狛治外伝 ~誰が為に振るわれる拳~   作:科学大好き人間

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狛治視点です。ついに狛治は十八を迎え、恋心を自覚します。


13.0話 告白

「狛治さん。洗濯物手伝いますね?」

 

「恋雪・・・大丈夫ですか? 辛くはないのですか?」

 

「はい。これくらいもうどうってことないです。漸く狛治さんのお手伝いができるようになって私感激してます。」

 

 

 

俺が素流道場に来てからもう三年が経った。俺は十八になり、恋雪は十六。臥せることも殆どなくなり、気が付けば普通に暮らせるようになっていた。

 

 

 

「ありがとう、恋雪。だが、辛くなったらすぐに言ってください。無理だけはなさらないよう・・・」

 

「ええ、その時はお世話になります。いつもありがとうございます。狛治さん。」

 

 

ここ最近は恋雪がこうして敷地内を歩き回ることも珍しくない。若干頬が赤くなりがちで熱の心配はあるのだが、それでも以前とは比べものにならないくらい快活に生活している。

 

俺はその事実にくるものがあり、時々唇を引き結ぶ。本当に良かった。恋雪が元気に嬉しそうに生活できるようになって。

 

 

「それじゃあ洗濯物干し終わったので、昼餉の準備してきますね? 腕に寄りをかけて作るので楽しみにしててくださいね?」

 

 

そう言って恋雪は台所に向かう。その後姿を見て、俺の役割もそう遠くない未来に終わりを迎えるのだろうと物悲しく思う。

 

つまらない感傷を抱いてしまったと俺は自嘲し、笑みを浮かべたまま屋敷の掃除に移った。

 

屋敷の雑巾がけを一通り済ませた頃、ふいに師範に声を掛けられた。

 

 

「狛治、ちょっと。」

 

「はい。」

 

 

俺は疑問に思う。なんだろう。恋雪が昼餉の準備で何かやらかしたのだろうか。少しおっちょこちょいなところがあるから、鍋をひっくり返したんじゃないかと俺は少し不安になった。

 

俺はそんなことを思いながら師範について行くが、案内されたのは台所ではなく客間だった。

 

加えて師範の傍で恋雪が正座して待っていた。俺は何事かと怪訝に思うも、促されるままに正対するよう正座する。

 

 

「なんでしょう。二人ともそう改まって。何か大事な話でしょうか?」

 

「ああ、とても大事な話だ。心して聞いてくれ、狛治。」

 

 

俺は師範の顔を真っすぐ見据える。正直心当たりとなる出来事が思い浮かばない。俺は静かに師範の次の言葉を待った。やがて師範は意を決したのか口を開いた。

 

 

「この道場を継いでくれないか、狛治。恋雪もお前のことが好きだと言っているし。」

 

「は?」

 

 

俺は一瞬何を言われたのかがわからなかった。一度今言われたことを反芻する。

 

要件は二つか?

 

一つは道場の引継ぎ。これはまあ想定していなかった訳じゃない。今では師範との組手でも俺が勝ち越している。師範の年齢も一つの理由だが、歳を重ねるごとに俺の方が腕を上げるのは想像に難くないだろう。

 

そしてもう一つ・・・え・・・恋雪が俺のことを好きだとそう師範は言ったのか? ・・・え・・・あまりにも突飛な話過ぎる・・・え・・・俺の聞き間違えか?

 

俺は一瞬混乱し、改めて聞き返そうと思ったが、ふいに引き寄せられるように俺の視線が恋雪に移る。

 

 

「・・・・・・///」

 

「っ!!///」

 

 

恋雪の表情を見て俺は悟った。

 

正直考えもしなかった。恋雪が俺に好意を寄せているなんて。寧ろ異性の介護で不快に思うことの方が多かったはずだ。

 

俺も下心など絶対に持たないと心に誓って恋雪の看病を続けて来た。だから恋雪をそんな対象として見たことなど一度たりともなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この時までは・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そもそも、罪人の入れ墨が入っている自分の未来なんて想像すらできていなかった。ましてや誰かがそんな自分を好いてくれる未来なんて猶更・・・

 

ふいに俺の脳裏に淡い希望が浮かぶ。

 

もしかしたら俺は、親父が言ったようにこれから、真っ当な生き方ができるのか?

 

そう思った途端、人生をやり直せるかもしれないという淡い期待が収拾がつかない程膨らんでいく。

 

ふと我に返る。師範はいつものようにニコニコしながら俺を見ている。恋雪はみるみるうちに顔をこれでもかと真っ赤にして俯き続けている。その恥ずかしがり様に声にならない悲鳴が聞こえてくるようだった。

 

二人の姿を眺めて居るうちに、俺の心の内で確固たる決心がなされた。

 

俺は正座したまま頭を下げ、両手を畳に着けて返答する。

 

 

「謹んでお引き受けいたします。生涯を通して、恋雪を守り通して見せます。お約束いたします。」

 

 

俺がそう宣言すると、恋雪は目尻に涙を溜めて安堵の表情を浮かべた。師範も心の底から嬉しそうに恋雪の背を撫で笑っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺はこの日誓ったんだ。例え命に代えても二人を守ると。二人の為なら、俺は何だって耐えられる。二人の為なら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 

 




こんな可愛い恋雪ちゃんを毒殺なんてワニ先生酷い真似を!!
惨たらしい・・・あんまりだ!! 泣きながらノリノリで描いていたに違いない!!
本物の鬼だ!!!(違う)
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