狛治外伝 ~誰が為に振るわれる拳~   作:科学大好き人間

39 / 96
狛治視点です。赫刀(刀ではない)の威力を存分に描写したいと思います。

追記:アンケートを追加しました。今後の展開に反映したいのでよろしければご回答ください。


33話 赫刀

「いや~、それにしても粘るね、狛治殿。これも愛する奥さんの下に帰りたいっていう旦那さんの心情なのかな? ここまで強いとは正直思わなかったよ。」

 

 

童磨が無駄口を叩いている間に俺も呼吸が落ち着いてきた。俺は奴を分析する。

 

童磨はお茶らけているが、目だけは良く俺を観察している。俺の一挙手一投足全て見逃さないと言わんばかりに。

 

こいつはふざけているように見えて、こちらの反応を常に伺っているのだ。いつの間にか俺が既婚者であることもバレている。

 

奴の挑発に乗るのは悪手。かといってこちらも待ちに徹すれば、先程のような血鬼術の物量で圧殺されるだろう。朝日を拝む前に氷漬けにされていても可笑しくない。

 

ならば手は一つ。超短期決戦。数手で奴を仕留める。多彩な血鬼術を使わせる間もなく、一瞬で接敵し頸を殴り飛ばす。

 

俺はそう腹を決めると深呼吸を始める。常中とは違う落ち着いた呼吸。精神を統一し、集中力を高める。

 

 

「あれえ? どうしたの? かかってこないのかい? なら拍子抜けし・・・」

 

 

俺は地面を割る勢いで蹴り、一直線に童磨に突進する。岩の呼吸は直線移動なら相当な速力が出せる。不意を突くには充分なは・・・

 

 

 

 

 

 

 

ー血鬼術 蓮葉氷ー

 

 

 

 

 

 

「っ!!!」

 

「漸く突っ込んできてくれたね。待ってたよ、君が接近戦に切り替えるその瞬間を。肺胞さえ壊死させてしまえば狛治殿も動き回れないからね? これで終いかな?」

 

 

やられた・・・!! 読み合いでは奴の方が数段上手だったということか・・・!!

 

だがそんなことは問題ではない。戦いの場においては、予期せぬ事、初めて遭遇する事態全てを即座に理解し対処しなければならない。俺は一瞬で意識を切り替える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー岩の呼吸 参ノ型 岩軀の膚ー

 

 

 

 

 

 

 

俺は地面を踏みつけ、必死に立ち止まり、岩の呼吸の防御の型を打ち振るう。

 

 

「アハハ! 氷の欠片は弾けても冷気そのものは無理じゃない? 狛治殿って意外と頭良くないのかな? ん?」

 

 

俺は咄嗟に鎖分銅を周囲で旋回させ、可能な限り冷気を吸わないよう努めた。しかしこの一手により俺にも童磨にも想像だにしないことが起こる。

 

なんと周囲の氷の粒並びに冷気が一瞬で蒸発し霧散したのだ。

 

 

「えー・・・何それ・・・狛治殿今何したの? いや待って。その鎖分銅の先端ってそんなに真っ赤だったっけ? うっ!!」

 

 

俺は童磨の指摘に自身の得物を見る。確かに分銅が赫赫と発光していた。まさか冷気を消し去り氷の粒を溶かした正体はこれか? しかしいつの間にこんな・・・

 

いや、待て。急に童磨が頭を抑え始めた。痛むのか? 何やら俺の鎖分銅から目が離せなくなっているようだ。

 

 

「これ・・・あの御方の記憶かな? 真っ赤な刀振り回すお侍さんが見えるんだけど・・・え、ちょっと待って、何これ怖っ・・・」

 

 

千載一遇の好機。童磨を打ち滅ぼすまたとない機会。俺は一瞬で懐まで接敵した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー素流体術 脚式 冠先割ー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわっと!!」

 

 

童磨は頭を抑えながら躱す。やはりこいつの反応速度は尋常ではない。完全に不意を突いたはずなのに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー血鬼術 凍て曇りー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

童磨は片手で頭を抑えたまま、もう片方の扇を仰ぎ、瞬時に周囲を氷結させる煙幕を俺にぶつけてくる。俺は赫赫と発光する鎖分銅を正面で打ち振るう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー岩の呼吸 肆ノ型 流紋岩・速征ー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

縦横無尽に前方へと鎖を振るい、童磨の冷気の煙幕を引き裂き、加えてその頭蓋に一撃入れる。童磨は悶絶したまま退避しようとする。

 

 

「痛ったぁあああああ!! しかも傷口が灼けるように熱いし!! それになんか再生できないしこれ一体何なの!?」

 

 

好機に次ぐ好機!! 俺の攻撃は有効なようだ。原理は不明だが、赫赫と発光した分銅は凄まじい威力を発揮している。このまま畳みかけるっ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

ー素流体術 脚式 飛遊星千輪ー

 

 

 

 

 

 

 

 

再び奴の懐、加えて上体を下げたまま接近し、地面から突風が巻き上げられるほどの蹴り上げを俺は繰り出す。童磨は扇で受けるが、威力までは殺しきれず、そのまま空中へと打ち上げられる。

 

俺はそのまま宙の童磨へと追随し、追い打ちを仕掛ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー素流体術 脚式 流閃群光ー

 

 

 

 

 

 

 

 

「わわわわわっ!!!」

 

 

童磨は対の扇で俺の連続蹴りを受ける。しかし、それにより奴は更に宙へと打ち上げられ、踏ん張りの効かない空中で満足に体勢を整えることもできない。俺は奴の片足に鎖を巻き付ける。

 

 

「熱っ!! 灼ける灼ける!!」

 

 

俺は地面へと奴を叩きつけ、そのまま鎖分銅を打ち振るう。

 

 

 

 

 

 

 

 

ー岩の呼吸 伍ノ型 瓦輪刑部ー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっ!!?? 待って!!! 死ぬからやめてっ!!!!!」

 

 

こっちは初めから殺すつもりで攻撃してるんだが。ふざけているのか? 童磨が余りにもしぶと過ぎて俺は青筋を浮かべる。俺は右拳を握りしめ、全体重を込めて拳を振り落とす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー素流体術 砕式 万葉閃柳ー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺の拳は童磨の腹部へと思いっきり入り、地面を割り、血しぶきと肉片が辺りに飛び散る。

 

次は頸だと言わんばかりに俺は左拳を振り上げるが、童磨は一瞬で腹部の傷を再生させ、俺に蹴りを放ち距離を取る。

 

 

 

「ゲボッ!! うえぇええ・・・止めどもなく血吐いちゃうんだけど・・・狛治殿容赦ないなぁ・・・」

 

「逃がすかっ!!!」

 

 

俺はまだ赫赫と発光する鎖分銅を携えて童磨へと突進するが、奴は扇を構え直す。突如、奴の足元に尋常ではない冷気が出現する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー血鬼術 霧氷・眠蓮菩薩ー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突如として、巨大な観音像のような氷の巨像が出現する。凄まじい広範囲に冷気が立ち込め、氷像が手刀を打ち下ろすとその衝撃に大地が揺れ、あたりが一瞬で凍り付く。

 

 

「あ~あ、入れ替わりの血戦で使うはずだったとっておきの隠し玉だったのに・・・狛治殿のせいで他の上弦にバレちゃったよ。これは新しい目玉の血鬼術開発しないと駄目かもしれないなあ。」

 

 

奴はそう言い、その場から消え去る。気が付けば遥か遠くの屋敷の屋根の上で手を振っていた。

 

 

「でも自己紹介した仲だし、色々お喋りしてくれたし、それでチャラにしてあげるよ! 俺、もう血使い切っちゃったから今日は帰るね? それじゃあまたね~?」

 

「なっ!! 逃げるな卑怯者っ!! 逃げるなぁあああ!!!」

 

 

後を追おうにも氷の巨像が再度手刀を打ち下ろし、辺り一帯銀世界となる。流石に鎖分銅だけでは身を守れず、俺はその場を全力で退避する。

 

いつの間にか夜明けの時刻となり、氷の巨像は朝日を浴びて煙のように蒸発した。

 

 

「糞っ!! あいつはまだ若い鬼だった!! 今のうちに殺しておかねば将来手が付けられなくなる鬼だったと言うのにっ!!! 咲殿の仇も討てず・・・俺はしくじったっ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

周囲の至る所で地面が隆起したり陥没したりと悲惨な街の大通りの中央で、俺は一人悔しく口惜しさのまま叫ぶ他なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 

 




童磨に一杯も二杯も喰わされる狛治殿。原作の猗窩座も入れ替わりの血戦とかだとこんな感じで童磨の手の平の上で転がされるんでしょうか。原作で描写がないので想像するしかないですね。
さて、最後にアンケート出します。今後の童磨の扱いについては皆様の回答結果に従い決めさせて頂きます。

童磨の再登場についてどう思いますか?

  • 狛治がしっかり倒すのなら有
  • 原作通り生き残らせてほしい
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。