厄ネタ×二乗は一周回って厄ネタではない(白目) 作:ハゲチャビン
変化は劇的だった。
『規制済み』によって『液体』を打ち込まれた『ソレ』は、捏ねられたミンチ肉のように脈打ちながら形を変えていく。
捏ね回され、形を整え圧縮され、****の体内へ入り込んでいく。
風穴の空いた脇は埋まり、切り落とされた右手を形作り、破壊された心の臓を再生させる。
偏にそれは、己から抽出された『液体』をツナギに『ソレ』を構成している素材が組み合わさって為される冒涜的なキセキ。
酷く損傷していた肉体は修復され、止まっていた心の臓は再び動き出した。
――しかし、その程度のキセキでは****は戻らなかった。
タリナイ。
『ソレ』は地面に横たわる****の眼を見開かせ、思案する。
何が足りない?
横たわった状態で、眼球を動かし周囲を隙間なく見渡した。
『ソレ』は思案する。
肉体を再構築し、心臓を動かせども、未だ****の意識は戻らず。
ならば、やはり魂だろうか。
だが、こうして一体化した後でも魂の理解には及ばない。
何が足りない?
何が足りない?
何が足りない?
眼球を忙しなく動かし続け、思考を続ける。
『ヒト』の肉では魂を理解できない。
なら――ならば、もっと『上の素材』がいるのか?
上――『ヒト』の上の素材?
せわしなく動いていた眼球はやがて一点――とある一点で動きを止めた。
――あった。
カルデアの一団を追い詰めつつある白い一団の、その一つ。
異形の怪物を従える、白い女。
しかし、『アレ』は駄目だと『ソレ』は直感する。
『アレ』はこの身体の許容範囲を超えている。
なら――。眼球を動かした。
その先には、白い女が従えている12体の異形の怪物がいた。
『アレ等』はどうだろうか。
『アレ等』は元は『ヒト』。『ヒト』であるのなら――己が取り込むに丁度良いのではないか。
それで良いのか?
それで良いだろう。
それが良いだろう。
自問自答を終えた。結論は出た。
同程度の『素材』では至れぬならより良い『素材』を取り込めばよい。
その答えに辿り着いた『ソレ』は、誰にも気づかれる事なく異形の一つに狙いを定め―――。
最大の障害を排除した白夜は、高揚した気持ちを隠すまでもなく表情に表し、眼前の景色を眺める。
―ヤツは完全に排除した。残りは取るに足らない烏合の衆に救済を与えるだけだ。
―それで、全て終わる。
―我が使命が果たされる。
そこまで考えて、ややその喜色一色だった表情に陰りが生まれた。
―だというのに、この胸騒ぎは一体なんなのだ。
―まだ、何か見落としているような気分が拭えない。
―この見落としが、自身にとって致命的な事態を引き起こすような――
些細な見落としを見つけようと、或いはその疑念を払拭する為に辺りを見渡す。
追い詰められつつあるカルデアの一団を見る。
奴を始末し、統率を失った化け物と我らの板挟みで徐々に追い詰められつつある哀れな子羊。
連中が致命的な事態を引き起こすだろうか?
否である。チェックメイトまで僅かの死に体となった集団にそのような力があるとは思えない。
ならば――と周囲を再度見渡し、漸く違和感に気が付いた。
奴の亡骸が無い。
あった筈の場所には、僅かな血痕が残っているのみ。
ならばどこに―――。
視線を這わせる白夜の耳に悍ましい音が届いた。
硬い何かが強引にへし折れる音。
水分を含んだ何かが引き裂かれる音――
そして、再度硬いものがへし折れる音。
音の発生源を見れば、そこには死んだはずの『アレ』が
『―――ッッ!!』
その肉体の何処に入る空間があるのか。人間よりも体躯の大きい筈の使徒を取り込んだ『アレ』が、元の姿に戻るや否や再び別の使徒へ狙いを定める。
『我が僕よ! 奴は生きている!! 今度こそ確実に殺すのだ!!』
号令をかける。しかし―――誰も動かない。
『何をしている使徒よ! カルデアとやらの始末よりもヤツを――』
再度号令をかける間に、もう一体、二体。
そこで白夜は気が付いた。
『クッ――おのれ!』
自身の持つ旗の石突を地面に叩き付ける。
『ソレ』の足元から、幾つもの槍が突き出し串刺しにした。
しかし――止まらない。
どころか、今度は白夜に狙いを定めた。
『ええい、近づくな下等生物!!』
波動を放つ。自身に害為す者に責め苦を与える筈の衝撃波はしかし、その一切を与えぬまま『ソレ』が近づくことを許す。
『――ッ! 斃れよ!!』
再度地面を叩く。
先程よりも密度の高い槍の柱が『ソレ』を貫き、原形を留めない域にまでその肉体は激しく損壊した。
槍が消え去ると、そこには人の肉体を維持できず溶けた肉の塊となってまでも白夜に近づく『ソレ』があった。
『――ヒッ』
此処で白夜は生まれて初めて、自身よりも劣る者に対し恐怖を覚えた。
己の理解の及ばぬ事象を以て、己に害為そうとする眼前の存在を見て一歩、後退りした。
『ソレ』が近づく。後退る。近づく。後ずさる。
『ソレ』は繰り返される度に徐々にその肉体を溶かし―――。
やがて完全に溶け切る頃には肉の塊と化し、僅かに動くのみとなってしまった。
そして。
一度大きく震えると、力を失ったかのように地面へ大きく広がり完全にその動きを停止した。
白夜は、何が起きたのか理解できず固まる。
未だ戦闘が続いているというのに、そんな事に意識を割くことなく、眼前の物体に意識を向けていた。
それが動き出さないか、不安だったのである。
しかし、いくら時間が経とうとも動き出す気配を見せない。
安心した白夜は、『ソレ』に対して覚えた幾つもの感情に怒りを抱いた。
たかが下等生物にあのような感情を覚えさせられたことに憤怒した。
そして、その怒りを発散させるかのように踏みつけた。
何度も、何度も、何度も、何度も。
幾度も踏みつけ、怒りが収まった白夜は再び戦場へ目を向ける。
これで、今度こそ障害は消え去った。残るは眼前の哀れな者共に救済を与えるのみ―――。
背後で、ずりゅん とおとがした。
空間に、いた。
暗闇のような、白い空間のような、極彩色の空間のような、何もない『』のような―――矛盾しているようで矛盾していない。そんな矛盾した空間。
心地よいというには悍ましくて、悍ましいと言うには心地よくて、快楽と言うには激痛で、激痛と言うには快楽だった。
絶えず何かが神経を這いずる回る様な感覚の中、その神経を遡って這い上がろうとしている何かを押しとどめるのに精いっぱいで、押し上げるのに必死にになって。
かと思えば今度は一体化しようとするそれらを拒んで、でも受け入れて我々になって。
そうしたら今度は離れようとするそいつらを引き留めて、送り出して。
自分の境界が曖昧になって、線引きされて。
繰り返して、流れ着いた先で懐かしい気配を感じた。
白い光が溢れるそこで、『アイツ』は何時もと変わらないような、在りし日と変わらない気配でそこにいた。
アイツは俺の行動を合理的じゃないと非難した。
合理的に動くなら、もっと良い選択肢はあった筈だと、機械のように徹底できればより良い結果は得られたと。
俺は―――――うるせぇと返した。
こっちゃおめーのやることは全部わかってんだよ毎度毎度タイミング見計らってクソリプ飛ばして‟ソッチ”に引きずり込もうとしてんのは知ってんだぞテメー。
そもそも合理的なんて人それぞれだしテメーの合理性と俺の合理性を一緒にすんな軋轢産んで問題増やすくらいなら現地の人間と協力した方が良いだろうがえー!?
あーそうだよこっちの世界に迷惑かけてることは重々承知の上だよその上でこれ以上迷惑かけねぇように二重三重に保険掛けてんだよ策を練ってんだよ。
……そうだよ。俺はオメェらと違って天才じゃねぇ。だから使える手段は使う。でも非道になり切れるほど徹底できねぇ。
判ってるよ。矛盾してんのは。その矛盾を捻じ曲げられねえし、アンタと、アイツと、あの娘があんなことにならねぇようにこうしてない頭絞ってんのさ。
何驚いてんだ当たりめぇだろうが。じゃなきゃ意味がねぇ。
だから、アンタの手は借りない。それじゃ本末転倒だから。
……話すぎた。そろそろ戻る。
……ああ、此処には来ない。多分。此処に来るのは策の一環だ。だけどこれが最後だ。
保険が効けば多分来ない。と思う。
あれ? だいじょうぶだよな? え、ちゃんと保険は発動するんだよな!?
ちょ、笑うな! 笑ってんじゃねぇ!!
チクショウいっつもこんなんだよ!!
アイツの笑っている気配を感じながら、俺は《浮上》していくのを感じて――意識は再び白紙になっていった。
対白夜戦3戦目。
ゲストサーヴァント?:****
勝利条件:ターン数の消費及びО-03-03による強制勝利。
今後の展開次第ですが、その時が来たら主人公にE.G.Oを付けていいか否か。
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『武装』主人公も戦力を付けるべき
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『非武装』そのままの方がおもしr、輝く