狛治外伝 ~誰が為に振るわれる拳~   作:科学大好き人間

57 / 96
狛治視点です。筆者の趣味前回ですね。お目汚しを失礼・・・


48話 ヤキモチ

柱合会議の途中、慈悟郎殿の女遊びについて咎められているのを長寿郎が擁護した途端、さやか殿の雰囲気が一変した。

 

 

「そうですよね。長寿郎君だって年頃の男の子ですもんね。美人で色っぽい女の人と一杯遊びたいと思いますよね。そうですか。そうですか。まあ私は気にしていませんけどね。」

 

 

いや、凄まじく気にしているだろう。これで誤魔化してるつもりなのか、さやか殿は。この場でさやか殿がヤキモチを妬いていることなど誰が見ても一目瞭然だが、一方で当事者である長寿郎だけはどうやら気づいていないようだった。

 

 

「べ、別に俺は遊郭など行こうとは思わないが・・・趣味嗜好は人それぞれだろう? そう目くじらを立てるものではないだろう、さやか。」

 

「目くじらなんて立ててません。勘違いしないでください。」

 

 

さやか殿はへそを曲げてしまう。一方で長寿郎は首を傾げている。この男は前の柱合会議から三ヶ月近く経っても尚、さやか殿の想い人が自分であるということに気が付いていないのか? 余りにも鈍すぎる。これは俺が何とかしなくては・・・

 

 

「まあさやか殿。長寿郎は食事処巡りを息抜きに日々の任務を頑張っているのだから趣味の時間を持つことも存外馬鹿にはできないと俺は思うのだが・・・許してやってはくれないか?」

 

 

俺が諭すように声を掛けると幾分さやか殿の雰囲気が和らいだ。

 

 

「まあ・・・狛治さんがそうおっしゃるのであれば・・・」

 

「良し。仲直りついでに二人でどこか食べに行ってきたらどうだ? 長寿郎のことだ。どこかうまい行きつけの食事処をいくつも知っているはずだろう。長寿郎も折角だから紹介してやれ。」

 

「成る程! それはいい考えですね狛治さん! これを機にさやかには息抜きの大切さを知ってもらうことにしよう! さやか! 好物はあるか!? 俺がこの後案内してやる!」

 

「えっ! いいの!? 長寿郎君・・・///」

 

「ああ! 勿論だ! 折角だから柱の皆で食べに行こう! 狛治さん、鱗滝さん、桑島さん! 何か好物ありますか!? 俺が必ず皆さんの舌がうなる店を紹介してみせます!!」

 

「「「そこは二人で行って来いよ。」」」

 

 

 

思わず口にした言葉が左近次殿とも慈悟郎殿ともふいに被る。どうやら二人とも俺と全く同じことを考えていたらしい。この鈍助をどうにかしてさやか殿の気持ちに気づかせてやらねばならないと皆思っているのだろう。

 

 

 

「ええ!? どうして皆して拒否するんですか!? 俺悲しいですよ!?」

 

 

あろうことか長寿郎はそんな見当はずれな反応をするので俺は思わず溜め息を漏らす。

 

はあ・・・何を言っているんだこの馬鹿は。頭に脳味噌が詰まっていないのか? 俺たちは飯を断っているんじゃない。さやか殿と二人で行って来いと言っているんだ。

 

それにもう話はついただろうが。ここに来て話を振り出しに戻すんじゃない。

 

 

「長寿郎、二人で仲直りしてこいと言っているだろう? それに二人は希少な同期同士なんだ。任務以外の時間でも話をする場をちゃんと持て。今回は二人で親睦を深めてこい。」

 

 

あわよくばさやか殿の気持ちに気づいてこい。俺はそう願うもそれは望み薄だろう。俺は内心溜息を吐くが、千里の道も一歩からと期待を込めて二人の背中を押し出すつもりでそう言い放つ。

 

 

「わ、わかりました。狛治さんがそう言うなら。じゃあさやか。柱合会議が終わったら一緒に飯を食いに行こう! 是非とも期待しててくれ!」

 

「はい! 楽しみにしていますね?」

 

 

さやか殿も機嫌が直ったようで微笑みながら長寿郎を見つめ返していた。俺は満足げに頷くが、左近次殿は気まずそうに息を吐く。

 

 

「はあ・・・結局継子の話がまるで進んでおらんではないか・・・それで皆は今後どうすると言うのだ・・・」

 

 

その一声にハッとしてさやか殿が返答する。

 

 

「あ、すみません。実は私、今屋敷に住まわせて面倒見てる子がいるんです。師範が以前拾ってきた孤児でして。現在花の呼吸を教えています。当面はその子を継子として育てようかと思ってます。」

 

 

重ねて長寿郎も左近次殿に振り向き返答する。

 

 

「俺は五つ離れた末っ子の弟に剣を教えようと思っています。最近剣術に興味を持ち始めたみたいなので、呼吸の型も含めて教えるつもりです。煉獄家は代々親子や兄弟を継子に取る習わしがあるのでその方針で行こうと思います。」

 

 

「左様か。うむ。二人とも言い心掛けだ。だと言うのに桑島・・・貴様年長者でありながら・・・」

 

「うお!? いい感じで話がまとまると思ったら、最後の最後で俺に飛び火させるな! 鱗滝よ!!」

 

「もういい。他の皆はしっかり次世代を育てているというのに。柱合会議が終わったら私がつきっきりで説教してやる。覚悟しておけ。」

 

「ひい!? 待て待て鱗滝よ!! 継子は誰かしら取るから! だから俺の息抜きだけはどうか認めてくれぇえええ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

慈悟郎殿の汚い高音を最後に、柱合会議は終了となった。その様子を、まだ九つとなった織哉様が楽しそうにしながら見て笑っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 

 




九つにして数百名の子持ちとなった織哉パパが笑っているようで何より。何より・・・なのか・・・?

童磨の再登場についてどう思いますか?

  • 狛治がしっかり倒すのなら有
  • 原作通り生き残らせてほしい
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。