ドブ川女神が悪いよ、ドブ川が。
蹴飛ばされた女神の奇声を聞いた。
規格外な出来事は、瞬間であった。
__君、たちは?
__貴方と同じ勇者であり、愛する者のために戦って来た。僕は、ただそれだけです。
__行こう、父よ。
突如現れた彼は同じ勇者だと名乗り、そしてもう一人の女神を蹴り飛ばした人物は言語化するにはあまりにも難しい存在であったが、けれど隣にいた青年に寄り添う、そんな優しい存在にも思えたから悪い奴ではない。
そして二人はその場から消え去った。
まるで何もなかったかのような。
__ぼく、は。
震えていた手元から剣が落ちる。
勇者の役割を放棄してしまう。
でもそれは仕方ない。
何故なら目の前にいる愛しき者を切り伏せずに済んだと知って、僕は初めて勇者であることを忘れたから。
__アリス、愛している。
__ハインリヒ、私もですわ。
僕は勇者ではなかった。
でも、もうそれで良いんだ。
僕は魔王を討たない、偽物の勇者。
けれどこの愛は、本物なんだ。
そして、僕は魔王の……いや、違う。
アリスの手を取って、旅を終えた。
その後は、幽閉されていた彼女の妹を表の世界に連れ出すとアリスは全てを終わらせることを宣言し、魔物達は人間を襲うのをやめた。
全ての魔物がとは言わないが、しかし争いを強要されていた魔物たちは喜んで武器を手放す。
そして人間社会に溶け込もうと歓喜をあげながら平和となった世界を歌い、共存の二文字は瞬く間に加速した。
アリスは死んでいない。
けれど世間は勇者が魔王を討った。
そのように話が届いた。
でも、それはある意味嘘ではない。
僕はアリスの心を
もちろん、その逆でもあるけどね。
でも僕は勇者としてアリスを魔王という座から討ち倒して、この手で彼女を引いた。
もう彼女は魔王ではない。
だから嘘じゃないんだ、この話は。
__とっとと隠居しろ、この愚姉!!
恨み節をコレでもかと込められたアリスの妹から強烈に叩き出される。もう二度と魔物社会に加わるなという意味を込めて僕にアリスを引き取らせた。そんなアリスは満更でも無さそうに魔王の座を引いて隠居を望む。
そして勇者としての役割を果たし終えた僕も祝福してくれる各国を回り終えて、誰にも邪魔されない場所で家を建ててアリスとそこに住んだ。
もう剣も何も手に取らない。
手に取るのは彼女の手だけ。
何故ならココに勇者も魔王もいない。
いるのは好きあった男女が二人だけ。
その事実だけが、僕達を運んでくれる。
そう思っているから。
__ 許しませんよ、ハインリヒ。
__ 勇者が魔王を討たない愚か者など。
__ 御法度ですが直々に修正を下します。
__ シナリオから外れた勇者の
__本来あるべき形に女神が書き換えます。
そんな声が何処からか響いた。
僕は背筋に冷たさを感じる。
しかしその手は早かった。
そして…
アリスは孕んでいた子と共に死んだ。
女神の怒りによって。
…
…
…
「涙を枯れるほど流し、そして空になった心は怒りに飲まれた。手の感触から無くなっていたはずの剣は傷だらけの天使から受け取り、僕は修羅となって天界に復讐を齎した。途中で負けたけどね」
目の前にいる血濡れた勇者は苦笑いする。
その表情には語られたような姿ではなく、なんてことない好青年が立っている。
それだけでこの者が500年後も謳われるほどの人格者であることも分かるし、柔らかな佇まいから伺える気高さと、底無しの強さが理解できる。
ああ確かに。
この大罪人は勇者たらしめた人物なんだと。
そして、悲しく映ってたまらない。
「なんで、この話を俺に?」
「この大陸まで辿り着ける人間の君にお願いがあるんだ」
そして大罪人の表情が締まる。
「少し前に光を感じ取った。僕が恨んでたまらない天界に住まう聖素の感覚。けれどその聖素には勇者たる優しさが込められていた。それは君で、そしてここまでたどり着いてくれた。そんな君に僕からお願いがあるんだ」
「俺に?貴方が?」
「ああ。この封牢には二つの碑がある。一つは僕のものなんだ。碑は割れてもなく、こうして勇者の素質がある者にしか語りかけることができない。けれどもう一つは訳あってある者に解き放たれてしまった。僕が愛してない方の神に…」
「愛してない方の神?…もしかして女神イリアスのことか?」
大罪人の___勇者ハインリヒの昔話を聞いたことで二つの関係は察する。
最終的にハインリヒは愛するべき者を奪われてしまい、天界に剣先を向けて修羅となった。
それは女神イリアスを酷く憎んだから。
しかし…
「違うよ。イリアス様の方ではない。アレは同じアリスだった。でも僕が愛したアリスとは違うアリス。しかしそれは魔王なんかでは収まらない存在と化した、この世に定まり付かない者として神を超えてしまった新たなる
「神を超えた、アリス??」
「混沌の神、僕はアレをそう呼ぶ。あの存在がもう一つの碑を___僕とアリスの娘を解放したんだっ。この世の新たな神として憎しみを原動力に天界を叩き割った…!」
「!」
なんだと??
いま、何と言った??
ハインリヒとアリスの娘が、混沌の神と化した別のアリスによって、憎しみを原動力に天界を叩き破らせた??
それってもしかして……2年前の???
「イリアス様は僕とアリスの娘の魂をも碑に封じ込まれたんだ。勇者と魔王によって産み落とされる存在は危険だと扱って。それと同時にとある墓守の一族もイリアス様の在り方に不信感を抱くと魂を天に返さなかった。いや、イリアス様が返さなかった。絶対にこの二つを天に返してはならないと言いつけて、ここに縛りつけた」
「!!」
とある一族。
天に返す、墓守の一族。
ああ、間違いない。
俺の先祖、エコーズ家だ。
ヘルゴンド大陸で墓守をしてきたレミナの貴族達だ!…っ、そっか!そういうことか!エコーズ家がある日を境に墓守としての役割を放棄したのは、女神イリアスの所業を疑い、天に返すにはあまりにも愚かしいと考えてエコーズ家は放棄したんだ!その日から没落したんだ!
っ、こういうことか…!!
ミカエラさんや、ルシフィナから、女神イリアスは碌でもない的な話を当たり障りなく聞いてことあるけど…
ここまでなのか、イリアスってのは。
「女神に反逆する大罪人として僕と、そして死んだアリスのお腹の中で辛うじて生きていた娘の魂は人の手が届きにくいヘルゴンド大陸の封牢に閉じ込めることで長い月日が流れた。そうして歴史からも、記憶からも、僕達は忘れられていった。これからもそうなんだと思っていたんだ。でもこの世にない混沌の神は僕達を見つけた。そして混沌の神は同じアリスだから、愉快な出来事を欲してここに細工した。娘の魂に血肉を付けさせて天界を襲わせたんだ……っ」
ハインリヒは無力感に拳を握りしめる。
己は閉じ込められたまま。
娘は混沌の神によって封印解かれた。
そしてハインリヒが天界に抱えていた憎しみに沿って娘はその通りに動いた。
新たなる神として、女神を討つために。
「お願いだ、どうか頼む!僕は封じられて娘の元に行けない。仮にこの碑が解かれたとしても、憎しみが形した成れ果てとして修羅は続き求めて止まらない。それは間違いなく天使だけを求め彷徨ってしまう怪物なんだ。僕には……声を届けるしかできない」
「ハインリヒ……」
個人的なお願いだろう。
もちろん、被害者なのは確かだ。
人間と魔物、遮ることなど出来なかった者同士に愛が生まれて、男と女が惹かれあう。
何とも微笑ましいラブストーリー。
そう描かれるはずだった幸せ。
しかしそれは勇者のシステムを覆してしまう事を嫌がった女神自らの手によって引き裂かれてしまい、勇者は大罪人として扱われた。
無念だ……
あまりにも、無念すぎる。
こんなことがあって良いのか?
女神にとっては良くなかったから許さなかった。
でも二人の愛に許すも許さないも無い筈だ。
ただ……愛し合っていた、だけなのに。
「ハインリヒ、君の娘は……その後も憎しみの神になってしまったのか?」
直接手を下してしまった女神の暴虐が不始末を起こしてしまい、天界は落ちた。
そうして女神イリアスの声も、堕天した天使の救いも無く、2年の時が残酷に流れている。
「僕の娘に意思ない。だが勇者と魔王の子による二つの力と、そして僕の憎しみを借り物として暴れてしまっている。何故なら混沌の神の断片が憎しみを原動力に天使と女神を食い荒らさんとしているから。でもその力は不完全。それによって僕の娘は天界を崩した後は急激に力が弱まり、それをチャンスとした天使達が残された聖素を使って大陸の真ん中で押さえている。でも天界だった大陸に残っている聖素が薄まればまたいずれ動き出す。その前に…」
ドブ川のような女神はともかく、土の味を知った天使達が狙われている。そう聞いて穏やかでは無い。そして封じられていた魂の暴虐を止めなければならない。それは言われずとも理解できるし、世界の危機にもつながる。
そして放っておくといずれはエンリカにも来てしまうだろう、天使を求めて…!!
「それはまずいな……俺の生まれ故郷がっ」
唐突に意識だけを引っ張られて焦ったが、でもここまで来た理由と意味が生まれた。
もし知らずに放っておけば、間違いなく大変なことになっていた。
なにせ天使達も堕天したことで力がかなり弱まっている。それはつまりハインリヒの娘を押さえつける力も落ちてしまうことになる。天界の聖素とやらも長持ちしない。
もし破られれば最後、天使と女神を殺すまでこの世界で暴れてしまうだろう。混沌の神とやらの断片を受けてしまっている以上は愉快なことには絶対にならない。それは予感する。
そして、何より…
ハインリヒと子を成した母君は【アリスフィーズ8世】という世界を震撼させた暴虐の二文字で表される歴代最強の魔王なんだから。
そこに更に加えれば女神を殺すために人間の身でありながら天使達を葬る修羅と化したハインリヒの子でもある。
そんな娘が大人しいはずも無い。
随分と嫌なハイブリッドだ。
「わかった……わかったよ、ハインリヒ。この事実を知った以上は無視できないことも。女神の行方は特段どうでも良いが、しかし天使が滅びるのは嫌だ。彼女達だって生きていく明日を知った身。ならば知ってる者が助けてあげないと」
本当は知りたくない事実だった。
他人事であって欲しかった。
だって天使捜索の全てを終えたら本格的にフィサリス演劇団に加入して、それで仲間と共に世界を歩きながら演劇団の者として生まれた意味を果たしつつ、冬越しの季節になったらエンリカに戻って天使達と雪かきをしながら春を待つようなそんな日々。天使達の祝福を元に平和は成就されると思っていた。
けれどそれはまだ遠いようだ。
ああ、まったく、引き金となった女神イリアスに全てどうにかしろとぶん投げたい気分だ。
けれど当人の女神も消息不明で、信仰深いイリアス教徒達がイリアス様の声が届かないという事実が本当ならば、女神イリアスは声も届かせれないそれ相応の状態で動けないと考えるべきだろう。なんとも役立たずな神だろうか。
しかし、なるほど。
ルシフィナから酷評される程の理由をハインリヒから聞いて理解した。
そういやミカエラさんもその名を吐くときは毎回冷たく感じられたし。
それを原始の天使二人から突きつけられてしまう現実。
どんだけだらしないんだよ、イリアスって。
「でも、娘さんはどうするんだ?もしや倒すべき対象と扱うのか?なんとかしたい気持ちはあるが天界を滅ぼすような相手に人間の俺が何かできるの、か?」
「僕が声をかけるよ。その憎しみは僕のものだから囚われないで、って説得する」
「君が?ここに囚われている魂で?」
「それなら大丈夫。僕が君を中継して声をとどかせるから。だって君…エコーズの者でしょ?」
「!」
「その反応はやはりだね。500年も前で、それで役割を放棄した以上もう既に失われた家系だと思ったけど、でも君は自分がエコーズ家の血を引いている事を認識している。ならそれは魂の送り人として引き金になってくれるよ」
「……ああ、そうだ。俺はエコーズ家の血を引いてる。この大陸に来て知った。しかし俺がその末裔だってよく分かったな?」
「ヘルゴンド大陸で聖素を感じてね。それは只者ではない事を知った。そしてエコーズ家は魂を天に届ける墓守の一族だ。ここに来てくれた瞬間にそのオーラを確信したよ。君は良く鍛えられた冒険者みたいだから、それはより鮮明に答え合わせとなってくれた」
どうやら俺は伝説の勇者のお眼鏡に叶うほどの強さらしい。まあミカエラさんの弟子だ。弱いつもりはさらさら無いし、強くあろうとはしている。流石に天使やトンベリ娘とかを比較対象にはできないけど。種族が違いすぎる。
「世界規模の危機だな……勇者はいないのか?」
「イリアス様のお告げも届かない数年間、道標もない勇者はそれ以上の大陸を目指さないよ。今代の魔王だってとても穏やかだ。だから人間社会からすれば世界の危機なんては対岸の火事なんだ。近くになって初めて知る。しかし今は君だけがその厄災を知っている。だから君だけが頼りだ」
そうなるよな……そうかぁ。
勇気でも何でもない俺が知ってしまった。
誰かに丸投げも出来ないし、今この世の中で厄災に立ち向かってくれる勇者も居らず、何よりハインリヒがエコーズの血筋を引いたこの俺だけを頼りにしている。
ああ、なんて出会いだ。
こんな事になるとは思いもしなかった。
「僕はね、洗礼を受けてない勇者なんだ」
「え?」
「僕は勇者だけど、イリアス様から洗礼を受けずに勇者たらしめた、ニセ勇者だよ」
「…お前、実は嘘だらけじゃねーか」
「はははは、そうだね」
「おいおい…」
ほなら世界中が伝説として扱っている勇者ハインリヒはニセ勇者かつ大罪人である事を知らないわけだ。後者は女神の暴挙による被害者だとしても前者はとんだ詐欺師だな。
「でも、洗礼は無くとも人は世界を救うために剣を握れる。君は見せてくれたあの光のようにね」
ああ、確かに。
俺は洗礼なんてもは受けず、代わりに堕天した天使達の祝福を元に育ってきたミカエラさんの弟子で、フィサリス演劇団の子供。
けれどこの大陸に足を踏み入れるくらいには強くなれたし、今レミナでは俺の英雄譚が酒の肴として語られている。まるでその一撃は勇者のようであった。その足で巨竜娘の首元まで飛び跳ねて振りかぶった天軍の剱は今にも大陸すら切り裂く、そのような後ろ姿だったと。
「俺一人では無理だが、でも何とかする。それにいずれあの大陸には足を踏み入れてみたいと思っていたんだ。土の味を知った天使達が地上の暮らしを出来ているのか、個人的な内容だけど心配なんだ」
ミカエラさんは、天使は結構しぶとい生き物だから大丈夫だろうと言ってから、俺なんかが心配する必要は無いと思うが、それでも交流を持ってみたいと思うのは間違いでは無いはず。
いずれ世界があの大陸を明かさんと動き出すんだ。なら俺が先に明かしても、それは人間が住まう世界の流れだろう。だから俺は行こう。
「ありがとう。君がこの場に導かれて本当に良かった……あ、そういえば名前を聞いて無かったね」
「そういや、そうだったな」
焦っていたのか結構一方的に話を続けていたハインリヒ、伝えれること伝えれてホッとしたのか大事なのを思い出したようだ。俺はこほんと咳き込んで、そしてフィサリス演劇団の公演時の自己紹介の時のように手元を胸に構えてご挨拶する。
「俺の名はエリーカ・エコーズ。天使に祝福されながら生まれし、フィサリス演劇団の一員だ」
意識が少しずつ薄れる。
どうやらお別れが来た。
まるでカーテンコールが訪れるような自己紹介。
「エリーカ、どうか君にこれを____」
ハインリヒの声が遠くなる。
そして、意識はまた閉ざされた。
現実世界で起きることを望まれるが如く。
…
…
…
…ご…じん……!
…しゅ…ん…ま!
ご…ゅじんさま!!
「ご主人様ッッ!!」
「は!!?」
目を覚ます。
俺の体を揺さぶるメイドの声。
「メイル…か?」
「あ、あぁぁ、ご主人様ぁ!目を覚まして__」
「心配しましたわー!!」
「もぉー!心配させんなよエリーカ!」
「おおお!?うおおおああ!!ぐえっ…!」
全身の柔らかいと、二つの柔らかいが俺を押しつぶしてくる。その後更に二つの柔らかいも俺を押し潰し、泣き喚く声が聞こえた。
どうやら目を覚ましたようだ、現実に。
…
…
…
「なるほど、それは大変ですわね…」
一度レミナの宿屋に戻って来た。
そして話を聞いたメイルが頷く。
コルクもリセスも、二つある内の一つの碑が割れていた現場を見てたので話を理解する。
「直接的に世界が危ういのかはわからないが、でも天使を憎んでいる断片だ。そうなると天使が集うエンリカにまで来るかもしれない。そしてそれはつまりエンリカを冬越しの隠れ里として利用しているフィサリス演劇団も危険だ。俺はそれを止めなければならない」
「ええ、そうなりますわね……しかし、まさかこんなことになるなんて…」
「なぁ?混沌の神って何だ??この世界にそんな存在がいたのか?」
「詳しくは知らない。でもハインリヒは混沌の神と認識したあの存在はどうやら同じ8代目
「なんでそんなことを…」
「わからない。でも歴代の中で特に世界を震撼させた逸楽者と語られる8代目魔王。混沌の神はそれと同じアリスだ。そして魔王は元より女神と対立していた存在である。なら天界に対して思うところはあるし、それがちょうど同じアリスの産み子がいたとしたら8代目魔王の性格からして引き金として都合が良かったんだろう」
「なんなんですのそれ……それはつまり、面白そうだから、やったと??」
「8代目魔王の全て知ったわけじゃないが、でもハインリヒが語ったアリスを考えれば可能性は充分にある。ならそう考えるのが自然かもな」
「な、なんてことを…!なんの意味が!」
信じられなさそうにコルクは拳を握りしめて憤り、リセスとメイルもその逸楽主義な行動に言葉を失う。
だが、それ以上に…
「イリアス様…っ、貴方って方は…!」
「人の恋路がそんなに気に入らないのかよ!」
「信じられませんわ!そんな程度で…」
ああ、その反応は普通だ。
だってイリアスが引き金となった。
イリアスがハインリヒとアリスの幸せを引き裂かなければ、ハインリヒは修羅の大罪人として生を終えずにいられたし、アリスだって子を成して静かに3人で暮らしてた筈。
そりゃ
そしてハインリヒどころか、アリスの娘の魂を魔の大陸に縛ろうと大罪人として扱われた父の隣に封じられ、しかも当時のエコーズ家にこの二人の魂を天に送るなと告げて、永遠と封じ込ませた。幸せは潰えた。
イリアスはとんでもない傷を残した。
己の
「リセス、コルク、メイル、俺はその事実を知った者として見て見ぬ振りは出来ず、そしてなによりエコーズの血筋を引くエリーカ・エコーズがあの場に封じられた魂の嘆きをそのままにしておけないと言う…!!」
世界の危機とはいえ、勇者に任せる選択は俺の中に無い。人間にはあまりにも過酷なヘルゴンド大陸の重みを知ったから。精霊の一つや二つは契約しなければまともすら許されない。
そしてこれから向かうはヘルゴンド大陸とはまた違う危険な世界だ。この時点で人間には耐え難い。それこそハインリヒのような伝説級の勇者でなければら無理難題。なら女神の声も祝福も与えられない今の勇者如き何が出来ようか。
すり合わせは終えた。俺は強い。
人間の身でヘルゴンド大陸に辿り着き、この数日間を生きてきた。
ミカエラさんも満足の行く結果だろう。
「明日、エンリカに戻るぞ。そして事の全てをミカエラさんに告げて、対策を考えて、天使に被害が広まる前に俺はハインリヒの声を憎悪に囚われた娘に届かせる。それがエコーズの事を知った俺のストーリーテラーで、そして残されたエコーズ家の役割だろうから」
可能なら勇者に丸投げしたい。
それは何度も頭に過ぎる、思っている。
でもエリーカ・エコーズにしか出来ない事。
なら俺が果たそう。
大丈夫さ。俺には頼もしい隣人達がいる。
永久までに寵愛してくれる天使達が。
まあ、それは、それとして…
「さてご主人様?今日も強敵を相手に聖素を蓄え過ぎてます。なのでしっかりと発散しましょうね!大丈夫です。ご主人様は何もせずこの私に全てお委ねください。今宵も天国をお約束しますから」
「エ、エリーカ。私も手伝うからな!」
「なら私もお手伝い致しますわー!皆さんでエリーカを労わりますわー!」
「ちょ!?人間相手に3人は過剰ォォ!!」
このあとメチャクチャされた。
もう、胸がいっぱい、や!
つづく
はい、そんなわけでこの世界線は顔芸イリアスがカオスによって「けぇぇぇえ!」されて数ヶ月気絶してる間にハインリヒとアリスがイチャラブ結婚して子供を成した世界線ですね。なのでハインリヒはレミナ家のエディナと子を成さなかったことで末裔たるマルケルスは生まれないらしい。マジで?既に修正案件で混沌生えるわ。まあこの世界は特異点世界でも無いし適当にどっかでリカバリーされるやろ。例えば女神イリアスを討つ必要が無くなったことで女神信仰時代を終えたので生まれたしルカくんが使命背負った勇者である必要なくなった上に病気撒かれなくなったのでルシフィナが健康的になって色々大丈夫になったとか多分そんな感じやろ(無計画)
まあどうせ特異点のルカさんがなんとかする。なのでこの世界ではイレギュラーたるエリーカにはエリーカにしか出来ない苦労を背負ってもらいましょうね!!
まぁその相手はエデン
【ハインリヒ】
本編や、先ほどの不真面目な後書きでも書かれているように8代目魔王アリスと結婚した世界線。でもドブ川率が高すぎる世界線の女神イリアスによって引き裂かれた事で天使殺しになったがココは原作通り。でもアリスのお腹の中に子供がいて、それでお茶会の招待状をばら撒こうと思って異界からやってきた混沌の神アリスがお面白半分でその子供に力の片鱗を与え、ハインリヒの「天使ィィ!」を引き継いで天界を襲っちゃた。
よかったね!ハインリヒ!
君の娘が親孝行しているよ!
ちなみにこの作品の2話の後書きに『不幸にも、黒塗りの高級車アリス』と下北893構文で書かれているが、よく見ていただくと『
じゃあな!
またな!