それと投稿がいつもの時間より遅くなり申し訳ありません。昨日久々の飲み会で人生一二を争うぐらい飲んだのでさっきまで死んでました。加えて昨晩アルコールにやられた脳で何かを閃いたらしく知らない間に投稿話の本文を改変してたみたいです。諸々確認に追われて遅くなりました。今回の件で岸部先生の気持ちが分かった気がする・・・
「恋雪・・・大丈夫か? 苦しくないか? 桶を持ってきたから我慢せず吐いても平気だからな?」
「ううっ・・・ごめんなさい狛治さん・・・大事な任務の日にこうなってしまって・・・」
「謝らなくていい。一番辛いのは恋雪なんだ。落ち着くまではずっと傍に居てやるからな?」
童磨の討伐決行日の夜、突如恋雪のつわりが酷くなり、俺はその介抱で付きっきりになった。
絶えず背中を擦って、脱水にならないようこまめに水を飲ませ、少しでも恋雪が安心できるよう穏やかな声音を掛け続ける。
恋雪の傍には女性の隠も数名居て、放っておいても大事には至らない気もするが、正直こんな状態の恋雪を置いて上弦の討伐任務など行ける気がしなかった。
鎹烏に至急手紙を括りつけ、長寿郎達に任務の同行が遅れる旨を連絡した。
「ごめんなさい狛治さん・・・うっ・・・私のせいで柱の皆さんが・・・」
「大丈夫だ恋雪。あの二人は強い。仮に俺が居なくても充分上弦の鬼とも戦える。そうだろう? さなえ殿。」
「はい。心配無用です。恋雪様。」
俺の問いに答えた女性隊士はさなえと言って、歳は十三になったばかりのさやか殿の継子である。
さやか殿と同じく黒髪長髪で無表情ながらも整った顔立ち。特に桜の花弁を彷彿とさせる泣きぼくろが特徴的で初対面の時はそれが印象的だった。
さなえはつい先日、最終選別を突破し、更には常中すらも既に身に着けている程の隊士だった。しかしさやか殿が言うには、生い立ちのせいかどこか感情欠落してるきらいがあるようで、いきなり一人で任務に行かせるのは不安とのことだった。
なので今夜、彼女に恋雪の傍付きをしてもらっていたのは、護衛任務を兼ねて他者との交流経験を積ませると言う、さやか殿の親心にも似た計らいによるものだった。
「さなえ殿。初任務がこのような形で少々戸惑うと思うが、これも経験だと思って恋雪の傍で付き添いをしてくれ。俺は明け方までには万世極楽教の寺院に赴かねばならない。いざという時は俺の代わりに恋雪を励まし安心させてほしい。どうだ、できるか?」
「・・・具体的にはどうすれば・・・」
「些細なことでいいんだ。背を擦ったり手を握ったりしながら時に恋雪の声に応えてくれ。要り様の物は他の隠の隊士達が全て準備してくれるからそこは安心してほしい。どうか今夜だけは俺や師範の代わりに恋雪を傍で守ってくれないか? そうしてくれるだけで俺は上弦討伐にも心置きなく参加することができるんだ。だからどうか頼む。」
「・・・わかりました。岩柱様の御命令とあらば・・・」
さなえの言葉に俺は少し思うところがあったが、恐らくこれが今この子にできる精一杯の回答なのだろう。
どのような生い立ちを過ごしたかも知らない俺では、これ以上彼女に掛けられる言葉もないだろう。あとは恋雪との接触を通じて、少しでもこの子が人並みの情緒を取り戻してくれることを願うばかりだ。
「うっ・・・うっ・・・」
俺とさなえ殿の間で言葉を交わしている間、恋雪はつわりで苦しそうにしていた。俺はその間もずっと背を擦りながら恋雪を横にしたまま楽な姿勢を維持させていた。その様子をじっとさなえは観察していたので、彼女なりに俺の頼みに応えようとしてくれてるのが見て取れて安心した。
それから恋雪の介抱を続けてどれだけの時間が経ったか、徐々に恋雪の様子も落ち着いてきた。俺は安堵の溜息をつく。
「済まない恋雪。そろそろ俺は出発の準備をしなければならない。任務に赴く直前までは傍にいてやるからな?」
「・・・はい・・・ありがとうございます・・・狛治さん・・・」
俺は奴との戦いを想定し、恋雪の傍で隊服に着替え、手甲や鎖分銅一式を装着し始めた。
一方その頃万世極楽教の寺院では・・・
「お疲れ様です。慶蔵師範。首尾よく童磨は山を降りたみたいですね?」
「ああ、日没後暫くしたら、山を降りていくのをこの目で確認したし、教祖の間は勿論、寺院のどこにもいないことは再度確認してきた。奴が街へと向かったのは間違いないだろう。」
「良かった。これで明け方近くにここで童磨を迎え撃つだけですね。漸くあの糞野郎を葬れると思うと楽しみで仕方ありません。ぐちゃぐちゃに叩き潰してやれるのが楽しみです。」
「おお!? さやか殿と言ったか!? 狛治から聞いた話だともっとお淑やかで年頃の娘を想像していたんだが・・・」
寺院へと昇る階段に沿う木々の陰で、俺は狛治の後輩である柱の少年少女たちと合流していた。
片や炎の模様の羽織と髪色をした日本刀を携えた煉獄長寿郎殿と、片や萌黄色の羽織に大矛を担ぐ草壁さやか殿だ。
「そう言えば慶蔵師範って常中習得してるんですね? 柱でもないのに凄いですね? もしかして狛治殿から習ったんですか?」
「おお? まあ習ったというよりは見様見真似だがな。ただコツは教えてもらったぞ? なかなか身に着けるに苦労したがな。」
「恋雪ちゃんのお父様って本当に凄い方なんですね。流石狛治さんのお師匠さんです。私、常中を覚えるのにコツがなかなか掴めなくて、師範から手取り足取り教えてもらって漸く身に着けたんですよ?
もういっそ鬼狩りに参加して新しい柱になったらどうですか?」
「おお・・・そうは言うがな。昔鬼との戦いで恋雪を庇った時の後遺症で左腕が上がらなくなってしまったんだ。正直狛治のように戦える気がせんなあ。」
「まあ慶蔵師範は隠の人達に素流体術教えて下さってるのでそれで充分ですよ。日々の任務で隠の動きが目に見えて良くなってきているのがわかりますし。」
「おお! そうか! そいつは良かった! もともとは護身のために教えたんだがな? 日々の任務でも役に立ってるようでよかった!!」
「確かに隠の中で全集中の呼吸使える人も増えて来てますし良い傾向ですよね。一般人の避難誘導もどんどん円滑になってますし。」
「そうかそうか! そいつが聞けて良かった! なら今日の仕事もきっちり片を付けて明日からまた教え子たちに稽古をつけてやらんとな! ガハハハッ!!」
「しぃ~!! 声大きくなってきてますよ? 童磨がいつ帰ってくるかわからないんでそろそろ私語を慎んだ方が良いかもしれません。暫くは息を潜めて居ましょう。」
「おお・・・そいつは済まなかったな・・・」
そうして俺は二人とやや離れた位置で茂みに隠れ潜伏する。徐々に月の位置も変わり、時間の経過を感じる。
「・・・夜明けまで二刻くらいかしら・・・なかなか帰って来ないわね・・・」
「しぃ・・・声を出すなさやか・・・いつ奴が現れるかわからないんだ・・・あまり気を抜くな・・・」
「・・・・・・」
俺は二人の指示に従って潜伏を続ける。すると驚いたことに狛治の鎹烏が代わりにやって来て大声で報告をし始める。
「伝令!! 伝令!! カアアアアア!! 岩柱邸ニ上弦ノ弐襲来ィイイイ!! 頭カラ血ヲ被ッタヨウナ出デ立チニ対ノ扇ヲ持ツ鬼ィイイ!!
急イデ戻レ!! 急イデ戻レ!! 至急応援求ムゥウウ!!!」
続く
さて、狛治たちの命運や如何に。次回へ続く。
追記:来週は月、土更新になります。年内までには完結させたい・・・