今日も胸がいっぱい、や!   作:つヴぁるnet

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息抜き小説とか言いながら毎回7000文字以上刻んでるし、もうこれわかんねぇな。



や!!!!

 

 

 

「そう、姉さんは元気なのね」

 

「息災ですよ。昼の紅茶が趣味」

 

「姉さんらしいわね」

 

「あと、優しい人です。本当に」

 

「うふふふ…」

 

「……あ、肉焼けました。食べます?」

 

「頂くわ」

 

 

 

あー、どうも。

エリーカ・エコーズです。

 

焚き火の空気が奇妙です。

 

いや、別にまんまん最悪とかじゃないんだけど空気がなんか怖過ぎる。なんなのこの凄みは?

 

ミカエラさんから同じように離反した妹さんの話は聞いてたし、同じ原初の天使であることは聞いてたけど、なんかすごい圧があるよな。

 

俺は生まれつき天使達に囲まれて生きてきたから種族差によって受ける圧力にはなれているんだけど、慣れているゆえに理解する。

 

このルシフィナって天使、マジでやばいな…

 

 

「……何かしら?」

 

「…え?あ、いや。なんというか、天使様が肉をボリボリしてるの不思議だなぁ…って」

 

「天使をなんだと思ってるのかしら?あんなのはただの哀れな戦闘マシーンよ。人からすれば見た目は神聖に映るかもしれないけど、所詮イリアス様の趣味で飾られたに過ぎないただ強いだけの生き物よ」

 

「なるほど」

 

「だから種族問わずに肉はちゃんと食べなさい。大きくなれないわ」

 

「あ、はい。今日も頂きます」

 

 

ちなみにいま食べているのはルシフィナさんが弓で射抜いた猪だ。冬眠前に沢山食べていた猪なのか栄養豊富。その猪を俺が血抜きして、解体して、丁寧に肉を焼いたステーキ。

 

最後は携帯している調味料で簡単な味付け。

 

 

しかし野生の生き物の肉は硬いな。

 

でもルシフィナさんはボリボリと構わず肉を齧っている。天使の姿?これが。

 

 

「ちゃんと料理したら美味いわね」

 

「いつもはどうしていたんですか?」

 

「丸焼きね。あとは皮をむしって、剥き出した肉は刃物で削いで、食べれるところを適当に食べていたわ」

 

「逞しすぎる。それなら、街の何処かで__」

 

「入り口に踏み出すだけで人が倒れるわ。何度かあったもの。あまり騒ぎを起こすと皆が可哀想だから、こうやって獣を屠って、食らって、蓄えて、しばらく何処かで眠ってを繰り返して私自身を弱らせているの。そうしたら、いつしか人間のように力も落ちるかしら…」

 

「あー、多分それ。かなり時間かかりますよ」

 

「?」

 

 

ルシフィナさんのために2枚目の肉を焼き終えてお皿に乗せる。それよりも俺の言葉に興味を持ったのか目線で疑問を訴える。なので振りかける予定だった胡椒を片手に説明した。

 

 

「確かに堕天後の天使は弱りますが、でも何十年何百年経っても弱りにくいのは定期的に長期で眠っているせいですね」

 

「……どうしてそう思うのかしら?」

 

「力が回復しちゃうんですよ。寝て」

 

「…」

 

 

すっごい普通なことを言った。

 

しかし、あまり表情に変化のないルシフィナさんだけど俺の言葉に驚いたのか、少しだけだが表情に変化を見せる。

 

 

「ルシフィナさんはミカエラさんと遜色ない力を秘めてます。堕天後は周りの天使と同じように時間経過で少しずつ強さは落ちます。そして堕天したことで俺たちのように感じる空腹に従ってルシフィナさんは何かを食べて、そして長期間眠ります」

 

「…」

 

「しかし究極の戦闘型天使として内包されている回復能力がルシフィナさんに力を与えてしまいますので、人並みに弱るにしてもかなりの時間が必要になるかと…」

 

「でも弱ってはいるわよね?」

 

「ええ。ですが繰り返し述べますと人間並に落ちることは恐らくない。そもそもルシフィナさんは戦闘特化の存在として生まれた以上、その設定された最低値が圧倒的に高すぎる。なので最大まで弱らせても、変わらず人間は泡吹いて倒れてしまうでしょうね」

 

「……ミカエラ姉さんはどうしてるのかしら?私よりも後から離反したのよ。でも貴方の話を聞く限りだと…」

 

 

エンリカで静かに暮らしているミカエラさん。

 

堕天してから弱体化が進んだとはいえ、剣を握りしめた時はそこらの人間やもんむす達よりも圧倒的に強く、天軍の剣を名乗っていた者としての強さを見せてくれる。

 

それでもミカエラさんが人間のように穏やかに過ごせているのは、本人のそういう世渡りを得意とする性格と社交性によるものだが、この話の結論を告げるなら。

 

 

「人間の暮らしをするんですよ。朝は起きて、昼は働いて、夜は床に眠る。そういった()()()()()生き方をすることによって天使の堕天は加速する。天使に不要だった『生活力』ってのに傾かせて天使の性能を堕としてしまうのがミカエラさんなりのコツだとかなんだとか」

 

「人間、の……暮らし…」

 

「ルシフィナさんが弱り辛いのは種族値を活かした長期的な眠りを繰り返してるから。だから未だ原初の天使スペックで貴方を練り歩かせてしまう。これが人間レベルまで弱りにくい原因ですしょうね」

 

「随分と知ったような口ぶりね……」

 

「ミカエラさん見てるとわかりますよ。間違いなくあの人は天使であることを忘れて人間になろうと、人間の生き方に喜怒哀楽を注いでる」

 

「……」

 

 

肉好きのルシフィナさんも皿に乗せられたステーキを忘れて考え込む。

 

俺の憶測も多少なり交えた話だが、しかし言いたいことは理解しているみたいで段々とほの表情に余裕が無くなっている。

 

なんか少しだけ可哀想だ。

 

 

「なら私に、人間の暮らしを?」

 

「人間社会を欲するならですが」

 

「………そう」

 

「あとは何かしらの力で押さえるとしか…」

 

「……心当たりはあるわ。でも集めるのは手間だわ。作れても指輪程度かしら…」

 

 

手段はあるらしい。

 

けれど時間が必要らしい。

 

しかもそれを天使基準で語る時間ならば、俺が生きている内に終えれる話なのか?

 

それはルシフィナさんしかわからない。

 

 

「ルシフィナさんはこの先、堕ちたこの大地でどうしたいんですか?」

 

「さぁ?ただ私はイリアス様の方針に納得がいかなくて離反しただけ。姉さんに討たれて地に落とされて堕天し、そこからは特に考えることはなく、この地で彷徨うことにした。あまり動き回ると地上に迷惑が掛かるから基本的に眠ってばかりだったわ。あ、あと何百年か前の勇者にちょっとだけ力添えだわね。でもそれ以外は特に干渉なく、世間的に言えば世捨て人」

 

「それならもうミカエラさんみたいに人間になった方が良いですよ」

 

「何故そう思うの?」

 

「……生きてる意味って、何だと思います?」

 

「難しい話は嫌いだわ」

 

「そうですか。まあ続けますけど。生きるとは死ぬまでに何かを残すこと。そうしたら生まれた事に意味をもたらせることができるから。でもできたら良い形で証を残したい。それが人間生きてる間に定められる()()()()()とした目的ですよ」

 

「話聞いてた?」

 

「ルシフィナさんは力が有り余って彷徨うだけの獣なんかじゃない。貴方もミカエラさんみたい土に汚れながらも苦痛を愛して生きていける」

 

「痛いのは好きよ」

 

「人間なら嫌だね」

 

「ええ、弱い生き物ね」

 

「ああ。だから人間は日々を食い繋ごうと明日のために苦しんで行く。それは生物として与えられた役割だから。ルシフィナさんは地に堕ちても役割なく彷徨うだけの存在。そんな惰性が何者にしてくれないのなら決めた方が良いですよ」

 

「だから人間になれと?」

 

「明確には社会に生きるです。貴方は確かに何億倍と強い存在ですが、こうして言葉を交わしながら味付けステーキに哀楽する。堕天して得たシステムにしろ、もし天使である意味や、しがらみを持たないのなら、俺たち人間みたいに愚かにならないか?ルシフィナ」

 

「……」

 

 

 

その問いにルシフィナさんは考える。

 

少しずつ冷めるステーキ。

 

季節は間も無く冬を迎えるため空気が寒いのもあるが、しかし肉から湧き出る湯気も段々と薄まるあたりそれ程に時間が経とうとしている。

 

 

「正直、急に言われても分からないわね…」

 

「それはそうですよ。俺も天使になれと言われても感覚がわからない。でも人間としての感情が心を持った生き物としての【先駆者】であるならばそれは多分、つまらなくて仕方ない」

 

「ええ、天使はつまらないわよ。沢山戦えるなら話は変わるけど、でもそうじゃない時は退屈で仕方ないわね」

 

「じゃあ人間で良いさ。命何千年ってのは考えきれないね。文明を追う楽しみに身を寄せたい老婆心な仙人もまぁわかるけど、でも俺は限られた中で生きていく。その方が時を愛しやすくて良いんだ。精一杯になれるから」

 

 

と、言っても前世は急に事故死。

 

30代直前で命奪われるんだ。

 

残りの精一杯も尽くせずに、勿体無い。

 

 

無論、この世界だって事故死どころか種族差による死がそこらに待ち受けている。

 

 

ぶっちゃけ、前世よりもクソゲーだ。

 

俺はまだ繰り返した知能があるから良い。

 

 

でもそうじゃない周りからすれば明日が怖くて仕方ない。村からも街からも出ない。

 

けど、大人になりながら何か意味持ちたい。

それは変わりない。生きるんだから。

 

 

 

「ステーキ、焼き直しますよ」

 

「え?……あ、そう?ありがとう…」

 

 

俺は冷めてしまったルシフィナさんのステーキを貰い受け、まだ火種が残っている内に冷めてしまったステーキを焼きなおして、胡椒をサッとかける。

 

 

「人間なら、もっと美味しいぞ」

 

「ステーキが?」

 

「ああ。明日食べれないかもしれない。もしくは明日生きてたら食べてやる。その欲求が味を加速させるんだ。良いスパイスだよ?日々のご褒美ってのはね」

 

「……」

 

 

焼きなおしたステーキからはまた美味しそうな香りが漂う。

 

ただし二度焼きしたせいで肉の表面は硬くなってしまったが、それでもルシフィナさんはナイフで突き刺して肉を頬張る。

 

しばらく咀嚼した後…

 

 

 

「美味しいわ、エリーカ」

 

「もっと美味しく食べれる、ルシフィナなら」

 

「生意気ね、貴方」

 

「ミカエラさんにもたまに言われます」

 

 

何度も繰り返すが、ルシフィナさんの表情にあまり変化をもたらさない。けれど口の中に頬張ったステーキは彼女を喜ばせるための味付けになったのか僅かに頬を緩ませてそう言う。天使の羽も穏やかに揺れる。それは嬉しさが満たすという揺れ。生まれつき天使を見てきた俺だからこそ分かる天使の感情だ。

 

 

 

「考えてみるわ、貴方の生意気加減を」

 

「何度も言わなくて良いだろ」

 

「人間の癖に生意気」

 

「はいはい」

 

「…………ふふふっ。本当に生意気」

 

 

 

残りの火種を乾いた薪に移し、焚き火を作って寝床を作る。皿やフライパンを洗い、天使お手製の強力な結界を張ると、俺は就寝することにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もぉー!まただよー!」

「あらあら、またなのね」

 

 

「おいおい、またかよ…」

「…またなの?」

 

 

 

数週間ぶりにまた出会いましたよ、リーとランの中級サキュバス。まあ今回の目的地も前と同じく彼女達の生存地域になってしまってるのでエンカウントしないかといえば、する。

 

でもサキュバスの村から東に山岳地帯と距離があるので早々に出会うことは無いと思ったいたんだけど、なんかまた出会ったわ。

 

ちなみに前回と同じく支度を終えて結界を解除した直前に襲って来た。前はトンベリ娘のトリンが襲撃の気配を察知して物陰に隠れようと走り出したから強襲に対応できた。

 

では今回はどうしたのか?

 

先に察知したルシフィナさんが目に見えない速さで槍と杖を同時に弓矢で撃ち抜いて中級サキュバスを無力化した。

 

いや、マジで見えんかったわ。神業かよ。

 

 

「はい、またしばらくこのままね」

 

「もぉー!なんでこんなるのよぉー!」

「あらあら、また放置プレイなのね?」

 

「今回もご予定がありましてね。なので君達に割く時間が無いのだよ。さよなら素敵なご両人」

 

 

前回と同じで、エンリカ特製の糸で縛り上げると木に吊る上げて放置。

 

もちろん時間経過か外部の力が加わるまでは解除されないようになっている。

 

 

 

「余計な手出しだったかしら?」

 

「え?なんで?」

 

「淫気漂うこの地域だわ。てっきりサキュバスに犯されたくてこの辺を一人で彷徨いてたかと思っていたわ」

 

「んな訳ェ!」

 

「性欲盛んな若男、何も起こらない筈ないわね」

 

「何も求めてなくても彼方から性欲の逸楽者(サキュバス)達がやって来たんですがそれは…」

 

 

さて、ルシフィナさんとステーキinキャンプファイヤーを楽しんだ後、アイテムで結界を貼ってから布に包まってからしばらく眠った。

 

ちなみにあれからルシフィナさんも人間らしい生き方を真似しようと考えたのか、焚き火の元で夜を眠っていた。

 

ただし夜風を凌ぐための布を一枚も被らずに寝ていた。季節も冬の暗がりが広まり始め、夜めちゃくちゃ寒い筈なのに体に巻いた薄布一枚だけで夜過ごすとか、天使ってすげーな。

 

病気とか無縁そう。

 

 

 

「で?何故こんな洞窟に?」

 

「冬になると洞窟内部の熱が引いて歩ける場所とかできるんですよ。まあ多少無茶の必要がありますが、でもそこは上級職の【冒険家】として職業柄で押し通せるのでね。なので季節が重要なんです」

 

 

さて改めて、ここはサキュバスの村から北東にある『溶岩鉱窟』の内部だ。

 

昨日はこの辺で夜を過ごした。

 

まだ暖かい地域だったので夜はそこまで凍えずに済んだが、なにも羽織らずに眠るルシフィナを見て正直心配になった。でも朝起きてピンピンしてるしお腹空いたと言ってた渡した携帯食料をバリバリ水無で食ってた。

 

このひと逞しすぎんだろ。

伊達に500年彷徨ってねぇな。

 

 

 

「貴方がここを探索したいタイミングなのはわかったわ。でも貴方が探している天使はこんな洞窟にいるのかしら?」

 

「限りなく居ないに違いありませんが、でもルシフィナさんみたいに休眠できる中級天使とかいるんですよ。仲間の助けを待つための手段として。実際にこれまで二人ほどそういう天使は存在していたので、あり得ないとは言い切れない話。なので今回はここを探します」

 

「なるほどね。確かにこの辺りなら比較的強いモンスター達のみが許される領域。つまり休眠の邪魔をされない場所として非常に最適という判断。経験豊かな中位天使ならそういうこともできるわね」

 

「この辺はミカエラさんの入知恵ですけど、でもそういうパターンもあるとして、あり得ないを前提に見逃せないんです。それに休眠にも限界はある」

 

「あくまでエネルギー消費を抑えるだけの手段だもの。眠っている間でも堕天中に力が弱まっていればいずれモンスターに狙われるくらいには天使も陥る。それに気づかれたら中位天使も無事では済まないわね」

 

「だからかなり勇気のいる手段ですよ。ここら辺のもんむすは強い故に賢い。そのため自分よりも強い生き物にちょっかいをかけようとは思わない。ゆえに休眠にある程度の保証が付く。しかし時間経過と共に弱体化した状態がバレたら終わり。なら早く見つけてやらないと」

 

「奥に居ない方がありがたいわね」

 

「それを願っての洞窟探索」

 

 

キャンプ用の道具袋は洞窟の入り口の茂みの中に結界を貼って置いて行き、回復用のアイテムや探索用のロープなどだけを持ち込む。

 

そして俺の戦闘用の武器。

 

まず腰に普通の木刀を2本と、同じく短刀サイズの木刀を2本。納刀状態は戦国BASARAを連想して伊達政宗スタイル。それぞれ右と左に2本ずつだ。本来なら両腰に3本ずつだけどロープとかも持ち込む必要あるのでこれ以上はもう少し体が大きくなってから。

 

あとはエンリカで鍛冶を得意とする天使に頼んで改修したカスタムソードを背中に一本。

 

合計5本の武器を装備している。

 

 

 

「非殺傷武器を多めに担ぐなんて面白いわね。不殺でも貫いてるのかしら?」

 

「無意味に奪いたいとは思いませんが、これらは意味があって木刀を用意……まあ、とある手段として使い切り用に揃えた量産武器なんです。もし殺傷力を必要とする戦いなら初めからカスタムソードを使いますよ」

 

「少し気になるわね、とある手段とやら」

 

「多分それは求めれないですよ。だって…」

 

 

 

 

ルシフィナさんが着い来てるもん。

 

てかルシフィナさんに怯えてもんむすたち一匹も出てこねーよ。

 

ほんまにこの天使はさぁ…

 

 

 

「私、邪魔かしら?」

 

「いえ、戦闘が減るなら寧ろありがたいッス」

 

「人を魔物避けのように扱ってくれるわね…」

 

「いやいやいや。ルシフィナさんとかいう無条件降伏でしょうこんなの。誰が原初の天使相手に命知らずをしますか」

 

「なんだか納得いかないわ…」

 

「強さとは孤独なり。てかルシフィナさん?別にステーキのお礼とか考えずとも、ルシフィナさんはルシフィナさんの日々に戻っても良いんですよ?俺は一人でも大丈夫です」

 

「貴方がココ程度に劣らない人間なのは知ってるわ。でも昨日の話を聞いて少し考えたの。人間社会を欲するならそれなりの努力と誠意が必要とされることも。だから恩義を尽くす。これはあくまでそういうことよ。それとも……ここにいると私は邪魔かしら?」

 

 

声色が僅かだけど、どこか気持ちが落ち込んだように耳に届いてしまう。それを不安と言い表すだろうか。恐らくそうだろう。

 

 

ああ、なるほど。

 

そうか。

 

ルシフィナさんって『妹気質』なんだ。

 

 

ミカエラさんからは、妹のルシフィナさんのことはそことなく聞いたことがある。

 

 

暴れん坊で、情動的に、感覚的に動いては突貫する大変な妹だとか。

 

それに関しては昨日の時点で何となく察した。

 

 

だから、わかる。

 

妹とのルシフィナさんは、ミカエラさんを姉として宛てにしながら、奔放的に自分の好きを通してきた。

 

でもそれは『姉』に甘えれるという前提条件があったからこそ『妹』は成立した。

 

 

それでも多少なり、姉に苦労させているなどの負い目を感じながらもルシフィナさんは生きてきた。だから不安が過ぎる。

 

自分は「許されているのか?」という前提条件のないこの場面を。

 

 

 

「ルシフィナって結構、繊細なんだな」

 

「え?」

 

 

 

 

さん付けも忘れて彼女を呼び捨てる。

 

 

 

 

「邪魔なんかじゃないし、力を貸してくれるならこの上なくとても心強い」

 

 

 

 

__彼女に前提条件(だいじょうぶ)を示す。

 

 

 

 

 

「けれど今回は俺が地上に生きる先駆者としてその気持ちを想いたい。だからルシフィナの恩義を有りたく受け止めさせていただく」

 

 

 

 

 

__彼女に人間社会(ありがたい)を示す。

 

 

 

 

 

だから…

 

 

 

「ステーキ分のお礼は頼むよ?ルシフィナ」

 

「…」

 

 

踏み入れた溶岩鉱窟の入り口で横顔で振り向いて、ややニヤリと笑って見せる。

 

すると洞窟からブワリと放たれた熱気によって旅用に改造されたエンリカの服と、ルシフィナの羽と薄布が揺れ動く。

 

相変わらず変化を感じ辛いルシフィナの表情だけど、その言葉はこの熱量と共に届いた筈。

 

だから…

 

 

 

「ふふ、ふふふっ……うふふふふ、本当に生意気な人ね?貴方。ふふふっ」

 

「長い刻だけが大人だと思うなよ。俺だってこの大地で沢山の天使達を助けてきた。ならば原初の天使だろうとこのエリーカ・エコーズにとっては迷えし子羊に変わりない」

 

「うふふふふっ!!あはははははっ!!!!」

 

「(笑い方、こわっ…)」

 

 

 

 

溶岩鉱窟を進む、二つの足音。

 

最弱の人間と、最強の名に恥じぬ天使。

 

異色な組み合わせだが、しかしこの時は人間が先駆者として、天使は後続者として、人間が踏みしめて作り上げた土道の上を、天使が迷いを安心に変えながら踏みしめる。

 

 

 

 

そして、それは…

 

 

 

 

 

__我らはフィサリス演劇団。君達は?

 

 

__わ、私達は……天界の、使徒達です。

 

 

__この組織の団長、ハルトマンだ。

 

 

__ミカエラよ。よろしくお願いするわ。

 

 

 

 

 

 

父がしたように、今は子がソレを継ぐ。

 

人間社会を謳歌する者達の営み。

 

なんてことない『助け合い』があった。

 

ただそれだけの話である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まぁ、それはともかくとして。

 

 

 

 

 

「天使、奥にいなかったわね」

 

「うーんこの」

 

 

 

 

誰もいない、空振りでした。

 

しまらねぇなぁ、親父ィ。

 






一応この世界線でもパラ世界のルシフィナさんはクエ世界と同じようにイリアス様の方針に従えなくなって天界を離反したって事にしてます。で、ハインリヒにエンジェルハイロウをプレゼントしたりと好き勝手しながら長いスパンで食っちゃ眠ですね。存在そのものが反則行為。



【ルシフィナ】
500年位前に天界から離反し、ハインリヒにエンジェルハイロウ渡したりなどして、堕ちた地上で一人生きて来た。数十年単位でしばらく眠っていたが目を覚ますと姉ミカエラと同じ精素を感じ取り、そのままエリーカと対面。あとになって天界が落ちたことを知ったが堕ちた自分には関係ないと両断し、今はエリーカに興味を寄せている。なにせ上位天使を怖がらない上に臆せず生意気に返してくれるから大層気に入っている。つまりエリーカはルシフィナにクリティカルでした。ほんまコイツ。


【中級サキュバス】
相変わらず冒険者を狙うリーてランの二人。旅路で鍛えられた人間は濃くて美味しいからね。でも残念そこにはルシフィナだ。そうして再び暇で縛られて木に吊るされて放置されてしまった。でもまた何処かで出会いそう。この二人そこそこ作者のお気に入りだし。



書き溜め終了。
次から気ままの更新になるべ。

じゃぁの。
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