狛治外伝 ~誰が為に振るわれる拳~   作:科学大好き人間

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狛治視点です。猗窩座並みにテンション爆上げの狛治さんをお楽しみください(え)。加えて戦闘描写が完全に無限列車編(映画Ver.)の猗窩座VS煉獄さんになってます。オマージュ回としてご理解下さい。


35話 交流

「どうした長寿郎? 来ないのならこちらから行くぞ?」

 

 

俺の構えに隙を見いだせず、一向に打ち込んでこない長寿郎。仕方ない。ここは柱の先輩として、こちらから仕掛けてやるとしよう。

 

俺は地を蹴り砕き、そのまま真っすぐ疾走する。まずは勢いのままに拳を突き出す。しかし長寿郎はこれを受ける。続いてもう一発の突き。

 

長寿郎は見事躱してそのまま俺を胴薙ぎに切り払ってくるので、俺は飛び跳ねて後ろへと下がり回避。

 

俺は大回りしながら長寿郎の背面へと駆け、再び拳を打ち、木刀に衝突する。俺は笑みを浮かべ、長寿郎は真剣な表情で互いににらみ合った。

 

そこからは俺の拳打と長寿郎の炎の呼吸の一閃が絶えず繰り返される。土煙が上がり、空気を切る音ばかりが聞こえ、はたから見れば目で追うのも難しい速度の応酬が繰り返される。

 

俺は徐々に気分が高揚し、口数も増えていく。

 

 

「今まで手合わせした剣士の中に、炎はいなかったな! そして俺を下せる者もいなかった。」

 

 

拳を左右交互に繰り出し、長寿郎に打ち込む。長寿郎は木刀で受けきり、何とか堪える。

 

更に打ち合い、俺は追撃で左手の手刀を下段より放つが、長寿郎の反応は素晴らしく、俺の手首を木刀の鍔元で抑え、それを防ぐ。

 

膠着状態となるので、俺は笑みを浮かべて続ける。

 

 

「なぜだろうな。同じ武の道を極めようとする者同士なのに不思議な話だ。しかし何もこれは俺一人が特別だからという話ではない。当然柱は皆一人も漏れずに特別なのだ。」

 

 

俺は右拳で殴りかかろうとするが、俺の左手を抑えていた木刀を即座に振り上げた長寿郎によってそれは防がれる。俺は一瞬上体をのけ反らせてしまうが、負けじと右拳を再度打ち付ける。長寿郎も再び木刀で防御する。

 

 

「素晴らしい才能を持つ者が次々と俺の前に台頭してくる! それが俺は嬉しい! 心が躍る! さあ、俺をもっと楽しませてくれ、長寿郎。それが俺の武を更に高みへと近づける。」

 

 

俺は顔を近づけ笑う。それが気に障ったのか長寿郎は再び俺を同薙ぎに一閃する。俺は宙へ跳躍しそれを回避する。

 

 

「つまり貴方は、他の柱に負けじと鍛錬を積み重ねているから、負けることはないのだと、そう仰りたい訳ですか?」

 

 

俺は着地し長寿郎に問いを投げかけられる。俺は苦笑いを浮かべて返答する。

 

 

「まあそれも勿論あるが、理由は何もそれだけではない。それを今から説明して・・・」

 

「鍛錬の量なら俺だって負けてはいない!! 勝つのは俺です!! 狛治殿!!!」

 

 

一瞬で俺との距離を詰め、長寿郎は俺の頸筋へと木刀を振るう。俺は頸を傾げて紙一重で躱すが、危うく喰らうところだった。その事実に笑いがこみ上げる。

 

 

「この素晴らしい反応速度!!」

 

「はぁあああ!!!」

 

 

続けざまに長寿郎の唐竹割、袈裟懸け、左薙ぎ、右薙ぎ、左切り上げ。どれも本当に素晴らしい。俺はそれを素流の技術で捌いて行く。

 

 

「その素晴らしい剣技も、これから先更に向上していくのだ!! 浮き立つような気持ちにはならないか!? 長寿郎!!!」

 

「貴方はさっきから何を言っている!? 俺を褒め讃えているつもりなのか!? まだ一撃も喰らってないその身で言われても皮肉にしか聞こえない!!!」

 

「それは済まない!! だがそんなことは今は忘れろ!! 全力を出せ!! 俺に集中しろ!!!」

 

 

長寿郎の一撃と俺の拳がぶつかり、俺は力負けして押し下げられる。凄まじい剣圧。俺が力で負けるとは。

 

感心するのも束の間、奴は俺へと距離を詰め、斬りかかって来る。俺はこれを躱し、側面より拳打を放つ。長寿郎はこれすらも躱し、お返しとばかりに木刀を振り切ってくる。

 

そのあまりの剣圧に俺は受けられないと判断し、背後へ飛ぶようにして回避する。

 

 

「いい動きだ!!」

 

 

俺は調子を上げ、長寿郎の剣撃を躱し、左足で回し蹴りを頭部へと放つ。長寿郎は木刀で受けるが、そのあまりの威力に吹き飛び、地を転がっていく。

 

 

「勝負あ・・・」

 

「左近次殿!! まだ止めないで頂きたい!! 長寿郎はこの程度で根を上げる男ではない!!」

 

 

俺は審判の判定を先に止める。滅多にない、柱同士の手合わせなのだ。ここで止められては興が醒めるというもの。

 

やがて長寿郎は木刀を地面に突き立てて立ち上がる。俺はその不撓不屈の姿に笑みが止まらない。

 

 

「いいぞ、長寿郎。今後も俺と共に武を競い、腕を高め合おう。柱としての素質がお前にはある。」

 

「何度でも聞きます。それは本当に賞賛してるんですか? 俺は何度言われても皮肉にしか聞こえない!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー炎の呼吸 参ノ型 気炎万象ー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

長寿郎は宙へと跳ね、頭上から木刀を打ち下ろしてくる。さながら天より炎を纏った龍が俺に襲い掛かってくるようだ。俺はそれを下がり躱す。

 

 

「素晴らしい!! 見事だ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー素流体術 鬼芯八重芯ー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は左右交互の突きで長寿郎をうち飛ばす。長寿郎はめげずに弾かれた後も突進してくる。俺たちは何度も打ち合い続ける。

 

すると俺の拳が長寿郎の額を掠め、僅かに皮が裂ける。

 

しかし、長寿郎の目に灯る闘志は一層燃え上がり、後ろに下がった俺へと反撃に打って出る。

 

 

 

 

 

 

 

ー炎の呼吸 壱ノ型 不知火ー

 

 

 

 

 

 

 

一瞬で距離を詰め、再び俺の頸筋へ横薙ぎ一閃。俺はこれを半歩引いてギリギリで避け、そのまま突きの連打を浴びせる。

 

 

「このまま試合を終わらせるには惜しい!! お前はまだ肉体の全盛期ではない!!」

 

 

一瞬の隙を突き、俺は掌底突きを長寿郎の腹部に放つ。骨や内臓に負担は残らないだろうが、想像を絶する痛みだろう。しかしそれでも長寿郎はつき飛ばされた後も歯を食いしばって耐え、反撃に出る。

 

 

 

 

 

 

 

 

ー炎の呼吸 弐ノ型 昇り炎天ー

 

 

 

 

 

 

 

下段より鋭い切り上げ。俺は危うく顎に喰らいそうになったが、寸でのところでバク宙し回避する。

 

続けて距離を詰め拳を左右に揺さぶるように打ち振るう。

 

 

「一年後二年後には!! 更に技は練磨され精度も上がるだろう!!!」

 

 

ゆさぶりをかけたのちの顔面への突き。長寿郎は木刀で受けるが、威力までは殺しきれなかったようでそのまま背後へと倒れ転がってしまう。

 

 

「そ、そこま・・・」

 

「まだだ!! 長寿郎の実力はこんなものではない!! 止めるな、左近次殿!!!」

 

「しかし・・・狛治殿、今のお主は少々冷静さを失っているような・・・」

 

「かもしれんな!! だが怪我まではさせん!! 最後までやらせてくれ!!!」

 

 

長寿郎も諦めていないようで既に立ち上がり俺へと振りかぶっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー炎の呼吸 参ノ型 気炎万象ー

 

 

 

 

 

 

 

俺は打ち下ろしを半身になって躱し拳を打つ。間髪入れず長寿郎は迎撃の型を放つ。

 

 

 

 

 

 

 

ー炎の呼吸 肆ノ型 盛炎のうねりー

 

 

 

 

 

 

危うく俺の右腕が折られるところだった。俺は手を引きそれを回避する。そのまま下がり素流の構えを取る。

 

 

 

 

 

 

 

 

ー炎の呼吸 伍ノ型 炎虎ー

 

 

 

 

 

 

獅子が猛るような凄まじい闘気。長寿郎は吠え突進技を繰り出す。生半可な技では迎撃できぬ。ならばっ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ー素流体術 乱式ー

 

 

 

 

 

 

 

俺も猛り、全力で拳を乱れるように打ち振るう。長寿郎は荒れ狂う俺の拳打を全て紙一重で回避し、俺へと接近する。

 

俺と長寿郎の視線がかち合う。その瞬間両者動く。しかし、先手を制したのは長寿郎だった。左薙ぎの一閃が俺に振り切られ、勝負はつく。

 

 

「そこまでっ!!!!!」

 

 

ついに左近次殿も見かねて待ったを掛ける。俺はその場で下がり膝をつく。長寿郎はそんな俺の前で立ち尽くしたままだ。

 

 

「勝負あり。勝者は狛治殿だ。異論はないな?」

 

 

俺は静かに立ち上がる。俺は終ぞ一撃も受けなかった。対し、長寿郎は木刀を取り落とす。最後の一撃で俺が拳を右腕に打ち込んでいたからだ。

 

 

「やりすぎだ・・・狛治殿。」

 

「なあに。骨は折っていない。しかし今日一日ぐらいは良く冷やして安静にした方がいいだろう。常中を維持してよく休めば明日には治っているはずだ。」

 

「はあ・・・はあ・・・」

 

 

俺は涼し気にそう言うが、長寿郎は肩で息をしていた。如何に柱になるまで自身を鍛え上げたとは言え、常中の練度は俺よりもまだ未熟。まあ息を切らしている理由はそれだけではないのでこの場で指摘をする。

 

 

「俺が何故剣士との戦いで負けたことがないのか教えてやろう。それは俺が剣士と戦うために十五の頃より特殊な訓練を積んでいるからだ。以前住んでいた道場の隣に、別の剣術道場があったからな。師範に万が一に備えて剣士との戦い方を熟知しておけと口酸っぱく言われていたのだ。その為、俺は鬼との戦い以上に剣士との戦いに長けている。鍛錬の量もあるが、一番は経験の差だな。だから気を悪くするな、長寿郎。」

 

「・・・・・・」

 

 

そこまで聞いて、長寿郎は脱力する。俺は漸くかと思い、苦笑する。

 

 

「やっと肩の力を抜いたな。今日はとにかく休め。今後は鍛錬ばかりではなく、架空戦闘を頭の中で思い浮かべる時間を増やした方がいいかもしれんな。いずれは俺と五分で打ち合えるようになるだろう。それと鍛錬修練の合間に息抜きをしろ。俺は妻によく労ってもらっている。お前も剣以外に没頭できるものを見つけ、心を休ませる時間を持った方がいい。お前の太刀筋には常に余裕がなかった。だから想定よりも早く疲れ果ててしまったんだ。鍛錬も大事だが、それ以上に心のゆとりを持つことだ。それが柱の先輩として言える俺からの助言だ。これからも励め。」

 

 

「・・・はい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして長寿郎は糸が切れたかのようにその場に座り込んだ。しかし、先程に比べ、やや気の抜けた穏やかな表情をしている。俺は少しでも識哉様の要望に応えることができたかと内心胸を撫で降ろした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 




「こんなん狛治さんじゃねぇよ」と思われますよね。筆者もそう思います(笑)
猗窩座の描写だとかなり顕著なのですが、奴はアッパー系コミュ障の疑いがあります。自分の興味のある話題で熱くなり意見を押し付けがちなところがそうなのかなと個人的には思います(他上弦とはあまり喋らないところもそれっぽい)。まあ狛治さんはそんなことないと思うのですが、一応同一人物なのと、折角の煉獄さん(後輩)との手合わせということで猗窩座っぽい振舞をしてもらいました。完全に筆者の悪ふざけです。ご容赦下さい。

童磨の再登場についてどう思いますか?

  • 狛治がしっかり倒すのなら有
  • 原作通り生き残らせてほしい
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