狛治外伝 ~誰が為に振るわれる拳~   作:科学大好き人間

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狛治視点です。ついに狛治のメインウエポンが明らかになります。加えて最終選別前と後では戦闘スタイルを変更する予定です。筆者的には素流メインで戦えるようにしたいと思ってます。


23話 日輪刀

結論から言うと、最終選別は何事もなく通過できた。会えども会えども以前戦った正十郎の足元にも及ばない雑魚鬼しかいなかったため、命の危険を感じることすらなかった。

 

その為俺は日中の太陽が昇っている間だけでなく、夜間の起きている間もずっと常中の訓練を続けていた。

 

岩の呼吸の型の確認ついでに道行く雑魚鬼に鎖分銅を打ち当てて頭蓋を粉砕したりもしていた。しかしそうこうしているうちに、7日経たずに一切の鬼と遭遇することがなくなった。

 

どうやらこの数日で一匹残らず倒してしまったらしい。

 

ただ待つのも暇なので、俺は常中の訓練をしながら山の中を巡回し、生き残りがいないかを探し回った。案の定、怪我をして動けなくなっている他の子どもたちも居て、俺は一人一人担いで水源の傍まで運んで行った。

 

ただ生き残りは片手で数えられる程度。その他は全て鬼に殺されてしまったらしい。こんなことならもっと早く巡回をしてやればよかったと俺はこの時後悔した。

 

 

「おかえりなさいませ。ご無事で何よりです。」

 

 

入山した時の集合場所に生き残った子ども達を連れていく。白髪のどこか浮世絵離れしたような成人した女性が俺達を出迎えそう言うが、俺は素直に喜べなかった。

 

 

 

「無事・・・たった5人しか生き残らなかったのにか?」

 

「いえ、五人も生き残りました。皆様は大変優秀かと存じ上げます。」

 

 

俺の皮肉にもどこ吹く風と言った言い回しにやや不快感を感じるも、その後の説明を俺は聞いて行く。

 

まずは隊服という専用の着物を与えられるようだ。源重郎殿が来ていたあの黒い着物と鎖かたびらのことだろうか。加えて階級の説明。十段階あるようだが柱の名称はなかった。俺は疑問に思う。

 

更に鎹烏の支給。俺には飛影と名乗る烏が支給された。真面目そうだが寡黙だった。

 

そして最後に日輪刀。こちらは完成まで十日から十五日掛かるようで、今この場で玉鋼を選ぶようだった。

 

 

「済まないが、俺は剣が使えない。代わりに鎖分銅、手甲を鍛えてもらうことは可能か?」

 

「確認はしてみますが・・・恐らく可能であるかと・・・」

 

「では頼む。」

 

 

俺は端的にやり取りをしそう伝え、そのまま踵を返して下山した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「狛治さん・・・! 良かった・・・無事で本当に良かった!!」

 

「ああ、只今、恋雪。心配かけて悪かったな。この通り怪我一つない。だから安心してくれ。」

 

「狛治さん・・・狛治さん・・・!! うっ・・・うっ・・・うぇええええん!!!!!」

 

 

俺は日輪刀が出来上がるまでの間、帰省することにした。当然功さんには最終選別合格の報告を手紙で伝えてある。こういう時、鎹烏の便利さにとても感心する。

 

 

「よしよし、恋雪。もう泣くな。大丈夫だから。今日から十日間はこっちで過ごす予定だ。今まで寂しい思いをさせてごめんな?」

 

「うっ・・・うっ・・・ひっく・・・狛治さぁあん・・・」

 

 

涙で顔をくしゃくしゃにした恋雪を俺は抱きしめて撫でる。恋雪は以前、俺の体温を感じられると安心すると言っていた。だから不安そうにしている時は必ずこうやって抱きしめてやることにしている。

 

俺も徐々にだが、旦那としての姿が板についてきただろうか。

 

 

「狛治。よく戻った。選別の時相手した鬼はどうだった?」

 

「いえ、拍子抜けしましたね。怪我した師範の方がまだまだ凄みを感じるくらいでしたよ。」

 

「ガハハハッ! それなら大したことはなかったか! 何はともあれ今日は恋雪の亭主の凱旋だ! 奮発して労ってやらねばな!!」

 

「はっ! そうでした! 狛治さん! 私腕に寄りをかけてご飯作りますからね? 楽しみにしててくださいね!」

 

「ああ、ありがとう。凄く嬉しいよ。」

 

 

そうして俺たちは囲炉裏を囲んで夕餉の準備をする。恋雪の作ってくれた食事を堪能し、夜は恋雪と抱き合ったまま眠った。

 

流石に恋雪も師範が傍にいるうちは恥かしいようで、熱っぽく求めてくるようなことはしなかったが、それでも抱きしめてやると腕の中で幸せそうに穏やかな寝顔を見せていた。

 

俺も久々にこの日はしっかりと眠りについた。恋雪の穏やかな寝息を聞いているだけで心が安らいだ気がしてよく眠れた。

 

そして翌日からは常中の訓練をしたいと恋雪に伝え、眠るとき全集中の呼吸が止まっていたら起こしてもらうよう手伝ってもらった。

 

その対価として、恋雪は昼間師範に態々外に出掛けるよう促して、その間俺を好き放題求めるようになってしまったが。加えてその頻度に俺は圧倒されるが、恋雪が嬉しそうにしているのならそれが一番だと俺は自身を納得させた。

 

そうこうするうちにあっという間に十日間が過ぎていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日輪刀が支給されるとのことで俺は功さんの家に赴いていた。

 

 

「まさか常中をほぼほぼ完成させて戻って来るとは・・・」

 

「そうですね。二、三日、鬼が一切現れない日があったので、眠ってる間、他の選別を受けに来た子たちに手伝ってもらう余裕がありました。それに帰省先の恋雪にも手伝ってもらいましたし、感謝しかないですね。」

 

「お前には何度も驚かされる。これなら次の岩柱にすぐになれるだろうな。皮肉な話だが。」

 

「いえ、源重郎殿が健在なら俺など岩柱の称号を頂くには恐れ多いですよ。」

 

 

俺がそう答えた途端、功さんの雰囲気が変わる。俺は怪訝に思うも首を傾げるだけだった。

 

 

「・・・・・・狛治よ・・・お前は何も聞かされていないのか?」

 

「え、何をです?」

 

 

つい疑問に思いそう聞き返してしまう。その後功さんから想像もつかない返答をされる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「源重郎は先日殉職した。刀を携えた六つ目の鬼と遭遇し殺されたらしい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 

 




ついに兄上が登場しました(話の中だけ)。柱三人分の実力があっても兄上には勝てないだろうなと言うのが筆者の見解です。今後他の柱も出てくる予定です。年代改変した甲斐もあり、原作で育手をしていた例の二人も登場する予定です。乞うご期待。
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