厄ネタ×二乗は一周回って厄ネタではない(白目) 作:ハゲチャビン
次回「文目死す」
なんてことほざいていたじゃないですか。
気が付けば今回も筆が乗ったにも関わらず文目が死なないんですよ。
いつ死ぬだろうなぁと楽しみにしていた皆様、大変申し訳ありません。
次回、或いは次々回にはきっちり厄ネタ満載で殺しますのでどうか、どうかご慈悲を……。
後感想を見る限り12人目の使徒が邪ンヌだと思っている方がいらっしゃいますが……
別に使途になったと明示した訳じゃないんですよ。
ヒント:後書きに書きます。
―――最悪最悪最悪最悪。本当に最悪!!
可能性はあった。でも、こんな早くに来るなんて思わなかった。
「マスター! 大丈夫?」
俺を背負った憎しみの女王が心配そうに声を掛ける。
絶望の騎士によるワープである程度距離を詰めたが、合流地点まで距離がある。だからそれなりの速度で飛べる彼女に道中を頼んだのだ。
「もう少し早くしてくれ。大丈夫だ、負荷は掛かってない」
「本当に?」
「ああ――っ」
視界の端の流れが速くなる。一瞬、後ろに反りかけた身体を振り落とされないように、彼女の肩を掴んだ手に力を籠め身体を更に密着させる。
……セクハラとかにならんかこれ? いやそんなこと言ってる場合じゃないのはわかるんだけどあっ良い匂い。
気が付いた時には全てが遅すぎた。
街で争っていたサーヴァント……幼きエリザベート・カーミラと清姫の喧嘩を仲裁し、協力を取り付け残るは別で動いているマリー・アントワネットとジャンヌ・ダルクの報告を待つのみ。だった。
「…………藤丸、不味いぜコレは」
仲裁の最中も耳を塞いでいたアマデウスの、その言葉と共に通信が入る。
『藤丸君、今計測器の数値が跳ね上がったんだけど周辺で何か起きていないかい?』
ロマニのその言葉に周囲を見渡す。
談笑する町人。
快活に呼び込みを掛ける店の主人。
噴水の近くを通り抜ける親子。
そこには何事もなく街を行き来する人々の姿があるのみだ。
「いや、何処にも異常はないけど―――」
通信機にそう言葉を掛けるが、返事は無い。
怪訝に思った立香が何度か声を掛けても応答がない。
「先輩、これは――」
マシュの緊張を含んだ声に改めて周囲を見る。しかし、どれだけ警戒してもそこには普段の日常を送る人々の姿しかない。
困惑する立香に、彼のサーヴァントであるエミヤが言葉を投げる。
「マスター! 上だ!」
その言葉を聞いた立香が上を見上げる。
変わらず空に掛かる光の帯と、空を飛んでいる鳥らしき影――いや、違う。
影が少しずつ大きくなってきて――
「みんな! 戦闘準備!」
彼女たちに鋭く声を飛ばすも時すでに遅かった。
噴水近くを歩いていた家族連れを、落下する様に降下した影が襲った。
笑顔で歩いていた子供の前で、父親らしき男が白いワイバーンの顎で一口。残ったのは上半身を失い倒れる下半身。
そこから飛び散る血飛沫。残された家族が悲鳴を上げ始めた時には、上空僅か数メートルにまで降下してきたワイバーンの群れが街を襲い始めていた。
致命的なまでに後手に回った彼等はなし崩しのように防衛戦を展開する他無かった。
アーチャーやキャスターなどの遠距離の攻撃が可能なサーヴァントがいるとはいえ、リソースの不足から全盛期程の力を発揮できない彼等とムクドリのように群を形成し街を襲うワイバーン。如何に歴戦の英雄であるクー・フーリンとエミヤ、そして神代の魔女とも呼ばれたメディアであってもその差を埋めるには程遠い。
「――ッキリが、ねぇな!!」
一体、ワイバーンを仕留める間に数十人の民間人がワイバーンの餌となるか、或いはそのブレスによって焼き殺されていく。
加速度的に火の海に沈み逝く街、鼻腔に否が応でも侵入するたんぱく質の焼けた匂い。耳に侵入する絶叫と神へ救いを求める声、親を求める子供の、その最期の声と小枝が折れるような音と咀嚼音。
どこを見ても目に付く瓦礫と、その間から見える肌色と、火に照らされてぬらぬらとひかりをはなつ、じめんをいろどるあかいいろ。
冬木の時には見なかったその光景に、立香は胃の底がひっくり返るような衝動を堪え、サーヴァント達に指示を飛ばす。
「マスター、このままでは君も彼等の二の舞だ。此処を離れた方がいい」
立香の耳がエミヤのその言葉を捕らえ、脳がその意味を理解する。
周囲を見渡す。
どれだけ戦っただろうか。いつの間にか声は聞こえなくなり、建物と言えるようなオブジェクトはほぼ存在していない。
「―――ッ」
守れなかったという後悔が、拳に籠った。
確認するまでもなく、ここには死と炎しか存在していない。
「……行こう」
硬く引き締めていた口を開くと、絞るように全員に撤退を宣言した。
未だ襲い掛かるワイバーンと、新たに襲いかかってくるゾンビに対処しながら立香達はその背に炎の熱を受けながら撤退する。
瓦礫で塞がれた道を避け、道を濡らす液体を踏みしめながら一行は街の行き来を管理する門の付近までたどり着く。
この場所から脱出するまであと僅か。
「先輩! 出口までもう少しです。気を強く持ってください!」
マシュの言葉で、気合を入れながら門へ到着する――
「そん、な」
門は瓦礫と化し、去る者を閉じ込める檻になっていた。
呆然と呟いた声は立香のものか、マシュのものか。何れかにせよ、此処から脱出するには体力も令呪も消耗した彼等に、再び炎の中を歩く事を強いることになる。
「――まだ、生存者がいましたか」
絶望に叩き込まれた立香の耳は、聞きたくなかった声を背後からとらえた。
振り向けば、そこに立つのはリヨンで遭遇した黒いジャンヌ―――
「え―――」
否、不気味なまでに純白に染まったジャンヌ・ダルクと
「なん、で……」
その腕に抱えられた白い胎児と、同じく白く染まった嘗ての彼女のサーヴァントと、《12体の異形》だった。
「貴方達にも、祝福と救済を与えましょう。主はそうあることを望みます」
絶対的な死が、目前に迫っていた。
「さあ――」
純白のジャンヌ・ダルクの旗の先が空に掲げられると、12体の異形の得物が立香達に向けられる。
「世に平穏を与えましょう。争いを、絶望を、全てを終わらせましょう」
旗の先が立香達に向けられると、彼等は一斉に襲い掛かる――
「――させません!!」
横合いから爆走するガラスの馬車によって彼等は物理的に遮られ、その切っ先が立香達に到着することは叶わなかった。
馬車から飛び出した聖女がその旗を振るい使徒たちを更に後退させる。
「パーティに遅れてしまってごめんなさい――なんて、言える状況ではないみたい」
馬車から降りたマリー・アントワネットが、立香達に言葉を掛けて嘗ての邪竜の魔女に向き直る。
普段の春の様な朗らかな笑みを消したその表情で純白となったジャンヌ・ダルクを瞳に捉えた。
「純白のウェディングドレスは好きだけども、今の貴女のその恰好は好きになれそうにないわ。そして、その腕に抱えられた
相対する彼女たちに、遅れてやってきたもう一人のサーヴァントが騎乗していた馬から降り立つ。
「竜を退治する為と来てみれば――なんと言う事だ。このような惨状になっているとは」
聖ジョージ、またの名をゲオルギウス。竜殺しの伝承を持つ偉人であり、守護聖人として信仰されている聖人。
馬車から降りた彼は町の惨状を目にし、その下手人である集団を見るや否や聖剣アスカロンを抜き構える。
「――それに、どうやら敵は竜だけではないようですね。よもや同じ竜殺しの気配を持つものが竜を護るとは」
鋭い目を向ける先には邪竜の魔女と同じく、純白に染め上げられた竜殺しの英雄であるジークフリートの姿。
彼は向けられた眼差しに反応することなく、後退した数体の使徒と共に邪竜ファヴニールの前で立っている。
その瞳は無機質であり、正気が宿っているようには見えなかった。
相対する彼等を見たマシュが、呟いた。
「増援が来ましたが――ですが」
彼らの到着に、マシュはしかし表情は一貫して曇ったままだ。
立香には、その理由が理解できた。
これだけの戦力が揃ってでさえ、勝てる見込みが見当たらない。
もう一押し。文目扶朗たちが此処に来てくれれば、或いは。
しかし、通信が遮断された今それも見込めないだろう。
否。と立香は頬を叩いた。
冬木では彼に無理を強いた。ならばこの特異点では自分が正念場で命を張る番であると。
「皆、まだ戦える?」
覚悟を決めた立香は再びサーヴァント達に問う。
クランの猛犬は笑みを浮かべ槍を構える。
赤い弓兵は当然。と冷静に返しその両の手に夫婦剣を持つ。
コルキスの魔女は周囲に竜牙兵を召喚し、魔術の構築を以て返答とした。
その姿を見た立香は最後にマシュに視線を向ける。
不安そうに彼を見る彼女に、立香は頷く。
それを見たマシュも一瞬驚いた表情を見せるが、すぐに笑みを浮かべ頷き返して盾を構えた。
「マシュ・キリエライト、戦闘状態に入ります!」
特異点最後の戦いが始まった。
人理を取り戻すためにも、負けることは許されない。
例え――《彼がヒトとして死ぬことになろうとも》。
はい、ではヒントと蛇足をば。
蛇足:バサスロットは白玉との戦いで退去済み。
ヒント1:Fate世界に置いて妖精騎士のように、名前を被せる事例がありますね。
ヒント2:残った洗脳サーヴァント
・邪ンヌ
・ジークフリート
・サンソン
・シュヴァリエ・デオン
・ヴラド3世
・カーミラ
・アタランテ
の7名。
……後は判りますね?
何でもありじゃないか!! と思う方。
それはそう。書いている作者も「良いのかなコレ……」と思っています。
今後の展開次第ですが、その時が来たら主人公にE.G.Oを付けていいか否か。
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『武装』主人公も戦力を付けるべき
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『非武装』そのままの方がおもしr、輝く