狛治外伝 ~誰が為に振るわれる拳~   作:科学大好き人間

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狛治視点です。煉獄さん(恐らく杏寿郎の祖父)の登場です。


幕間:炎の呼吸VS素流
34話 炎柱


「お早う皆。今日はいい天気だね。空は青いのかな?」

 

「お館様に置かれましてもご壮健で何よりです。益々のご多幸を切にお祈り申し上げます。」

 

「ありがとう。狛治。」

 

 

俺が柱の任命を受けてからもう半年が経った。柱の顔ぶれもだいぶ変わってしまった。前々回の柱合会議では9名もの柱がこの場に集ったのだから、古株の左近次殿や慈悟郎殿は一層寂しく思っているだろう。

 

加えて、識哉様の呪いの進行も以前より進んでいる。半年前は片目だけだったのに、今は両目並びに頭部全体で呪いの痣が浮き出ている。痛ましい限りだった。

 

しかし、それをおくびにも出さず俺は挨拶をする。そのような憐みなど主君に向けるものではない。少なくとも胸中で押し留めるべきものであるからだ。俺は挨拶後も話を続ける。

 

 

「お館様。早速ではございますが柱合会議の主題として、新たな上弦の鬼の特徴並びに能力の報告と、分析並びにその対策について議論したいのですがよろしいでしょうか。」

 

「待っておくれ、狛治。その前に今回新しく炎柱に就任した長寿郎の紹介をさせて欲しい。皆本題に早く移りたくて気が気じゃないかもしれないが、彼もれっきとした逸材の一人だ。少しばかり時間をもらうよ。」

 

 

この下り、俺が岩柱として紹介された時もあった気がする。今度は俺がそれをやらかしてしまうとは。

 

今の俺は相当焦っているのかもしれない。呼吸で自身を落ち着かせ、俺は隣の新たな炎柱の横顔を眺める。

 

 

「彼の名前は煉獄長寿郎。左近次と慈悟郎は知ってると思うけど、去年殉職した敬寿郎の弟だ。彼は幼少の頃より五つ離れた兄の背中を模範に自身をこれ以上ない程に叩き上げ、遂には柱まで昇り詰めた。亡き兄の意思を受け継ぎ、力無き市井の人達を身を挺して守ろうと必死に剣を振るう優しくも責任感の強い子だ。実力も人格も柱として相応しい人物なんだが、やや真面目過ぎる子だからね。彼には少し肩の力を抜いてもらいたいと思っているから皆にも協力してほしい。」

 

「失礼を承知で申し上げますが、お館様!! 代々鬼殺に生きる煉獄家の剣士として、肩の力を抜く暇などございませぬ!! お心遣い痛み入りますが、無用の気遣いでございます!!」

 

 

なるほど。これは相当堅物だな。俺も人のことを言える性格ではないが、こいつは少々行き過ぎてる節がある。俺は苦笑する。

 

加えて、慈悟郎殿が大声で長寿郎に物申す。

 

 

「長寿郎!! お館様がああ言われてるんだから少しは柔らかくなったらどうだ!? そんなに四六時中気張ってると見てるこっちも疲れてしまうわ!!」

 

「ご心配なく!! それぐらいで疲れるほどやわな鍛え方をしておりませんので!! 柱の皆様も同じなのでは!?」

 

「全くこいつは!! お前の兄貴はまだ冗談なら通じたぞ!? お前は言葉の裏の意味をくみ取る鍛錬をした方がいいのではないか!?」

 

「わかりました!! 意図をくみ取る鍛錬ですね!! 本日より日課に加えさせて頂きます!!」

 

「やはり通じておらんではないか!! とにかくお前はもう少し肩の力を抜けい!!」

 

「ご心配なく!! それぐらいで疲れるほどやわな鍛え方をしておりませんので!!」

 

 

堂々巡り。柱とは言えやはりまだ十六の若者。改めて凍三郎殿が特別だったと実感する。いきなり肩の力を抜けと言葉で伝えたところでわからぬか。俺はその場を立ち上がる。

 

 

「慈悟郎殿。言葉で伝わらないのであれば、技で伝えればよいのでは? お館様、柱同士の交流試合、許可して頂いてもよろしいでしょうか?」

 

「うん。いいよ。それじゃあ早速近くの広場に移動しようか。」

 

 

識哉様はこうなることがお見通しだったみたいで、既に杖を片手に用意していた。産屋敷家の先見の明には本当に驚かされる。

 

俺は笑みを浮かべ、長寿郎に声を掛ける。

 

 

「手合わせ願おう、長寿郎。」

 

「はい!! よろしくお願いします!!」

 

 

俺達は最寄りの広場へと移動した。鍛錬場ではないが、平地である程度広いので、手合わせするには申し分なかった。

 

 

「狛治殿!! さあ木刀を握られよ!!」

 

 

長寿郎が木刀を片手にそう俺に言うので、俺はつい苦笑してしまう。

 

 

「済まない。言ってなかったな。俺は侍じゃない。刀を持たない。しかし心に太刀を持っている。使うのは己の拳のみだ。このままやろう。」

 

「ま、誠ですか!? 素手で鬼と戦うなど聞いたことがありません!!」

 

「まあ任務の際は手甲と鎖分銅も使うがな。しかし隊士同士の手合わせなら拳で充分。さあ、遠慮せずかかってこい。」

 

 

俺は不敵な笑みを浮かべ、左手の掌をかざし、右拳を引くような素流の構えを取る。

 

長寿郎は最初戸惑っていたが、識哉様や他の柱の様子を見て、俺が本気でそう言ってると漸く理解したのだろう。奴も木刀を構える。

 

 

「それでは、審判は私水柱、鱗滝左近次が受けもつ。両者構えたな? でははじめ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今まで手合わせした柱の中に、炎はいなかったな。さて、どのような剣技を見せてくれるのか楽しみだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 

 

 




次回無限列車編のオマージュとなります。狛治さんのテンションが猗窩座並みに馬鹿高くなります。なのでキャラ崩壊タグつけるかも。正直本作の恋雪ちゃんの原作との乖離っぷりを考えると今更な気もしますが・・・

童磨の再登場についてどう思いますか?

  • 狛治がしっかり倒すのなら有
  • 原作通り生き残らせてほしい
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