狛治外伝 ~誰が為に振るわれる拳~   作:科学大好き人間

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狛治視点です。一旦帰省したのちに藤重山に行きます。新婚早々一ヶ月も待たせるなんて狛治は罪な男ですね。


22話 最終選別

「狛治さん! おかえりなさい!! 元気にしてましたか?」

 

「ああ、恋雪、只今。俺は大丈夫だ。恋雪こそ身体は平気か? 苦しくないか?」

 

 

俺は最終選別の試験会場、藤重山へと赴くついでに、恋雪と師範の顔を一目見ようと帰省していた。

 

俺は恋雪を抱きしめながら、功さんに最後にされた話の内容を思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「狛治よ。お前は逸材だ。本当なら常中まで教えてもよかったが、あれは一朝一夕で身に付くものではない。お前の才能を持て余すため先に最終選別に行くことを許可する。」

 

「ほ、本当ですか? は、早すぎるのではないでしょうか・・・」

 

 

囲炉裏を俺と功さんの二人で囲み、俺は真剣に話を聞いていた。

 

 

「まあ確かに・・・早すぎるな・・・常人とは思えん。岩を一町先まで押す訓練までやり遂げてしまったのだからな。よってお前が藤重山の雑魚鬼風情に後れを取らんと判断した。それまでのことよ。但し・・・」

 

 

俺は居住まいを正す。功さんの教えを一言一句たりとも漏らさないよう聴覚に意識を集中させる。

 

 

「最終選別の日中の時間、可能な限り『常中』の訓練を行うことを義務付ける。」

 

「常中・・・ですか?」

 

「そう、常時全集中の呼吸を行うこと、略して常中。この修業が完成すれば、お前は柱に届き得る力を得ることになる。」

 

「お、俺が・・・源重郎殿に・・・?」

 

「言っておくが源重郎は特別だ。あ奴は戦国の世の柱達とも遜色ないほどの腕前・・・並みの柱三人分の実力があると言っても過言ではない男だ。鎖鎌を振り鳴らす際の音の反響で、死角の鬼の頸をも正確に捉えることができる技術を有しており、加えて全盛期はとうに過ぎているとは言え、肉体の鍛え上げ方も尋常ではない。断言してもいい。あ奴は現鬼殺隊最強の男だ。もしあ奴を殺せる鬼が複数体も出現するようになったのなら、鬼殺隊は永遠に鬼舞辻無惨の頸に刃が届くことはないであろう。」

 

 

俺は唖然とする。源重郎殿はそれほどまでに凄まじい武人だったのか。あの人と同じ流派の呼吸を身に着けることができて、俺は誇らしく思う。

 

 

「話が逸れたな。お前はもしかすれば源重郎よりも強くなるやもしれん。勿論確約できる話ではないがな。その第一歩となるのが常中だ。最終選別は7日間。この期間に起きている間だけでも常中が行えるよう自身を鍛え上げるのだ。よいな?」

 

「え、えっと・・・起きている間とそう仰いましたか?」

 

「ああ、そうだが?」

 

「つまり本来で在れば寝てる間もということでしょうか?」

 

「当り前だ。だから『常中』なのだ。現に儂も今なお続けている。故にお前に負け越すことがないのだ。納得したじゃろ?」

 

 

俺は驚愕する。全集中の呼吸は数度繰り返すだけで肺が悲鳴を上げるほどの負荷がかかる。それを日中夜、寝ている間もと。およそ正気の沙汰とは思えなかった。

 

しかし功さんは嘘をつくような人ではない。確かに注意深く観察してみると、功さんの周囲の空気の流れが他とは違う。これが常中を行うということなのだろうか。

 

俺は決心する。

 

 

「わかりました。最終選別必ずや突破して見せます。そして常中も起きている間だけでも維持できるようになってみせます。そして鬼と実戦を交えるまでには常中を身に着けて見せます。お約束いたします。」

 

「ま、待て。何も修行を完成させろとは言っとらん。やってみろとそう言っているのだ。まあ完全に習得できればお前も近いうちに柱の仲間入りは果たせるかもしれんが・・・」

 

「わかりました。近いうちに柱になってみせます。お約束します。」

 

「こやつ・・・人の話を聞かぬな・・・まあ良い・・・好きにしろ・・・」

 

 

こうして俺は一か月お世話になった功さんの家をあとにし、恋雪と師範が待っている実家へと赴くのだった。籠手にすね当て、そして対の鎖分銅を携えて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねえ、狛治さん。今夜は一緒に過ごせますよね? 私ずっと我慢してきたんですよ///?」

 

「ま、待て、恋雪。俺は今夜藤重山にて最終選別を受けねばならない。済まないが夜までここにいる訳にはいかんのだ。」

 

「そんな・・・酷い・・・」

 

「うっ・・・駄目なものは駄目だ・・・夕刻までにはここを発つ。どうか納得してくれ。」

 

「なら夕刻までは一緒に過ごせるのですね? お父さん、急ですけれどもいいですか?」

 

「おお、いいぞ恋雪。俺は外に出掛けてくる。暫く帰らんからそれまで好きなだけ狛治と過ごすんだぞ? こりゃあ孫の顔が見れるのもそう遠い話じゃないかもしれんな。ガハハハッ!」

 

「師範!? 一体何を!? それに恋雪は身体が弱いのですよ!? そんなことできるはずもありません!!! ってあれ!? もういない!!??」

 

「狛治さん/// 今日は思う存分狛治さんを堪能しますからね/// 一か月も私を放っておいた清算だと思って甘んじて受け入れてくださいね///?」

 

「ま、待て恋雪!!?? ちょっ!! 待っ!!??」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜、何故か藤重山にて既に疲弊しきった状態で到着した隊士候補生が一人居たそうな。

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 

 




恋雪ちゃんは恥ずかしがり屋な女の子だと思いましたか? 残念! この時代に逆プロポーズするような粋な女性ですよ? それにもう夫婦なんですからやることなど当然決まっています! 今後狛治が恋雪ちゃんに圧倒される様をどうぞお楽しみください!(笑)
まあ実を言うと初々しい狛恋も書きたかったんですけどね・・・しかし展開が遅くなると良くないので急ぎ目に話を進めて行こうと思っています。下手すると兄上が出てくるのが50話超えかねないので・・・
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