビムクラスなんかをヘルゴンド大陸に連れてきたら大変なことになりそうだからしないけど」
「智天使か…普通にクイーンクラスを超えてくれるな。うむ決めたぞ。絶対にお主とは敵対したくないぞ。そのまま思い出の中でじっとしていてくれい」
「
「もちろんですわー!しっかり鍛えて四天王になったらアリスちゃんのお側でしっかりとお支えしますわー!」
「それを聞いてホッとしたのじゃ。ならば…ほれほれヤマタイのお菓子もあるぞ!もし気に入ったらヤマタイまで遊びに来てくれい!歓迎するぞ!もしその気があるなら床の上でも歓迎するぞ!ほっほっほ!」
「あら。お言葉ですが、ご主人様は私達天使の共有財産なので、お渡しは出来かねます⭐︎」
「そうだぞ!ハラヘリ!ヘリハラ!」
「ほほほっ、冗談じゃ。胃もたれするほどの天使たらしなコヤツを籠絡するのはかなりの苦労じゃろうて。苦労はこの魔王だけで充分じゃ」
「またそんなこというよ、この腹黒キツネ…」
「こぉん⭐︎」
いつの間にかテーブルの上に置いてあるヤマタイのお菓子にも手を伸ばし、紅茶とはややミスマッチな味だが、それでも急に始まったお茶会は雰囲気良く楽しげに進む。
そこに魔王も勇者も関係ない。
ただ、普通の友人として分かち合う。
だって俺は__勇者をしない勇者だから。
…
…
…
♢
「エリーカ」
そこにいる男の名を呼んでみる。
すると彼はその声を逃さずに振り返る。
「どうした?___ヨシコ」
どこか古臭そうな、その名。
しかしそれはこの身に落とし込まれた二度目。
破滅事象を繰り返してたその名を否定するために勝手に名付けられてしまった、呪いを解くための新たな呪い。つまり私はこの者によって上書きされてしまったのだ。意味を。役割を。概念を。呪縛を。全てを文字通りに破られた。
消えると思っていた。
得るべきピリオドに安堵を得るつもりだった。
それが識っている結末。
しかし、全て裏返った。
このイレギュラーな存在によって閉じ込められていたシステムの中から手を差し伸べられ、私はヨシコという飾りっ気の一つも感じられない名前によって生きている。
こんな事になるなど……識らなかった。
いや、知らなかった。
今こうして彼の生まれた隠れ里の夜に語りかけているなんて、想像もしなかった。
「エリーカ、ここで何をしているの?」
「星空を見てた。森の中だと真っ暗だから星がよく見える。あ、月が綺麗ですね」
「ついでのように言ってしまう貴方の奇行を私は知らない」
「ならこれから知っていけ」
私はなんでも識っている。
何故なら__全てを識る者だから。
……いや、これは少しだけ嘘だ。
これは自己暗示に近い呪い。
そうでなければ森羅万象の全てを掌握した魔導士としてありとあらゆるに精通しない。
無論、知り尽くした事の方が多い。
何億何兆という知識と魔法を識っている。
これほどだからこそ私は破滅事象として滅びを繰り返せる、そんな存在として形成される。
でも、この者から弾き出される数多ある乱数は全てを識った程度ではダメらしい。
結果として、この勇者に己を
呆気なかった。
衣類を脱ぎ捨て、全てを曝け出したこの体に剣で刻まれることもなく、たった一つの問いで打ち破られてしまう。
今だってわからない。
___とくさんか?
これは一体何が正解だろうか?
どうしたら『皆様のオモチャ』とやらで弄ばれずに魔ノ王として証明できる??
………わからない。
そしたら彼は言った。
『それね。今のところ何も答えずに逃げることで答えを保留させるのが正解だゾ。ただし質問者に答えない=肯定として捉えられた場合は普通に「はい」扱いだからどの道とくさんされるけどな』
私は識っている。
こういうのをクソゲーということを。
そうだ。
逆にエリーカに聞いてみよう。
「エリーカ……とくさんか?」
「おいおい。俺の問いに答えを出せない限り君に質問権は無いぞ?それとも魔王が勇者から逃げるコマンドを使う気か?ならそれはそれで君は魔王である証明にならないな。あと俺はエリーカだ」
「……屁理屈」
「俺はヨシコがそう言い返す事を知っている。
___で?とくさんか?」
「あばばばばババババ…」
なんて呪いの質問だ。
キャパオーバーを起こしてしまう。
…
…
…
「エリーカ、貴方という存在はこの世にしか無かった」
「…と、言うと?」
「私は繰り返してきた世界でいう破滅事象の一部として廻っていた。そして私は識る者として知らない存在は無い。どうなる者も知識として当然のように掌握している。だがしかし、エリーカ・エコーズという知識は無い。この世界にのみ落とし込まれた唯一の識らないイレギュラー」
「そう。じゃあ俺はオンリーワンだな」
「……不思議な人」
「俺からすればヨシコの方が不思議だな。精神体って本当か?なんで触れるんだ?」
「触れれるように体に魔術を施しているから。そうでなければ少し大変だから。私はそれを識っている……けど、ちょっとだけ理由が変わっていた事を私は知らなかった。これは必然?」
「なにが?」
「……エリーカ、貴方は天使だけを欲する?」
「はい??」
「……なんでもない。ただ天使の共有財産として識ってからは、そのままでは手強い事を私は識っている…」
「お前も俺を共有財産扱いするのかよ!」
「それよりも天使の聖素と、あと体液を使えばいける?私は種族変更システムを識っている。ならばサキュバスから人間に移行した後に天使に種族変更を行えば私もエリーカを共有財産とする天使になれる?なれる。何故なら私はやり方は識っているから」
「おーい?ヨシコぉー?おーい??」
ただし濃い聖素と、それ相応の体液が必要になるが、エンリカには充分な天使がいる。
しかしだからと言った、ルシフィナのような天使に手を出してしまえばどうなるのかを識っている。協力を願えそうな他の天使が望ましい。
そのためには交流が必要になる。
エンリカの一員として溶け込む努力。
でもこの先はあまりにも未知数。
予定通りに友好関係を結べるかは不明。
何故なら、どれも乱数そのものたるエリーカに影響する天使も乱数塗れに染まる。定まりのない明日明後日を今日程度で測れないから。
ああ__全てを識る者も落ちたものだな。
システムから外れればこんなにも悩ませてしまうようになるとは、私はトコトン負け惜しみのために「全てを識っている」と紡いでただけのサキュバスだったのか。
前の世界で混沌の勇者に敗れる際も、全知全能ではなかった小さな女神から、その程度だと指摘されたか。
しかし、これも全部…
「くぁぁぁ…眠ぅ…」
この者が原因だ。
ヨシコにされた私はここまで俗物に悩ましてしまう。それともこの男を欲してしまうのはサキュバスとしての本質か。己は精神体としてあまり意識は無かったがベースは欲の生き物。
それまでは知識に対する欲のみで固められていたが、しかしシステムから崩れ落ちた今の私はただ知識量が多いだけのサキュバスで、この一人の男に悩まされるヨシコ。
「エリーカ」
「んぁ…?」
声をかければ振り向くのは眠そうな眼と雰囲気を纏わせる青年。
エリーカ・エコーズとは、破滅事象としての役割を引き摺り下ろし、混沌破りでシステムを破壊してしまうような勇者だ。
私はそのことを識っている。
しかし今の彼からは全くそんな雰囲気は感じさせてくれない。普通の人間。このまま襲えば全てを頂けそうなほどに無防備で仕方ない。
「私はもっと貴方を知っていく。そしたらエリーカは魔ノ王を討つ勇者になるだろうか?」
「……さぁ?その頃には勇者の退職届出でも提出してるから討たないんじゃない?知らんけど」
真面目に答えることもせず、欠伸をしながらむくりと立ち上がって、軽く伸びをする彼。
このまま投げっぱな解答のまま寝床に戻ると思っていた。
しかし彼は、横顔で振り返り…
「だって俺が勇者辞めてる頃には君はヨシコすることで精一杯だからな。なら魔王ごっことかしてる場合じゃねぇよ」
「……何故、そう思う?」
分からない未来だ。
今日程度で明日明後日など分からない。
けれど…
「俺はそれを知っている。だって___」
眠そうな目をしながらも、彼はやや細目になりながらニヤリと、愉快そうに笑みんで。
「ヨシコって、なんか苦労しそうな名前だからな」
そんなの知らない。
知るはずもない。
なんでヨシコだから苦労しやすい?
分からない。
まあ……それもそのはず。
だって___知らないから。
「じゃ、おやすみ、ヨシコ」
ああ、これは苦労しそうだ。
だってヨシコの私はこんな人に___
「おやすみなさい、エリーカ」
破られてしまったんだ。
つづく
人よりも圧倒的な上位存在のIQが下がる瞬間にしか摂取できない栄養素は確かに存在する。
なので拙者、本日はこの栄養素で3食と致す。
【リセス】
アリスフィーズ14世の娘さんが尊くて可愛いて仕方ないので自分も四天王になることを決意した筋トレスライム。元々フィサリス演劇団が気になって着いてきたようなエンジョイ勢なのでノリと勢いは昔のまま。それでも魔王様から推薦を受けれるように強くなることを決意した彼女は後の四天王らしい。
【コルク】
大罪人の牢獄から魔王城の道中を支えるために2年ぶりの参戦。お呼ばれした時は非常に喜んだ。それからあの時よりも強くなっているエリーカの姿を真横で見てたのでサッと脳が焼かれたらしい。つまりこの料理人は調理済みってこと。後で沢山コトコトする決めた。
【メイル】
コルクと同じで2年ぶりの参戦。エリーカにお呼ばれされた際もメイドとして落ち着いた表情で承っていたが、内心はお呼ばれされた誰よりも喜び狂っていた。魔王城まで短い旅路だったが、まだ冒険家だったあの頃よりも強くなった光の勇者エリーカの姿はメイルの忠誠心をゴリゴリに刺激しまくった。後で沢山ご奉仕すると決めた。
【ヨシコ(全てを識る者)】
全てを識るものとしての役割から外れた今、これから何を得て生きていくか迷っていたが、エリーカが興味深い対象なのでしばらくは彼と接点を持つことで新たなインスピレーションを得ようとし、まずはエンリカに馴染もうと頑張っている最中。また天使になろうと決意したその数ヶ月後には種族【天使】として新たなファクターを得たことでエリーカを共有財産にしたのは言うまでもない。上位種ってこういうところあるよね。まあそれでも「とくさんか?」を答えれないからどう足掻いても皆様のオモチャですね。
【たまも】
エリーカの人脈に恐れ慄きながらも、この世で最強の勇者として認めている。既に天使達によって包囲網が築かれているためこの上質な人間は諦めているが、隙あらばつまみ食いしたいと考えているのは流石もんむす。こぉん⭐︎
【エリーカ】
おかねかえして。
【イヨちゃん】
おかねかえすよ。
じゃぁな!