狛治外伝 ~誰が為に振るわれる拳~   作:科学大好き人間

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狛治視点です。ついに毒殺キャンセル回です。ここから原作改変が大幅に行われていきます。二人の救済のためです。ご容赦下さい。

追記:先日19時手前で誤って28話を投稿してしまいました。読んじゃった人は記憶から抹消しててください。ご迷惑をおかけしました。


第一章:鬼の襲来
14話 墓参り


「それじゃあ行ってきます。親父もきっと喜んでくれると思います。」

 

「ええ、夕餉の準備をしてお待ちしていますね?」

 

「狛治。親父さんによろしくな?」

 

「はい。ちゃんと報告しておきますよ。それでは・・・」

 

 

俺は墓参りの準備をして、素流道場をあとにする。やや歩いたところで振り返る。

 

恋雪と師範が、桜の咲く門扉の前で笑っているのが見えた。俺は思わず笑みを溢す。

 

親父・・・漸く俺は真っ当に生きれそうだよ・・・親父の遺言を漸く果たせるんだ・・・喜んでくれるか?

 

俺は空を見上げながらそう思いを馳せる。こんなすがすがしい気持ちになれたのは生まれて初めてかもしれない。本当に感無量だった。

 

さて、墓参りに行くための道具も一式持ったし後は道中で水を汲んで・・・ん?

 

俺はふいに気が付いた。水を汲むための桶に穴が空いていたことに。このままでは水が全て零れ落ちてしまう。

 

途中で代わりを買ってもいいが、まだ道場を出てそう歩いていない。この距離なら戻った方が早いだろう。

 

うっかりしていた。俺は自分で思う以上に浮かれているらしい。今後気をつけなければ。

 

そう自身に言い聞かせながら道を戻り、道場の門扉が見えるところまで差し掛かった。するとふいに違和感を感じた。

 

 

「ん? 誰だあいつら。」

 

 

門扉付近に二名ほどの袴を履いた武家らしき男共の影を視認した。俺は疑問に思い、目を凝らす。うち一人は知らない奴だ。もう一人は・・・っ!!!

 

俺は全力で門まで駆け寄る。俺のその様子を見て男二人は遠くに逃げていくが、今は気にしてられない。

 

俺はすぐに屋敷へと戻り、大声を上げる。

 

 

「恋雪!! 師範!! 隣の剣術道場の跡取り息子が敷地内から出てきたが、何かされませんでしたか!?」

 

「ん? 狛治。どうした急に。道場の跡取り息子? いや、少なくとも俺は見ていないが・・・」

 

「では恋雪は!? 恋雪は無事ですか!? 何かされていませんか!?」

 

「っ!! 恋雪は今台所にいるはずだ。すぐに様子を見てくる!!」

 

「俺も行きます!!!」

 

 

俺と師範はすぐさま台所へと直行する。すると鼻歌を歌いながら夕餉の準備をしている恋雪の姿が目に移った。

 

 

「恋雪!!!」

 

「わっ! びっくりした! どうしたんですか狛治さん。そんなに血相を変えて。」

 

 

俺は恋雪の様子を見て安堵する。そして二人に俺が確認した事情を手短に伝える。

 

 

「え・・・そんないつの間に・・・そもそも何のために・・・」

 

「わかりません。あいつらが何を考えてるかなんて見当もつきませんが、碌でもないことだってことは間違いありません。」

 

「もしかしたら屋敷にまだ誰か潜伏してるかもしれんな。三人で固まって確認するぞ?」

 

「わかりました。恋雪、俺と師範から絶対離れないように。いいですね?」

 

「は、はい・・・」

 

 

そうして俺たちは屋敷を隅々まで調べ尽くした。師範が危惧するようなことはなく人影も見つからなかった。それが一層俺の嫌な予感を刺激した。

 

 

「あいつら・・・一体何を・・・」

 

「ただの嫌がらせか? しかしそれなら俺たちの前に姿を現してても可笑しくないんだがな。」

 

「何か・・・とんでもないことを奴らはしでかしたんじゃ・・・ん?」

 

 

丁度恋雪の寝所の部屋で一息ついていた際に、俺は妙な違和感を感じた。俺は吸い寄せられるように違和感の正体に近づいた。

 

 

「・・・枯れてる・・・」

 

「え? そんな・・・夕餉の準備の前にお水を替えたばかりなのに・・・どうしてでしょう?」

 

 

恋雪がそう疑問の声を上げる。

 

少なくともこの花瓶に生けてあった花は今朝俺が摘んできたものだ。すぐに枯れるとは思えない。そもそも屋敷を出発する前に確認した時には綺麗に咲いたままだったはずだ。

 

俺は時系列を頭の中で整理し、ふとある想像が脳裏を過る。

 

 

「水・・・水に何か異変が・・・奴ら井戸に何か流し込んだのかもしれない・・・」

 

「井戸だと!?」

 

 

俺の思い付きに師範も声を上げる。恋雪も一気に顔を真っ青にして震える声で呟く。

 

 

「夕餉を作るのに井戸の水を使いました・・・折角腕に寄りをかけて作ったのに・・・」

 

「危険ですので絶対に口に含まないでください。残念ですが捨てる他ないでしょう。」

 

 

俺は恋雪にそう伝える。そして俺たちはそのまま井戸の方へと歩いて行く。

 

 

「しかしだな狛治。どうやって井戸の水を調べる? 流石に俺やお前が毒見する訳にもいくまい。」

 

「当然です。一旦薬師寺さんに相談しましょう。彼なら薬に詳しいので何かわかるかもしれません。どの道もうこの屋敷では生活できない。恥を承知で薬師寺さんの屋敷で世話になるほかありませんよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして俺たちは素流道場を発ち、恋雪のかかりつけ医である薬師寺さんの屋敷へと赴いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 




思いのほかあっさり毒殺キャンセルして拍子抜けと思ったそこの貴方、ご安心を。この後一波乱ございます(それは安心していいのか?)。
次回でその伏線、次々回でその答え合わせになります。感想コメント欄で展開当ててる人いて正直悩みましたが、当初の予定通り進めます。できれば興醒めせず読んで頂けると嬉しいです。
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