追記:アンケート結果見ました。恐らく再戦になるかと思います。下衆上弦の再登場の次位になるとは思いますが、気長にお待ち頂ければと思います。
「・・・報告は以上になります。識哉様。」
「ありがとう、狛治。君のおかげで新たな上弦の情報を入手することができた。次の柱合会議の議題で対策について話し合いたいと思う。昨夜は本当にご苦労だったね。」
俺は童磨を取り逃がした後、そのまま産屋敷邸へと赴き、事の顛末を報告していた。
識哉様は以前に比べ呪いもかなり進行し、目も見えない容体でありながらも、俺のことを労ってくれる。童磨を取り逃がし、おめおめと帰還した俺に。
「申し訳ございません。俺が上弦を討っていれば、大勢の市井の人達が助かったはずです。識哉様の悲願の達成に一歩近づけたはずなのに・・・不甲斐ないです。」
「そんなことはないよ、狛治。君はよくやってくれた。上弦と相対して無事に帰って来てこれただけでも充分な戦果だ。私は君を誇りに思う。どうか君の力を、これからも鬼殺隊の役に立ててもらえないだろうか。それだけが私の望みだよ?」
「・・・はい。」
俺は自身の不甲斐なさに打ちひしがれるも、識哉様は変わらずに俺を励まして下さる。この人には本当に頭が上がらない。
これ以上の卑下は寧ろ識哉様の御心を踏みにじる行為に等しい。俺は顔を上げ、決意を述べる。
「今後、一層の鍛錬と、悪鬼の討伐に全力を尽くします。識哉様の意思を反映できるよう、身を粉にして身命を賭して戦います。お約束いたします。」
「うん。期待しているよ。」
俺は再度お辞儀をしたのち、退出しようとその場を立ち上がる。その瞬間、識哉様は微笑みながら俺に諭すように声を掛ける。
「鍛錬も任務も人一倍打ち込んでくれるのは鬼殺隊当主としては嬉しいけど、それでも一番身近な最愛の人だけは蔑ろにしちゃいけないよ?
帰ったら君の身を案じ続けている奥さんをしっかり労っておやり。これは私個人の願いだけどね?」
「は、はい・・・お気遣い痛み入ります。」
「ふふっ。さあ、早く帰って安心させておやり。引き留めてしまってごめんね?」
「いえ、そのようなことは・・・では失礼します。」
そうして俺はニコニコして俺を送り出す識哉様を残して、産屋敷邸をあとにした。
「狛治さんお帰りなさい! 今日は随分と遅かったのですね。任務先で何かあったのですか?」
「只今、恋雪。心配かけて済まない。お館様にご報告に行っていたんだ。遅くなって申し訳ない。」
「いえ、狛治さんが無事ならそれでいいんです。でも・・・所々切り傷のような痕がありますね。傷跡が残るといけないのでお薬を塗らせて頂きますね? 着替えたら居間に来てください。」
「ああ、ありがとう。恋雪。」
俺は玄関で恋雪に出迎えてもらっていた。いつもより遅い帰宅に恋雪も何かあったかと心配して玄関先で待っていたのが伺える。
なんでもないように振舞っているが、俺の傷付いた隊服や肌を見て先ほど目を見開いていた。それを追求してこないのは、きっと俺に余計な気遣いをさせまいと気丈に振舞っているからだろう。
恋雪も強くなった。子供の頃から病に負けぬ芯の強さを持った女性だったのは間違いないが、俺が鬼殺隊に入ったばかりの頃や他の柱が殉職したばかりの頃に比べて本当に心の強い女性になったと思う。
識哉様の言う通りだ。恋雪のことをもっと労ってやらねば夫として不甲斐ない。
俺はそう思いながら自室で隊服一式を着替え、居間へと移動する。
やがてパタパタと恋雪の足音が聞こえ、薬箱を持って俺の前に現れた。
「お薬塗りますね? 染みるかもしれませんが、少しの間だけ我慢してくださいね?」
「ああ、ありがとう。」
俺は恋雪に身体のあちこちに付いた傷跡に薬を塗ってもらう。俺はその間、黙って恋雪を眺めて居た。
恋雪も俺の様子が気になっていたのだろう。薬を塗ってる間、チラチラと俺の顔を伺っていた。
やがて薬が塗り終わり、恋雪が薬箱の蓋を閉じる。
「えっと・・・どうかされましたか? 狛治さん。何かお話したいことがあるのですか?」
怪訝そうに恋雪は俺の様子を伺う。俺はそのまま何の前触れもなく恋雪を抱きしめる。
「ふえっ///!? は、狛治さん///!?」
「済まない恋雪。少しの間だけでいい。このままでいさせてくれ。」
「は・・・はい///」
恋雪から戸惑う気配がする。俺は気にせず、抱きしめる力を少しだけ強める。
「は、狛治さん/// その・・・何かあったのですか///?」
俺は恋雪を抱きしめたまま、静かに答える。
「・・・昨夜戦った相手は・・・上弦の鬼だった・・・」
「っ!!」
「俺はたった一人で戦った。死ぬ可能性もあった。生きて帰れたのは運が良かったから。半分くらいはそう思っている。」
「・・・それで・・・珍しくお怪我をされていたのですね・・・」
「ああ。」
暫く抱きしめ合った俺達の間で沈黙が続く。俺は次の言葉を紡ぐ。
「けど、死ぬのが怖かった訳じゃない。寧ろそれ以上に・・・恋雪を失うのが怖かった。二度と会えなくなるのが怖かったんだ。帰って来てそれを自覚した。」
「えっ・・・それは・・・どういう・・・」
「昨夜戦った鬼は女性を好んで喰らうとんでもない鬼だった。町を徘徊し、道行く女性を喰らうことに躊躇の無い鬼だった。奴は恋雪・・・君についても関心を示していた。」
「っ!!」
「戦っていた時は無我夢中でそれどころじゃなかったが・・・でもふと冷静になって思ったんだ。もし奴みたいな鬼が・・・俺のいない間に恋雪の前に現れたらって・・・そう思ったら凄く恐ろしくなったんだ。」
「は、狛治さん・・・」
俺は一層強く恋雪を抱きしめる。
「俺は・・・俺は!! 恋雪だけは失いたくない!! 絶対に・・・!! 本当は任務に行かずにずっと恋雪の傍に居たい!! 恋雪を傍で守れるように!!
凍三郎殿の妹殿と同じ結末にだけはしたくないんだ。俺のいないところで・・・恋雪に先立たれると思うと・・・俺は辛い!! 耐えられない!!!」
俺は気が付けば嗚咽を漏らしていた。恋雪を困らせてしまうとわかっているのに。でも恋雪は黙って俺を抱き返してくれる。加えて俺の頭をそっと撫でる。
「大丈夫ですよ? 藤の花のお香だって毎晩焚いてますし、夜出歩いたりしないようにしてます。だから心配なさらないでください。」
「・・・それでも俺は・・・」
「ふふっ、じゃあお父さんに頼んでみましょうか? 狛治さんが居ない間、お父さんに付きっ切りで傍で守ってもらいます。それなら安心できますよね?」
「・・・師範に? でも師範はお身体に後遺症が・・・」
「ふふっ、狛治さんはご存じないんですよね? 実はお父さん、隠れて呼吸の鍛錬してるんですよ?」
「えっ、師範が!?」
「はい。日に日に上達を実感するって言ってました。実は内緒にしていつか狛治さんを驚かせてやるって言ってたんです。今バラしちゃったのであとでお父さんに謝らないと。」
「師範が・・・そのようなことを・・・」
「だから安心しててください。もし怖い鬼が屋敷に入ってきたら、お父さんに抱えて逃げてもらいますから。だから大丈夫です。それにお父さんは狛治さんを鍛えた師匠ですよ? 信じられないんですか?」
「・・・ああ、そうだな。師匠を信頼できない弟子などとんだ不敬者だ。わかったよ、恋雪。」
「ふふっ! 漸く狛治さん笑ってくれましたね? 私も嬉しいです。」
俺は抱き止めるのをやめて恋雪と見つめ合う。俺は恋雪の笑ってる顔が好きだ。そう実感する。やがて俺の中である気持ちが収拾もつかない程膨らんでいく。俺はそれを恋雪に伝える。
「なあ・・・恋雪・・・頼みがある。」
「なんですか? 狛治さん?」
俺は恋雪の目を真っすぐ見つめたまま告げる。
「今日は・・・朝餉の後・・・俺の方から抱かせてくれないか?」
「えっ!?/// 狛治さんから!?///」
「ああ・・・今日はそういう気分なんだ・・・やっぱり不安感がしこりの様に残ってて・・・恋雪を抱きしめていないと落ち着かないんだ・・・済まない・・・迷惑だったよな・・・恋雪だっていろいろとやらなきゃいけないことがあるだろうし・・・」
「あ・・・/// えっと・・・///」
俺は俯く。恋雪の手を物悲しく握っていると、やがて恋雪が力強く握り返してくれる。
「め、迷惑だなんてそんな・・・/// 私・・・寧ろ嬉しいです・・・/// ずっと期待して待ってたんですよ///? 狛治さんが私を求めてくれるのを・・・///」
「え・・・」
俺は顔を上げる。恋雪が顔を真っ赤にして汗をかいていた。まるで俺に告白したあの日の様に、求婚をしたあの日の様に。
俺はあっけに取られるが、すぐに恋雪は俺の手を掴んで立ち上がろうとする。
「では早速寝所に・・・///」
「ま、待ってくれ。先に朝餉を・・・」
「大丈夫です! また温めますから! さあ寝所に!!!」
「ちょっ!? 引っ張らないでくれないか恋雪!! え・・・力強っ!?」
俺は、俺以上に乗り気な恋雪に手を掴まれ腕を引っ張られ、そのまま屋敷の奥へと連れ去られてしまった。
続く
曇ってる狛治以上に恋雪ちゃんに圧倒されている狛治の方がやっぱり好きです(おい)。
結婚してから一年近く経ってますが、二人の夫婦仲が冷め切ることはありませんね。寧ろ日に日にヒートアップしてる気がします。二人が好き合ってる描写はやはり健康にいい気がするのでこれからもちょくちょく書くと思います。
童磨の再登場についてどう思いますか?
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有
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無
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狛治がしっかり倒すのなら有
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原作通り生き残らせてほしい