また、投稿がいつもより遅れてしまい申し訳ありません。
加えて今後週一投稿に移行します。休日出勤が増えて執筆速度が落ちそうだからです。もし最終話まで書き終わったら毎日投稿に復帰する予定です。
「鬼になろう狛治殿。そうすれば百年でも二百年でも俺達と肩を並べて生きることができる。もう俺たちの影に怯えて暮らすこともなくなるんだ。それに狛治殿が望むなら恋雪ちゃんも鬼にしたっていいんだし・・・」
「は・・・?」
俺は開いた口が塞がらない。童磨は何を言っている? こいつは本当に頭に脳味噌が詰まっていないのか? 言うに事欠いて俺に鬼の勧誘だと? 岩柱でもある俺に一体何を言っているんだ?
「ならない。」
俺はふと我に返り即答する。当然だ。柱が裏切り鬼になるなどあり得ない。甚だしい侮辱だ。
「え~? いい提案だと思うんだけどなぁ・・・」
「ふざけるな。誰が鬼になど寝返るか。馬鹿げてる。お前のような異常者と一緒にするな。」
「えー・・・随分と刺々しいなぁ。でもいいのかい? そんなこと言って。」
「は? どういう意味だ?」
俺は悪寒がしてそう問い返す。すると童磨は対の扇を取り出して正面で手元を隠すように掲げる。あたり地面に冷気が満ちる。
ー血鬼術 結晶ノ御子ー
「っ!!??」
俺は突如目の前に生み出された氷の人形に警戒心を抱く。その姿は小さな童磨そのもの。この血鬼術・・・まさか・・・!!
「じゃじゃーん。どうだい狛治殿。俺の新しい血鬼術だよ。よくできているだろう?」
「分身・・・
俺の問いに童磨は一度目を丸くしたが、やがてクスクスと笑いだす。
「アハハ! 脳筋の彼と一緒にしないでほしいなぁ。言っとくけど俺の御子はね、阿修羅鬼殿みたいに頭数増やすだけの安い代物じゃないんだよ?」
「・・・?」
俺は警戒心を上げる。少なくともあの血鬼術は童磨の分身なだけあって相当の機動力を有しているはずだ。大きさは本体の半分もないが、その分小回りが利きそうで厄介だ。
扇子を模した氷を持っている辺り、高速で周囲を駆け巡りながら斬りつけてくるのか? だが接近戦勝負であれば数が増えたところで俺に分がある。俺はそのように判断し笑みを浮かべる。
「分身を何体出せるか知らんが無駄だ。今の俺は貴様と以前会った時よりも数倍以上に力をつけている。手数で斬りかかってきたところで俺の敵ではない。全員瞬く間に打ち砕いてくれる。」
「え? あー・・・いやいや。流石に狛治殿の方が接近戦強いのは知ってるから近づく気はないよ? まさか御子出したのって接近戦で有利に戦う為とか思ってる? だったら勘違いだよ。」
「何?」
すると童磨は分身の後ろに下がった後、扇を畳み腕組みをする。まるで高みの見物といった様子だが一体なぜ・・・
俺が不信に思っていると、氷の分身が予備動作に入る。
ー血鬼術 散り蓮華ー
「なっ!!??」
突如、童磨本体が放ったと錯覚するほどの規模で血鬼術が発動する。俺のその様子に面食らい、急いで屋敷の屋根の上まで退避する。
しかし気が付けば氷の分身は俺の目の前まで肉薄していた。
ー血鬼術 蓮葉氷ー
吸えば肺胞が壊死する氷の粒を散布する血鬼術。俺はすかさず息を止め距離を取るが、内心かなりの動揺を抱える。
ー血鬼術 寒烈の白姫ー
「なっ!!??」
分身が創り出した女神像より冷気の奔流が放たれ、岩柱邸すべてが包まれ凍り付く。俺は全力で退避に移り敷地の外へと逃げる。
「馬鹿なっ!! 分身も血鬼術が使えるのか!? しかもこの規模は・・・!!」
ー血鬼術 蔓蓮華ー
ー岩の呼吸 参ノ型 岩軀の膚ー
下がる俺に、追撃として氷の蔓が振るわれる。俺は鎖分銅を振り回しこれらを迎撃する。
「ぐっ!! まさか分身一体に俺が圧されるとは・・・!! しかも以前戦った童磨本体よりも術の威力が増しているなど・・・!!」
「そうそう。なにせ入れ替わりの血戦で前任の上弦の弐を食べたからね。今の俺は狛治殿と戦った時より十数倍は強いよ? 殊更血鬼術においては特にね。」
気が付けば氷の人形の傍まで童磨が歩み寄っていた。俺の様子を眺める奴は顎に手を当てて首を傾ける仕草をしている。
「うーん・・・一体だけじゃまだ狛治殿の方が強いかな? もう追加で二体ほど出してみようか。」
「なっ!!??」
俺は童磨の発言を聞き驚愕する。童磨はニコニコと笑いながら再び分身を作ろうとするので俺は肉薄し撃破を試みる。しかしそれも分身の血鬼術に阻まれる。
ー血鬼術 枯園垂りー
冷気を纏った斬撃。加えて空を切った後も冷気は残り続ける厄介な代物だった。俺は退避を余儀なくされる。
ー血鬼術 結晶ノ御子×弐ー
俺が距離を取った時には既に新たな分身が二体出現していた。俺は戦慄する。
「あれれ~? 狛治殿ってこんなに弱かったっけ? まあいいか。並みの柱よりは数段強いことに変わりないし、鬼にさえしてしまえば上弦の参くらいにはなれるよね?
仮に俺より格下な上弦になったとしても、それはそれでずっと念話でお喋りできるし楽しめそうでいいかも。よし、という訳でそろそろ勧誘に乗っておくれよ狛治殿。」
ひらひらと扇を揺らす童磨に対し俺は青筋を立てる。冗談じゃない。鬼になるだけでも吐き気がするのに、こんな奴に頭の中でずっと語り掛けられるなど不快以外の何物でもない。例え死んでもお断りだ。
俺は出し惜しみなどできないと判断して、呼吸を整え透き通る世界に入る。加えて鎖分銅を旋回させ、全力で衝突し合わせることにより赫刀を発現させる。
「わあ! 例の鬼の細胞を灼く赫刀ってやつかな? あと雰囲気がどこか黒死牟殿みたいに落ち着いたね! いよいよ本気で戦ってくれるのかな? 楽しみだな~、強くなった狛治殿の全力が見られるの!」
「黙れ。その薄汚い口を今すぐ閉じさせてやる。覚悟しろ。」
本体に引けを取らない分身を生み出す血鬼術。正直言って想定外だった。凶悪さは阿修羅鬼の分身の比ではない。全く以て恐ろしい相手だと感嘆する。
だが俺は約束したんだ。恋雪に。必ず生きて戻るって。約束を果たさなければ。
それに童磨のような悪鬼が恋雪に近づくなど、例え死んでも御免だった。
この戦いで俺がどうなろうと、目の前のこいつだけは是が非でも殺す。それが己の使命なのだと、この時の俺は強く思った。
続く
最近執筆速度が仕事やプライベートの関係で落ちて来ているので読者の皆様に相談です。最終章(=黒死牟編)前に、妓夫太郎編読みたかったりしますか?
一時期書くつもりでいたのですが、あんまり完結を伸ばすのも如何なものかと悩んでいます。よろしければアンケートにて意見下さい。
因みに妓夫太郎編書く場合、主役は桑島さんになる予定です(狛治はほぼ出ません)。
妓夫太郎編読みたいですか?
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完結遅くなってもいいから読みたい
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黒死牟編早く読みたい