厄ネタ×二乗は一周回って厄ネタではない(白目) 作:ハゲチャビン
宜しければ前話も読んで頂けると幸いです。
あれから数日。俺の胃袋は固形物を受け入れられるくらいは回復してきた。
それと同時に藤丸達とも合流できた。
どうやらあの特異点での出来事がトラウマになったから、そのためのカウンセリングを受けていたらしい。
それが漸く落ち着いてきたらしく、藤丸達とご対面できたわけだけだが……
「文目、大丈夫か? 何か食べたいものがあったら遠慮しないで言って」
「文目さん、食事は問題なく行えますか? 良ければ私が補助します」
…………
「文目! シミュレーションに入るのか? なら俺も一緒に参加しても良い?」
「私も参加します。お二人を護れるように立ち回りを見直したいので!」
…………
「文目、風呂に入るの? なら――」
おっもいなぁぁ!!
何で俺の行くところについて来る!? ちょっとは自分の時間と言うものを大事にしなさい!!
「い、いや、部屋の備え付けシャワーで流すわ」
「そうか……」
そんな落ち込むかなぁ!?
そんなに落ち込む事かなぁ!?
と、こんな感じに俺が何かをするとついて来るようになっちまったって訳。
いたたまれない気持ちのまま、藤丸達と別れて一人廊下を歩いていく。
と、廊下のスピーカーにノイズが走った。
『藤丸君、文目君。召喚室まで来るように』
……シャワー浴びたかったのは本当なんだけどなぁ。
「んお。坊主じゃねぇか」
召喚室に向かっている途中でクー・フーリンとばったり廊下で遭遇。
先日俺を尋問していた時の表情は何処へやら、その顔に敵意は微塵もない。
「安心しな。今の俺はアンタと敵でもない。マスターと同じ場所に属する仲間同士だ……今のところはな」
「それなら安心していいよ。少なくとも人理修復までは何もするつもりはない……終わったら速攻で逃走するけど」
「ま、今のアンタはそうせざるを得ないだろうさ」
ただな――。と聞こえた瞬間。
俺の首元に槍の先端が添えられた。
「……やっぱりか」
「何が?」
俺を殺す意図がない事は殺意の無さから知っていた。
だから別に動かなかったのを、クー・フーリンは何か納得した顔で見ていた。
「アンタ、元は唯の日本の高校生。だったよな」
「まあ、藤丸と一緒の高校に通ってはいた。藤丸とは何のかかわりも無かったけど」
「それだ」
だから何が?
「タマの獲りあいも経験してねぇようなガキが俺の槍を見て何も反応がねぇってのは、いくら何でもおかしい」
……言われてみればそうだな。なんも感じなかったわ。
「お前さん、本当に何も知らねぇのか?」
「あの尋問の時に答えたのが全部だ。他はさっぱり」
「そうか。ま、本当にわからねぇってならしょうがねぇ。ほら、呼ばれてんだろ。行こうぜ」
それだけ言うとクー・フーリンは俺の先を歩いていく。
俺もそれについて行く。
つ、ついて……。
「ちょっと待って……疲れたから休ませて…………」
「はぁ!? まだそんなに歩いてねぇぞ!?」
しょうがないじゃんこの肉体になって異常に疲れやすくなったんだから!!
「しょうがねぇな」
え、待って。俺を担いでどうするつもり―――
「さっさと行くぜ」
アアアアア走らないでぇ―――!! 廊下では走ってはいけませぇぇん!!
「お、オェ……」
酷い目に遭った。
「ったく、貧弱すぎんだろ」
しょ、しょうがないじゃんか本当に貧弱なんだから。
ゼイゼイと息継ぎをする俺を残念なものを見る眼で眺めるクー・フーリンに心の中で返す。
「何してるのよ貴方達」
「おう、キャスターか。何、ちょっと運び屋をしていただけだ」
呆れた様子のメディアさんにあっけらかんと彼は答える。運び屋にしては荷物の扱いが乱雑すぎやしませんか……? もうちょっとこう、手心と言うかなんというか……。
「文目、大丈夫?」
「ああ、ウン。ダイジョブダイジョブ」
背中を擦ってくれる藤丸の気遣いが沁みるぜぇ……。
「フォーウ!!」
「ああっ、フォウさんが文目さんの顔に飛びついてしまいました!」
アッ! テメッ、コラ!! 俺の顔に引っ付いて暴れんじゃねぇこのフワモコ害獣!!
「みんな集まったみたいだね」
白い害獣と格闘していると、呼び出したダ・ヴィンチさんが召喚室にやってきた。その手には聖晶石の入った籠。
という事は―――
「召喚のお時間ですか」
「その通り!! 君達の戦力拡大の為にサーヴァントの召喚を行って貰うよ」
「俺も?」
「勿論! じゃなきゃ態々召喚室に呼び出したりしないさ」
えぇ……? 前に厄介なドラ娘を呼んだばかりなんだけど……また酒呑童子みたいな意地悪い奴を召喚するとか無い? 大丈夫?
「さあ、話はあとあと! 早速藤丸君から始めてくれ」
ダ・ヴィンチさんの指示の藤丸が召喚を開始する。
召喚の呪文を唱えると、召喚陣から光が溢れ―――――
「うわ」
「…………帰っていいですか」
召喚された彼女はいきなり帰宅宣言をかました。
長身、メリハリのついた肉体。そして異彩を放つ両の眼を封じ込めるような目隠し。
同時にメディアさんの『ヤな奴に出会ってしまった』ような声が耳に入る。
「ええっと、帰られると困るから止めて欲しい、かな」
「アレがいる職場で働きたくないのですが」
アレっていうな俺の事を。あと指を差すんじゃない。
「まあ、世界が少々面倒なことになっていますし、仕方がありませんね」
後で姉さま方に何を言われるか分かりませんし。
そんなぼやきを残しながら召喚陣から渋々動いて部屋の隅っこに向かうのであった。
「あ、あの、名前」
「ああ、そうでしたね。サーヴァントライダー、メデューサ。召喚に応じ……てはいませんが参じました」
メデューサね。成程、その眼帯はうっかり味方を石化しない為の安全装置って訳か。
再び召喚陣を起動する藤丸。
次に召喚されたのは―――
「サーヴァント、アヴェンジャー。召喚に応じ参上しました」
「ゲッ」
オルレアンで嫌と言うほど見たその姿を見た瞬間、俺の喉から握りつぶされた鶏のようなうめき声が漏れた。
そのうめき声を聞いて彼女――黒いジャンヌが俺を見て、その眉を吊り上げた。
「貴方――ここであったが百年目。と言った方がいいかしら?」
ズンズンと俺に近づいた――かと思えば、俺の全身を眺めて怒り顔は一変憐れむような、溜飲が下がったような表情で大人しくなる。
「一発くれてやろうかとも思いましたが、今の貴方にそんなことをしたらあの世逝きでしょうし、その姿を見てあざ笑うことにしましょう」
い、命が繋がった……。
それはそれとして殆どの原因は白夜のせいだと思うんだけどなぁ。
「じゃ、じゃあ宜しくね、ジャンヌ」
「あのいけ好かない聖女と同じ名前で呼ばないで下さい。私はジャンヌ・ダルク・オルタ――ジャンヌ・オルタと呼びなさい」
「じゃあ、宜しくね、ジャンヌオルタ」
ええ、宜しく。
カッコつけて黒いマントを翻らせながら、彼女もまた部屋の隅で待機する。
そこから藤丸は召喚を行うが、あれから召喚に応じたサーヴァントは二騎だけだった。
「サーヴァント、アサシン。シャルル=アンリ・サンソン。召喚に応じ、参上しました」
おぉう……オルレアン以来ですね。ハハハ。
「サーヴァント、清姫。ああ、また会いましたね、安珍様!!」
これまたオルレアンで見たサーヴァント、清姫が藤丸に飛びついた。
喜ぶのは良いんだけど、アレ大丈夫か? なんか藤丸が肩をタップしているように見えるし何だったら顔が真っ青に見えるんだけど。
「せ、先輩! 清姫さん、先輩が窒息しますので離れて下さい!!」
慌てたキリエライトとその他サーヴァント数人に引っぺがされて説教されてた。
うける。ほっとこ。
「じゃあ、次は文目君の番だね! じゃあ、早速始めてくれ」
ダ・ヴィンチさんに石を渡されて召喚陣の前に立つ。
厄介なサーヴァントは嫌だ、厄介なサーヴァントは嫌だ……。
「アサシン、酒呑童子。召喚に……あら、また逢いましたなぁ、ますたぁはん♡」
はい、胃痛確定。
あの時と全く同じように、俺にうっすい布地を纏っただけの身体を押し付けて舌なめずりする酒呑童子を背後に、俺の胃がツンとするのを感じた。
え、これが後9回? 嘘でしょ……?
いや、諦めるな。此処から全部礼装の可能性に賭ける……ッ!!
「妖精騎士ガウェイン、これより貴様の幕下に入る!」
そこにはなんか、こう、全てにおいてデッカ!! な女騎士が居ましたとさ。
誰ェ!?
厄ネタそのnがフライングした上にログインいたしました。
これからも厄ネタは増えるのか増えないのか。主人公の胃袋はどれだけ痛めつけられれば良いのか。それはこれからのノリと勢いにご期待ください!
まあ主人公が痛みを感じる事なんてないんですけどね読者さん。
今後の展開次第ですが、その時が来たら主人公にE.G.Oを付けていいか否か。
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『武装』主人公も戦力を付けるべき
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『非武装』そのままの方がおもしr、輝く