狛治外伝 ~誰が為に振るわれる拳~   作:科学大好き人間

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狛治視点です。引き続き筆者の趣味要素ありますが一応真面目な話です。本章では以前のアンケート結果に応えたいと思います。


第八章:阿修羅鬼編
49話 因縁


「待たせたな長寿郎。しかし良く奴の足取りを追えたな。お手柄だぞ。」

 

「はい!! 遂に見つけました!! 兄の仇のねぐらを!! 本当なら俺一人で煉獄家の雪辱を果たしに向かいたいのですが・・・奴は上弦!! 俺程度の若輩者では返り討ちに遭うのが関の山です!! どうか恥を忍んでお願いします!! どうか・・・どうか!! 俺にご助力頂けないでしょうか!! 狛治殿!!!」

 

 

織哉(おりや)様が鬼殺隊当主となってから三ヶ月が経った。夜が来る度に雑魚鬼を狩り続け、極々稀に下弦鬼と遭遇し、同様に瞬殺する日々が続いていた。そんなある日、突如長寿郎から煉獄家の屋敷に招かれる。鎹烏の文を事前に受け取っていたので要件は知っているものの、俺は緊張しながら煉獄家の屋敷に向かった。長寿郎は門の前で仁王立ちしていたので俺は声を掛ける。するとすぐさま長寿郎は人目も憚らずにその場で土下座をし要件を切り出した。しかし屋敷の主が天下の往来で土下座なんてするもんじゃない。俺は長寿郎をすぐに立たせて屋敷の奥に案内させた。

 

 

 

阿修羅鬼(あしゅらき)は俺にとっても憎き相手だ。奴は凍三郎殿の妹殿を鬼にした挙句、その後も彼ら兄妹を貶め苦しめた。あの日奴を逃がした時の屈辱を、俺は一生忘れることができないだろう。是非同行させてくれ。」

 

「狛治殿・・・ありがとうございます!! 貴方が付いて下さるなら心強いです!!」

 

「ああ、必ず力になろう。ところでさっきから気になっていたのだが・・・」

 

 

俺は客間で長寿郎と話をつけた後、長寿郎の背後に視線を移す。そこに正座して待機する人物に向けて。

 

 

「さやか殿はなぜここに?」

 

「居てはいけませんか? 狛治さん。」

 

「いや・・・別に構わないが・・・さやか殿がここにいるってことは一緒に同行すると言う認識でいいのか?」

 

「はい、私も同行させて頂きます。」

 

「いいえ。さやかは俺が説得して残ってもらいます。」

 

「待て・・・一体どっちなんだ・・・」

 

 

俺は頭痛がする思いだった。長寿郎がさやか殿に振り返ると、さやか殿は眉間に皺を寄せる。

 

 

「さやか。上弦との戦闘は危険だ。残ってくれ。」

 

「どうして? 危険な相手なら尚更同行する柱を増やすべきでしょ? それとも何? 私じゃ足手まといって言いたいの? 長寿郎君。」

 

 

二人はにらみ合う。剣吞な雰囲気に辺りが包まれる。

 

俺に上弦討伐を頼み込むのはいい。ただせめて、既に事情を知っているさやか殿との間で意思統一しておいてくれないか。俺を修羅場に巻き込むんじゃない。

 

 

「さやか。奴と因縁があるのは俺と狛治殿の二人だけだ。それに日々の巡回任務だってあるだろう? 上弦討伐は俺達が必ず果たしてくるから、さやかはそっちを頼む。」

 

 

するとさやか殿は息を吐き俯く。そして再び顔を上げた時は寒気のするような満面の笑みへと変わっていた。

 

 

「さっきから一体なんなんでしょうか。どうして私一人除け者にされなければならないのでしょうか。上弦を確実に倒そうと思うのなら一人でも柱が多い方がいいに決まってるじゃないですか。長寿郎君は一体全体どういうつもりなのでしょうか?」

 

 

さやか殿は一変して口調が丁寧語へと変わっていた。これは・・・内心激怒してると思われる。俺はその様子に冷や汗を流す。

 

 

「さやか。俺はお前を危険な目に遭わせたくない。さやかは柱になってまだ半年だ。圧倒的に経験が足りない。上弦との戦いに勝利できたとしても、俺はさやかを失いたくない。だから残ってくれ。」

 

「嫌です。勝手に決めないで下さい。そもそも長寿郎君だってまだ柱になって一年程度のはずです。大差ありません。それに上弦討伐の経験は何事にも代え難いものです。私にも経験を積ませてください。」

 

「駄目だ。許可できない。」

 

「あら? なぜ貴方の許可がいるのかしら? 教えてください、長寿郎君?」

 

「今回の任務を前々から担当していたのは俺だ。俺が責任持って任務の編成を決める。さやかは同行させない。これは決定事項だ。どうか納得してくれ。」

 

「ふぅううううう・・・・・・」

 

 

すっごく長い不機嫌な息をさやか殿が吐き出す。長寿郎は平然としている。なぜこの状況でこいつは危機感を感じないんだ? どう考えても爆発の一歩手前だろうが。

 

下手したら鬼に殺される前にさやか殿に殺されるぞ? 俺は内心気が気ではなかった。

 

 

「わかりました。わかりましたよ。ではこれが最後の質問です。二度は聞きません。長寿郎君は何があっても私を任務に同行させる気はないと?」

 

「ああ。男に二言はない。」

 

 

長寿郎ははっきりとそう答える。それを節目に想定した事態へと発展する。

 

 

「ふざけないでっ!!!!! 貴方に待機命令を下される筋合いはないわっ!!!!! この分からず屋!!! いいから表に出なさいっ!!!!!」

 

「ああ!! 望むところだ!!! 口で言ってもわからないなら腕っぷしでわからせるしかないな!! 不本意だが仕方な・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パァアアアアアアン!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は両の掌を思いっきり打ち合わせる。屋敷中に鳴り響き空気を震わせるその衝撃に、途端二人とも委縮し固まる。俺は根限り低い声で大人しくなった二人に静かに言い伏せる。

 

 

「お前ら、柱になった身で碌に話し合いもできないのか? 悪いが餓鬼のお守りなど御免だ。上弦は俺一人で狩りに行く。反論は許さん。」

 

 

二人は一気に青ざめ目を見開く。やがて震える唇を辛うじて動かして長寿郎が俺に異を唱える。

 

 

「し・・・しかし・・・上弦の鬼相手にたった一人で戦いを挑むなど自殺行為では・・・」

 

「お前らみたいな足手まといがいるよりかはマシだ。柱の癖に意志疎通や連携の大切さもわからないのか。目の前で死なれても迷惑だ。二人とも残れ。」

 

「そんな!? いくら狛治さんでも一人でなんて・・・」

 

 

俺は二人に視線を送る。長寿郎もさやかも何も発することができなくなる。俺は一転して諭すように語り掛ける。

 

 

「お前達二人が互いを大切に思っていることなど見ればわかる。だからこそ今のお前らは冷静な判断力を失っているように見える。そして鬼との戦いで冷静さを欠けば一瞬で命を落とす可能性だってあるんだ。

 失われた命は回帰しない。二度と戻らない。俺は柱の先輩として、亡き識哉(しきや)様から使命を託された岩柱として、お前らのような若い芽を摘まさせない為に守る責務がある。

 柱なら後輩の盾となることは当然だ。柱なら誰であっても同じことをするはずだ。ゆくゆくはお前たちにもその自覚を持ってほしい。」

 

 

二人はやがて肩を落とす。その様子から反省の色が見て取れるので、俺は今度は根限り優しい声音で語り掛ける。

 

 

「もし、お前たちが、互いに互いを守り通す気概があるのなら、今回の任務に同行することを認めよう。約束できるか?」

 

 

二人はお互いに見つめ合い意思を確認し合う。やがて俺に振り向き二人とも頷く。俺は満足げに笑みを浮かべる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わかった。此度の任務、柱三人で向かうとしよう。準備ができ次第出発だ。」

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 

 




良し。柱三人もいれば下衆上弦も余裕ですね。狛治には思う存分フルボッコにしてもらう予定です。

童磨の再登場についてどう思いますか?

  • 狛治がしっかり倒すのなら有
  • 原作通り生き残らせてほしい
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