狛治外伝 ~誰が為に振るわれる拳~   作:科学大好き人間

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狛治視点です。遂に上弦鬼と対戦です。トップバターはこいつです。


第三章:玉壺編
28話 壺


「まさか南方さんまで殉職するなんてね。逃げきれない程厄介な鬼だったのかな?」

 

「さあ、それはわかりませんね。ただ、今後は一層の警戒と対策をして任務に当たるほかないでしょう。本日はお世話になります。」

 

「あ、そんなに畏まらなくていいよ。俺の方が年下だし。砕けた口調の方が俺も話しやすいからさ。」

 

「わかった。それじゃ改めて今夜はよろしく頼む。凍三郎殿。」

 

 

花柱、南方咲殿の突然の訃報により、とうとう柱の単独任務は行われなくなった。本日は氷柱の白峰凍三郎殿と合流し、巡回任務に当たっている。

 

 

「ただ、その分巡回範囲が倍以上、一日の討伐任務も倍以上の数になってるから、ずっと走り回らないといけないね。狛治さんって足速い方?」

 

「まあ、比較的速いと自負しているが・・・」

 

「良し。じゃあ申し訳ないけど飛ばしてくね。しんどくなったら言って。」

 

「わかった。」

 

 

そうして俺たちは広大な巡回範囲を駆けていき、次々と鬼を討伐していく。

 

 

「しかし手甲と鎖分銅か。源重郎さんもそうだったけど、岩の呼吸の人の得物って独特なものが多いんだね。」

 

「まあ・・・俺はもともと格闘主体で戦うから・・・人一倍物珍しい得物かもしれんな。」

 

「確かに。さっきも手甲で裏拳放って鬼の頸薙ぎ払ってたよね。でも刀で斬る方が楽じゃない?」

 

「そうかもしれないが、俺は生憎剣術の才能が然程ないのだ。それに・・・師範より教わった素流は俺にとって大切な武芸。絶やしたくないというこだわりもある。」

 

「ふーん。まあいいや。鬼さえ殺せればなんでもいいと思うよ。俺は実績しか基本評価しないから。」

 

 

凍三郎殿は恐ろしく腕が立つ少年だった。齢十五に届かない身でありながら、予備動作を完璧に削ぎ落した剣技。俺の目指す至高の領域に近い。

 

もし仮に本気で手合わせするならば、俺は瞬く間に斬って伏せられるだろう。

 

しかしおかげで俺もまだまだだなとそう思うことができ、より鍛錬に打ち込める。身近に強者と呼べる存在がいることは非常に有難いことだった。

 

そうこうしているうちに突如凍三郎殿が足を止める。

 

 

「待って。川の傍に何かいる。」

 

「ん? なんだあれは? 壺か?」

 

 

俺達が確認したのは上等な壺のようなもの。山間部の、ましてや川沿いに置いてあるそれは、異質過ぎて気味が悪かった。

 

俺達が警戒しながら近づくと、突如壺より異形の鬼が現れる。

 

 

「ヒョッヒョ! これはいい。お前達柱で在ろう。気配でわかるぞ? ここで柱を更に二人殺せば貴様ら鬼殺隊はより大きな打撃を受けることになるだろう。きっとあの御方も褒めてくれるに違いない!」

 

「誰? お前。」

 

「ヒョッヒョッ、私は上弦の伍、玉壺と申す者なり。お前は以前他の上弦から逃げおおせた鬼狩りだな? お会いできて光栄だ。ここで殺しておけば私の株も上がるというもの! 考えるだけで胸が躍る!」

 

「ふ~ん。でも今は二人いるからこっちの方が有利じゃないかな? まあ俺は一人だったとしてもお前みたいなへんちくりんには負ける気しないけど。」

 

「若造が! なら思う存分私の芸術作品を堪能していかれよ! 貴様を殺した後、私の新しい作品に加えてやる!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー血鬼術 千本針・魚殺ー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その玉壺と名乗った上弦の鬼は、突如壺を出現させ、そこから多数の巨大な宙に浮く金魚を生み出す。そしてその金魚たちは一斉に俺達へ針を吹き付けて来た。

 

 

「狛治さん平気?」

 

「問題ない。とっさに木を盾にした。どうやって戦う?」

 

「じゃあ俺突っ込むから、できれば援護をお願い。」

 

 

そうして凍三郎殿は気が付けば玉壺の目の前に移動していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー氷の呼吸 壱ノ型 薄氷斬りー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

凍三郎殿は横薙ぎ一閃を放つ。一切無駄のない鋭い太刀筋。俺は身震いする。しかしその場には壺だけが残されるだけで、やがてその壺も消えてしまった。

 

 

「あー・・・なるほど。壺から壺に移動できるんだ。厄介な血鬼術だね。」

 

「余裕ぶってられるのも今のうちだ! すぐにハチの巣に・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー岩の呼吸 伍ノ型 瓦輪刑部ー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は金魚共の頭上に跳び、何度も打ち付けるように分銅を振り落とし一匹残らず地に叩き伏せる。金魚共は霧のように霧散した。

 

 

「ありがとう。狛治さん。ちゃんと岩の呼吸も使えるんだね。」

 

「まあ仮にも岩柱だからな・・・」

 

 

俺は凍三郎殿と背中合わせになるような形でその場に着地する。振り回した鎖は一瞬で小手へと巻き付けた。

 

 

「さて。狛治さんの援護があればこの程度の鬼余裕かな? 上弦って言ってもピンキリみたいだね。」

 

「若造が! 貴様もしや私のことを舐めているな!? すぐに思い知らせてくれる!!」

 

 

玉壺は青筋を浮かべてやや離れたところで壺から出現し俺達を威嚇していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やはり柱複数人で行動してて正解だった。これなら十二鬼月の上弦だろうが何だろうが、対等以上に戦えそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 




トップバッターは玉壺にしました。個人的には上弦最弱だと思ってます。妓夫太郎の方がギミック的に強い気がするんですけどどうなんでしょうね。因みにこの時代はまだ妓夫太郎は鬼になっていない設定です。原作と時系列の乖離があるのはあらすじで周知してるのでご容赦下さい。
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