厄ネタ×二乗は一周回って厄ネタではない(白目) 作:ハゲチャビン
なら、足りぬは何か―――?
その瞬間の事を、よく覚えている。
俺の作戦がヤツに通って、アイツ――文目のサーヴァントの酒呑童子の一撃で倒せた。
それで、油断――してたんだと思う。
いつの間にか背後にいたもう一人のジャンヌ・ダルクに不意打ちされかけたのを、『絶望の騎士』に助けられた。
だから、その分文目の護衛が手薄になったんだ。
鈍い音がして、その先には文目が居て、その脇の辺りから太い棒が生えていて――。
何かをする前に潰されて、止めと言わんばかりに胸を、貫かれて。
酒呑童子は、現界出来なくなって座に帰った。
それを見て漸く、彼が、文目がどうなったか、理解できた。
『文目君!?』
通信機越しにロマニとダ・ヴィンチちゃんの驚愕する声が聞こえる。
「―――■■■―――ッッッ!!!」
俺達の目の前で、『憎しみの女王』と呼ばれていた怪物が暴れている。
あの可愛らしかった魔法少女が、今や恐ろしい蛇の怪物になって、敵味方問わず狂った川のようにうねり、のたうちまわって、光線を吐きながら暴れていた。
彼女と同じ魔法少女の一人がそれを必死で抑えていて、もう一人も黒い涙を流しながら狂乱している『絶望の騎士』を抑え込んでいる。
「不味いぜこりゃッ!」
クー・フーリンがまだ攻撃を続けている使徒の一撃をいなしながらカウンターを撃つけど、別の使徒に邪魔をされる。
彼が指揮していたアブノーマリティ達は、その統率を失ったせいで瓦解して、それまで分担されていた筈の使徒がこっちにまで攻撃を仕掛けるようになった。
『はは、はははっ! アハハハハハハハハハっ!!』
もう一人のジャンヌ・ダルクの身体を乗っ取った奴が哄笑を上げる。
晴れやかで、優越に浸ったような、心の底から湧き出る感情をそのままに出力したような表情で、声の限りに笑っている。
『殺した――確かに殺した!! ああ、我が救済を妨げるものは消え去った!!』
奴がその手に握る旗の石突を地面に打ち付ける。
斃した使徒たちが巻き戻しのように再生されて立ち上がる。
『さあ――哀れな羊に救済を与えよ』
その宣言を聞いた使徒の群れが、俺達に襲い掛かった。
『藤丸君!! 此処は一旦引こう!! 引いて作戦を考えるんだ!!』
そう言ったのはロマニかな。ダ・ヴィンチちゃんかな。
撤退してどうするんだろうとか、どんな作戦を立てるのかとか、勝ち目はあるのかとか。
そう言うのを考える前に、とにかく戦うしかなかった。
だから、気が付かなかった。
肉の塊が蠢いている事にも、『規制済み』の『規制済み』にアンプルがあることにも。
管制室では巣を突かれた蜂のようにスタッフが動き回っていた。
「文目君のバイタルは!?」
「反応ありません! 心臓の機能が停止しています!!」
ロマニの言葉に叫ぶように返す医療スタッフに、彼は指示を出す。
「なら、せめて彼の遺体だけでもこっちに戻すんだ!」
「無理です!! 装置が此方の操作を受け付けません!!」
その言葉に、別のスタッフが悲鳴を上げた。
「どういう事だい!?」
「妨害されています! 我々にできるのは通信と観察だけです!!」
ギリ。
ロマニは白くなるほどに握りしめた拳を机に置き、歯を固く噛み締めた。
文目が死に、残りの藤丸も命を落すような事態になれば、この人類史が炎に焼かれ永久に失われてしまう。
故に先程生き残りのマスターである藤丸立香には撤退の指示を出したが、戦況を見るにそれが叶う確率は限りなく低い。
万事休すか―――。
横でダ・ヴィンチも作業をしているがその表情は芳しいものではない。
何か、何か起死回生の一手は無いのか。思考を巡らせる彼の耳を幼い声が打った。
「フム……愉快なことになっておるな」
振り返ると、ワイングラスを片手に文目のサーヴァント、ドラコーがそこにいた。
マスターである彼が死んだというのに、彼女は座へ退去することなく管制室の入り口に佇んでいる。
「何故――」
「我はビースト。単独顕現など容易いわ」
鼻を鳴らしグラスに残ったワインを飲み干すと地面へ落とす。
落ちたグラスはしかし、欠片となることなく泥へ変わり地面へ吸収されその痕跡を消した。
彼女を見たロマニは彼女に白夜の相手をと思ったが、人類の脅威である相手にそんな事を頼むべきなのかと躊躇う。
しかし、今は一刻を争い尚且つそんなことに気を遣うべき時ではないと、その苦悩を振り払い口を開く――
「余は行かぬ」
しかしその思考を呼んでいたような彼女の言葉がそれを食い潰した。
驚愕で見開く彼に、ドラコーは酷薄な微笑を浮かべ、モニターのある部分を指さす。
「未だ劇の魅せ場は過ぎてはおらぬというに、席を立つほど無粋なことはあるまい?」
尤も、特等席でその様を見るというのも乙なものではあるがな。
喉を鳴らすように笑い、顕現させた豪奢な席に座るとこれから山場が訪れる劇を見るような期待した眼差しで先ほどのモニターへ、文目の映るモニターへ視線を向けた。
その様子につられてロマニも同じ場所を見る。
そこには原形を失い、胎動を繰り返す肉の塊があった。
****
『ソレ』は考える。
この世界のシステムによって外付けられた僅かな知性で、己が為せる最適解を。
己を使役していた****がその鼓動を永久に止め、地面に転がり己の『素材』と化している。
嘗ての『ソレ』なら、躊躇なく『ヒト』へ成る為の一部に変えていたであろう。
『ソレ』の中にあるのは目的の為に動く、昆虫のようなプログラミングされた本能。
『ソレ』の目的は嘗ても現在も同じ。
しかし―――今、『ソレ』は嘗て成していた事とは真逆の事をしている。
何故なのか『ソレ』は問いかけた。知性無き己へ問いかける。情無き己へ問いかける。
目的の為の本能しかなかった『ソレ』は、今や外付けの知性で問いかける。
プログラムの外から与えられた機能は、『ソレ』の存在を変化させた。
――嘗て幾度となく繰り返してきた行為でさえ己が『ヒト』に至るには及ばなかった。
――『ヒト』に至れなかったのは何故か。
――肉体が異なる? 否。どれだけ皮を被ろうとも、至るに及ばなかった。
――知性の有無? 否。現に知性を得た今でも己が『人』に至れるとは想像が出来ない。
問いかけと否定。自問自答の々。
情報を収集し最適化し続ける人工知能のように、急速に変化しつつある『ソレ』は周囲の様相など意に介さずに繰り返す。
――魂の形?
一つの問いかけに辿り着き、それまで繰り返してきた否定が止まる。
――……………
――魂とはなんだ? 人が人である為のものなのか? 形ある物なのか? 目に見える物なのか?
――理解できれば、人へ至れるのだろうか?
取り込んだ****へ入り込みながら、『ソレ』は思考する。
傍らでは、己と似た『規制済み』がいた。
『規制済み』が『規制済み』にある緑の液体の入った筒の先端を****に向けた。
アレは我らから抽出されし我らが生まれ出た『』へつながる媒体――。
『規制済み』がその『規制済み』にある筒の先端を打ち込んだ。
瞬間
『ソレ』の意識は
急速に
****と一体化した。
通信開始
―**部門から全部門へ。計画の第**段階への移行を確認。本来の行程より**日の短縮。よって緊急措置プロトコル実行の可否を問う。
―**部門より。プロトコル実行を許可。
―**部門より。プロトコル実行を許可。
―**部門より。プロトコル実行を許可。
―**部門より。プロトコル実行を許可。
―**部門より。プロトコル実行を許可。
―**部門より。プロトコル実行を許可。
―**部門より。プロトコル実行を許可。
―**部門より。プロトコル実行を却下。
―**部門から**部門へ。却下の理由を問う。
―**部門から**部門へ。工程の短縮は想定内です。安易なアブノーマリティО-03-03の使用は余計な混乱を招きかねません。
―**部門から**部門へ。如何なる理由であれ工程の短縮は認められません。それは『彼』との取り決めで決めた筈です。
―しかし……。
―我々の悲願を叶えるために奔走する『彼』の努力を万が一にも気泡に返したくはありません。
―『A』と『C』の為にも早めるべきです。
―彼等も、そして『統括者様』も含めた『我々』です。『H』…いえ、『B』。
―…………。
―**部門から**部門へ。どうか許可を。
―**部門より。プロトコル実行を許可。
―**部門より全部門へ。全部門のプロトコル実況の許可を確認。各部門プロトコル実行シークエンスを起動してください。
―了解
―了解
―了解
―了解
―了解
―了解
―了解
―了解
―感謝します。『B』
―…………通信を終了します。
通信終了
今後の展開次第ですが、その時が来たら主人公にE.G.Oを付けていいか否か。
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『武装』主人公も戦力を付けるべき
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『非武装』そのままの方がおもしr、輝く